人狼物語 三日月国


241 【身内】冬の物語

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視点:


【人】 高井 柊

[ タクシーの中では車の走行音だけが聞こえる。
行き先は二人の住むアパート。
こういうとき同じアパートだと便利だななんて思う。]


 大丈夫か?


[ 何だか随分とおとなしい。
意外と結構足を痛めてるのかもしれないなんてそんな心配。]


 痛めたんなら帰ったらちゃんと冷やせよ?


[ 行き先はそんなに離れていない距離。
歩いても帰れるようなそれはタクシーだと一瞬で到着するだろう。]*
(0) 2024/01/03(Wed) 7:16:11

【人】 高井 柊

 
 どうした?
 今日はなんか変だぞ。


[ タクシーを降りてから雪奈の様子が変だった。
変だというならタクシーに乗った時から、いや、居酒屋からすでにおかしかったか。
そう訝しんではみたものの、素直に手を差し出しす。]


 はいはいお嬢様、仰せのままに。


[ なんて、いつもの様に茶化して。]*
(3) 2024/01/03(Wed) 9:07:06

【人】 高井 柊

[ それは、あまりにも衝撃的な言葉。
というには想像の範疇のことだった。それを今この場で告げられることは予期していなかったにせよ。]


 ……
きついな



[ 薄々は気づいていた。全くわからなほど鈍感ではないつもりだ。
それでも、雪奈は気の置けない、そして一番の友人だった。そうではないことを願った。失いたくなかった。]


 ごめん……
 俺には……好きな人がいるんだ……


[ 手が離れていく。
離したのは雪奈か。それを繋ぎ止めないのは自分か。
手を伸ばすことも歩み寄ることもできない。]*
(6) 2024/01/03(Wed) 13:57:29

【人】 高井 柊

[ 部屋の入る雪奈に掛ける言葉が思いつかない。
ただその姿を見送るだけになる。]


 ……うん、ありがとう


[ その姿が見えなくなってから小さく呟く。
彼女の言葉が痛い。
バイバイ
永遠に彼女を、友人を失ってしまった痛み。

ポケットから鍵を取り出してドアノブの鍵穴に差し込む。
入らない。
ようやく入って回す。
それからドアノブを回して、それから……何をしたのかわからない。]*
(9) 2024/01/03(Wed) 19:31:05

【人】 高井 柊

[ それから雪奈とは会っていない。

隣の部屋にいるのに声を掛けられない。
いつも朝は顔を合わせていたのにそれも無くなった。
偶然に
出会うこともなかった。

出かける時に、ドアを開けて外に出ると雪奈の部屋のドアを見る。
それが開く気配はない。

そうして日々は過ぎていく。
先輩に告白することもなく。
それはクリスマスを過ぎて、そしてら年の瀬も過ぎて。
正月にを迎えても変わらなかった。

何度もスマホの画面を開く。
雪奈からのメッセージはない。
雪奈へのメッセージを送ろうとしてやめる。

一日、一日と、失くしたんだって実感させられる。]
(14) 2024/01/04(Thu) 9:40:46

【人】 高井 柊

[ 仕事始めの日。
俺は先輩に声を掛けた。
新年会をしませんかって、できれば二人だけで。

先輩は頷いてくれた。

だから俺はその日、先輩に想いを伝えると決めた。]*
(15) 2024/01/04(Thu) 9:41:04

【人】 高井 柊

[ その日の夜遅く。
俺は一人でいつもの居酒屋にいた。
いつものお酒、いつものメニュー、でも隣には誰もいない。
ひとりだけでただ飲んだくれていた。

自分の何が駄目なのか。
タイミング?考え方?能力?
選択を誤った?それとも自分という存在が誤り?

無意味なネガティヴ。
自分の何もかもが嫌になるような。
そんな気分を酒で誤魔化す。

……キツいな

呟く言葉は誰にも拾われない。

失恋というのはいつ味わっても辛いもの。
ただ自分は本気であの人のことが好きなんだって、それが嘘や勘違いでなかったことだけが僅かに救いになる。]*
(18) 2024/01/04(Thu) 14:52:21

【人】 高井 柊

[ 見られたくなかった様な、見られたのが彼女で良かった様な。
そんな複雑な心境も、失恋の痛みとアルコールが押し流す。]


 雪奈……

 振られちゃった。


[ 力無く笑って、レモンサワーをぐいっと流し込む。
さほど強くないアルコール、酸味と炭酸が喉を刺激する。

でも、二の句が紡げない。

雪奈を振った自分に何が言えるというのか。
何も言えない。
だから一人で飲んでいたんだから。]*
(21) 2024/01/04(Thu) 19:28:24

【人】 高井 柊

[ 静かに頭を横に振った。
それは聞いていいへの答えではなくて、年下が理由という問への答え。]


 違う。
 ちゃんと男として見てくれた。
 多分だけど。


[ あの人は、出会ってから一度も一度も年下とか未熟だからって言葉を使わなかった。もしかしたらそれすらも優しさだったのかもしれないけど。]


 結婚……するんだってさ。
 今年の春にはもう婚約してて。
 来年の春には結構するって。


[ 力無く笑って涙は浮かべない。]
(25) 2024/01/04(Thu) 21:17:18

【人】 高井 柊

[ 視線がテーブルに落ちる。
溶けかけた氷がグラスの中でカラリと音を立てた。]


 好きになった時には……
 出会った時にはさ……
 もう、チャンスなんか無かった……

 ……キツいな。
 年下だからって…言われた方がマシだったかも。


[ 勝負すらさせて貰えなかった。
土俵にすら登れず、負けの確定していた勝負にそうと知らずに挑んでいた。
それが悔しくて悲しかった。]*
(26) 2024/01/04(Thu) 21:18:46

【人】 高井 柊

[ 行き場のない想い。
悔しさも悲しさも、どこにも行けなくて。
でもそこにら雪奈がいるからぶつけてしまいそうになる。

お前があの人の何を知ってる。
頑張っても無駄だった。
後悔させてどうする。

八つ当たりの言葉が喉を通って口に出そうになる。
そんなこと、本当に無駄なことなのに。

それでこの想いの行き場は本当になくなってしまう。
アルコールすらも薄れさせてくれない。]
(29) 2024/01/04(Thu) 22:49:11

【人】 高井 柊

 
 なんで……お前が泣いてんだよ。


[ いろんな言葉を飲み込んで、出てきたのはそれだけ。
半月前の雪奈は今の自分と同じだっただろうから。
だから、八つ当たりなんてできない。]


 ……やめろよ。
 

[ 何をやめろと言うでもなく。
それだけ口にすると、空になったグラスを口に運ぶ。
氷が溶けた水が喉を冷やす。]*
(30) 2024/01/04(Thu) 22:49:28

【人】 高井 柊

[ 吐き出すことなんか何もない。
どこにも行き場のない気持ちが渦を巻いているだけ。
言葉にできることなんか何もない。

勝手に頼まれたお代わりを口に運ぶ。
酸味も炭酸もアルコールも何の役にも立たない。

まるで今の自分みたいだと。
馬鹿らしいけど思ってしまう。
ただ失恋しただけなのに、自分に価値がないかのように思ってしまう。]
(33) 2024/01/05(Fri) 10:46:51

【人】 高井 柊

 
 ……くそ……


 ……本当に……


[ 優しい笑顔、笑った顔、真剣な横顔。思い出せるのはそんな顔で、嫌なとこなんて全然思い出せなくて。
もう、悲しいのか悔しいのか苦しいのかもわからない。]*
(34) 2024/01/05(Fri) 10:47:10

【人】 高井 柊

[ 雪奈の言葉が今は殊更に痛い。
その好意も、優しさも、今は痛くて辛い。

テーブルに落とした視線を上げられない。
雪奈を見れない。

雪奈だってこんな風に接するのは辛いのに。
思うのは先輩のことばかりで。
自分の告白を聞いてた先輩もこんな風に痛かったのかとか。

そんな身勝手な自分をさらに嫌悪する。]
(37) 2024/01/05(Fri) 15:35:42