情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 ふくろう ホウスケ[そして修羅場を乗り越えてやってきた新婚旅行の日。 正直、ドタバタで二人の時間は減ってしまっていたし 準備もかなり瑠璃人に頼ってしまって 大変申し訳なかったけれど…… 当日、瑠璃人は機嫌良さそうに喋り倒していて その張りのある声を聞いていたら、おれも元気になっていった。 正直、修羅場の残渣はちょっと残っているのだけれど それは帰ってきてから処理しよう。 ……まぁ、現場がどれだけの地獄と化そうとも あとは残った人間が何とかしておいてくれるだろう、 恨み言も離れれば聞こえない、 空の上までこれるもんなら追いかけてこいワハハ。 空を飛ぶのは好きだけど、飛行機は初めてだ。 鉄の塊での飛行がどんな感じなのか、少し興味がある。 おれは渡らないから、長い時間海を眺める機会もないし…… 瑠璃人の世界を、上空から見下ろせるのも楽しみだ。 これがペットや野生のふくろうだったりしたら 雑踏に怯えて細長くなっていたかもしれない。 だったのだけれど……] (1) 2021/02/20(Sat) 12:38:04 |
【人】 ふくろう ホウスケ[「まもなく離陸します。シートベルトを……」 というアナウンスと共に飛行機が揺れ始めると 瑠璃人は急に目を瞑ってしまった。] ……え? [一瞬びっくりしたけれど。すぐに心配に変わった。 寝る、というわりには眉間にしわが寄っているし つないだ手は、爪先が白くなるぐらい強く握られている。 何もできない自分を歯がゆく思いながら おろおろと瑠璃人のことを見上げていた。 ……だいじょうぶかな、と声をかけるのも かえって気を使わせてしまいそうで 瑠璃人が本当につらそうになったら せめてすぐに人を呼べるようにしておこう…… と、係の人間の居場所を常に把握しておいて 何度も瑠璃人の様子を伺い見ていた。] (2) 2021/02/20(Sat) 12:39:28 |
【人】 ふくろう ホウスケ[北海道は意外と暖かかった。 というよりたぶん、空調と防寒ガラスが本気を出していた。 ちょっと足元がおぼつかない瑠璃人と一緒に カフェで温かいものを飲んで、一息ついてから 彼女の育ての親の元へと案内してもらった。]* (4) 2021/02/20(Sat) 12:40:08 |
【人】 ふくろう ホウスケ[そして見晴らしの良い高台の家を訪ねるなり 強烈な歓迎を受けた。>>0:47] ……うぉそちゃん? [瑠璃人の育ての親は思ったよりも若い……というか幼かった。 若く見られるおれよりも更に幼い容貌にも驚いたけど それ以上に「よく来たわね」の後ろに続く言葉の 意味が分からずに瑠璃人を見上げた。 ウォーターソーセージ、と説明になってない説明を受けて やっぱり首を傾げた。 意味は分からなかったけど いつもなら(主に偏った内容を)延々と語ってくれる瑠璃人が その時はやけに言葉短だったから、深追いしなかった。 瑠璃人の名前を呼ばない理由をもしも聞いていたら ちょっと納得はしたかもしれない。 AV(アニマルビデオ)の女優さんがいくら好みでも 母親と同じ名前だとしおしおするってじいさんも言ってたし。 ……ウォーターソーセージが何なのか気にはなるから、 もしもスマホを持っていたらググってたと思う。 そろそろ買ってもいいかもしれないな……不便。] (5) 2021/02/21(Sun) 0:27:14 |
【人】 ふくろう ホウスケ[ふりふりスカートのすそをふりふりさせながら 少女は近づいてきた。 挨拶をしようとしたけれど、少女はおれを素通りして 瑠璃人の前に向かった。>>0:48 早速の洗礼にぐっとひるむ。 いやいいんだ、可愛がっていた娘さんの横に突然現れたオスだし そりゃ複雑な気持ちだろう…… としょぼしょぼ頭を垂れようとしたら ぶちぶちと瑠璃人のボタンを引っぺがした。] な、……!? [奥さんの育ての親に挨拶に行ったら 親御さんが奥さんのおっぱいを揉み始めた。 何が起こっているのか分からなくて 瑠璃人と一緒に困惑する。 けれど次の瞬間にはハッとして] やめろ……! [おれだってそんなに激しくしたことないのに!] (6) 2021/02/21(Sun) 0:29:05 |
【人】 ふくろう ホウスケ[少女の肩を掴んで引っぺがそうとしたけれど 少女はますます意固地になるようで 瑠璃人が痛みを訴えた瞬間、思わず力を緩めてしまった。 嫌がってるだろ、と止めようとして ……嫌がってるよね? と若干不安になってしまったけど とりあえずこの状況はよろしくない。よろしくない! 再び止めようとした時、初めて少女がおれの方を見た。 ……ちょっと言ってる意味が分からない。] ……瑠璃人は最初から女の子だったけど…… [それはそれとして手を退けてほしい。] (7) 2021/02/21(Sun) 0:29:19 |
【人】 ふくろう ホウスケ[だけど少女は瑠璃人の胸を揉みながら 何やら葛藤しているようで>>0:49 瑠璃人を人質に取られたような気持になっておろおろする。 引きはがしたいけど痛い思いはさせたくないし…… やがて少女は熟考を終え、名乗ろうとしたところで 瑠璃人が言葉を遮った。 なんか知らんが名前呼ばない方が良いなら呼ばんどこ。 もともと、あんまり呼ぶつもりなかったし……] ……日高ホウスケ。 [何しろファーストコンタクトが強烈だったものだから どんな顔すればいいのか分からなくて 少女に負けないぐらい複雑な顔をしながらも 会ったらこれだけは伝えよう、と思っていたことを口にした。] ……瑠璃人を育ててくれてありがとう、お義母さん。 [瑠璃人は亀のおばちゃんと呼べというけど やたらと見た目が幼いので抵抗がある。 それに、彼女が瑠璃人を育ててくれなければ 瑠璃人にあの動物園を勧めてくれなければ 今おれは瑠璃人の隣に立てていないわけだし……] (8) 2021/02/21(Sun) 0:30:48 |
【人】 ふくろう ホウスケ[積もる話は中で、とありがたく中に通してもらって 海産物の味に目を白黒させた。 おれが今まで食ってたうにはなんだったんだ…… うにって鼻にくる刺激臭あるナーと思ってたのに やたらクリーミーで、口に入れた瞬間溶けるし、一切臭くない。 恐るべし北の大地。 瑠璃人の次の勤め先があるか、とか ってかそもそもシール追い出しちゃ駄目なんかな(過激派)とか ところでジェンヌって何? とか そんな風に話に花を咲かせただろう。]* (9) 2021/02/21(Sun) 0:31:57 |
【人】 ふくろう ホウスケ[“亀のおばちゃん”は最初の印象こそ強烈だったけれど しばらく話してみれば、どこにでもいる、 ごく優しい母親だった。 ちょっとベクトルがずれているとはいえ ちょっと不思議な夢を見ているとはいえ 我が子との久しぶりの再会を喜び 結婚を祝福してくれているようにも見える……多分。 素敵な男性だった我が子が女になって帰ってきたことは 複雑そうにしているけれど…… 瑠璃人は会った時から男の恰好をしていたけれど それは本人が好きだったというより 亀のおばちゃんの影響だったらしい。 瑠璃人に素敵な男性になってほしいと 心から願っていたのだろう。 よく聞けば、結婚したと報告した時も 「どんな女の子か楽しみ」にしていたそうだ。] ……おれがメスの恰好して行けばよかった? [いやまぁ瑠璃人と違って似合わなさそうだけど。 少女(まだ「亀のおばちゃん」も 「お義母さん」も抵抗がある)が ぺらぺらと話に夢中になっているうちに 瑠璃人にこそっと尋ねたりもしただろう。] (10) 2021/02/21(Sun) 17:15:40 |
【人】 ふくろう ホウスケ[空気が和んできたようなら 瑠璃人の子供時代について ちょっとウキウキ尋ねたりもしただろう。 赤ん坊の時は今もふわふわの毛がさらにふわっふわで あまりにもふわふわすぎて水に潜れないとか聞いたけど 瑠璃人はどうだったんだろう、とか 貝を硬いところにたたきつけて割るとき 亀の甲羅でガンガンやったりしなかったんだろうかとか…… 施設で飼うと水槽に貝をぶつけてうっかり漏水させたり 港で育ったラッコは船体に打ち付けてぶち割るらしいし…… 気になるじゃんやんちゃ時代。 ちなみにふくろうの赤ん坊姿は かわいくないので見ないでほしい。 ご先祖様からの言い伝えに 「友人ワシに「うち子はどんなヒナより美しい」 って自慢したせいで ふくろうのヒナを見つけたワシが 「不細工だから友ふくろうの子じゃないだろ」と 食ってしまった」というのが残っているぐらいだ。 もうちょっと楽しい言い伝えを残してほしかった。] (11) 2021/02/21(Sun) 17:16:49 |
【人】 ふくろう ホウスケ[だけど、少女の反応が堅いようなら 情けなくショボンとしていた。 おれは人間基準で言えば いわゆるオスらしいオスじゃないから 正直、あまり気にいられなかったかもしれない。 見栄えだけは瑠璃人が男前に整えてくれた>>0:41けど…… 自然に任せていた時よりもむしろきれいに整った嘴は 人に化けたときはぷるっぷるの唇として表れていた、 しかしそれはプラスポイントにはならない気がする。 むしろ羽ペン用に気合入れて羽むしったせいで 若干左のもみあげは短くなっている。 尾羽よりも翼の端っこに近い 風切り羽が使いやすいらしくて。] (12) 2021/02/21(Sun) 17:17:43 |
【人】 ふくろう ホウスケ[それはそれとして少女は小ぢんまりとした洋館に住んでいた。 二人泊まれるぐらいの広さはあったし ひょっとしたらそれを進めてくれたかもしれないが 宿を取っていたので、しばらくすれば解散しただろう。 洋館を出たころには、外は真っ暗になっていて おれの目にはかえってちょうどいい。 丘からは海が一望できるようになっていた。 二月、本島はかなり暖かい日も花粉も増えてきたが 瑠璃人の育った北海道は冷たい風が吹きすさぶ。 よく晴れた満天の星空は 住んでいる場所よりもはるかに澄み渡っていて 凍り付くような星々の光がよく輝いていた。 だけど、黒い波のうねる海原は 夜空よりも真っ黒で、墨でできているみたいだ。 ときおりぷかぷかと昆布が浮いているのが見て取れて あれが天然のベッドになるんだろうけど。 特に空は荒れていないのに、大きくたわむ水面に あそこに母に死なれた赤ん坊ラッコが浮かんでいたら……と 一瞬で波に飲まれる様を思い浮かべて、ぞっとした。 ……ありがとう、と少女にもう一度礼を言う。 瑠璃人を助けて、育ててくれて。] (13) 2021/02/21(Sun) 17:18:29 |
【人】 ふくろう ホウスケ[宿に戻ると、荷物を置いて再びご飯だ。 なんだか食べてばっかりな気がするが気のせいだろう、 瑠璃人もひたすら食べ続けなきゃいけない体質みたいだし。 北海道の食べ物は確かにすごい、 ホタテは甘いわカニは実が詰まってるわ カキはぷりっぷりだわ…… そして何より量が半端ない。 いくらが無造作にどーんと置かれていて かけ放題! とか書いてあった。 魚卵がふりかけ感覚で食える北の大地すごい。北海道最高。] 瑠璃人、これ食い慣れててよく北海道の外に出られたね……? [この飯にも勝るぐらい、ラッコ業が 瑠璃人にとって魅力だったんだろうか。 ……早く、瑠璃人の勤め先が見つかるといいな。 見つからなかったらもっかいシール襲お。] (14) 2021/02/21(Sun) 17:19:46 |
【人】 ふくろう ホウスケ[ラウンジ(暖炉付き!)でまったり食休みしてから部屋に戻った。 部屋に暖炉があればふくろう姿でうっとり寛げたんだけど…… 人が少ない時間帯に狙ってみようかな。 新婚旅行探し、で紹介された宿だけあって豪華だ。 やたらと窓ガラスが大きくて、もはや壁の一面だ。 窓ガラスを開ければ広々としたベランダに続いていて、 有名な湖が眼下に広がっている。 ベランダの一角は露天風呂になっていて なんでも全室にこれがついているらしい。 鏡のように磨かれた湖面は 荒々しく波打つ海と違って星々の光を飲み込まない。 碧い光を反射して、冴え冴えと水鏡には 魚でも住んでいるのか、時折ゆらいでは 瑠璃人の頬に青色の波を映した。] (15) 2021/02/21(Sun) 17:21:41 |
【人】 ふくろう ホウスケ[だけど、さすがに北の大地は寒い。 ふるりと身を震わせて、いつの間にか体が冷えていることに気づく。 湯気の香りがもくもくと上空の雲に向かうのを 今更ながら目で追って、] ……お風呂、先に入ってきていいよ。 [どこかで聞いたようなセリフを瑠璃人に伝えてから、] ……それとも、一緒に入る? [そう、いたずらっぽく見上げた。]* (16) 2021/02/21(Sun) 17:22:46 |
【人】 ふくろう ホウスケ[頑張って準備してくれた瑠璃人は 空港でも張り切ってくれて やる気はあっても知識のないおれの代わりに やたらと前もって行かなきゃいけない手荷物検査とか 中に持ち込んじゃいけない荷物のこととか 飛行機の座席にはテレビがついていて 永遠に映画が見れることなんかを教えてくれた。 一抹の不安はある。 空を飛ぶ生き物とはいえ 鉄の塊で飛ぶのは初めてだから 瑠璃人が居なければもっと怖がっていたと思う。 自分の翼以外信用できるか。 だけど、瑠璃人が怯えているのを見れば そちらに気を取られて墜落のことなんか頭から抜けた。 ……ある意味瑠璃人に助けられたのかもしれない。 おれはこんなに高くは飛べない。 別に悔しくない、高く飛びすぎると バードストライクしかねないから。] (28) 2021/02/22(Mon) 23:05:41 |
【人】 ふくろう ホウスケ[この世で一番高く飛んだふくろうと言われれば>>17 ちょっと誇らしくなったけれどすぐに取り消された。 そうか輸入。その発想は無かった、さすが絶滅危惧種のラッコ。 保全状況評価低危険種 LC のウラルフクロウは、昔と比べて減ったとはいえ わりとその辺にいるので…… だけど、この景色を見たふくろうは他に居ないぞと言われて 確かにその通りだと頷く。 せっかく珍しい景色なのに、瑠璃人の笑顔ばかり見てしまった。 翼に受ける風も、キンと冷えた空の空気も無いけれど 瑠璃人が空の魅力を少しでも感じ取ってくれたなら 嬉し……とは、瑠璃人が可哀想で思えないか。 それでも、おれの力では瑠璃人を掴んで飛ぶのは無理だから 空の世界の片鱗を味わって、頬をほころばせてくれたのは やっぱり、良かったと言っていいんだろう。 でも帰りは新幹線に変更できるか確認しとこ。 頑張れ青函トンネル。] (29) 2021/02/22(Mon) 23:07:39 |
【人】 ふくろう ホウスケ[さて、瑠璃人の実家にたどり着けば 少女が何か言いながら瑠璃人の方にやってきた。 いや耳は良いから音としては聞こえていたんだけど その絶妙な語呂の悪さから呼び名とさえ認識できなかった。 ウォソちゃんもウォーターソーセージも 意味が分からない……>>18 まぁ真相を知ってたら笑っちゃったとは思う、 それはそれで可愛いけど……芋虫みたいで。 でも芋虫みたいで可愛い、は心の底から可愛いんだけど 言われてもうれしくないだろうなとも思う。これぞ気遣い。 だけど、気遣えるおれとは反対に 少なくとも初対面に限って言えば 瑠璃人のおばちゃんははちゃめちゃだった。 おれの横を見事に素通りして 瑠璃人の見事な乳房をがっしと掴んで…… はちゃめちゃ以外のなんだというのか。 他の個体におっぱいを揉まれながら 困惑した顔でおれの名を呼ぶ瑠璃人が色っぽくて>>18 なんだか開いちゃあかん扉が開きそうになったけど それはそれ、これはこれ!] (30) 2021/02/22(Mon) 23:34:26 |
【人】 ふくろう ホウスケ[……結局引きはがすことも止めることもできなかったけど 少女はおれの顔を訝しげに見つめると 瞳に複雑な色を宿しながらも 穏やかに表情を緩めた。] ………… [問いかけ、というよりは事実を確かめるような口調に おれの方は複雑な色を全く隠さないままこくんと頷く。 やがて優しく笑って洋館に迎え入れてくれたけど ずっしりと重たい寿司箱はおれに押し付けられた。 ……すぐ近くなんだから持ってきた男に運ばせればいいのに…… いえ別に不満はないですお義母さん。] (31) 2021/02/22(Mon) 23:34:51 |
【人】 ふくろう ホウスケ[リビングの向こうにはやたらと立派で やたらと汚れの目立ちそうな階段があった。>>19 邪魔じゃないのかな…… 家の階段って大抵場所取らないようにできてると思ってた。 まぁここは土地の広い北海道だから 気にしないでいいのかもしれない。 亀のおばちゃんはよく喋った、 絶好調の瑠璃人ぐらいよく喋る。一方的に。 ふくろうがおいしいのかと聞かれれば「……結構いける……」普通に答えた。ふくろうだろうと肉は肉。ところで質問や言葉選びににそこはかとない敵意……とまでは行かなくとも含みを感じるのは気のせいだろうか。おれは「亀はのどに詰まりそう」とは気後れして言えないわけだし……だけど、一息のうちに言い切った言葉の中に、確かに「この子を頼むわね」と任せられたのを聞き取って、ふくふく笑って頷いた。] (32) 2021/02/22(Mon) 23:56:52 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新