「騙」の神 ペノルは、新最高神の前に膝をついた。

「ナハト神。
　ペテリノル・ヤ・オースティオから
　神格を剥奪して頂けませんか」

「妹は心に義を宿し、
　正しく裁かれました。

　何も、騙ることなく。

　ワタシは、その姿を見て
　かつて真の和を求めることを諦めた自分を恥じ
　同時に、いつの間にか、この一連の戦いの中で

　そこにある本当の愛を守りたい
　和を願い、祈り、向き合いたいと
　もがいている自分に気づいたのです」

「これでは、『騙』を名乗ることができそうにありません。
　どうか、よろしくお願い致します」

伏せたペノルの顔は見えない。
しかしその声は朗々と落ち着いており
憑き物が落ちたようにも感じられた。

*

神格を剥奪されたら……

　　されたら。当たり前だろう。

ワタシは顔を上げた。


「ひとりの人間として。
　和の信徒として。
　そう、生きていきたく思います」


脳裏に、アネーシャちゃんの、嘲笑う……楽しそうに嘲笑う顔が過ぎった。
ワタシは彼女が大好きだった。
「和」と最も遠く見える、そんな彼女を苦労して追いかけるのは、ワタシにとって、恋の歓びであり、「和」への奔走そのものだった。


サティは、きっともう、大丈夫。
自分が守るなんて、おこがましいほど、彼女は強かった。

うん。
ワタシが神格化したこと、そもそもそのことが、おこがましいことだったんだ。

「これで答えになりますでしょうか」

"義"により打ち破られた時
いや、きっとそのずっと前から
ワタシは"騙"の神ではなかったんだ。
"義"が"騙"に勝った時、ワタシはほっとしていたんだ。

さあ

是非とも、お願い致します。*

ありがとうございます、義の神。

ワタシの望みを叶えてくださいまして
まことに、心から、感謝いたします。

[人間　ペテリノルは、地に額をつけて、最大の謝辞をあらわした]

ナハト神。

そんな……そんな畏れ多い恩情は、いりません。

[この言葉を言うことには、勇気を必要とした]

アナタの恩情ではなく…………

ワタシは、「和」の神になれますか？

>>3:37>>3:38>>3:39>>3:40
あえて言うならこの宣戦布告のシーン。
でも今回ずっと6〜7割の声量で書いてた気がする。NPCあるある。


・>>2:4>>2:5>>2:6>>2:7>>2:8>>2:9名指しで「負けたくない」って言われると燃えますね―――。わーい対立だー！　と思いました。
・>>4:8>>4:9どこまでも天使。ワタシが必死でごまかそうとしていることをひとつひとつ暴いて最後に「友達でいたい」はもう本当にどうしようかと思いました。ﾋｪｯでした。
・>>1:13>>1:14　アネーシャちゃんがどういうキャラクター性を持つ神なのか、こちらがどう理解してどうアプローチできるのか、凄く解りやすい。お手本のような第一シーンだと思いました。


ミニ……マムじゃないね、うん（）すみませんでした。
メンバーが濃厚豚骨なこともあるけど、それ以外に、わたしが建てるとどうしても「ただでは帰さん、全力で遊ぶぜ」感が出てしまうなーと思って反省してます。軽く#とは


お前はずっと「和」の神だったよ。そんでずっとエンジン空吹かしてたね。
「騙」推しが辛そうだったから、いっそ思い切り闇に振ってあげた方が良かったかもね。んーでもそうすると村全体のプレイ感が一層重くなるな。難しいね。。。


ワタシは、二度と「和」を求め続けることを諦めません。
一度折れたことがある、ということも、「和」への……他者理解への糧にしていくことができれば、それが、せめてもの贖罪になると考えています。

>>32>>33




この言葉を聞いて……――。

縋るような目をして「最高神」を見上げていた男の目に、輝きが、希望が戻っていった。
ペノルは、こくこくと小さく頷いた。
二度、三度、ナハト神を見上げながら、目を見開いて。

しかるのち、力が取り戻されていくのを不思議がるように、自分の両手のひらを見つめた。

再び、ナハト神を見つめる。
ペノルはもう、「誰かの支持を必要とする者」ではなく、「自ら立とうとする者」に変わっていた。
ナハト神の目を見ながら、大きく、ゆっくりと、ひとつ頷く。
それから、深い礼をした。


その一連の動作を
彼の内に生じた変化を
言葉にならなかった幾多の謝辞を

最高神ナハトは、穏やかに微笑んで見守っていた。

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