【人】 一 夜端[忠告は昨日もしたし今日もした。 これ以上はない。 俺も良い加減腹を括ることにする。 被虐の中に身を置かなければ 自己を保てないド変態な兄。 子分たちを操って趣味に付き合うのは 彼奴にだけ利益があることではない。] (29) 2020/12/02(Wed) 8:38:18 |
【人】 一 夜端[――気に喰わないのも間違いじゃない。 真昼にあって俺に無いもの。 父さんは彼奴のそこを気に入ってる。 だから俺は彼奴のことが妬ましくて仕方がないんだ。**] (31) 2020/12/02(Wed) 8:38:38 |
【人】 地名 真昼[それが何やら複雑そうな顔で 「二河くんとどういう関係なの?」 と訊ねてきた。 ……彼はとても可哀想な人種。 客の中にもそういうのは居た。 体を繋げただけで情を湧かせ 一時の熱病に罹ってしまう、哀れな――、] (35) 2020/12/02(Wed) 13:49:00 |
【人】 地名 真昼[その癖、現在の立場に甘んじてもいて 安全圏から見下ろし イイ思いをして 気まぐれに手を伸ばしてくる。 救いを与えてくれることもなければ 表面なぞって理解したつもりになって 真に知ろうとさえしない。 だからこんな僕に騙される。 可哀想な彼らを、心底嫌悪していた。] (36) 2020/12/02(Wed) 13:49:39 |
【人】 地名 真昼[だけど奥歯にも出さない。] 友達、だよ [また何やら難しい顔をする理由は わからないし知る気もない。 空澄くんが戻ってくれば 吉田は慌てて退散していく。 放課後の足音は着実に迫っていた。**] (37) 2020/12/02(Wed) 13:50:06 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ(互いを繋ぎとめているのは 酷く残酷な約束でしかない筈で、 それこそ自身への気休めにしかならないのに。 自分用にと作った最後の毒が手元にない事実に、 代わりのように短剣が懐に収まっている現実に、 酷く安堵感を覚えているのは何故だろう。 ……のたれ死ぬ期日が伸びただけなのに 狂気に呑まれないと、折れまいと抗う心に 覚えていたのは苛立ちだ、 無駄なことを…… と。) (38) 2020/12/02(Wed) 16:14:08 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[幸福な夢から醒め行くように 意識が戻るときに広がる世界はいつも無常だ。 覚えのない咆哮が独り歩きした後は、生の気配が一つもしない。] [無造作に転がる人間だったものたちは 大概が子供が残酷に壊した玩具のように、四方八方に部位を散乱させている。最早原型を取り戻せるかも不安な有様は、常人ならば吐き気どころでは収まらなかったかも知れない。 呆然と見つめた視界に映るは 彼等の首から、四肢から、中身から噴き出した一面の赤。 その余りの鮮やかさに驚きを隠すことができなかった。 どうやら彼等には自分と同じ色の血が流れていたらしい。] [自分も彼等も同じく醜いものなのだ、とここで漸く理解した。] (39) 2020/12/02(Wed) 16:14:14 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[追憶したのは、捨て去った陽だまりの日々。 柔らかく、穏やかな時間に絆され乍ら 無知故に無限に受け渡される抱擁のような優しさに包み込まれた戻らぬ記憶は脳内で黒く塗りつぶされていくばかり。 思い返す資格さえ与える事すら許されない位に 己の人生を歩んだ足は後ろを振り向く事すら戻れない場所まで来てしまっていた。 死臭が漂う地獄のような空間の中でどんなに心が悲鳴を上げようと、肝心なところで自我は狂ってはくれなかった。 寧ろ現状を享受し、運命を受け入れるべきであるのだと益々自分の首を絞めていく。 ……最早何が自分の心を抉っているのか、一体どうしてこんなに苦痛に苦しんでいるのかさえも、わからないままでいる。 自分の知らないリヴァイの皮を被った誰かが糸繰り操っているようだった。] (見下ろした掌がいつまでも小刻みに震えているものだから 寒いという感覚だけをやっと理解することができた。 ……寒いのは、嫌いだ。温もりを奪ってしまうから。 叶わないととうに理解している癖に求めてしまうのは ないものねだりの延長線に似たようなものだろうか。) (40) 2020/12/02(Wed) 16:14:19 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[世界は誰にでも平等に朝の訪れを知らせるものだから、 血濡れた満月が過ぎ去った後は、冷たい朝日が窓辺に差した。 ほのかな光が溢れた空間の中でよろよろと歩を進めれば 屍の山の中に倒れ伏した、腕の無い骸の一つを抱きしめる。 逞しさの中に友愛の籠った翡翠は最早開くことはなく 半開きで固まりかけの赤を流す口は言葉を紡がない。 愛しい日々の一部分だった元相棒は生命を悉く食い尽くされて 死を象徴する冷たさだけが、服越しに自身を冷やしていく。] [不意に走った脇腹の疼きに顔を歪め、微かに呻く。 鱗で覆われきらなかった柔らかなそこを抉った銃弾は 化け物の皮を脱ぎ去っても尚、白い肌を突き破り赤く染めていた。 意識が遠のく直前に聞いた彼の言葉を思い出す。 “……噫、彼は終わらせられなかったのか。” 行き着いた結果に、どうしようもなく心が沈んだ。 幼き頃から重ねた罪が、耐え切れない重荷となって残った自我を押しつぶす。] (41) 2020/12/02(Wed) 16:14:26 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[思い出の一部を自ら壊し、形成された世界が破壊されようと、やっぱり涙は零れなかった。 抱きしめていたものをそっと離して、温度の無い頬面を優しくひと撫でする。 季節も後半に差し掛かり、朝冷えで凍えそうな石畳の廊下を裸足で歩けば客室へ戻り、着ていた服を纏い直す。 ひとではない獣になる際に、纏っていたものは破れて犠牲になっていたから。 誰かも分らぬ血のついた掌を清めもしない儘窓を開けば、窓枠に赤がこびりつく。毛程も気にせず───まるで意識は遠くへと飛んでしまったかのような目つきで白い太陽を眺めていた。] (……何もかも、終わってしまった。 生きる理由を果たしてしまえば、 残るものなどひとつも無かった。 何時かに言われた言葉の通りだ。 私はもう、どこにもいけない存在なんだろう。) (42) 2020/12/02(Wed) 16:14:31 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ(後悔なんてしていない。 これは私が決めた道。これは私が抱えた決心。 無限に分れた道の中から敢えて修羅を選択し、 望んで自分を追い込んだ──全部わかり切っていたこと。 なのにどうして身体が震えてしまうのだろう。 自分が変わってしまうような感覚に恐怖を覚えるのだろう。 凍えそうな寒さしか感じない世界は嫌だと泣き叫ぶのだろう。 ……狂い果てて消えてしまえば、 それさえも感じなくなってしまうのだろうか。 血と本能に飢えた獣になってしまえば─────いっそ。) (43) 2020/12/02(Wed) 16:14:36 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[そうなっていた筈だったのだ。 花の散り際、握りしめられた 約束 が無ければ、もっと早くに。歩く屍のように虚空を見つめる彼女の元に いつかの渡り鴉がやってくるのはきっと─── 偶然なんかじゃないのだろうから。**] (44) 2020/12/02(Wed) 16:14:39 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム[ 赤黒く死が積み重なる峠。 処理の追い付かない死体が 敵味方問わず一絡げに燃やされる。 ] ( 通った後には築かれる炭の山か、 焔が嘗め尽くした灰の原のみ。 どう歩いたのかも、どう生き抜いたのかも、 ある時を境に覚えていられなくなった。 ) (45) 2020/12/03(Thu) 0:05:38 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム[ 山脈の冷気が裾を広げるかの様に、 焼け爛れた平原の戦場に新雪が降り注いで行く。 その中に立てられた軍幕の一つに仄かな光が灯り、 中央に横たえられた寝台の傍に立つ影が一人。 ] サー・アルベルタ=フォン=アイゼナハ。 誓を守り、王の意に添い、逆境にて闘い抜く。 彼女の務めは此処に終わった。 [ 別れの言葉を読み上げれば一度だけ振り返り、 遺体の安置された其の場を後にする。 爆発と崩落に巻き込まれた彼女の亡骸は、 戦い続きの兵士達に死に物狂いで捜させたのだった。 ] (48) 2020/12/03(Thu) 0:10:01 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム[ 軍幕の外では大勢の臣下や各家の当主が控えていた。 同じ歳に生まれ、同じ王宮で育った騎士団長が 皇帝にとってどんな存在であったのかは 彼等の殆どが理解している。 おくびにも出さぬ様に振舞ったとしても、 心情もある程度は窺い知れるもの。 誰もが彼の言葉を待った。 ] 生まれた家へ送り届けてやれ。 その際、戦から退きたい者はそうして構わん。 隊列に加わり、安全に帝都までの路を往くが良い。 [ そうして軍議は明日に回された。 ] (49) 2020/12/03(Thu) 0:10:25 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム[ 散っていった名も知らぬ駒を幾つ掻き集めても、 その名と生まれと家族の有無を一つ一つ聞かされても、 到底将たる其れには及ばない。 『価値』がではない。意義の有り様がだ。 陽動の為に割いた二千の兵の命より、 バルバロスの森に斃れた戦士達より、 この峠を超える際に失った臣民より、 彼女は 心の中で 重い存在だった。 ][ 彼自身が知る喪失の痛みとは 彼の瞳が初めて開く前に産褥の床に亡くなった実母、 既に定められた運命の中で手に掛けた父帝…… 判断を誤って身近な人間を喪う事はなかった。 故にこそ訃報は失態を確実に物語る。 そうして男は冬季の撤退を取り止めた。 ] (50) 2020/12/03(Thu) 0:10:48 |
【人】 『ブラバント戦記』722年 火の月2日 バルジ峠唯一の陸路を雪が覆い隠していく。 昨年秋のダンメルス家による決死の抵抗を受け、 大損害を受けた帝国軍は反撃の機会を窺っていた。 掃討部隊の空挺が丘陵を飛び交う中、 深い雪原に潜んでは近付く冬に耐え忍ぶ。 餓死者が出る様な行軍ではなかったが、 気温が下がれば傷が癒えずに力尽きる者が増える。 隊列から無念ながらに離脱する者も現れ、 帝国軍は縮小の一途を辿っていたが──── 年も明けて間もない頃、彼等は攻勢に出る。 其れは吹雪に紛れて四部隊に組み分けた布陣での 挟撃作戦だった。 (51) 2020/12/03(Thu) 0:11:28 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム( 若き騎士団長を屠ったのは、 我々の恩師でもある魔術学園の老教師だった。 本来の領分は名家お抱えの研究者だったからか、 戦争を機にダンメルス家に戻って来たらしい。 ) [ 憎かったのは彼そのものではない。 奪われた物を取り返す事だけが目的だったのに、 雪を踏み締める脚は次第に感覚を失くし…… 暫しの間、 悪 (52) 2020/12/03(Thu) 0:12:00 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム[ この深紅の鎧も、ベルベットの外套も、 眩いまでの炎を宿す宝剣も、 その悉くを血に染めながら立ち尽くしていた。 眼前には見知った顔の男。 膝をつき、擦り切れた魔導書を手に、 最後の悪足掻きに置き土産を残そうとしている。 何を思ったのか、王はつい手を止めた。 携えた剣を振りあげようとした格好の儘。 ] ( ……どう闘っていた? どうやってこのホールキープまで来た? そう思った時、足が動かなくなった。 得体の知れぬモノから自我を取り戻し、 宿ったのは躊躇だったのだろう。 ) (53) 2020/12/03(Thu) 0:12:37 |
【人】 『ブラバント戦記』────対し、死の間際に立つ者の激憤は 血に連なって流れ落ちる事など有り得ず。 男は言った。正確には諭す様な声色で嗤った。 制圧された居城、今にも降ろされようとする梟の御旗、 帝国兵の掃討を受けた残り僅かな同胞の断末魔。 戦乱の喧騒が少しずつ過去のものと変わる中、 余りにも穏やかな声は確実に居合わせた者達の耳に入る。 (54) 2020/12/03(Thu) 0:13:28 |
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