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【人】 ウロボロス遥か遠き過去、この世は闇に閉ざされておりました。 無力な人々は幾度争えど魔に勝つ術は無く、 ついに光を奪われてしまったのです。 悍ましき異形が地には蔓延り、草木は枯れ果て 正しき存在の命は遂に全てが失われようとしていました。 それでも尚、倒れることのない青年がおりました。 闇の中、彼だけが唯一の希望でありました。 戦えぬ者達も、一度は全てを諦めようとした者も。 皆が彼の為に指折り、目を閉じたのです。 そうして捧げられた数多の祈りに応え、 黒天を裂き舞い降りたのは美しい女神でした。 彼女が手を翳すと、巻き起こった聖なる風が枯れ木の枝々を揺らし 宝珠の如く芽吹きを宿し、浄化していきました。 その風はやがて、病を振り撒いていた巨大な木に辿り着き 邪悪を吹き消し、緑と共に齎した赤き実りを女神は青年に与えました。 ──この木こそが聖木ヤドリギ、 そして実を授けられた青年こそが始まりの勇者です。 これは人類と魔族の戦争の始まりの物語なのです。 (15) 2020/10/17(Sat) 18:48:17 |
【人】 ウロボロスそして400年前、人魔3000年戦争に終止符を打たれるまでの間 女神の教会を名乗る者達により、 人類に騙り継がれていた伝説であった── (16) 2020/10/17(Sat) 18:49:17 |
【人】 魔王 ウロボロス魔女というと、……ああ、やはり彼女か 大魔女殿であれば安心して預けられる。 ただ、あちらもあちらで齢を重ねていらっしゃる。 お一人に任せるわけにはいけないな [告げられた名前にふっと口許を緩め、頷いた。 机上の書類にまた一つサインを記す。 明るい金の前髪が目元に影を作り、先代王に似ないその顔を隠した。] (20) 2020/10/17(Sat) 18:53:53 |
【人】 魔王 ウロボロス前回同様、気配が分かり鼻の効く獣人族を警備に 有翼種も人数に含めておくように。 彼らには申し訳ないが…… 人狼族は除き、魔族だけにはならないよう心配りを [笑みに苦いものを混ぜ、指示は言葉少なく。 濃桃と交差する青紫が、黙して語る。] (22) 2020/10/17(Sat) 18:55:25 |
【人】 魔王 ウロボロスしかしこの時期に、困ったものだね [逸れた視線、気紛れのように立ち上がり部下に背を向けた。 大きな窓の向こうには、雪の積もる大地に常緑樹が立ち並ぶ。] (24) 2020/10/17(Sat) 18:56:40 |
魔王 ウロボロスは、メモを貼った。 (a3) 2020/10/17(Sat) 19:00:55 |
【人】 魔王 ウロボロス君が先代に下ってから、今年で何年だったかな? そうか、それ程の間君は…… [少しの間執務室に訪れた沈黙を破ったのは、こちら。 不意に声を掛け、横目で隣のフォルクスを捉えた。 返った数字を噛み締める如く、細くなり消えた声。数度の頷き。] もう戦争は終わったんだ。たまには休暇を取っても良いんだよ。 君達の発祥だろう、あの祭りは? [そして。 態とらしい程に口角を吊り上げると、牙が覗く。 人の姿を取っている間は、それは殆ど八重歯と変わらなく見える。] (32) 2020/10/18(Sun) 2:36:36 |
【人】 魔王 ウロボロス条約違反にはならない、それでも他国が黙ってはいないさ 我が物としたい、他者が手に入れるのは許せない。 そんな旨味があるからこそ、我先にと縁談を持ってくるんだから。 次いで言えば真祖竜と人間の寿命は、離れすぎている。 一度頷けば、僕は何度人を娶ることになるだろうね? 沢山の妃を囲う王の規模では済まされないな。 まさしく昔の人類の御伽話にあった、姫を拐う魔王そのものだ [短すぎる人の生と目まぐるしい代替わり。 動き続ける世界で変わらず生き続ける王と配下の間で、 分かりきった問答は何度でも繰り返される。] (138) 2020/10/19(Mon) 21:04:11 |
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