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【人】 子育て奮闘中 柚乃──彼女のいる場所 「ママァ!パパがかえってきたぁ!」 あれぇ…おかえりなさぁい。 早かったね〜。 [ 明治の時代か。 当時からしてみればモダンな屋敷に、 流行り始めた車が入っていった。 その音に反応したのか、 屋敷の中から子供が声を上げ近くにいた彼女は いそいそと身なりを整え車の中から 出てくるその人を玄関先で出迎える。 抱っこをせがむ子供を抱き抱えたその人は、 うむ、と言いながら2人を連れて屋敷の中へと。 ] (3) 2021/01/29(Fri) 23:36:56 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃なんだか最近、体が重いんだ〜…… どうしてだと思う〜? [ 彼女はまだ知らない。 彼女は既に”招待”されていることを。 出迎えたその人は、 体が重いと告げた彼女に休め、と告げるだけ。 子育てを出来るだけ自分で、と 奮闘している彼女だから疲れが出たのだろうと。 リビングに戻ってくると、 彼女はやだ、と駄々をこねる。 ] みんな揃ってそう言うんだから〜! あの頃とはいろいろ違うし、 体力だってあるんだ〜!! (4) 2021/01/30(Sat) 0:03:45 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃[ 近くにいたメイドが 紅茶と角砂糖を持ってくると、 娘を抱っこするその人は、 彼女の言い分を聞きながら ティーカップの中に角砂糖を永遠と入れていった。 特に反応するわけでもなく、 ただ黙々と。 ちゃぽん、ちゃぽん、と紅茶の中に 角砂糖が入る音が響く。 ほしいだけ角砂糖を入れれば、 そういうことではない、と小さく呟く。 ] (5) 2021/01/30(Sat) 0:06:28 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃「最近、この子につきっきりだっただろうが。 俺がいない間は、ここを任せていた。 十分、疲れることなのは 自分でわかってるだろう。 それもわからないまま、生活していたのか」 (6) 2021/01/30(Sat) 0:07:55 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃…だって、それ以上に疲れてるでしょ〜? だから、今日は3人でご飯にしよ〜? [ 顔には出さないけれど、 彼の言葉は彼女に響いている。 勿論、この大きな屋敷を1人で切り盛りは だった1週間だとしても 死ぬかと思ったほど。 しかし、本当に望んだことは 休みたいわけじゃなくて、 3人で団欒したかっただけ。 それに気付いてくれなかった彼に、 少し彼女はむっとした表情を向けただろう。 ]** (7) 2021/01/30(Sat) 0:09:53 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃──屋敷の中 やけに甘いものを買い込んできたね〜。 いいものがあったの〜? 「南蛮ものがあった。 見かけたタイミングで買わねばな。 カステラ、コンフェ、何がいい?」 あ、ん〜……おすすめほしいなぁ〜。 1週間、おうち頑張ったし〜。 シファーム、ね? [ お昼を食べたのち、 お昼寝の時間になってしまった息子を 傍控えのメイドに任せ、 束の間の2人の時間を過ごすことにした彼女。 メイドが出ていくのとすれ違うように、 従者として連れていっていた面々が、 買い物をリビングへと運んでくる音がした。 勿論、必要なものを買っているが、 目に見えて量が多かったのは………… ] (11) 2021/01/30(Sat) 19:21:49 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃[ 砂糖がたくさん使ってあるお菓子というものは、 まだこの時代輸入品がほとんどで、 買い付けにも一苦労する逸品だった。 しかし、彼の仕事上その輸入品を 目にすること、手にすること、というものは いとも簡単に行うことができ、 買い付けもすぐにしてしまうのだ。 シファーム、と呼ばれるとその人は カステラを出し、いくつかに切り分ける。 ] 「気をつけて食べるのだぞ」 (13) 2021/01/30(Sat) 19:41:10 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃[ そういいながら、彼は一切れを 小皿に移して彼女に渡す。 小皿の上には、たまご色が茶色に挟まれて ふわりふわりとしたカステラが。 どうして彼はこんなに美味しそうなものを 手に入れてきてしまうのだろうかと 考えることもなく、 フォークで一口サイズにすると、 ] (14) 2021/01/30(Sat) 19:42:24 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃 [ 口の中に広がるザラメ砂糖の甘さと、 ふわふわのスポンジのようなカステラの食感。 一口食めば、彼女は瞳を閉じて頬に手を添え その甘美な食感を楽しんでいく。 彼は角砂糖が9個ほど入った 甘々紅茶を飲みながら、 彼女が甘味を楽しんでいるところを見て、 彼もひとつ、食べたことだろう。 ]* (17) 2021/01/30(Sat) 19:52:04 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃──別日・屋敷の中 「柚乃、元気にしてたか」 くろーくん、お久しぶりだね〜。 見ての通り、凄く大変〜。 でも、可愛い子供たちのおかげで頑張ってる〜! 「ならよかった。あれは?」 旦那さま?お仕事〜。今日は朝からいないの〜。 [ ある日のこと。 彼女は贔屓にしている呉服屋の相手をしていた。 彼女は和装をしないので、 屋敷に仕える女中や庭師たちのために 彼らを数ヶ月に1回、屋敷へと呼んでいる。 この屋敷において メイドと女中は別のものである。 メイドは彼女と同じく洋装で、 主に彼女の身の回りの世話を担当しており、 女中はまだ江戸名残の和装で、 主に屋敷内の全てを担当している。 ] (56) 2021/02/01(Mon) 15:40:34 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃[ それぞれの出身に関しては問わず。 元々がどんな身分だろうと、 彼女は等しく雇っている。 同僚の中で 村八分のようなことをしていれば、 彼女は無慈悲に首を切り、 戻ってこないで、と告げる。 それが唯一、穏やかな彼女が 『女主人』 として振る舞う機会である。 ] (57) 2021/02/01(Mon) 15:43:31 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃[ 話を今に戻すと、 現代で言う福利厚生として、 この屋敷に仕える人間は 無償で定期的に着物や作業着を 誂えることができるのだ。 採寸等をしている間、 代表として来ている客人の相手を、 いつも彼女はしている。 話していると、ふと彼女は思い出した。 ] (58) 2021/02/01(Mon) 15:45:43 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃 くろーくん、甘味をたくさん持って帰って〜? 「いいのか?」 まいちゃん、最近お疲れみたいだから あの人がたくさん買ってきた 南蛮菓子持って帰ってほしいの〜。 [ 思い出したかのように、 そばに置いている小さなベルを鳴らし、 用意していたものを持ってきてもらう。 彼女が相手をしていた男性は その量に、一瞬眉間のシワが深くなった、 ような気さえ。 しかし、ため息を吐いた彼は ありがたくいただくことにし、 彼についてきていた従者に運ぶよう伝えた。 ] (59) 2021/02/01(Mon) 15:46:31 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃「あの量、どう考えても半分くらいだろ」 だってまたすぐに買ってくるし〜、 いいかなぁって思ったの〜。 「怒られるなよ」 いいの〜。まいちゃんにあげたって言ったら、 あの人は許してくれるし〜? 「黒羽様、採寸全て完了いたしました」 「わかった。納期はまた追って連絡する」 [ 客間入り口から声が聞こえ、 全ての工程がおわったと伝えられた。 客人が腰を上げると、合わせて彼女も。 そして、玄関先までついて行き、 1通の手紙を彼に任せる。 彼は宛名を見て、相変わらず、と呟くと、 車の中に乗り込んで屋敷を後にする。 彼女は手を振り、他は深々と頭を下げ。 ] ふふん、まいちゃんのお返事楽しみ〜♡ (60) 2021/02/01(Mon) 15:51:16 |
【人】 子育て奮闘中 柚乃[ まだ携帯もなければ、電話さえ貴重な時代。 手紙というものは頻繁に送ることができる 唯一に近い手段だった。 鼻歌を歌いながら、彼女は中へ戻り、 客人の相手中メイドに任せていた 息子のもとへと、歩みを伸ばすのだった。 ]** (61) 2021/02/01(Mon) 15:53:22 |
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