人狼物語 三日月国


114 【半突発R-18】Snow white Festival【飛び入り歓迎】

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視点:


【人】 坊っちゃん バラニ

―― 一日目/市場街 ――

[さて、屋敷を出たものの
特に行きたい場所があるわけではない。

ほんの少しの思案の後に向かったのは、ゲイザーのパイ屋。
昨日、子供たちに渡した紙は使われたかな、と
ひょっこり店を覗きこむ。

一日ぶりに立ち寄った店は相変わらずの盛況で。
やぁ、と馴染みの店員に話しかければ
そのまま暫く話し込んでしまった。

此処のパイ――特に果物のパイは母のお気に入りだ。
幼い頃は母に連れられてよく通っていたし、
子供の頃、お友達と一緒に食べなさいと、
大量に渡されたこともある。
そんなこともありましたね、と笑った店員が思い出したように
本日のおすすめですと、新作のパイ>>101を勧めてくれた]
(263) 2021/12/13(Mon) 11:30:47

【人】 坊っちゃん バラニ


やぁ、これは見事だね。

[葡萄のコンポートとカスタードチーズのパイ。
如何にも母が好みそうな一品だ。
そしてちょうどお客さんだろうか、
硝子の向こうのパイに真剣な眼差しを注ぐ男の姿が見える。>>1:101

実家の商売柄、
彼の姿に見覚えそのものはあったかもしれない。
話したことは、あっただろうか?
それでも話しかけるのを躊躇ったのは、
目前のパイに注がれる真剣な眼差しに
邪魔をしては悪いかなぁ…なんて、思ってしまったせい。

暫く離れたところから見つめていたけれど、
流石に買い物もせずに長居するのは悪いなと、
店員に頼んでパイを幾つか包んでもらうことにする。]
(264) 2021/12/13(Mon) 11:34:02

【人】 坊っちゃん バラニ

[まずはと新作のパイを家族分。
それから屋敷に残っている使用人たちへの日頃の感謝を込めて、とやや多めに。
そういえば、幼馴染にパイを奢ってもらう約束も
あったようななかったような。
後で会えたら、そのときに一緒に頼もうか。

全部の用意が済んだ頃には
先程の彼も店を後にしていただろうか>>125
思いの外多い品数に、うーんと思案すること暫し。
結局、チップを大目に店員に弾んで屋敷まで
送っておいてもらうことにする]
(265) 2021/12/13(Mon) 11:34:16

【人】 坊っちゃん バラニ

[店を出れば途端、街の喧騒が耳を打つ。

祝祭の日は、毎年いつだって
どこもかしこも賑やかだ。
むしろ月日が経つ毎に、
その喧騒は増しているような気さえする。

昔の此処は、どんなだったか。
かつての光景を脳裏に思い描こうにも、
それをすっかり掻き消すほどに、この街は賑やかだ。
それでも、この季節に街へ降る雪の色や、その冷たさは
今も記憶の中の景色もそれほど変わらない。

そんな寒さに負けまいとするように
湧きたつ人の熱気に浮かされるようにして、
勧められた菓子や酒を摘まみながら街を歩く。
といっても荒っぽいことは苦手だから、
そういう気配がある場所は極力避けて、だけど]
(266) 2021/12/13(Mon) 11:34:41

【人】 坊っちゃん バラニ

[その露店に立ち寄ったのは
市場街をのんびり歩いている最中の、ほんの偶然。

歩きつかれたと休める場所を探して見回した視線のその先に
たまたま見つけた店の一軒。

薄汚れた幌布が張られた店先に、並べられているのは小間物の類。
東方から流れてきたのだろう、
鼈甲で作られた櫛や銀で彩られた髪飾りから、
硝子でできたビーズの工芸品、輝石のアクセサリー。
色鮮やかな硝子が嵌め込まれたランプに
恐らく屋内での装飾用だろう各種様々な輝石鉱石の大きな塊まで。

その中で目を引いたものがひとつ。
ちょうど、掌に収まる程度の大きさの貝殻。
真珠色に塗られた地に鮮やかな花々が描かれたそれは
単品でも十分土産物として通じそうだ。
物珍しさにほう、と息を吐いてそれを手に取ってみれば
目敏く見つけた店の主にものの見事に捕まった]
(267) 2021/12/13(Mon) 11:38:24

【人】 坊っちゃん バラニ


懐かしいな……これ、口紅だろう?
随分珍しいものを扱ってるんだね。

[笑いながら、重ねられた貝殻を開ける。
その内側は見事な玉虫色]

え?あーうん。
前に一度、うちの家でも扱ったことがあってさ。

[笑って誤魔化しながら、重ねられた貝殻をずらして中身を確認する。
その内側は見事な玉虫色に塗られていて。
知らない者が見れば、それが化粧道具とはピンと来ないかもしれない。

指先や筆に水を含ませて触れることで、
玉虫色は鮮やかな紅へとその色を変化させる。
唇に塗る他にも、目元に差しても頬紅代わりにしても
いい色になるのだと、熱心な売り込みに]
(268) 2021/12/13(Mon) 11:40:05

【人】 坊っちゃん バラニ


そうだね。
ひとつ、いただくとするよ。

[『お土産』のお礼にちょうどいいかなと
一つ頷いて、言い値を支払う。
おかげで財布の中身はすっからかんだ]

あ、その代わりそこの首飾りもおまけにつけてくれよ。
それを含めてだって、釣りが出るだろう?

[そう言って指差したのは
銀の土台にやや大ぶりな紫水晶が飾られた首飾り。

幼馴染の瞳に似たそれと真珠色の貝に納められた紅を
掌に大事に握りしめて、その日は大人しく帰路についた]*
(269) 2021/12/13(Mon) 11:40:20
坊っちゃん バラニは、メモを貼った。
(a46) 2021/12/13(Mon) 11:49:33

【人】 坊っちゃん バラニ

――祝祭二日目/噴水広場――

[二日間に渡って繰り広げられてきた喧騒も、もうすぐ終わる。
なんとなく手遊びに掌中におさめた貝殻を弄んでいれば、
人混みの中に見知った顔を見つけることがあったかもしれない]

…や、こんにちは。
今日はあの子とはいないのかい?

[前夜祭のとき、ここで話を聞かせた子供たちの片割れ]

『うん。
今日は親戚の子たちが遊びに来てるからだめなんだって』

そっか。まぁそんな日もあるさ。
僕も生憎会えなかったし。
(275) 2021/12/13(Mon) 16:57:38

【人】 坊っちゃん バラニ

あ、そうだ。
林檎食べるかい?

[ここに来る前に手に入れた赤い果実を一つ、
ほら、とその子に差し出した。
とことことと小さな足音を立てて子供が此方へ近づけば、
傍らに腰かけさせて甘い果実の味を一緒に堪能する]

『ね、せっかくだしお話聞かせてよ』

んー、いいけど。何がいい。

『ほら、こないだの王子様の話』>>0:228
(276) 2021/12/13(Mon) 17:00:06

【人】 坊っちゃん バラニ


…えー、またそれ?
そんな面白いこといったっけ?

[少なくとも、僕にとっては詰まらない話だ。
所謂『黒歴史』とか、そんな類の話。

だから、なんでこの子にその話を聞かせたのかも覚えていない。
本当に、ぽつりと零しただけの、遠い昔話だ]

『だって、気になるじゃないか。
その王子様、悪魔と取引をしたんでしょ』

悪魔、っていっていいのかな…。
まぁ、人間じゃないのは確かけど。
(277) 2021/12/13(Mon) 17:01:44

【人】 坊っちゃん バラニ

[ぽん、と頭を軽く撫でてから]

仕方ないな…それじゃあ、リクエストにお応えしよう。

君も知ってると思うけど、
この街はあらゆる願いを叶えることのできる街だ。
きちんと対価を支払うことができれば、の話だがね。

[今回のお話は『対価を支払う』ということについてのお話だ。

軽はずみに願いをかけてはいけない。
取引相手が人ならざるものであれば、特に]
(278) 2021/12/13(Mon) 17:03:50

【人】 坊っちゃん バラニ

[昔々、とある国に一人の王子様がいました。
王子様は、他の人が欲しがりそうなものはだいたい持っていました。
豊かな国、厳しくも優しい両親、一緒に育った美しいお姫様。
そして何より王子様には尤も信頼を置く大切な友がいました。

後に王子様のその友人は、
人々から『勇者』と呼ばれて魔王やその部下たちと
戦いを繰り広げていくことになります。]
(279) 2021/12/13(Mon) 17:07:07

【人】 坊っちゃん バラニ

[王子様は、自分の国を守るために勇者と共に魔王と戦いました。
長い、長い戦いと旅路の中。
勇者は仲間たちとさまざまな苦難を乗り越え、そのなかで強くなっていきました。

そんななかで、王子様は悩んでいました。
勇者たちが強くなり、日に日に魔王たちとの戦いも厳しいものになっていくなか
次第に、仲間である彼らとの力量の差が開いていったのです。

王子様は、生まれながらに人が羨むようなものをたくさん持っていました。
でも、そのなかに勇者や仲間たちが持っているような『才能』と呼ばれるものはありませんでした。

どれほど努力を重ねても、王子様はただの人間で。
そして、その成長には限界がありました。
今までずっと傍にいた勇者と、王子様のあいだには
力という大きな隔たりが生まれてしまったのです。
王子様はそれが、悔しくて悲しくてたまりませんでした]
(280) 2021/12/13(Mon) 17:11:36

【人】 坊っちゃん バラニ

[そしてもう一つ。
魔王との戦いの中、勇者とお姫様は次第に惹かれ合っていったのです。
そしてそれを、惹かれ合う二人の姿を、王子様はずっと一番間近で見ていました。

――仲睦まじい二人。
いっそ彼らを恨んだり、或いは憎むことができたらと、
王子様も思わなかったわけではありません。
ですが、それは叶わなかった。

勇者やお姫様が王子様を想ってくれるのと同じくらい
……王子様も、二人のことを愛していたから。
ただ、王子様は大切な二人のそばにいたかったのです]
(281) 2021/12/13(Mon) 17:14:54

【人】 坊っちゃん バラニ

[自分が勇者たちの足手まといになっていくのを日々実感していくなか。

――『力がほしいか』と。
王子様に、囁く声がありました。

『此方のいう対価さえ支払えば、お前の願いを叶えてやる』と、
その声は王子様に取引を持ちかけてきました。

もしそれの対価が「勇者を裏切れ」だとか、
そんなものであったら応じたりなどしなかったでしょう。]
(282) 2021/12/13(Mon) 17:15:48

【人】 坊っちゃん バラニ

[囁く声が望んだものは、王子様の『未来』でした。

王子様の命、或いは死んで生まれ変わってからの力や才能。
それらを差し出すと約束すればお前が望むだけの力を
勇者と共に並び立てるだけの力を与えよう。
それが、王子様に持ちかけられた取引でした。]
(283) 2021/12/13(Mon) 17:17:00

【人】 坊っちゃん バラニ

[王子様は悩みました。

それでも……最後にその取引に応じたのは。
王子様が、勇者や仲間や、お姫様を愛していたから。

力が、ほしかった。
己の望みを叶えるそれが欲しかった。

大切な人たちのそばにいたかった。
そして彼らの足手まといになりたくなかった。
守られるだけなど耐えられなかった。

力さえあれば、全てを守れると
どうしようもなく愚かな王子様はそんなふうに考えたのです。

結局のところ、
どれほどたくさんの何かを持っていたとて。
王子様はただの弱い人間でした。
弱いままの、無力な自分でいることに
彼は、耐えられなかったのです。]
(284) 2021/12/13(Mon) 17:19:39

【人】 坊っちゃん バラニ


…その後、契約で力を得た王子様は、勇者と共に魔王を倒す旅に同行し、仲間たちを魔王の許に送り届けるために命を落としました。
だから、王子様は勇者の旅の行く末を見届けてはいません。

それでも、王子様は勇者が魔王を倒してくれるとそう信じたまま息絶えました。
そうして実際、その通りになりました。
今もこうやって、この街が栄えているのは勇者たちが努力し、人々の平和のために戦ったから。

王子様は今もきっと、そのことを誇らしく思っているのです。

[そこまで語って、ぽんぽんと頭を撫でる。
さて、この話は終いにしようと言いかけたところで]

『ねぇ』

うん?
(285) 2021/12/13(Mon) 17:21:10

【人】 坊っちゃん バラニ

『王子様は、ちゃんと"対価"を払い終えたの?』

―――……。

[この子はどこまでわかっているんだろう。
しかしまぁ。
勘の良い子供っていうものは、正直反応に困ってしまうね]

…そうだなぁ。
まぁ、王子様は旅の途中で若くして死んだのだし、
その時点で対価は払い終えたんじゃないかな。

[無論、嘘だ。
実際のところ、王子様は生まれ変わった今も
その対価を支払い続けている。

だからどれほど剣を振るう努力をしたって、
腕力も技量も身に着きはしない。
その経験値は、遠い昔に前借りされてしまったものだから]
(286) 2021/12/13(Mon) 17:26:52

【人】 坊っちゃん バラニ

[子供の頃、僕は勇者に憧れた。

記憶の中の彼は、いつだって眩しいもので。
あの頃感じていた憧れや親愛は
生まれ変わった今も変わらない。

変わってしまったのは、ただ、自分のほう。

遠い昔、御伽話の王子様が
後先考えずに人ならざるものと交わした『契約』は。
未来を生きる子供の憧れも、
努力すればいつか自分だって強くなれるという、
そんな淡い希望さえ、許してはくれなかった。

御伽噺の王子様は、
愛する女の子の口づけで呪いを解かれる。>>0:222

そんな願いが叶えばよかったのに、と。
王子様ではなくなった僕は、ずっとそう思っていたんだ。]*
(287) 2021/12/13(Mon) 17:28:50
坊っちゃん バラニは、メモを貼った。
(a64) 2021/12/14(Tue) 0:04:36