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【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[……旅行の準備?ホウスケと違ってそれまでに終わらせなければいけない仕事なんてないし引継ぎとかややこしいものないし、 行く場所を決めて所要時間を調べて決めて荷物をひっ詰めるだけなので何も大変なんかではなかったけれど。 ホウスケが忙しそうで任せてもらえた事なんかがあれば、 仕方ないなぁと言いながらも嬉しそうに引き受けた。 飛行機は初めてらしいホウスケに 手荷物検査とか座席の仕様とかべらべら教えた。 でも空を飛ぼうという頃には……流石空の生き物、なんだろうか。 俺みたいに怯える事もなく、 寝ると目を閉じても多くは聞かず、 俺の目の利かないところで配慮をしていてくれた様だ。 心配をかけたなんては気付かないまま、 飛び立った空からの景色に感想を漏らせば、 ホウスケから驚きの返事が返った。>>3 微笑むホウスケに、え?そうなのか?とぱちぱち目を瞬いた顔を向けて、じゃあホウスケはこの世で一番高く飛んだふくろうだな、いや輸入とかでは他にも飛行機に乗ったふくろうは居るか何にせよこの景色を見たふくろうはきっと他にいないぞ、と笑った。 以前乗った時は空を見ている余裕もなかったが……いや別に今が余裕がある訳でもなかったが…… ホウスケと会って、彼の生きる世界を知れた事を嬉しく思う。 空を飛ぶ感覚も、彼の体感する世界の片鱗だと思えば楽し……く思うには、まだ遠そうだったが、 同じブランケットを分けたり、 温かい手で握り返してくれた事は、 この旅行の思い出のひとつになった] (17) 2021/02/21(Sun) 21:50:08 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[意外と寒がらないホウスケにちょっと安心したりしながら、寄り道もしてからやたらおしゃれな亀の棲み処へと向かった。 ウォソちゃんって意味わからないよな……うん。 亀がてこてこ向かって来る間に話し終わる気がしなくて、 首を傾げるホウスケには悪かったが詳しく説明はできなかった。 いや、時間があったってウォーターソーセージが何かとか答える気にはならなかったけど。だってまぁ、笑うだろこんなの。 赤ん坊の俺は今とはまた違うかわいさがあった、という話ならできたんだが。 目の前まで来た亀のおばちゃんにスルーされてホウスケはしょぼくれた様だったが、 俺は俺で「おばちゃん元気そうだな」とか考えながら久し振りの再会に挨拶をしようと思った。 でも彼女は俺の胸に向かって結構な挨拶をかまして来たものだから、流石に驚いた。 ホウスケが声を荒げて止めてくれようとしたから、 「ホウスケ……、」と困った様な頼る様な目で彼を見遣ったが、 彼女は俺を解放してくれなかった。 おばちゃんはホウスケに顔だけ向けて流れ弾を喰らわせたが、ホウスケの言葉>>7を聞いているのかいないのかわからない様な微妙な反応をして、ひとりで考え込んだ。 そうして抑え込んでいるものがあったかもしれないが、 俺とホウスケを見る瞳は穏やかになったから、少し安心した。 ホウスケに名乗られたおばちゃんは「ひだか」と呟き返して、] 「……この子の苗字になったのね。 ……本当に夫婦になったのね。」 [眉を優しく下げて笑ったが、寿司の入った器は大半をホウスケに持たせて運ばせようとしただろう] (18) 2021/02/21(Sun) 21:50:24 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[家に入ればリビングのテーブルの向こう、白い大きな階段が目に入るだろう。一軒家にあるのは奇妙なくらい幅の広い階段は、勿論宝塚のステージを意識して作られたもので、あの階段から降りて来る姿を見たいからと、俺の部屋は二階に用意されたりしていた。 そんな記憶が蘇る俺を差し置いておばちゃんはさっさと寿司を広げ、ホウスケの色々を聞きたがった。 「あらふくろうちゃんなの?ふくろうって美味しいのかしらアタシ食べた事なくってまぁプラスチックごみよりは美味しいわよねアハハッちなみに聞いてると思うけどアタシはウミガメ、元の姿はかわいくないからこの格好で失礼するわアラもふもふのくせに亀より堅いお仕事してるのね偉いわねこの子を頼むわね」とか、 最後にはさり気なく虫の良い事を言ったりしたが、 美味しそうに寿司を食べるホウスケには、 俺もおばちゃんもにこにこと笑っていた] (19) 2021/02/21(Sun) 21:50:31 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[俺の勤め先については いくつか水族館や動物園にコンタクトをとっておいてくれたらしく、施設名と担当者を書いたメモを渡してくれた。 ……多分大っぴらにはされてないだろうが、こんなにどろんする動物に理解がある施設があるのかと正直驚いた。 ホウスケと離れないで済む圏内となると数は限られたが、 正直ルトリスを要らないと言う施設はないと思ったから、 案外すんなりと決まりそうでめちゃめちゃ希望に満ちた顔になった。ありがとうおばちゃん、と素直に感謝を伝えた。 シールを追い出すとか言い出すホウスケには俺は驚いたが、おばちゃんは「へえ、過激な子はキライじゃないけど」と口端を上げて笑った。 ラッコの移動にはリスクが伴うし、絶滅危惧種だから、ペアリングとかでない限り批判が起きそうだとか、虎乃がもし戻ってきたらウォソちゃんはやりにくいんじゃない?とかホウスケを宥めようとしただろう。 ジェンヌの事を聞かれたら「観る!!!?」と、背中に花を背負った様な笑顔になって、大きなテレビにDVDをセットしに向かった。 ジェンヌとはいわゆるタカラジェンヌ……宝塚の団員さんを指す言葉で、その説明で足りるだろうにおばちゃんは大画面に大音量で主に男役のジェンヌさんの魅力を見せ付け、時に解説を付け、時に「そう言えば」と急に俺達の話を聞きたがったりした。 「テレビの音が大き過ぎて喋れない」と音量をぽちぽち下げた時はおばちゃんは不満そうだったが、ホウスケとの馴れ初めや、今一緒に居て楽しい事を話せば、おばちゃんは「フーン」と口を尖らせながらも嬉しそうにしていた] 俺はそれ、見てみたい気もするがな。 [「おれがメスの恰好」とのホウスケの小声を聞けば、ふっと笑った。多分おばちゃんは似合わない女装も男装も好まないだろうからおすすめしないけど。 ……というのも、 出会った頃はまだしも、俺にはホウスケはどう足掻いてもオスにしか見えていないから。 背は低めだしオスにしては華奢だと思うし、 着飾らせて多少メスに近付ける事はできるかもしれないのだろうけれど、俺がホウスケをメスにするのは、きっと無理だろう] (20) 2021/02/21(Sun) 21:50:39 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[ホウスケがショボンとする様な対応を、亀のおばちゃんがする事はなかっただろう。むしろ初対面の割にかなりフレンドリーだったと思う。 ウォーターソーセージの昔話について聞かれたら、 「見る?!」とさっきより随分落ち着いたトーンでアルバムを持って来た。 俺は、ヴッ、とイカを詰まらせそうになったが、 止めようとするまでに至らなければおばちゃんはホウスケと同じ様にウキウキとアルバムを開いた。 ……まぁ、ちょっと気恥ずかしいけど、ホウスケにならいいかと思って大人しくしておいた。 本当の母親の様に、幼い頃からの写真を彼女は沢山残していた。 かなり小さい頃から人間に化ける術を身につけていて、 男の子の格好をする人間の子供の姿の写真もあっただろう。 赤ちゃんラッコの写真を指して「ウォーターソーセージに似てるでしょ?ウォーターソーセージってね、」と説明しだして、遂に名前の由来をホウスケに知られたかもしれない。 「水に潜れないかはどうだったかしら、救い上げてから大きくなるまで海に戻してなかったし」とか「アハハお世話する時はアタシは人間の姿だったしそういうやんちゃはなかったかしらね〜」とか、ホウスケの疑問に答えた後、 「ふくろうちゃんってペニスないって本当なの?」と質問を返し、 「ラッコって15pくらいあるのすごくない?亀も大きいけどラッコって背丈の割にスゴいわよねウォソちゃんも大きいのが生えるんだと思ってたけどそうはならなかったわね〜小さい頃からさらし巻かせてた割には育ったみたいだけど」とさっき揉んだ俺の胸を見て来た。 「今日は泊まっていって」と彼女は言って来て、 そうかそういう選択肢もあったな、とちょっと反省した] 「そっか事前に言っておけばよかったわね…… ちょっとウォソちゃん借りるわ。」 [僅かに目を伏せた彼女が、俺の手をぐいぐい引っ張って隣の部屋へ連れて行く。ドレッサーの前に座らせて、「髪の毛綺麗にしてあげるわ」と掛けた声は、扉を開けたままだったのでホウスケにも聞こえただろう] (21) 2021/02/21(Sun) 23:01:47 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[リボンを外し、俺の手持ちよりずっと質の良さそうな櫛で髪を梳かしてくれる。 その手付きがひどく優しくて、彼女の温かい親心に触れた様で、 何だか幸せだ……と思ったのに、] ……なに? [シャツの衿元に指を突っ込んで開こうとしてくるから、 嫌な予感がして彼女を振り向いた。 「キスマークとかないかなと思って」と真顔で言う彼女は、「どんな下着つけてるの?」とか言いながら服の中に手を伸ばして来るから、やめろ、と肩を掴もうとしたけれど、裾からするりと手を忍び込ませてきた] いい加減にしろ!怒るぞ、るみか!!! 「あーらもう怒ってるじゃない ってか怒った時にババアとか言わないで るみかって呼んでくれるなんて アタシの育て方が良かったのかしらね!」 何喜んでんだ……あっ、 ちょっと、どこ触っ…… [しばしバタバタと暴れる音が響いた後、「ぎュ〜!!」という獣の声が上がった] (22) 2021/02/21(Sun) 23:02:28 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人「ラッコに戻るなんて考えたわね! でもその姿じゃアタシには敵わないわよ!」 [逆どろんしたるみかに乗っかられて、ぎゅぷ、と変な声が出た。 可愛らしい人間の姿から、ウミガメはウミガメでもヒメウミガメを思わせるるみかの正体は、それよりずっと大きいアカウミガメだ。 乗っかられたら重い。 ばたばたしても逃げられないから、結局また人間の姿になる。 それでも重いけど、踏ん張って逃げ出す事は出来る] (23) 2021/02/21(Sun) 23:02:34 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人もう帰る!! [ぎゃんぎゃん喚いて、リボンを取り返してからホウスケを連れて出て行こうとした。 るみかはくすくす笑っていたが、 見送りの際、何やら包みを俺とホウスケにそれぞれ渡して来た。 俺には「後で開けてね」と、 ホウスケには「少ないけど」と添えた。 どうやら結婚祝いにお金を包んでくれた様だ] 「また来てね。 瑠璃人、ホウスケくん。」 [にっこりと笑いながら俺達を送り出してくれた。 丘で礼を言われた時>>8に何も答えなかった様に、 もう一度繰り返されたとしても>>13、るみかはそれには答えず、ただ微笑んでいた。 俺も星空の下で「また手紙書く」と微笑み返した] (24) 2021/02/21(Sun) 23:02:52 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[俺の事をウォソちゃんとか呼んで来るくせ、あの見た目で歳くってるのにるみかとか何か呼びたくなくておばちゃんって呼んでた、とか説明して、すっかり冷えた丘の道をホウスケに寄り添いながら下って行った。 夜が近付いていたが、星が明るくて道を見失う事がない。 満天の星空も、きんと冷えた空気も、海の波打つ音さえ聴こえる静寂も随分久し振りだったから、 懐かしくて、るみかの名前の話以降は黙って歩いていただろう。 駅やらに着いて人影もぽつぽつ増えれば、「おばちゃん、ホウスケの事気に入ってくれてよかった」とか話した後、「あ、お土産渡すの忘れたな……」と手荷物の中に包みを見付けて頭を抱えたりした。明日郵送するか。 宿に着けば、実家に戻った時とは違った気の抜け方をした。 向こうは向こうで懐かしかったり落ち着いたりしたけれど、 至れり尽くせりでホウスケと過ごせる時間がたっぷりあるなんて、贅沢だし、ふわふわと浮かれた気持ちになる。 俺は年中海鮮でも飽きないけど、 ホウスケはどうかなとちょっと心配したので、 ほっぺをふくふく膨らませるホウスケに胸を撫で下ろし、それから故郷を褒められて胸を張った] ふふっ美味しいだろう? 俺自身、すぐ帰るんだと思ってたんだよな…… [まぁ、こんなに質の良い海鮮を毎日食べていた訳ではないけども、ラッコ業が魅力的だったのはその通りなんだろう。 海の幸も美味しくて仕方なかったが、 ホウスケのふくふく笑顔をもっと見ていたくて、 目線はほとんど下へは向かなかっただろう] (25) 2021/02/22(Mon) 0:38:59 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[おしゃれなラウンジで少し休んで、 広々としたデザイン性の優れた部屋やベランダから見える景色を堪能していたら、ホウスケが小さく震えた。「お風呂に」と言おうと思ったら、先を越された。>>16 それは俺のセリフだ、と思いながらくすりと笑ったが。 最近、よく見る様になった気がする表情で ホウスケが見上げて来た] ……ホウスケは、 見られるの嫌なんだろう? [あれからそういう事はなくなったかもしれないが、 博物館のシャワー室で前を隠したホウスケの事を引っ張って来てそう返した。笑う俺の顔は少々挑発的だったかもしれないから、 さっさと脱衣所に向かったが、俺が機嫌を損ねた訳ではないと伝わるだろうか] (26) 2021/02/22(Mon) 0:39:09 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[外は寒くて湯の中だけ温かい。 この非日常的なつくりのお風呂に入って、 ゆっくり疲れを癒すのではなく、 頭の中を支配しているのは包みの事。 ぐるぐる考えていると茹だりそうだったので比較的早めに湯から上がって、脱衣所でため息をついた。悩んでいる内に身体が冷えてしまいそうだったので、勢いでタグを切って、それを身につけた。 紐の具合がよくわからなくてちょっと喰い込ませてしまったが、 何かもう鏡に映す勇気がなくて備え付けのガウンを羽織って帯を締めて、折角着飾った格好を早々に隠した] ……ぅ〜…… [寝間着で隠しても、何だか変な気分だ。 ここでうだうだしていたら水不足で倒れそうだと思ったから、また勢いの力を借りて、部屋に戻った。「ほ、ホウスケ、次、どうぞ」と歯切れ悪く風呂をすすめて、グラスに注いだ水を飲み、氷を口に含んでぼりぼりしながらベッドの上で髪を乾かした。 ぼりぼり…… ホウスケがその気か知らないけど、 今脱がされたらきっと恥ずかしくて死ねる…… ぼりぼりぼり…… 脱がされるより脱ぐ方がマシな気がする…… ぼりぼりぼりぼり…… よし。 がばがばラッコは何となくなビジョンを思い浮かべた。 ホウスケが戻って来たら、 どうにかしてホウスケを押し倒して、襲おう。**] (27) 2021/02/22(Mon) 0:41:55 |
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