人狼物語 三日月国


42 【突発完全RP村】実になりてこそ、恋ひまさりけれ【誰歓】R18

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【人】   希壱

[長いようでいて、短い夢だった。

高校生の時の修学旅行。
そこで植え付けられたもの。

毎晩、愛しい人を殺す夢を見る。
毎晩、いとしい人に殺される夢を見る。

……そんな、
呪い


毎朝目覚める度に、身体の何処かに"跡"が残った。

首を絞めていた手形。
心臓を抉り取られていた傷跡。

苦しさも痛さも無かったけれど、
呪いは今もここにあるのだと思わされた。

でも、自分を許すことなんて出来ないから。
その呪いすらも受け入れた。

大切な仲間だった。
こんな俺を受け入れてくれた、大切な────]
(0) 2020/09/18(Fri) 17:17:14

【人】   希壱


[…そう。大切な仲間。


そんな大切な仲間を憎んで、恨んで、嫌って。
溢れ出た感情を抑えることも出来ずに。
毎晩、毎晩、誰かを呪って。

そんな哀れな狂人の最期は、
仲間の手で葬られてしまったのだけれど、

そんな思いを抱えた代償に与えられた呪いだった。

呪いの期間はたったの一年間。

けれど、長い長い一年間だった。]

 
(1) 2020/09/18(Fri) 17:17:50

【人】   希壱


[あの修学旅行の思い出を、

たった数人しか覚えてはいないのだ。

俺が苦しんでいたって。
俺が悲しんでいたって。

気持ちを共有できる人間は、僅かしかいない。
あの日、皆で決断をしたことを。


覚えているのは、裏切り者だけだから。]

   
(2) 2020/09/18(Fri) 17:18:46

【人】   希壱


[…あぁ、ほら、今も。

きっと、懐かしい夢の続きだ。

もう見ることはないと思っていた、

卒業式のあの日から、

もう見ることはないと思っていた、

自分が、死ぬ、────────────]
 
(3) 2020/09/18(Fri) 17:19:42

【人】   希壱


 
 ────────ん、

 
(4) 2020/09/18(Fri) 17:20:03

【人】   希壱

[目が覚める。

……というより、目が勝手に開いた、
の方が正しいのかもしれない。

覚醒し切っていない頭では、
ただ目の前に扉がある事くらいしか認識できないでいた。]


 …………、…………………………?


[思考がまとまらないまま、扉に手を伸ばす。

この扉を開ければこの空間から抜け出せるはずだ。

どこに繋がっているかなんてわかんないけれど。
この真っ暗闇にいるよりはきっと………]
(5) 2020/09/18(Fri) 17:20:20

【人】   希壱



 ……………………………………?


[見るからに何かの店内だった。
カウンターの向こうでは、店員らしき男が一人。

ここは何処なのか。
俺はどうしてここに居るのか。

目覚めたばかりの頭で理解する事も出来ず。
扉の真ん前で立ち止まってしまう。]
(6) 2020/09/18(Fri) 17:20:56

【人】   希壱

[とりあえず、と。
状況を理解する為に辺りを見渡す。

視界に入った蔵書量の多さに目眩がして、
美味しそうなフードメニューの内容に心が踊って、
店の説明書きを読んでから、
やる気の無さそうな店員を見て >>0:1、]


 ………あ、やべ、


[店の真ん前で立ち止まって居ることに気がついて、
とりあえず店内へと足を踏み入れた。]
(7) 2020/09/18(Fri) 17:21:23

【人】   希壱


["漫画喫茶コズミック"

家の近くにそんな漫画喫茶なんてあっただろうか?
それとも、大学の近くに出来たのか。

いや、そもそも俺は
こんな所にくる用事なんて無かったはずだ。

あの子の為に、早く家に帰らなくちゃいけなくて…]
(8) 2020/09/18(Fri) 17:22:03

【人】   希壱


[そして、ふと、思い出す。]
   
(9) 2020/09/18(Fri) 17:22:19

【人】   希壱


 ……………あ、そうか。
 俺、死んだのか。


[そんな物騒な独り言を、

カウンターの前で呟いた。]*
(10) 2020/09/18(Fri) 17:23:39

【人】   希壱


[実感なんてなかった。]
 
(24) 2020/09/18(Fri) 23:24:17

【人】   希壱

[いや、うん。本当に。
死んだら実感なんてわかないものなのだ。

痛みなんて一瞬で、
そのくせ、すぐに痛みを忘れてしまって、
自分が死んだかどうかもわからない。

周りの反応を見て、漸く死んだことに気付くのだ。

…そうそう。人間は、眠りにつく直前の
5分間の記憶は何も覚えていないらしい。

それと同じ事なのかもしれない。

……なんて。ただの経験上での妄想、だけど。]
(25) 2020/09/18(Fri) 23:24:48

【人】   希壱



 ………そうかもな。


[カウンターに居座る店員に目を向ける >>11
こちらを眺める無遠慮な視線とかち合わせ、
困ったように微笑んでみせた。

…お生憎様。
不躾な視線には慣れっこなんだ。

芸能クラス、なんて言われたあのクラスで
ただ一人、平々凡々な見た目だったんだから。]
(26) 2020/09/18(Fri) 23:25:49

【人】   希壱



 ……夢なら、いいんだけど。
 でも、もう何度も死を経験したから。

 これが、夢なのか現実なのかなんて、
 そんな区別はもう分かんねぇや。
 
(27) 2020/09/18(Fri) 23:26:14

【人】   希壱

[以前なら分かったかもしれない。
まだ何も知らない、無邪気な自分なら。

だって、夢と現実の区別なんて、
頬を引っ張れば済むだけの話だ。

痛ければ現実。
痛くなければ夢。

でも、あの夢を見続けてしまったから。
夢の中でも苦しさがある。痛みがある。

なら、今こうして頬を抓ったところで
ここが現実か夢かなんてわからない。

……少なくとも、俺の知る現実では
あんなに舌が長い人間は見たことないんだけど >>12。]
(28) 2020/09/18(Fri) 23:26:53

【人】   希壱


 ………………………………。
   
(29) 2020/09/18(Fri) 23:27:50

【人】   希壱

[…いや、もしかすると、死者の世界の住人は
そんな姿が当たり前なのかもしれない。

なんだろう、蛇と人間の融合体?
それともまた別の、未知の生物?

…とりあえず、
何となく爬虫類である気はしている。

たとえ、
夢なら平和な。
現実なら奇怪な。

そんな光景に、驚きはすれど恐怖はなかった。

あぁ、でも。ひとつ言うとするならば。
爬虫類ならヤモリが好きだなぁなんて。

頭の片隅で思って、
手元の本へ視線を落とす彼を見ていた>>13。]
(30) 2020/09/18(Fri) 23:28:16

【人】   希壱



 ………意味、か。


[アルバイトと名乗る店員は、
俺がここに来た意味を知らないらしい。
それなら、彼に呼び込まれた訳ではなさそうだ。

死んだ、なんて言ったけれど。
やっぱり実感なんてなくて。

でも、もし死んでいたとしても、
なにか未練があったからこそ
ここに居るのかもしれない。

未練なんて決まりきってる。
あの子の事だ。
あの子を遺してきてしまった事だ。

……だとしても、
なんでここに居るのかはわからないけれど。]
(31) 2020/09/18(Fri) 23:28:50

【人】   希壱

[チラ、と部屋の奥の蔵書に視線を移す。

そういえば、あの子が生まれてから
一人の時間なんてロクになかった気がする。

……いや、厳密に言えば一人の時間は沢山あった。
でも、その全てを"お手伝い"に費やしてきたから。
両親に構って欲しくて必死だったから。


勉強以外にゆっくり本を読む時間なんて
思い返せば、全然なかった。]
(32) 2020/09/18(Fri) 23:29:29

【人】   希壱



 ……あの本、読んでもいいの?


[カウンターで本へと視線を落とす彼に尋ねる。

仮にもここが漫画喫茶なのであれば、
きっと読んでもいいはずだけれど。

……まぁ、生まれてこのかた、
漫画喫茶なんて利用したことがなかったから。
何か間違った作法があったなら、
それも含めて指摘して欲しいところだと
ぼんやりとした頭でそう思った。]*
(33) 2020/09/18(Fri) 23:30:07

【人】   希壱



 …そっか。


[誘惑するような彼の言葉に頷いて、
尾っぽの先で指された本へ手を伸ばす >>35

だって、どれを読めばいいかわからなかったから。

なにせ、膨大な蔵書量。
中には読めない文字だってあるし、
よくわからない本もあるし。

時間は無限にあるように思えて、
きっと、ここにいられるのも少しの間なんだろう。

後悔が消えればその内、身体も消えていく。
……なんとなく、そう思うから。

迷ってる暇なんて、きっとないんだ。]
(57) 2020/09/22(Tue) 13:28:44

【人】   希壱



 ………これ、

   
(58) 2020/09/22(Tue) 13:29:05

【人】   希壱

[表紙に描かれた少年を見たことがある。

……というより、
見た事ない人の方が少ないんじゃないだろうか。

見たことはあっても、読んだことは無い。
強請って買ってもらう、なんて事が出来なかったから。
 
ストーリー

その物語だって未知数だ。
彼がいったいどんな話を繰り広げていくかが全くわからない。
…なんとなく、海賊がどうの、って話を聞いたことはあったけど。


だから、とりあえずと、一冊だけ手に取った。]
(59) 2020/09/22(Tue) 13:30:12

【人】   希壱



 泥棒なんてしないよ。
 そんなことしたら、なずなに顔向けできねぇしな。


[欠伸をする店員に向かって苦笑する。

たとえ、もう死んでたとしても。
俺はいつまでもあの子の兄なんだから。

悪いことはしちゃダメだぞって
普段から言って聞かせてたんだ。
死んだらセーフ、なんて甘い事言えないさ。

…というか、死後の世界にも泥棒なんて概念があるんだな
なんて、ほんの少し関心してしまった。

もしかすると、
過去に誰かが盗みを働いたのかもしれないな。
…それが誰かは皆目見当がつかないけれど。
]
(60) 2020/09/22(Tue) 13:30:44

【人】   希壱



 教えてくれてありがとう。
 ソファ、借りるな。


[ひと言断りを入れてから、本を片手にソファに座る。

辺りはとても静かで、
誰かが捲ったページの音が聞こえてくるくらいだろう。

目を閉じて、深呼吸をして。
その音に耳をすませた。]
(61) 2020/09/22(Tue) 13:31:03

【人】   希壱



 ──────────。

 
(62) 2020/09/22(Tue) 13:31:25

【人】   希壱


[久しぶりの一人の時間。
久しぶりの読書の時間。

ほんの少しのわくわくと、ほんの少しの罪悪感。

…けれど、気持ちは驚くほどに穏やかだ。]
(63) 2020/09/22(Tue) 13:31:57

【人】   希壱



[──────ぱら、と表紙を捲る


ぺら、とページを捲る──────]

   
(64) 2020/09/22(Tue) 13:32:18

【人】   希壱



 ………はは、


[なんて笑いが溢れて。]
(65) 2020/09/22(Tue) 13:32:40

【人】   希壱



 …………っ、


[なんて涙が溢れて。]
(66) 2020/09/22(Tue) 13:33:06

【人】   希壱


[感情を揺さぶられる。

物語に引き込まれていく。]
   
(67) 2020/09/22(Tue) 13:33:32

【人】   希壱


[気がつけば、あっという間に一冊を読み切っていて。

ソファから立ち上がって
本の続きへと手を伸ばしていた。]*
 
(68) 2020/09/22(Tue) 13:34:19

【人】   希壱


[どれくらいの時間が経ったかわからない。
ふと、読んでいた本から顔を上げた。

本の中では、ノコギリ鼻の鮫人間が
主人公にぶっ飛ばされていた辺り。]
(89) 2020/09/23(Wed) 3:01:39

【人】   希壱



 ────?


[辺りを見回しても、もちろん近くには誰もいない。

相変わらず店員がカウンターの向こうで本を読んでいて、
誰かの捲ったページの音が静かに聞こえてくるだけだ。

でも、確かに今、
声が聞こえた気がしたのだ。]
(90) 2020/09/23(Wed) 3:02:28

【人】   希壱


 …………なんだよ、


[突然現れた漫画喫茶はホラー仕様なのか?
と、疑いたくもなる。
……だって、明らかに普通じゃないからさ。


パタン、と本を閉じて。
それをソファの上に置く。

ゆっくりと目を閉じて、
今度こそ、言葉を聞き取ろうと耳をすませた。]
(91) 2020/09/23(Wed) 3:02:52

【人】   希壱



 ……………………………、聞こえねぇな。

   
(92) 2020/09/23(Wed) 3:03:17

【人】   希壱


[もう一度、と思ったのだけれど、
どうしたって同じ声は聞こえてこなかった。

ため息を吐いて、置いた本へと手を伸ばす。

どこか聞き覚えのあるような声。
どこか馴染のあるような声。

……でも、それも、今は思い出せない。

だから、もう一度。
俺を一人きりにはしない本の世界へ浸ろうとした。]
 
(93) 2020/09/23(Wed) 3:03:58

【人】   希壱


[だって、ここには沢山本がある。
だって、ここでは誰にも気を遣わなくたっていい。
だって、一人じゃない。
だって、本を捲れば誰かがいる。
だって、ここは自由だ。

だって、だって、だって、



だって、]
(94) 2020/09/23(Wed) 3:04:54

【人】   希壱



[だって、死んだ方が幸せで──────

 
(95) 2020/09/23(Wed) 3:05:11

【人】   希壱


ガタ────、と立ち上がる。

目を開き、汗が垂れ落ちる。

今、何を考えていた?

今、誰を忘れていた?

久しぶりの一人の時間。
それを味わえて、幸せで、
ずっと、この時間が続けばいいって、

あの子を忘れかけてまで、そんな、願いは──]
(96) 2020/09/23(Wed) 3:06:36

【人】   希壱



 ……なずな、

   
(97) 2020/09/23(Wed) 3:06:57

【人】   希壱


[名前を呟いて、唇を噛む。

あぁ、そうか。
結局虚しいだけだった。

一人の時間はたしかに大切だ。
とても楽しくて、幸せで、
店員が誘惑めいたことを言ったのも頷ける。

でも、ダメなんだ。
俺だけ楽しく過ごしたって意味がないんだ。

だって、俺はあの子といる事が何より一番幸せで。
あの子が楽しく話してくれる事が何より一番幸福で。

笑いかけてくれる、ことが……

なにより、嬉しくて……]
 
(98) 2020/09/23(Wed) 3:08:16

【人】   希壱



 …………泣いてたな、なずな。


[最後に見た光景を思い出す。

赤く染った水の中、
醜く集まった野次馬の音と共に、

大粒の涙を零して俺を呼ぶ、あの子の姿。

安心させるように笑ってみたけれど、
血に埋もれた表情では、
怖いだけだったかもしれないな。]
(99) 2020/09/23(Wed) 3:09:13

【人】   希壱



 ……………………行かなきゃ、

   
(100) 2020/09/23(Wed) 3:09:34

【人】   希壱

[もし、ここに来たことに意味があるのなら。
きっと、少し休め、という意味だったのかもしれない。

誰かに自分を認めて欲しいと望んでいた。
あの修学旅行をキッカケに、
そんな感情、無くなったと思っていた。

けれど、心の奥底では全然消えていなくて。
そんな感情に雁字搦めにされて、
たぶん、自分を見失っていたんだ。

雨の中、レインコートを着たあの子を見た時。
俺はもう要らないんじゃないかと思った。

そこまで気が回らなかった自分を、
ずぶ濡れで、周囲に好奇な目でみられる自分を、
あの子に嫌われたんじゃないかと思ってしまった自分を、

自分自身で"
呪っていた
"んだ。]
(101) 2020/09/23(Wed) 3:10:17

【人】   希壱


[薄れていく意識の中で聞いた声が蘇る。

あれは、確かにあの子の声だった。

遠くでサイレンの音が聞こえて、

誰かが俺を呼んでいて。]
(102) 2020/09/23(Wed) 3:11:23

【人】   希壱


 ………………………………………、


[開いていた本を閉じて、本棚へと戻す。

これは、もう必要ないから。]
(103) 2020/09/23(Wed) 3:11:53

【人】   希壱



 帰るよ。
 ……まぁ、元の場所に帰れるかはわかんないけど…

 これ、お代。
 貧乏学生だから、手持ち、これだけしかねぇんだ。


["千"と書かれた紙切れを一枚取り出して、
カウンターの上に置く。

ちら、と見えた店員の手元の本は、
なんだか少し難しい日本語が書かれていて
よく分からなかった。]


 ……もう会うことはないと思うけど、
 また会ったら、よろしくな。
   
(104) 2020/09/23(Wed) 3:13:09

【人】   希壱

[それから踵を返して、店の扉の前まで歩く。

ドアノブに手をかけた時、

ふと、振り返った。]


 本、面白かった。
 勧めてくれてありがとう。

 ……もし、生きてたら、
 あの続き、集めて読むよ。


[少しギザギザな歯を見せて、ニッ、と笑う。

彼が何かを言っても言わなくても。

そのまま扉を開けて、外へと出た。]
(105) 2020/09/23(Wed) 3:13:55

【人】   希壱

[もう、休憩はお終いだ。

もし、これがあの頃見た夢の延長線なら。]


 ……もうすぐ、覚める頃合だ。


[ボヤ、と視界が揺れる。

歩いていた足が少しずつ感覚を失っていく。

黒かった視界が白く染っていって。

徐々に、意識が薄れていく。]
(106) 2020/09/23(Wed) 3:14:29

【人】   希壱



 ……あぁ、ほら、やっぱり、
 死んだ夢には、慣れてるんだ。


[浮遊感に包まれて、

そんな言葉を零した時。

ズキ、と、最後の痛みが襲った。]


 …………まぁ、慣れてても、痛いもんは痛い、な。


[ゆっくりと意識が底へと落ちていく。]
(107) 2020/09/23(Wed) 3:17:41

【人】   希壱


[ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、

と、電子音が聞こえる。

ツン、

と、消毒液の匂いが鼻をつく。]


 ……………ん、……………んん、


[モゾ、

と、動いて、瞼を開ける。

飛び込んできたのは真っ白な天井]
(108) 2020/09/23(Wed) 3:27:08

【人】   希壱



[──────では、なくて。]


 
(109) 2020/09/23(Wed) 3:27:28

【人】   希壱



 『
おにいちゃん!!!



[涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった、
あの子の顔だった。]
(110) 2020/09/23(Wed) 3:27:54

【人】   希壱



 ………なずな、


[掠れた声で何とか名前を呼ぶ。
そんな俺の言葉に、あの子は益々涙を流す。

鼻声で何かを言いながら、
ボタボタと涙を落として、
ぐしぐしと、手で目を擦るもんだから。

あぁ、ほら、瞼がはれちまうぞ。

なんて。
ようやく持ち上げた右手で、あの子の涙を拭った。]
(111) 2020/09/23(Wed) 3:28:23

【人】   希壱



 『希壱────!』


[慌ただしく部屋のドアが開いたと思ったら、

涙を浮かべた母親と、
安心したのか腰を抜かし父親がいて、
姉貴が慌ててどこかへ駆けて行った。

『先生!!!』

って叫んでるから、
たぶん医者を呼びに行ったとは思うんだけど。]
(112) 2020/09/23(Wed) 3:29:04

【人】   希壱



 ……病院だろ、ここ。


[そんな苦笑を漏らしながらも。

でも、やっぱり、

皆が俺を心配してくれていた事が、
何よりも嬉しくて。

生きてた方が幸せだ、なんて
柄にもなく思ったりもして。]
(113) 2020/09/23(Wed) 3:29:53

【人】   希壱



 ……あぁ、ほら、手で擦んなって。


[こうして、すぐ傍でなずなの涙を拭いてやれる今が。

きっと、何より幸せなんだって。]
(114) 2020/09/23(Wed) 3:30:05

【人】   希壱



 
って、いって!!痛ぇって、なずな!

 
まって、まてまてまてまて、待てって!!


   
(115) 2020/09/23(Wed) 3:31:10

【人】   希壱


[
……後で聞いた話、傷口は結構深かったらしいし

三日三晩眠り続けていたらしいから、


こうして、なずなが今、
俺の上に跨って抱きついてくる痛みには、
再会の喜びとは違う涙が流れたけれど、

まぁ、それでも。

あの空間で、一人寂しく本を読むよりかは、
きっと、こちらの方が幸せなんだって。

…そう、思った。]*
(116) 2020/09/23(Wed) 3:32:06

【人】   希壱


[────それから数ヶ月後。

あの不思議な喫茶店
─名前は忘れた─
で読んだ本を
ゆっくりだけれど、集め始めた。

戻った時に、既に百巻近く出ていると聞いた時は
一瞬目を丸くしたけれど。

きっと、ゆっくり前に進め、
なんていうあの店員の意図を感じられなくもなくもなくて、

疲れたら、ほんの少し休憩すればいい。
本を読んで、本の世界へ入り込めばいい。

…とかいう想いも感じなくもなくもなくて。

今は漸く、
あの日に読んだ十一巻までを集め終わったとなろだ。]
   
(117) 2020/09/23(Wed) 3:50:48

【人】   希壱


[あの場所で感じた気持ちは、
決して悪いものじゃなかったから。

だから、これからも気長に集めていこうと思う。

きっと、これを全部集め終わる頃には
なずなは俺が傍にいなくても
大丈夫な年になってるんだろう。

……もしそうなったら、
もう少し他の本にも手を出してみるのも
ありかもしれない。

…なんて未来図を描きながら。]
(118) 2020/09/23(Wed) 3:51:35

【人】   希壱


 おはよう、なずな。
 今日は晴れだから、水色の靴、履いてこうか。


[今日も、まだまだ手のかかるこの子の傍にいるのだ。]


 って、
えっ!今日弁当いるの?!

 
うげぇ!まじか!


 
そういうことは

 
昨日のうちに言いなさーい!!



[──こんな、何気ない日常の幸せを噛み締めながら、な。]**
(119) 2020/09/23(Wed) 3:53:34