【人】 XI『正義』 マドカ―― 売店 ―― [君のありがたい一言を聞いて僕は、 すぅ、と目を細めた。] ありがたく、ないね、 [そう呟けば、君は末吉末吉、なんて、 へらへら笑う。>>48 僕の表情はますます胡乱気に。 何だ結局、君が言いたいことを言うだけじゃないか。 まぁ、末吉という結果を見てから 内容を言った自分も自分だ。 そもそも占いというのは、 そういうものなのかもしれない。 そう思ったら、なんだか少し、笑えて来た。] 僕の望むもの……か。 なんだと思う? [問い返してはみるものの、 僕自身、何を望んでいるのか分からなかった。] (176) 2022/12/18(Sun) 23:06:46 |
【人】 XI『正義』 マドカ[僕の問いへ、君が答える。>>50 うっすらと、予想していた答えだった。] ……そう。 [君はきっと、 『この世界と心中したい』わけじゃないんだろう。 きっと君は、 『箱庭になんか行きたくない』んだろう。 そう思いはするものの、確信は持てない。 確認しようとも、思えなかった。 つらつらと、そんなことを考える内、 君が投げてきた問いに、ひとつ、瞬いた。>>51] (177) 2022/12/18(Sun) 23:07:00 |
【人】 XI『正義』 マドカ[僕は、へらりとした笑みを見せた。] 例えばさ。 誰かがひとつ傷を負うなら、 他の皆も同じだけの傷を負うべきだ。 誰かがひとつ幸せになるならば、 同じだけの不幸を負うべきだ。 どうあっても平等でないなら、 そもそも同じ土俵にないんだ。 『人間』は、『証持ち』と同等にはなり得ない。 だって、『人間』は『証持ち』を自ら弾き出した! (179) 2022/12/18(Sun) 23:07:52 |
【人】 XI『正義』 マドカ[無意識に、袖をまくり上げるようにして 指先が自身の手首から肘へと素肌をなぞり、 腕を引っかく。 爪の先が、皮膚の表面を削り取る。 露になった腕の皮膚には、 かさぶたになった無数の傷跡、 痕、 ]あと (180) 2022/12/18(Sun) 23:08:50 |
【人】 XI『正義』 マドカ 『証持ち』を迫害しなかった『人間』が死んで、 迫害した『人間』はのうのうと生きていて? あの子を虐めた奴らはその後、 何の咎も受けていない。 『証持ち』になら石を投げても良い? ならば彼らも『証持ち』から石を投げられるべきだ。 それが『平等』ってもんだろう、 違うそれなら目指すべきは誰もが平等に傷つかない世界だ 誰も傷つかなければ、皆が平等に幸福に そんなものが存在するはずがないだろう そもそも神でもないのに人を裁けるはずがない 平等?平等なんて、そんなもの、 人が生きている限り、決して成し得るはずg…… (181) 2022/12/18(Sun) 23:09:24 |
【人】 XI『正義』 マドカ[ぱちり。 ひとつ、瞬く。 指先が、す、と袖を戻す。 傷が布の下に隠れてしまう。 ……見えなければ、無いものと同じ。 いつの間にか落としていた視線が上がり、 君の眼差しと出会う。 僕は、ゆると首をかしげる。] えぇと、何だっけ。 平等についてだっけ。 文字通りだよ。 [ごくごく自然な面持ちで、淡々と述べる。 貼り付けた笑みは、いつもの通り。] 平等って言うのは、偏りがないことだ。 どちらか一方に傾かないこと。 そんなに難しいことかなぁ? [これはもしかしたら、 僕が君に向けた初めての笑顔だったのかもしれない。*] (182) 2022/12/18(Sun) 23:09:46 |
XI『正義』 マドカは、メモを貼った。 (a40) 2022/12/18(Sun) 23:12:25 |
【人】 XI『正義』 マドカ―― 深夜、ブランコのある裏庭で ―― [きっと、僕の出す結論は、 初めから概ね決まっていた。 外へと出向いたのは、ただ…… 洋館の中の空気が、 少しばかり重たく感じたからだ。 ……まさか、先客がいるとは思わなかったけど。 僕が君の姿を見て驚いていると、 君は子供にするみたいに、 内緒話の仕草をして見せた。>>2:322 僕はひとつ頷いて、それから君の隣へと 静かに歩み寄る。] ……終わると思う?世界。 [君が、明日世界が終わるなら…… なんて言うから、 僕はぽつり、そんな問いを投げた。**] (229) 2022/12/18(Sun) 23:54:59 |
XI『正義』 マドカは、メモを貼った。 (a50) 2022/12/18(Sun) 23:59:25 |
XI『正義』 マドカは、メモを貼った。 (a51) 2022/12/19(Mon) 0:01:04 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 回想:7年前 ── [行き合った青年に示された通り、 扉の向こうには洗面台があり、 そこで口を濯いで、顔を洗って。 見上げたところに鏡があった。 見慣れた顔であるはずなのに、 真っ白な顔には見覚えがない。 妙な錯覚を覚えて、つい、鏡面を指先でなぞる。] “ お前は誰だ? ” [問うたのは、僕か、鏡像か。 頭の中が、グラグラする。 と、入ってきた扉が音を立てて開いた。] (375) 2022/12/19(Mon) 19:56:31 |
【人】 XI『正義』 マドカ………え……っと…? [洋館に来たばかりの僕には、 その相手が誰なのかまだよくわからなかった。 勢いに負けて、手に押し付けられたそれを、 反射的に握りしめる。>>245 それが、初対面。 彼は何かの折に、 僕を構ってくれるようになった。 折り紙は、僕の方が上手だった。 君が島風の衣装を着て見せた時は、 少し首を傾げてしまったけれど、 君が来た衣装は割合大きな島の文化だったから、 僕にもそうと知れた。 だから、まぁ、少なからず好意はあったのだ。 ────“それ”を知るまでは。] (377) 2022/12/19(Mon) 19:58:00 |
【人】 XI『正義』 マドカ[君の生い立ちを知った時、 僕は洋館に来て初めて狂気を見せた。>>247 僕はどうしても、『僕』に刻まれた宿命から 逃れることができない。 やっぱり僕の預かり知らないことだけど、 『正義』の証を持って生まれる子どもは、 みんな“そう”だった。 そうやって『正義』の魂は、 円環から抜け出すこともできずにずっと、 生まれ変わるたびに、もがいている。 『べき』『べき』『べき』…… 人間らしい心を何一つ赦さずに。] (378) 2022/12/19(Mon) 19:58:22 |
【人】 XI『正義』 マドカ[その日から僕は、 君と少しずつ距離を置き始めた。 いつでも笑い続けている君の心の内など知らない。 感情を否定してきた僕に、 分かるはずもなかった。 君が『不幸』を否定する度、 僕の中の『正義』が揺らぐ。 だってそれを認めたら、僕は…… *]『証持ち』を迫害することを許す世界を、 僕から故郷を奪った世界を、 ……『正義』として生まれた僕を。 何もかも否定し、呪わなければならなくなる。 (379) 2022/12/19(Mon) 19:58:45 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 売店:フォルス── [君にそんなつもりはなかったかも知れない。 けれど僕には、 『逃げんじゃねぇよ、クソ餓鬼』 という副音声付きで聞こえた。>>267 突然に眉間を殴られたような気分で、 反射的に身構える。 心臓が、冷たくて、痛い。 そこに刺し傷なんて、ありはしないのに。 椅子を蹴って立っても良かった。 むしろそうすべきだった。 けれど僕の中の『 』が、僕の尻を 椅子に縫いつけたままにする。 喉がカラカラで、手にしたカップには、 液体はほとんど残っていなかった。] (380) 2022/12/19(Mon) 19:59:14 |
【人】 XI『正義』 マドカそれがわかったら苦労していない。 [言葉を遮るようにしてこぼれ落ちたのは、 思いの外低くて大きな声だった。 僕にとっては幸いなことに、 結果として君は、最後の一言を言い損なった。 その一言を聞いていたら僕はうっかりすると、 世界の滅亡を見る前に 舌を噛み切ってしまったかも知れない。 ……もしかしたらその方が幸せかも知れないが。 ぴん、と空気が張り詰める。] (381) 2022/12/19(Mon) 19:59:30 |
【人】 XI『正義』 マドカ[世界が広くなればなるほど、 人の数が増えれば増えるほど。 秩序を保つのは難しくなる。 たった22人が存在していただけの箱庭で、 神の生み出した愛子たちですら、 保つことができなかったそれを。 一体どうしたら、 この広い世界でたった一人の人の子が 保つことできると言うのか。 それは土台無理なことなのだと、 まだ幼い少年の頃、誰かに諭されていれば。 あるいはもしかしたら、 『正義』の呪縛から 逃れることもできたのかも知れない。 ……今となっては、もう無理だ。 この信念に従ってきた時間が、長すぎる。] (382) 2022/12/19(Mon) 19:59:49 |
【人】 XI『正義』 マドカたとえば…… その偏りは。 僕が、僕なりの基準で判断して、 僕にとっての平等を目指している。 そうだよ、全部僕のための平等だ。 僕が“ 生きる ”のに必要な平等だ! [言い切ると同時、 自分の表情が歪むのが分かる。 涙は出なかった。 自分の吐いた言葉が、既に痛くて仕方のない 自身の心臓に突き刺さる。 『正義』の証は、命に優しくない。 僕が平等と認められない世界では、 息をすることすらままならない。 不平等が視界に映る度、 身体中をムカデが這うような不快感が襲うのだ。 背中の火傷痕だけじゃない。 僕の身体には至る所、自身の爪で付けた 何かを引き剥がそうとしたかのような痕がある。] (383) 2022/12/19(Mon) 20:00:32 |
【人】 XI『正義』 マドカ[君は侮蔑の表情でも浮かべるんだろうか。 いつかみたいに、 冷たい言葉で突き刺すんだろうか。 僕だって、こんな吐露をするつもりはなかった。 暴いたのは君だ、なんて、 太々しく責任転嫁してやる。 僕は君の視線を正面から受け止めようと、 睨みつけた。 『正義』の証は、事あるごとに、 その所有者すらも裁きの対象とする。 僕自身が、その理不尽な『平等』観に 幾度殺されそうになっていることか…… 『平等』の行き着くところは究極、 『皆殺し』 だから……だから多分、僕は、 この世界の中で、 僕だけ は、経典の『正義』が何を恐れたのか、 わかってしまうし、 分かってあげなくてはいけない……と思う。 君は知らない。 知らなくて良い。 『僕』は『君』にだけは、赦されてはいけない。 **] (384) 2022/12/19(Mon) 20:01:13 |
XI『正義』 マドカは、メモを貼った。 (a83) 2022/12/19(Mon) 20:04:18 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 選択の日の朝 ── [答えなんて、初めから決まっていた。 それはクロに尋ねられなくても、 フォルスに暴かれなくても、 アリアと話をしなくても。 『正義』の証を持つ僕の答えは、 決まっていた。* ] (440) 2022/12/19(Mon) 23:25:28 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新