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【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 ねえ、テレベルム 飲み物なにが、―――― …… 」 オムレットの乗った皿を持ち、部屋に戻りながら 魔術師は呑気に飲み物の好みを尋ねようとして。 >>151 ノートを開き、何事かを思案する彼の姿を見捉え 続くはずだった言葉を宙へ溶かした。 「 ………… それ仕舞うの、忘れてたな。 」 全容を理解出来ている、とは思わないけれど 全てを読み解けないようには、書いていない。 (157) 2021/12/12(Sun) 21:20:13 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ下手に触れれば余計な墓穴を掘りかねない気がして、 女は静かに息を零した。 机の上へ皿を置き、椅子にゆっくりと腰掛ける。 「 ――― … 安心してよ。 それ、人魚のなにかが必要な魔術でも無いし…。 ………… …… 、 」 そこまでを揶揄うように紡いで、結局言葉が消える。 彼が考えていることは 今更そんな心配事などではないことくらい、 流石に理解っているつもりだった。 耳がぺたりと垂れて、女の視線も迷子のように彷徨い ―― それから視線を上げ、彼の顔を見詰める。* (158) 2021/12/12(Sun) 21:21:33 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ紅茶やココアを淹れるのは、もう少し先になりそうだ。 ―――― ノートを手に思案顔を浮かべていた彼が、 殆ど反射のように謝罪を紡いだのを聞けば>>161 女はふるふると頭を横へ動かした。 元はと言えば、机などに放置していた自分が悪い。 彼が信頼していると言ってくれるのなら 安堵したように肩から僅か力を抜いた。>>162 それから続けられた言葉には、眉を下げ。 「 ………… それは、だめ。 私がほしいって言うことがあっても……。 」 ぽつりとそう返そう。 (195) 2021/12/12(Sun) 22:52:27 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ人魚の血肉や涙は、人を一夜で王に変えかねない。 そんなものに興味が無い相手だろうと 易々と渡すなんて 死期を早めるようなものだ。 人も人外も欲深いと、身を持って今日識っただろうに。 「 ………… なぁに 」 名前を呼ばれれば、びく、と身体を揺らし 女のことを見つめ返す海色へ、視線を交わらせる。 椅子ごと女に近寄った彼が腕を伸ばせば 叱られる直前の子どものようにぎゅうと目を閉じて。 (196) 2021/12/12(Sun) 22:52:36 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ馬鹿なことをするなと言われるのだろうか。 それとも魔術師である女を恐れて消えるだろうか。 ―――― 最悪の想定を覚悟した女に訪ったのは、 ふわりと頭を抱き込まれる感触だった。 「 ―――― … 、? 」 月の色を閉じ込めたような瞳を見開いて、 何も言えないまま、彼の問いが耳に入る。>>164 耳へ触れないようにする気遣いひとつが痛くて、 …… 女はローブに隠れた掌を握り締めた。 (197) 2021/12/12(Sun) 22:52:42 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 ……………… 人間、なら …… 」 ようやく紡いだ声は、寒くもないのに震えていた。 誰にも踏み入らせなかった境界線。 言ってしまえば、言わなかった頃には帰れないのに 女はそれでも、言葉を発してしまったのだ。 「 こんな耳だからって、独りになることも 魔力が多い兎は面倒だって言われることも、 …… なんにもないと思ったの … 」 彼だってきっと、見たことくらいはあるだろう。 兎族は殆どが真っ直ぐな耳で、 女のように垂れた耳の持ち主はいないことも。 (198) 2021/12/12(Sun) 22:52:47 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ彼への問いに返したものはどれもが夢見事で、 ―――― 必ず約束されるとは限らないことばかり。 この魔力と魔術で、 かつて自分を突き飛ばした子らを殺すことなんて 赤子の手をひねるよりも簡単だった。 夢を夢見るより、 全てを壊してしまえる力があった。 …… 街で見かけた幸せそうな子達のように 笑って生きていきたかった。 (199) 2021/12/12(Sun) 22:53:08 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 ………… この魔術、大嘘なの 私でもきっと使えない。 人間を作るところまでは可能でも きっと、魂を移すところで失敗して …… そのまま死んじゃうから 」 そう。――だから、私の願いは 最初から叶うはずなんて、無かったのだ。 それで良かった。死んでしまっても。 彼が妹を探すためにこの家を出て行ってしまって以来 …… 私はもう、ひとりぼっちを耐えられなかったから。* (200) 2021/12/12(Sun) 22:53:14 |
魔術師 ラヴァンドラは、メモを貼った。 (a39) 2021/12/12(Sun) 23:56:02 |
魔術師 ラヴァンドラは、メモを貼った。 (a41) 2021/12/13(Mon) 0:00:14 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラきっと女は彼の痛切な覚悟の話を聞いたとしても>>215 それでも、首を縦に振ることなんて永劫に無いのだ。 唯一の肉親を探すため、陸へ上がった人魚の彼に 欲の犠牲になれなんて ―― とてもではないけれど。 例えば拾った人魚が、もっと女に優しくなくて 魔力全てを使ってでも妹を探せ … だとか そんな者であれば、女だって躊躇いはしない。 けれど実際彼はどこまでも女に甘いのだ。 ―――― だからこそ、 …… (258) 2021/12/13(Mon) 11:05:02 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ彼は名前を一度呼ぶだけで、女の言葉を聞いていた。>>217 拙いばかりだっただろう独白めいた願いを、 遮ることも ――――窘めることもせず。 この願いが本当の意味で叶わないことを識っていて、 だから女はあの日、友人の正解を誤魔化した。 「 ………… ばかだって、言ってもいいのに。 」 手向けられる優しさに、女は苦く笑おうとして 結局目を伏せた。>>218 人の欲などないだろう綺麗な世界の生き物に、 女の馬鹿げた空想を知られた苦さが胸中を占めて。 …… 友達がいて、人に求められる力もある。 ―――― けれそれは、きっと唯一では、ない。 (259) 2021/12/13(Mon) 11:05:41 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 ―――――― 、 ………… …… ぇ、 」 無意識に零れ落ちた言葉は、宙に溶けた。>>221 女の耳へ届いた彼の優しさどれもが嬉しくて、 だからこそ手を離してあげようと思っていたのに。 >>224 彼の腕が少しばかり緩めば、 俯いたままだった女も漸く頭を上げた。 綯い交ぜになった感情ゆえに、涙で潤んだ双眸が 彼の曇り一点もないような海色を見つめて。 (260) 2021/12/13(Mon) 11:05:47 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 …… でも、……。 妹のこと探しに、ここまで来たんでしょ … ? 」 その使命と、女の願い。 ―――― 彼にとって釣り合いが取れると思えずに 女は耳をぱたりと揺らした。 探し探されるような肉親もいない自分には、 縁の遠い話だ、と思っていたけれど。 彼はその為に危険を犯し、身を削っていたのではないか。 ―― ここを出て行った理由など識らぬ女は>>165 迷子の子どもめいた仕草と躊躇いで、 男の服を きゅぅ、と握った。 (261) 2021/12/13(Mon) 11:06:00 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラふるりと睫毛が震え、少しだけ目を伏せる。 対価さえあれば願いが叶う場所で ―――― … 欲することが罪ではないのなら、 「 もう、どこにもいかないなら …… テレベルムに、あげる。 だから … ひとりにしないで……。 」 彼の行動や心を縛るつもりなんて欠片もない。 ただ、最後に帰ってくる場所がここであるならば 其れで良いと、女は思ってしまったから。* (262) 2021/12/13(Mon) 11:06:18 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ―――― 夕刻/自宅 ―――― 魔術師の家を知る者は、少数の友人と人魚しかいない。 故にそれ以外の訪問者といえば大抵が、 何らかの企みを抱えた招かれざる客人だ。 「 ………… 誰? 」 窓の外は、空色が陽色に傾き始める頃合い。 ノックの音と、友人のものではない声に>>238 魔術師は雰囲気を尖らせ、扉を開いた。 (270) 2021/12/13(Mon) 11:41:33 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ夕刻ともなれば、人魚の彼は家にいたか。 何処かへ出掛けるというのなら、女は過保護を表に出し ローブに防御魔術を掛けて与えただろうけれど。 そうでないのなら、奥へ下がるように言い含めて。 扉を開ければそこには、 予想とは真逆の、可愛らしい少女が立っていた。 「 ―――― ぁ、れ 貴方確か、パイ屋で会った……? 」 女は思わずといった様子で小首を傾ぎ、 それから少し悩む素振りの後、彼女を招き入れる。 人魚の在り処が漏れたとは考え辛い。 ならば恐らく、目的は女の方だろうから。 (271) 2021/12/13(Mon) 11:41:53 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ少女には背を向けないまま椅子を勧めてみるけれど、 彼女は素直に従ったかどうか ―――― どちらにせよ女は、一見すれば柔らかな笑みを浮かべ。 「 …… それで、どうしたの? 誰かに言われてここに来たのかな。 」 まさか迷子というわけでもないだろう。 入り組んでいる場所ではないし、 賑やかな喧騒を辿れば 祭りの間はすぐ表へ出られる。 目的と ―― 依頼主の正体を探るように 女は問いを投げた。* (272) 2021/12/13(Mon) 11:42:03 |
魔術師 ラヴァンドラは、メモを貼った。 (a45) 2021/12/13(Mon) 11:44:10 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ―― 彼の言葉を信じていない訳ではないけれど>>292 触れたことのない温もりへ戸惑っていたのは、本当だ。 聞き飽きるまで言って欲しいと女が乞えば 恐らく彼は、その通りにしてくれるのだろうが ―― ふるりと女は首を横に振り、小さく唇を開き。 「 … テレベルムに、好きって言われると 心臓がどきどきする、から…… 」 散々彼に理路整然と陸の世界を説いてきた口は、 子どものような言葉しか紡げなかった。 本当に言葉通りにされては心臓が壊れてしまいそうで、 (310) 2021/12/13(Mon) 21:02:45 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 〜〜〜 … ッ、!? 」 泣いてない、と強がろうとした女は 息も言葉も詰まらせ、耳を大きくぱたん!と揺らした。 涙を拭った温もりの正体が指先などではなく、 彼の唇であることに気付いたからだ。 はくり、と幾度か口を開いては閉じ。 結局頬を真っ赤に染めた兎は言葉を飲み込んで それから男のローブを掴んだのだ。 (311) 2021/12/13(Mon) 21:02:52 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ―――― 人魚には掟があると彼は言う。>>294 生態を知られてはならない。 それが掟というのなら、恐らく彼は女へ正体を告げた時点で 禁忌の棘を踏んでしまっているのではないか。 「 ………… …… 」 人間になった妹を殺し。 同族殺しの咎を背負って男も死ぬのが使命だと、 … …… 女は唇を噛んで俯いた。 (312) 2021/12/13(Mon) 21:02:58 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ獣人には獣人の決まりがあるように、 人魚にも人魚の掟があるのは当然とも言える。 だからといって、それが個人の幸福や未来そのものを 奪って良い理由にはならないだろう。 彼が女の話をただ静かに聞いてくれたのと同じように 女も黙して、彼が紡ぐ言葉を聴いていた。>>296 家族と呼べるような存在を疾うに失った自分には …… 同じ使命を持たぬ一介の兎では、 全て打ち明けた彼を抱き締めることしか出来ない。 (313) 2021/12/13(Mon) 21:03:02 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ合わさった頬の感触に、どうしてか泣きたいような。 ぽん、と背を撫でられれば 女は本物の兎さながらに、すり、と彼へ頬ずりをして。 「 旅……? 」 そうして投げられた提案へ、首を傾ぐ。 この街から出たことのない女には 想像もあまり出来ないような言葉だったからだ。 (314) 2021/12/13(Mon) 21:03:07 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 …… 私、ここから出たことも無いし こんな体質だから …… 迷惑、かけちゃうかもしれない、けど。 ―――― それでも、いい? 」 頭には、友人の顔が浮かんでいたけれど。 そう遠い旅にはならないと彼が言うのなら、 …… それが彼の願いに繋がるのであれば。 頷かない程、女はひどい兎ではない。 魔力量の多い兎族なんて、旅には一番向かない上に ―――― 見知った場所を少しでも離れることも 彼の邪魔になるかもしれないことだって、 怖いことは幾らでも浮かぶ …… けれど。 (315) 2021/12/13(Mon) 21:03:13 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ彼が頷いてくれるのならば、 女はそっと彼を見上げ、―――― それから。 「 私のこと見捨てないって、 …… 約束のキス、して。 」 へにゃりと眉を下げ、そう強請った。* (316) 2021/12/13(Mon) 21:05:23 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラすき、は心臓にわるいとは言ったけれど。>>320 だからと言ってその囁きは、 実質的な意味とはそんなに変わらないのではないか。 ―――― なんて言う余裕など何処にも無く。 用意した朝食は、後で温めてしまおう。 …… 女の魔術なら一振りでそれが出来るのだし。 今何よりも気にして優先するべきは 目の前の彼だけだと、思うから。 不意に耳へ唇を寄せ、ちいさく囁く。 (341) 2021/12/13(Mon) 22:44:50 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラそうして彼が、女の厄介さも全て 構わないと受け入れてくれるのならば。>>321 女もこの魔力と魔術を 彼の夢の為に使ってみせよう。 「 …… ふふ。 ありがと、―― 私も頑張る。 迷惑は …… 掛けちゃうけど 妹に会えるように。 幸せになれるように、支える、から。 」 旅は、片方が支えて貰うばかりのものではないだろう。 果たして魔術が幾ら有用かは分からないけれど、 出来ることなら何でもしてあげたいのは、此方も同じ。 (342) 2021/12/13(Mon) 22:45:01 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 ………… ぅ。 そういうわけじゃ、なぃ けど……。」 浮かべるのは、些かばつの悪そうな顔。 伸ばされた指先が、恭しく輪郭を撫ぜるのを 静かに受け入れて。 (343) 2021/12/13(Mon) 22:45:05 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ―――― 夕刻/自宅 ―――― お茶を淹れようと言う彼を案じはしたものの、 この少女が危害を加える予感もしないから 女はやや躊躇った後、「お願い」と答えた。>>302 そうして座った少女からは敵意も無く。 依頼をしにきた、という言葉を聴けば>>331 黙して続く内容を聴いていた。 「 ―――― 呪い? 」 そうして、柔和に保っていた筈の微笑みを 苦いものを食べたように、くしゃりと歪める。 (347) 2021/12/13(Mon) 23:04:36 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 ………… 知ってるか知らないかで言えば、 答えはイエス。 使ったことなんかはないけど、…… 」 魔術師が扱うのは、魔術のみというわけではない。 何かを切欠にしてしまえば その力を悪用する為に奮う者も存在する。 けれど女の知識は、所詮知識止まりでしかなく 理論の構築や応用の説明などは出来ても 実行することは難しい。 ―――― なによりも、呪いというのは …… (348) 2021/12/13(Mon) 23:04:43 |
【人】 魔術師 ラヴァンドラ「 …… 呪って欲しい人でもいるの? それともその逆で、 呪いを解いて欲しいとか? 基本的に、魔術の呪いなんていうのは ―――― 手を出すと碌なことがないよ 」 魔術の反動で死ぬ魔術師がいるように。 呪いなんてものを使ってしまえば 術者がどうなるかなど …… 。 女はそこで言葉を区切り、少女を見詰めた。 その頃には人魚の彼が 温かい飲み物でも、出してくれていただろうけれど。 (349) 2021/12/13(Mon) 23:04:54 |
魔術師 ラヴァンドラは、メモを貼った。 (a58) 2021/12/13(Mon) 23:08:21 |
(a62) 2021/12/13(Mon) 23:41:06 |
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