【人】 ][『月』 エーリク―― それから ―― [ カルクドラとのお茶会の後。 後日かもしれない。 僕は観念して、自ら薬師の部屋を訪ねたり、 特に用もないのに、シトラを自室に呼び出したり したと思う。 例えば――本当に遠くにいくことが もしかしたらすぐにではなくても、あるかもしれないから。 そうして二人にもったいつけて、 ] ずっと言わなきゃいけないなって 思っていたことがあるんだ。 (74) 2022/12/22(Thu) 23:38:07 |
【人】 ][『月』 エーリク あの、 [ 視線をさまよわせたり、手持ち無沙汰に、 指を組んだり、解いたりしながら ] 僕はいつも、ごめんねとばかり 言っていて。 でも、――あの、いつも ――……ありがとう [ 告げたなら、微笑んで。 けれど多分次の瞬間には逃げ出していたと思う。 言いしれない、恥ずかしさに襲われて。 やはり僕には過ぎた言葉だったかもしれない。 誰かに見かけられることがあれば、 驚かれるかもしれないほど、風より速く。 立ち去ろうととしたことだろう。* ] (75) 2022/12/22(Thu) 23:38:29 |
【人】 ][『月』 エーリク―― それまで ―― ――いらっしゃいませ! 今日もいつもの窓際のお席ですね? なんだかいつもと少し……… ああ、髪型変えられたんですね 通りで可愛らしいと思いました いたた、そんな、お世辞じゃないですよ。 [ それはカフェで店員の真似事を していた時のこと。 白いシャツに、橙色のエプロンを身につけて 常ににこにことしている。 ] (76) 2022/12/22(Thu) 23:52:31 |
【人】 ][『月』 エーリク[ ――その青年の名は、 ミーシア。産まれたときにあまりに 愛らしかったため、女神の名をもじった 名前をつけられ、父母共に他界し、 祖母と二人で暮らしている。 若い頃から女性に間違われることが多く その見た目のためか、男女ともに よく可愛がられるため、愛らしい仕草など お手の物。 皿洗いで雇われたが、愛想の良さから 給仕へランクアップしたのが最近のこと。 好きなことは人と喋ること 嫌いなことは一人でいること 好きな食べ物は――……… ] (77) 2022/12/22(Thu) 23:52:52 |
【人】 ][『月』 エーリク[ と、長々続くのだ。 彼の人生を演じているのだから。 ] おまたせしました、ガトーショコラと おいしい珈琲です! [ ――どうせ見つかるはずないと 高を括っている。そのため、普段より 何倍も、弾けた姿を見せることもあるとかないとか。* ] (78) 2022/12/22(Thu) 23:53:08 |
][『月』 エーリクは、メモを貼った。 (a2) 2022/12/23(Fri) 20:56:46 |
【人】 ][『月』 エーリク―― カルクドラと ―― [ どうしてと問われると>>204 わからないのか、と苦笑いを浮かべて ] 母親を取られた長兄の気持ちといえば 伝わる? [ 話せばつづけて、いつでも君を選ぶと 彼は言う。満足するような気持ちと共に、 いつまでそうして貰えるのだろうと考えた。 来年には成人と呼ばれる年になる。 同じ年でも立派に一人で生きている人も 大勢居るだろう。 親元を離れているといえば聞こえは良いが 結局あなたに、保護を、親心を求めているだけなのだ。 彼が言うように、踏ん切りがついていたとしたら、 この手もきっと喜んで離すべきだったのに――。 ] (433) 2022/12/25(Sun) 20:37:17 |
【人】 ][『月』 エーリク もしもその時、手を差し伸べられていたら 僕の答えは変わっていたかもしれないな。 [ 例えば。世界が壊れたとしても、 貴方さえいればいい、だとか。悲観的に、 且つ閉鎖的に、考えいたかもしれない。 ] 貴方は、いつだって僕の側にいてくれたけど 昨日だけは、そうじゃなくてよかったと思う。 このお店のフルーツタルトもおいしいし 世界はあの人が言うほどは、つまらなくないと 思うから。 ――僕は、きちんと考えることができたかな。 自分のためだけじゃなく、貴方や皆のことを 考慮して、答えを出すことができたかな。 (434) 2022/12/25(Sun) 20:37:35 |
【人】 ][『月』 エーリク[ つやつやと輝く果物を口に運ぶのをやめ 問いかけのような独り言をこぼすこともあった。 自分がチェレスタとの因縁を、紐解いたように、 彼はタナトスと腹を割って来たらしい>>206 生きていれば、きっと必ず良いことがある、 と彼は言う。 彼にもまた、ああならなければ気づかなかった ことや、知り得なかった誰かの表情があったのだろう。 ] (435) 2022/12/25(Sun) 20:37:45 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 少し遠くへ――……永遠に近いくらいの 暇を。 そんな風に考えていたことを見抜かれたのだろうか。 必ず呼んで、絶対に行く>>208 遠慮なく頼ってほしい>>209と言葉を重ねられて 薄っぺらい関係じゃないだろうと問いかけられたなら 小さく声を出して、笑った。 貴方は信じているんだ。 そうやって言葉を重ねれば、僕が黙って 消えるようなことはないだろうと。 旅立つにしても、自分には声を掛けてくれるだろうと。 ] (436) 2022/12/25(Sun) 20:38:01 |
【人】 ][『月』 エーリク 役者に戻るまでは、まだ――。 [ 言葉を詰まらせるのは、やはりまだ 壇上に上がる勇気までは持てないから。 だけど、 ] じゃあどこかで観劇をしたいな もしかしたら体が疼いてくるかもしれないから。 [ ――結局僕は貴方の手を離すことはできなくて、 もしかしたら貴方もまた僕の手を離すことを 惜しいと思っているのかも知れず。 魂の記憶という不確かななにかに 支配されることがなくとも、 きっと僕はずっと、貴方を大事に思うのだろう。 その大事な貴方が気を揉むことがないように、 程々にはわがままをいい、甘えて、を繰り返す。 変わったものもいとおしく、 変わらないものもまた、尊いものだから――。* ] (437) 2022/12/25(Sun) 20:38:14 |
【人】 ][『月』 エーリク―― 月夜の晩に ―― [ 夜半、僕は貴方の部屋の扉を叩く。 わずかに震える指先は、あの時のように 恐怖からではなく、緊張から。 ――もしも、嫉妬した所以を話していたとしたら なおのこと。 居ないなら居ないでそれでもいいと 弱気な心が泣くけれど、貴方が部屋から 顔を出したなら、 ] (441) 2022/12/25(Sun) 20:48:07 |
【人】 ][『月』 エーリク ………いってくる、 帰ってきたら、貴方となにかしたいと思って。 歌でも、踊りでも、大道芸でも。 僕が戻るまで、どこにもいったりしないでね [ それだけ告げて、おもむろに硝子のオルゴールを 押し付けると、 ] 預かっていて、取りにきっともどるから。 [ 背を向けていく。何か喋り掛けられたとしても 引き止められることはない。 ] (443) 2022/12/25(Sun) 20:48:21 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 世話になった仲間、住人たちには 手紙で、顔を合わせて、話をしたはずだ。 ――チェレスタを除いては。 貴方が最後のひとり。 挨拶を済ませたなら、散歩するくらいの 心持ちで洋館を出た。 ] (444) 2022/12/25(Sun) 20:48:37 |
【人】 ][『月』 エーリク[ いつの日か、手紙よりも先に、 あなた達は知ることだろう。 雑用から始めたと語り草になっている。 とある役者が、街で凱旋公演をするということを。 ] (445) 2022/12/25(Sun) 20:48:50 |
【人】 ][『月』 エーリク[ その場で悲劇が繰り返された――かどうかは、 神と、彼らのみが知る。 ] さぁ幕を上げよう。 涙あり、笑いあり、胸躍る展開だらけ、 ミーシアという男の半生を――ご覧あれ。 [ 舞台の中央、まばゆい光を浴びて 舞い降りた役者の名は――………。* ] (446) 2022/12/25(Sun) 20:49:05 |
【人】 ][『月』 エーリク―― 悪魔の来店 ―― [ ほんの一瞬。大きく眉をしかめたのを 店長に気づかれて、いえ、大きな蜂がいまして とごまかした後のこと。 ] ――いらっしゃいませ!わあようこそ! かしこまりました、窓際のお席人気なんですけど 今は満席でして。カウンターでよろしいですか? はじめてなら珈琲とケーキのセットがおすすめですよ! 軽食は日替わりで今日は燻製サーモンのサンドイッチ なんですけど、ケーキもできたてですから。 [ その後は特に別人の仮面が剥がれることはなかったはずだ。 顔見知りが突然やってきたら>>387 さすがの僕も、動揺する。している。今も。 とはいえ、彼もまだ別人を疑っているのか、 特別態度は変えることなくおとなしく案内され 注文品を届けたときも、別段気にした様子はなかったのだが。 ] (447) 2022/12/25(Sun) 21:02:43 |
【人】 ][『月』 エーリク (448) 2022/12/25(Sun) 21:02:54 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 尚その後洋館にて、 なにか問われることがあるなら へぇ夢でも見たんですか 夢ならもっと素敵なものを、 みたらいかがです などと、あからさまに 噛みつくような顔をしていたことだろう。 更にその後も店で見かけることが在るたびに、 洋館で会うことがあれば、嫌味のひとつも 飽きずにぶつけていたんだとか。* ] (449) 2022/12/25(Sun) 21:03:05 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 好きも、嫌いもよくわからない。 面倒か、面倒じゃないかなら少しわかる。 そして彼は面倒な方に分類された。 それまでどうだったか、は別としてもだ。 少なくとも、別人だと誤魔化せているとは 思えなかった。知った上でそうしているのだと 思えば思うほど、面倒くさい、とばかりに、 洋館で会う時は 顰め面ばかり見せていた気がする。 ] (476) 2022/12/25(Sun) 22:07:11 |
【人】 ][『月』 エーリク デートですか、それはいいですね じゃあとっておきの裏メニュー教えちゃいますね 他の人には 内緒 ですよ [ このクソ野郎、と思ってしまった。 思ってしまったので、彼の言葉>>473には 極上の笑みを添えてやった。 向こうも笑みを返してくるので、 表向き、美青年二人がほほえみあっている とあり、奥様方が密かに黄色い声をあげていた。 らしい。実情を知らないのは幸せだな。 その後も幾度となく顔を合わせては、 店では笑顔を、家では顰め面を見せていた ものだからより一層彼を面白がらせて いたことなど、僕には知るよしはない。* ] (477) 2022/12/25(Sun) 22:07:26 |
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