人狼物語 三日月国


137 【身内】No one knows【R18】

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【人】 商人 J

[ 邂逅から三日後、男は夜遅くに女を訪ねてきた。]
そして一枚の羊皮紙を女の前に差し出した。]


 契約書です。


[ 持ってきたのは吉報ではなく契約書だと言う。
そこに書かれていたのは二人の間に交わされる取り決めだった。]
(38) 2022/03/14(Mon) 22:54:29

【人】 商人 J

一つ、捜索に係る費用については依頼者の負担とする
一つ、依頼者は捜索対象に最終的につけられた価値の2割を請負人に報酬として支払う。
一つ、捜索対象を見つけられなかった場合、請負人は依頼者にすべての費用を返還する。

最後に、依頼者、請負人、共にこの契約の履行に最大限の責務を負うものとする。
(39) 2022/03/14(Mon) 22:54:43

【人】 商人 J

[ 黒のインクで書かれたそこには署名欄が二つ。]


 口約束でも構いませんが。
 これは貴方が私から取り立てる際のためと思ってください。


[ 男は言う。
この件に関して女から金を絞りとるだけ搾り取って知らぬ振りをしたとして、女には男から、ケリオス商会から反故のペナルティを取り立てる手立てがないということを。]


 それはフェアではない。
 だからこれを用意しました。


[ そう言って男は署名欄に『ケリオス商会 ジュダス』の名を書き記し、そして小さなナイフで指先を切ると自分の名前の上に紅を引いた。]


 口約束のままにするか、サインするか。
 それは貴方が決めるといい。
 心配しなくても、口約束のままでも仕事しますよ。


[ だから強制はしないと男は言う。]
(40) 2022/03/14(Mon) 22:56:24

【人】 商人 J

[ 契約は結ばれただろうか。
それとも、女はそれを怪しんでサインを拒んだだろうか。]


 では早速。
 ある男が最近になって青い宝石の装飾品を手に入れた。
 そういう情報が入りました。


[ そのこと自体は真実であった。
故に女が別の伝手を使っていれば、その情報を得ることもあっただろう。]


 それを明日、確かめに行きます。
 一緒に行きますか?


[ 薄く笑う男は女をじっと見つめていた。
否、黒い眼鏡の奥の瞳は今も女には見えぬまま。]*
(41) 2022/03/14(Mon) 23:01:00

【人】 商人 J

[ ジャンヌ・アンペール。
それが女の名だった。

そして男は確信する。
この女が自分に惹かれているということを。
その顔は相変わらず人形の様に変わらないが。

その目が伝える。
その声が伝える。

夜遅くに訪ねてきた者に対する警戒の無さ。
三日前は、最低限の気構えはあったというのに、あっさりと示された契約書に本当の名を記すほどに、今、女の目は曇っているように思えた。]
(50) 2022/03/15(Tue) 8:22:42

【人】 商人 J

[ 男は苦笑いを堪えるためにかなりの努力を要した。
頼る者もなく、探す宛もなく、事件から向こうだったひとりでここまで来たのだろう。箱入り娘だったはずの女。その胆力は賞賛に値する。]


 賞賛はまだ早い。
 貴方の探し物と決まったわけではないのですから。


[ 欺瞞に満ちた言葉。
そうではない≠ニ知っていて吐いた言葉は女の耳には謙虚として届くだろうか。いずれにせよ悪い響きとはならないだろう。]


 この契約書の効力は一週間。
 まだ、始まったばかりです。


[ 契約者を受け取ると、朱を引いた女の指を手に取り、それを自分の唇まで運ぶと、ちうと軽く血を吸い舌先で薄く傷を舐った。]
(51) 2022/03/15(Tue) 8:23:03

【人】 商人 J

[ 唇を離せば、懐からハンカチを取り出しそれを破いた。
指へ巻くにちょうどいい即席のバンテージ。それを女の指に緩く巻き付け器用に結んだ。]


 ところで、なぜあんな事を?


[ あんな事、とは女が働いている事を指していた。
待つだけの時間が手持ち無沙汰とでも言うのだろうか。]


 失礼。
 予想の斜め上に更に向こう側だったもので。


[ 男の薄い笑みが、微かに可笑しそうに笑った。]
(52) 2022/03/15(Tue) 8:23:19

【人】 商人 J

 
 ありがとうございます。
 

[ 差し出されたクロック・ムッシュを男は受け取った。
その顔には優しげな笑みさえ浮かべて見せて。]
(53) 2022/03/15(Tue) 8:23:36

【人】 商人 J

[ 帰路。
女の部屋を出て寝ぐらに戻るその途中。]


 ……愚かな女だ。


[ 込み上げる笑いを噛み殺しながら、月明かりの道を歩く。
思っていた以上に事は容易に進んでいる。
もう少し警戒されていると思っていたが、よりにも寄って好意を寄せられているらしい。]


 …………


[ スラムと呼ばれる区画に入ると、男は女から受け取ったそれを道端に放り捨てた。そしてそれは、次の瞬間にはどこからか現れた野良犬が咥えて何処ぞへと消えていった。]
(54) 2022/03/15(Tue) 8:23:59

【人】 商人 J

── 翌日 ──

[ 太陽が最も高く位置した頃、男は扉を三度叩いた。
約束よりもまだ少し早い時間。]


 ジュダスです。


[ 扉を開けば、そこにはいつも通りの装いで、いつも通り後ろで手を組んだ男が立っているだろう。]*
(55) 2022/03/15(Tue) 8:24:17

【人】 商人 J

[ 現れた女は前よりも血色が良く見えた。
少しは休息と栄養を取る余裕ができたのだろうか。]


 今回は品定め≠ナす。
 勿論、現物であればその場で交渉に入りますが。


[ 『あなたの手に入れたものを見せてください』なんて事は通らない。あくまでも商売人として、先方が手に入れたものを値踏みしにいく。そういう体だ。
とはいえ、実際に交渉が始まることなどあるはずもないのだが。]


 相手はこの町でも有数の富豪です。
 くれぐれもお気をつけください。


[ まるで女を案ずるように、男は忠告を与える。]
(67) 2022/03/15(Tue) 12:49:18

【人】 商人 J

[ それはブルーノという男だった。
随分と腹の出た中年で、頭髪もやや薄くなっていた。身なりは良質な素材ではあったが、趣味は決していいとは言えない。
いかにも品位を持たない金持ちの商人といった風だ。]


 では、早速。


[ 屋敷の中で品定めが始める。
ブルーノが出してきた宝石類は数十にも及んだ。
大きさは申し分ないが傷モノだったり、逆に完璧な美しさを備えているものまで、多種多様に。]


 なるほど、流石ブルーノ様。
 素晴らしい品々です。


[ 男は褒めちぎる。対してブルーノはどこが満足気だった。]
(68) 2022/03/15(Tue) 12:49:54

【人】 商人 J

[ たが、ブルーノが女を見る。
まるで爬虫類の様なギョロリとした目が、女の全身を舐め回す様に。
そんな下卑た視線を男がそっと逸らす。]


 ……ブルーノ様、
 そろそろ例のアレをお見せ願いますか?


[ そう言われてブルーノは女から視線を外すと、ニヤリと得意気に笑ってそれを持って来させた。

美しく輝く青の宝石。
それを抱く、女神のブローチ。

確かに似ている。
だが、女が探しているのはそれではない。]
(69) 2022/03/15(Tue) 12:50:39

【人】 商人 J

[ 女は落胆を示していただろうか。
その後、男はブルーノと商談をまとめ、傷モノの宝石を数点買い上げた。]


 申し訳ありません。
 空振りでした。


[ 屋敷を出て少しすると男はやや肩を落としながら女に謝罪した。
情報屋を使い、青の宝石のブローチをブルーノが手に入れたところまでは突き止めた。だけど、それがどの様なモノなのかまで詳細には知る術がなかったのだ。男は女にそう伝える。]


 もう少し、回りましょうか。


[ 青の宝石についてブルーノ以上に有力な情報はない。それでも可能性はゼロではないと、他の商人や富豪の元を訪れる事を女に提案した。
勿論、その全てが空振りに終わると分かっていながら。]*
(70) 2022/03/15(Tue) 12:51:32

【人】 商人 J

[ 今度は男が首を振った。]


 足を引っ張っているなど。
 これは貴方の探し物です。
 貴方の目で真贋を確かめなければなりません。


[ そう品定め≠ノはお前が必要だ。
そんな本音はおくびにも出さず、
男は女の身を案じる様に優しく言葉を続ける。]


 お疲れではないですか?
 あの様な男の前に立つのは。
 でも、どうか安心してほしい。
 貴方の身はこの私が必ずお守りする。


[ 冷たい男の右手が、女の左頬にそっと触れる。]
(78) 2022/03/15(Tue) 19:21:06

【人】 商人 J

[ 優男の真似事などと内心苦笑しつつも、女を掌中に入れるのにそれが一番手っ取り早いのも事実。]


 ジャンヌ……そう呼んでも?


[ 冷たい手のひら、見えない瞳。
それでも男は優しげな声でそう女の名前を呼んだ。]


 貴方には私がついている。
 だから、心配も不安も何も要りません。


[ 絡め取っていく。
優しい声で、優しい手つきで、牙を突き立てるその瞬間までは。]
(79) 2022/03/15(Tue) 19:21:27

【人】 商人 J

[ 契約、それは互いを縛る制約。
男の用意した契約書には魔法によるギアスが掛けられていた。

契約書の期限は7日間。
それまでに男はブローチを探し出さなければならないし、女もまた契約を履行しなければならない。

契約が不履行となれば、履行できなかった者はその代償に身体の自由を奪われる。
ギアスに抗う事は不可能ではないが、千の針で全身を貫かれる痛みに襲われることになる。

血で交わされた契約は、高位の神官でも解く事はできないと言われている。]
(80) 2022/03/15(Tue) 19:21:56

【人】 商人 J

[ 揺れる美しい白い髪を眺めながら、男は薄笑みを湛えたまま。]


 いつまでも。

 とはいえ、1年も2年もと言われると困りますが。
 でも、貴方のことは信じていますから。
 支払えるときにお支払い頂けたら。


[ 男は待つと言葉にする。
だが、男が待つとしても契約書はその力を発揮する。
女が本当に金を用意できようと、できなかろうと、契約書に血を染み込ませた時点で男の目的はほぼ達成していた。]
(81) 2022/03/15(Tue) 19:22:15

【人】 商人 J

 
 さて、では次はこちらです。


[ それから男は女を4人の商人に引き合わせた。
だが、収穫などあるはずもない。
そして、4人ともがブルーノと同じ様な目を女へと向けていた。]*
(82) 2022/03/15(Tue) 19:22:38

【人】 商人 J

[ 五度、空振りを繰り返せば流石に落胆したのか、女は見つからなかったときの話を口にする。見つからぬことなどないと知っている男は表情を崩すことなく腹の中で嘲笑した。]


 見つけて見せますよ。
 だから、心配しないで待っていてください。
 私は貴方の力になりたいのです。

 だから、お気持ちだけ戴いておきます。


[ 女の手をとって、布が巻かれたままの指先へと唇を触れさせる。
初心なお嬢さんには気障なぐらいがちょうどいいだろう。]


 疲れましたか?
 そろそろ宿に戻りましょう。


[ 品定め≠ヘ済んだ。
あとはゆっくりと契約書の期限を待つだけ。]
 
(89) 2022/03/16(Wed) 6:50:18

【人】 商人 J

[ 男は女について調査をさせていた。
あの事件について、生き残ったのは本当に女だけだったのか、後ろ盾となる存在はいないのか。
なぜ、あの家が襲われたのか。

アンペール家。
大陸の西に位置する貴族。
それが、娘ひとりを残して皆殺しの目に遭うなど。
それも物盗りによって。

俄には信じ難い。]
(90) 2022/03/16(Wed) 6:51:03

【人】 商人 J

 
 ジャンヌ……


[ 宿につくと男は女の名を呼んだ。
少しバツの悪そうな雰囲気で、女の右頬に手を伸ばす。]


 聞いてもいいですか?
 貴方のその目のことを。


[ 髪と眼帯で隠された右目。
美しい白い髪、端正な顔立ちに綺麗な左の瞳。
澄ました表情がまるで人形の様でもあるというのに、重苦しい右目の眼帯がその美しさを損ねている。]


 話したくなければ話さなくてもいいですが。
 

[ そう言って、触れた頬をそっと撫でた。]*
(91) 2022/03/16(Wed) 6:53:40

【人】 商人 J

[ 本当に何の因果だろうか。
それとも、因果ではなく必然なのか。]


 ええ、見せてください。
 もしも貴方が嫌でなければ。


[ 男は試す様に女にその醜さを曝け出させる。]


 傷ならば治せるかもしれません。
 そうでなくとも、それを見て気分を悪くするなどと。
 そのようなことは決してないと約束しましょう。


[ 頬を撫でる指が冷たく硬い眼帯の縁をなぞる。]*
(100) 2022/03/16(Wed) 17:40:58

【人】 商人 J

[ それは眼帯の奥から現れた。
斜十字に切り裂かれた傷、光を失った瞳。
それを元に戻そうと蠢くそれは男の想像以上におぞましく醜かった。]


 元に……戻るのですか?


[ 美を損ねる程度の傷であれば治してやることも考えた。
だが、その傷は思っていたよりも遥かに深く、死に至っていてもおかしくはなかったと想像させる。]


 痛みは?
 私の顔は見えていますか?


[ 頬に触れ眼帯をなぞった指先が再生を続ける瞳に触れるか触れないか、その際まで伸びる。]
(105) 2022/03/16(Wed) 21:02:22

【人】 商人 J

[ ─── アンペールの魔女。
男の脳裏に浮かんだ言葉、それはどこかで聞いた大昔の話。]


 不躾なことをしました。
 レディに傷を晒せなどと。


[ 指を離すともう一度だけ女の頬を撫でた。]


 これは……私と貴方だけの秘密としましょう。


[ 男は驚きと共に歓喜した。]*
(106) 2022/03/16(Wed) 21:03:57

【人】 商人 J

[ 女の願いは予想できたことだった。
以前から女が自身の目を覗き込もうとしてたのはわかっていた。]


 私の目、ですか?
 特に面白いものではないですが。


[ 緩慢な動作。
眼鏡の左右両方フレームを掴んでゆっくりと外した。

現れたのはやや細く引かれた目だった。
その奥にあるのはどこか無機質な瞳。
瞳孔が開いたまま動かないのがそう見せるのかもしれない。

眼鏡の外に見えていた刺青は、目を縦に切り裂くように描かれていた。]
(111) 2022/03/17(Thu) 0:18:50

【人】 商人 J

 
 視力はほとんどありません。
 この距離で貴方の美しい顔も見えない。


[ 外した時と同じように緩慢な動作で眼鏡をかけ直す。
急激な視界の変化で少しだけ頭痛がする。]


 これで貴方の顔もハッキリと見える。


[ 薄い笑みが僅かに微笑みへと変わった。]
(112) 2022/03/17(Thu) 0:19:06

【人】 商人 J

[ そうしていると何かが窓を叩く音が耳に届く。
男は女を手で制すると、叩かれたらしい窓を開けた。
すると、そこにいたのは一羽の黒い鳥だった。]


 ご心配なく。
 私の鴉です。


[ 男は鳥な頭に指をかざす。
鴉は魔法を使ったメッセンジャーであり男に伝言をつたえていた。]


 ……目当てのものが見つかった様です。


[ それは女にとって吉報であり、凶兆であった。]
(113) 2022/03/17(Thu) 0:19:23

【人】 商人 J

 
 近々オークションが開催されます。
 どうやらそこに出品されるらしい。


[ それこそケリオス商会の催す闇オークションであり、出品者はこの男自身に他ならないのだが。]


 青の宝石を抱く翼のブローチ。
 今度こそ当たりの様ですね。


[黒い鴉が翼を大きくはためかせて飛んでいった。]
(114) 2022/03/17(Thu) 0:20:08

【人】 商人 J

[ 男が女に伝えたのはオークションの開かれる場所と日時。
それは契約者の期限となる最後の日で、場所はスラム街の一角であった。]


 どうします?
 私に任せますか?
 それとも一緒に行きますか?


[ 男は薄笑みのまま女を見つめていた。]*
(115) 2022/03/17(Thu) 0:20:40