人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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【置】 家族愛 サルヴァトーレ

「​────Abbie,」
(L11) 2022/08/27(Sat) 19:12:04
公開: 2022/08/27(Sat) 22:10:00
サルヴァトーレは、家族を愛している。
(a4) 2022/08/27(Sat) 19:20:15

【人】 孤独では死なない兎 ツィオ

【ノッテアジト廊下】>>19 >>37 ファミリー
――すれ違いざまに
軽い音で叩いていった手と、軽く重ねられた手に、
目を瞑って、笑いながら満足げに、口の端を持ち上げた。

「おかえり、俺の愛しい悪童ども――」

振り返ると、すれ違っていった怪我人二人の首を
纏めるように両手で抱いて廊下の行く先を指さす。

そこには。
あの日三人で忍び込んで、こってり怒られてなお、
網膜から消えてなくならなかった『街並み』がある。

俺たち大人になり切れない少年が、
――不要の烙印を押されたはずの孤児が。
何かを求め、希求してしまうほどに光り輝く街並みがあった。

(38) 2022/08/27(Sat) 19:51:39

【人】 孤独では死なない兎 ツィオ

【ノッテアジト廊下】>>38 "マウロ" "リック" "ツィオ"
――俺は嗤う。

「――天辺取ろう。
 今度こそ、手を伸ばしても届かなかったあの景色を、
 諦めの悪い死にぞこないの俺たちのものにしよう。
 独りじゃ無理だ。二人でも足りない。
 ただ三人なら、急に敵が居なくなる――そうだろ?」

こいつらの顔を束ねて見えなくしたのは、
互いの表情を見えなくするため。
だってキャラじゃないだろう――?
本気で夢を見るときの横顔なんか、
いつだって、男は見られたくないもんだ。

その三つ並んだ背中が。
あの日、監視塔の上で街を眺めたその背と重なる。
               carina.
「――さあ。――踊ろうか、カワイコちゃん」

兎は、マフィアの顔で嗤った。
(39) 2022/08/27(Sat) 19:58:25

【人】 銀の弾丸 リカルド

【ノッテアジト廊下】>>37>>38>>39 俺の家族

「――ハ、ついに天辺ときたか」

夢を語るのは俺の役目だったはずなのにな、と嗤う。
俺の上にいるべき上司は、たった一人だけ。
その上司に送り出されたのだ。……ならば、あの方の元へ行くときは、誇れる自分であらねばならない。

「お前たちに耳に入れておくべき情報がある。
 特大級の機密だ……3人でなら……、
 上手く料理できるだろう。――わかるな?」

これだよ、と。
ツィオが持つノートパソコンとUSBが入ったカバンを撫でた。。
上司が長年努力して作り上げた情報収集装置。
ラウラが残した軌跡を見たならば、貴方達はなんと言ってくれるだろう。

閉じた目の裏に描くのは、あの日見た広い街並み。
あの全てを手にするために。

地獄のよしみだ、肩を組んで歩いていくとしよう。
(40) 2022/08/27(Sat) 20:36:45

【人】 風は吹く マウロ

>>38 >>39 >>40 Tesoro mio
【ノッテアジト廊下】

「……いいじゃねえか、ツィオ。俺たちでこの街獲れたら最高だ」

混じった血では、届かなかった場所へ。
凝り固まった組織を新しく変化させて、夢見たあの景色を。
あの時、夢の中で見た烏に話したように。
3人で肩を並べて。そうあれたのなら、これほど幸せな事はない。

「どこまでも―――最高だな」

そのための準備はもう始まっている。
この2人が一緒にいるなら、無敵だ。壁なんて、壊して進んでやろうじゃないか。

あの時のような景色を、あの時とは違った目線でもう一度眺めて。

悪戯を思いついた子供のように、笑ってみせるのだ。
(41) 2022/08/28(Sun) 0:26:21

【置】 陽炎 アベラルド

昔なら涙の一つでも流しただろうか。

妹が殺されたと知らされた時だって、死体すら見ちゃいないのにやるせなさと哀しみで馬鹿みたいに泣いた覚えがある。
だというのに。

幼なじみが目の前で息絶えたというのに、
頭はどこか冷たく冴えていて穏やかだった。
哀しみよりも、虚無感よりも、何よりも凪のような気持ちがあった。
『仕事』の後のような昂ぶりも無い。

恋愛ではなかった。性愛でもない。
いちばん近いのは友愛だとか親愛なのだろうか。
そのどちらも、またどこか違うような気がした。
ただこれは「愛」であることは変わりなく、貴方が死んだとしても潰える様子も無かった。

貴方が死んでくれて嬉しい。
貴方が自分のせいで死んでくれて嬉しい。

貴方の死に顔を眺めている間、
自分はきっと穏やかに笑えていた。

奪われなくてよかった。
(L12) 2022/08/28(Sun) 20:36:06
公開: 2022/08/28(Sun) 21:30:00

【見】 郵便切手 フラン

【街中】

「集荷に来ました。
 ……人が少なくなって来ましたね」

路地の裏で誰かが消えても、何一つ変わらなかった祭りの喧騒。
終わる日が近づいて、やっとお祭り騒ぎは収束していく。
纏められた荷物を確認して、サインを受け取る。
慣れない世間話を交わしながら人混みの奥へ目を凝らし、以前に見た屋台を探した。
どうやら変わらず営業を続けていたらしい。
いつの間にか、あのゴロツキたちは消えていた。

知らないところで、知らないうちに景色が変わる。
時には変わったことにも気づかない。
鉄錆や硝煙の臭いも車の排煙も人々の喧騒も、時間がろ過して元通り。
誰かが死んだ時に吐いた空気を、生きてる誰かが吸い込んで。
生きている誰かが吐いた空気を、死にゆく誰かが吸い込んで。
そうして全てが巡っていく。
それが日常なんだろう。

「良い一日を。」

胸ポケットに過去を仕舞って。
得意先が減って、また増えて。
配達員の日々は、これからもきっといつも通りだ。
(@1) 2022/08/28(Sun) 21:55:45

【置】 家族愛 サルヴァトーレ


「うん? ああ​────いや、そういうわけでもないんだけど」
「どうしてかな、捨てる気になれなくてね……持ってるんだ。邪魔になるものでもないし」

男はそれをいつも持ち歩いているらしかった。
金具がひしゃげ、チェーンもちぎれたそれは、もう元の装飾品として扱えそうにない。古いものなのか、ところどころ錆びたような色がこびりついてもいた。大切なものなのかと問われれば首を振り、実際大切にしているわけでもないらしく、誰かが興味を持てば簡単に貸して寄こした。
けれどもやっぱり、最後には手を出して返すように促した。それからまた、スラックスのポケットに仕舞ったのだった。

(L13) 2022/08/28(Sun) 22:20:13
公開: 2022/08/28(Sun) 22:20:00

【置】 金毛の仔猫 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

うたがきこえる。

おまえなんか生まなければよかった

――Ninna nanna,mio figliuolo!ねんね、ねんね、私の坊や


幸せそうにはにかむ美しいかんばせ。

私を見ないで、その目がいちばん嫌い

――Ninna nanna,occhi ridenti…ねんね、ねんね、かわいい瞳…


石畳の上を踊るステップ。

私を呼ばないで、その声も嫌い

――Canta,canta,rusignolo…歌え、歌え、ナイチンゲール


繋いだ手が揺れる。

おまえも同じ苦しみを知るべきよ

――…che il mio bimbo s'addormenti!私の坊やが眠れるように!
(L14) 2022/08/28(Sun) 23:08:22
公開: 2022/08/28(Sun) 23:10:00

【置】 金毛の仔猫 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

あなたはいい育て親ではなかったのかもしれない。
  ――それでも、その細腕は確かに、ゴミ捨て場の命少年をすくい上げた。
あなたは母親ではなかったのだろう。
  ――それでも、その不器用な愛が、人間少年を育てた。

天使アンジェロ自らを生み落とした女母親を見殺しにした。
だれも、それがわるいことだと教えなかったから。
けれど翠眼の少年ヴェルデは、  ビアンカの手を握ったままでいたかった。
自ら考え、選び、そういう未来がほしかった。



おやすみ、■さんビアンカ
死んでしまってごめんなさい。


少年はあなたのことを愛していたし。
――――死にたくなんて、なかった。

ただそれだけの、ことだった。
(L15) 2022/08/28(Sun) 23:09:11
公開: 2022/08/28(Sun) 23:15:00

【置】 翠眼の少年 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

確証はないけれど、託したものは何となく、届く気がしている。
裸の紙幣をそのまま渡したのは、残るものは少ない方がいいと思ったからだ。
ただでさえ、部屋に荷物を置いたまま。
そう多くないと言えど、処分するにはやはり、手間もかかるだろう。
思い出してしまうかもしれない。悔いてしまうかもしれない。旅行の約束は守れなかった。


それでもヴェルデは幸せだった。
意識を手放すそのときに思い出した、この歌が。
よく眠れるようにと祈ってくれたから。



願わくば、あなたもよく眠れますように。
(L16) 2022/08/28(Sun) 23:09:52
公開: 2022/08/28(Sun) 23:20:00

【人】 銀の弾丸 リカルド

【港の防波堤】

――慌ただしかった1日からいくらか経ったある日。
日参して治療を受けている地下病院から出て、一人、防波堤から海を眺めていた。
今日も忙しく仕事をして、治療後はテンゴに報告ごとを耳に入れたりしていたけれど、この時ばかりは紫煙を昇らせ、静かに波の音に耳を澄ませていた。

居なくなってしまった人たちの、いろんな声が聞こえる気がした。
ラウラの控えめな声や、上司が俺を呼ぶ声。

それから、この海に攫われてしまった少女のこと。
行き場を失っていたその少女を引き取って、育てる、つもりだった。
約束通り独り自由にしないと、約束して。

まるで、あの男に言ってやりたかったセリフみたいだな、なんて思ったりしながらも、差し出した手が届いたのが嬉しかったのに。

亡くなった者の後を追いたい気持ちがわからないわけではない。
自分とて、地獄の果まで上司のお供ができるなら、今すぐにでもあの人のもとに行きたい。
だけど、出来ない。
命など、大事な物のために捨てる事はいつだって出来るし、惜しいわけではない。

自分の大事なものは、たった一人だけではなかった、から。

幼い頃から苦楽を共にした幼馴染を置いては何処にもいけない。
マウロが死んだと思わされた時の、ツィオの顔。
手を伸ばしても決して触れられないと思った、あの時。

気づくのが遅くても、あんな顔をさせるなら駄目だと思った。
俺は、上司を、幼馴染を傷つける者を許さないが、
俺が傷つくことで、あいつらにあんな顔をさせてしまうなら、
俺は
それ
を絶対に許してはならない。
(42) 2022/08/28(Sun) 23:10:53

【人】 銀の弾丸 リカルド



「だから、俺はお前たちとは違うんだ」

「―――――絶対に」
(43) 2022/08/28(Sun) 23:11:31

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ

【アルバアジト】

 ――

まだ静けさに包まれた暁闇あかつきやみの中

扉を開く音が響く


こつ……こつ…………こつ


ゆっくりとした足取りが、部屋をめぐる


……罰せられ、ませんでした
引き金を引いた、と思っていたのですが見当違いのようです
黒幕の情報もとうにノッテあちら……
今はもう我々うち、でしょうか……が掴んでいて

……ふふっ、ただの道化、ですね 私は


溜息がひとつ、薄闇に零れた
(L17) 2022/08/29(Mon) 4:13:36
公開: 2022/08/29(Mon) 4:45:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ


こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、壁に掛けられた額縁に触れる
これは確か家族を題材にした絵、だっただろうか


”家族”を愛し、家族に愛されたひと

私も彼が嫌いでは……いえ、いいえ 好き、でした
最初はそれに面食らって、曖昧な笑顔しか返せなかった私にすら
愛を向けて、与え続けてくれたひと



「……トト―」

虚空に声が 溶けた

――彼の椅子を 見る
(L18) 2022/08/29(Mon) 4:16:37
公開: 2022/08/29(Mon) 4:50:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ

こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、花瓶の花が目に入る
色とりどりの花は夜の帳の中でも華やかに


遺された華達を守ろうと誰よりも苦悩したひと

事態に真剣に立ち向かい
絶望の中でも冷静であり続けようと、苦しんでいました
これからは少しでも助けになれるでしょうか



「……ソニーさん」

虚空に声が 溶けた

――彼の椅子を 見る
(L19) 2022/08/29(Mon) 4:18:17
公開: 2022/08/29(Mon) 4:55:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ


こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、感じたのは甘い香り
それはほのかに残ったショコラータの甘くて苦い

互いのためと尽くしあった親子


隠すことのない愛情を拾い子に向けたひと
その愛を受け止めて、それ故に尽くそうとしたあの子
誰がなんと言おうと素敵な親子でした



「……アベラルドさん、ルチアさん」

虚空に声が 溶けた

――彼の椅子とその後ろを 見る
(L20) 2022/08/29(Mon) 4:21:27
公開: 2022/08/29(Mon) 5:00:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ


こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、聞こえたのは鳥のさえずり
まだ暗い空に自由な歌声が響く

不器用な、でも想いあっていたふたり


誰よりも案じているのに表向きは隠し続けたひと
きっとそれに気が付いて、それ故に去れなかった子
あなたたちに自由をあげられたら、よかったのに



「……ビアンカ、ヴェルデさん」

虚空に声が 溶けた

――未だ暗い空を 見る
(L21) 2022/08/29(Mon) 4:23:02
公開: 2022/08/29(Mon) 5:05:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ


こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、伝う雫の塩辛さが舌を痺れさせる
あの夜にすべて零したと思っていたのに、今も……まだ

誰にでも優しくて、誰よりも眩いひと


遺された手帳には色々なことが書いてありました
努力の跡、誰にも見せなかった悩み……私のことも
私はどれほどのものをあなたに返せたでしょうか



「……先輩。…………せんっ……ぱい」

虚空に声が 涙と溶けた

――彼の椅子を 見る
(L22) 2022/08/29(Mon) 4:24:53
公開: 2022/08/29(Mon) 5:10:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ

こつ……こつ……

扉の前で足音が止まる



窓の外 空が白み始めた

間もなく夜は、暗く長い夜は、明けるだろう

悪夢は終わって、新たな始まりが訪れる



けれど、夜に溶けた者たちが戻ることはない



「Arrivederci.
 皆さま、どうぞ良い夜をお過ごしください」

虚空に声が残る

――部屋を 見回す


そして、扉の閉まる音

もう誰もいない
(L23) 2022/08/29(Mon) 4:27:20
公開: 2022/08/29(Mon) 5:20:00
ソニーは、ヴェネリオを、
愛している。
(a5) 2022/08/29(Mon) 10:07:10

【置】 家族愛 サルヴァトーレ


これはいくらか昔の話。
そのマフィアにはある女がいた。
大口を開けて笑う豪快な女だった。縮れた赤毛に咥え煙草がトレードマークで、話す言葉には異国の訛りがあった。
彼女は組織の人間とよく付き合った。酒を酌み交わし、よく人と話した。その陽気な様子は、この国のマフィアに相応しかった。

────カタギに惚れられちゃってさ……。


初めはそんな言葉。
彼女には、休日に図書館に行くという日課があった。幼少期を異国で暮らしたために、この国の絵本なんかが珍しいのだという。そこでよく会う学生に声をかけられたのだと。

────ガキのくせにね……。


侮るような口調はしかしあたたかい。眉根を寄せながらも口元はにんまりと笑んでいて、つまりはまんざらでもない様子が伺えた。

程なくしてそのガキカタギは彼女の傍に現れるようになる。図書館の外でも彼女に話しかけるようになる。​────つまりは、そういうことだ。
社会の厳しさも汚さも微塵も知らないような少年はその無知ゆえに彼女に付きまとった。贈り物と共に甘い言葉を携え、行く先々で慕うように後に続いた。君を守りたいと言った額を女が小突く。少年はいつだって、薔薇色の頬をして女に笑顔を向けていた。


いつしか少年は青年へと成長する。
家族が増えるのだと女はその腹を撫でた。
(L24) 2022/08/29(Mon) 20:10:08
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00

【置】 家族愛 サルヴァトーレ

笑い声が聞こえる。

笑い声が聞こえる。


誰かの声が聞こえる。


銃声が聞こえる。


罵声が聞こえる。


慟哭が聞こえる。

幸福は脆く崩れ去る。


路地裏に倒れる。


何人かが死んだ。

うち一人は女だった。

男はそれを見ていた。

見ていただけだった。


脳漿が滴って落ちる。
(L25) 2022/08/29(Mon) 20:10:36
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00

【置】 家族愛 サルヴァトーレ


────目を覚ました男がどう振る舞うかはファミリーの中でも注目の話題だったという。

血の掟、その7。妻を尊重しなければならない。
血の掟、その9。ファミリーの仲間、およびその家族の金を横取りしてはならない。

マフィアとて妻の命は大事にする。仲間の家族の命も大事にする。とりわけその男が女を深く愛していたのは誰もが知っていた。最愛を奪われた家族が狂うのは、蛮行に走るのは、復讐に傾倒するのは、何も珍しいことじゃない。

家族を処分するのは当然気分が悪い。
誰もが狂ってくれるなと願っていた。

果たして。

男は、狂いはしなかった。

彼は蛮行に走ることも、復讐に傾倒することもなかった。
恨み言のひとつも吐かず、怒りを見せることもなかった。

ただ笑っていた。
ただ明るかった。

不自然な程に。

彼はいくらかの肉と頭蓋骨の欠片、
それから脳みそ数グラムと一緒に、
記憶の一部も路地裏に落っことしてきたらしかった。
男の記憶にあの女はいない。


ちぎれた鎖は戻らない。
落とした螺は戻らない。
(L26) 2022/08/29(Mon) 20:11:20
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00

【置】 家族愛 サルヴァトーレ

細いチェーンは銀色。
ペンダントトップはデフォルメされた白い花のモチーフ。
その中心には小ぶりのダイヤモンドがはめ込まれている。
それだけの、酷くシンプルなネックレス。
​────それは10年と少し前に流行ったものだ。


それを首に輝かせた女がいたことを、もう誰も覚えていない。

亡くした人は還らない。


幸福な終わりじゃないから、おとぎ話にはなれない。
語る口などどこにもないから、物語にすらならない。
(L27) 2022/08/29(Mon) 20:13:05
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00
ロッシは、黄金の色が好きだった。
(a6) 2022/08/29(Mon) 20:16:55

サルヴァトーレは、家族を愛している。
(a7) 2022/08/29(Mon) 20:18:33

【置】 家族愛 サルヴァトーレ


サルヴァトーレは、傷の入ったレコードだった。
サルヴァトーレは、四小節のオルゴールだった。

穴の空いた記憶を無理矢理埋めて。
解れた矛盾の糸を無理矢理繋いで。
足りない部分をただ愛で満たして。

不純物がない宝石は硬く透き通る。
男の中には家族への愛だけがある。

最期までただ愛だけが残っていた。

(L28) 2022/08/29(Mon) 20:18:47
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00
サルヴァトーレは、家族を愛している。
(a8) 2022/08/29(Mon) 20:18:57

コルヴォは、もう誰の元にも戻らない。きっと子守歌を聞く事も無い。
(a9) 2022/08/29(Mon) 20:34:09

コルヴォは、もう誰の死を葬る事もない。その必要がない。
(a10) 2022/08/29(Mon) 20:34:19

【置】 紅烏 コルヴォ


それでも、うっかりいつか、何処かで再び逢う事があったなら。

誰にも許しを請いはしないから、許さなくていいから。

その時は、ただ怒ってはくれないか。

家族・・の望み一つ拾い上げられなかった、このちっぽけな男の事を。
(L29) 2022/08/29(Mon) 20:34:43
公開: 2022/08/29(Mon) 20:50:00

【置】 銀の弾丸 リカルド

――ある、晴れた日。

男は、花束を3つ抱えて墓地に訪れた。

ひとつは、数日間しか共に居てあげられなかった少女の小さなお墓に。
ひとつは、心を知らなかった無垢な女の墓に。
ひとつは、心から敬い愛した上司の立派な墓に。

立場の違いがあるから大きさや場所までは揃えられなかったが、それでも同じ墓地の中にそれぞれ準備することが出来た。
勿論それは、俺一人の力ではなく、ツィオやマウロも共に尽力してくれたからに他ならない。

「一緒に来る事が出来たら良かったんだが、まぁ……、
 二人共後で来るだろう―――と、」

墓標にLaura・Liberatoreと記された墓の前に来ると、そこには違う花束がふたつ置かれている。

「――なんだ、二人共先に来ていたんだな」

ふ、と可笑しそうに笑って。
墓の前に腰を下ろし、同じように花束を捧げて、両手を胸の前で組んで目を閉じた。
それぞれ話したいことがあったんだろう。
それを他の二人に聞かれたいとも思わないのは、自分も同じだ。
男というものは得てしてそういうものだが、果たしてここに居るはずの女は理解しているだろうか。
(L30) 2022/08/29(Mon) 20:37:42
公開: 2022/08/29(Mon) 20:55:00

【置】 銀の弾丸 リカルド

「聞いたとは思うが……アルバファミリーと合併を視野に入れた同盟を組むことになった。
 一人でも多くの人間を迎え入れたいと思って尽力しているんだが、……なかなかうまくいかない」

互いに多くの命を散らしてしまった。
組むくらいなら抜けるという人間もいれば、大事なものを追って死んでしまったものも居る。
その気持はわからないでもないが、俺はとても同じ道を歩もうとは思えない。

「なぁ、俺は。
 お前の答えが聞けなかったなぁ……、まぁ、おおよそわかった気はしてるんだが。
 今は聞けなくて良かったとも思ってるんだ」

「結局の所、俺もお前も、二人共が大事なのは変わらないからな」

自分にとっては、どちらが上も下もないから。
上司だけはまた違った位置にはいるけれど、それでも3人共何より大事な存在であったのは変わりない。
あの人のことだから、きっと、ラウラを一人にはしていまいと、
そんな事を思いながら目を開き、真っ直ぐに墓標をみつめた。
(L31) 2022/08/29(Mon) 20:38:35
公開: 2022/08/29(Mon) 20:55:00

【置】 銀の弾丸 リカルド

「ラウラ。
 お前に一つだけ報告がある」

「俺は今日から、名前を変えたんだ」

「だから……今日から俺の名は、
 リカルド・
フィルマーニ
だと、覚えておいてくれ」


――――姿の見えないあなたの声が聞こえた気がする。


大事なものを二度と喪わないよう、
その名をしっかりと、自分に刻んで誓う。

いつの日か絶対に、3人であの景色全てを手にする為に。
(L32) 2022/08/29(Mon) 20:39:51
公開: 2022/08/29(Mon) 20:55:00

【置】 天使の子供 ソニー

本名:ソニー・アモリーノ(Sonny Amorino)
死因:頭蓋部の損傷
発見場所:自宅バスルーム
遺体の様子:
頭部に二発、肩に一発銃撃の痕あり。頭部と肩からはそれぞれ別の口径の弾が摘出された。
一発目は喉から視床下部の下を通り後頭部へ抜け、貫通して後ろの壁に突き刺さっていた。
再度引き金を引いて、二発目は頭頂葉へ食い込み頭の中に弾丸が残っていた。
発見場所までの道は完全に施錠され、また荒らされた形跡もなかったことから、
拳銃は本人の所持物であり、自殺であると認定した。

器官のいくらかは壁にへばりつき、眼球からはすっかりと水分が抜けていた。
死亡から発見までは数日が経過しており、発見時には既に腐敗が進んでいた。

(L33) 2022/08/29(Mon) 20:44:09
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00