【人】 ローグ ギュルセル……あ? [身体に何かが流れ込んでくるのを感じ、男はぴたりと動きを止めた。 ダンジョンに漂う気配を凝縮したような異質な魔力がどんどん注ぎ込まれてくるのを感じ] ぐ、ぅ……あ、っぁ、……ア──! [呻きながら身を捩らせ、背を反り返し、びくびくと全身を引き攣らせて男は吼えた。 意識が灼き切れるような快楽が爪の先から肌、肉、骨の髄を駆け上がり、髪の毛一本一本に至るまで埋め尽くす。 異質だと感じたはずの魔力がどんどん身体に馴染んでいく。 身体が、造り替えられていく。 テンガンの内に白濁を根こそぎ吐き尽くしても止まらない絶頂の中、これがその時なのだと男は本能で理解した。 人間でない何かになれる時がやっときた。>>2:174 やっと、解放されるのだと] (4) 2021/05/07(Fri) 11:55:33 |
【人】 淫魔 ギュルセル[やがて止め処なかった快楽が過ぎ去る。 外見上はほとんど何も変えないまま。 放心状態の男は、己が何者となったかだけは正しく理解していた。 大浴場へ続く道で、床にテンガンを組み敷き彼の後孔の最奥まで自らを突き入れたまま、男は荒い呼吸を繰り返す。 息も絶え絶えと言わんばかりの男の口からは、鋭く研がれた4本の牙が覗いていた]* (5) 2021/05/07(Fri) 11:56:24 |
【人】 淫魔 ギュルセル[男は改めて大浴場へ足を向けた。 行きたかった場所だったからというのもあるが、理由はもう一つあった。 人間の気を緩めやすい場所。 人間を罠にかけやすい場所。 ・・・・・ そこでなら新しい武器の扱い方も学びやすいはずだ、と男は考えた。 男にはずっとやりたかったことがあった。 無謀極まりないからと諦めていたことだ。 そのために役立つ武器を手に入れたのだ。 淫魔に身を堕としたことで] (16) 2021/05/08(Sat) 6:21:53 |
【人】 淫魔 ギュルセル[スラムの頂点に立つ。 どうすればそれが成し遂げられるか、男にはなかなか掴めなかった。 だがダンジョンで過ごした僅かな時間の間に、男は悟った。 いや、知っていたことを改めて強く実感したと言うのかもしれない。 周りを全員引き摺り下ろし、突き堕とせばいいのだ。這い上がれない快楽の淵へ。 爪を剥ぎ牙を抜き、戦意を失わせ、二度と歯向かう気が起きないぐらい心も身体も酔わせてやればいい。 それが有効な手だと再認識した。 そのために使える新たな武器として淫魔の身体を手に入れた。 あとは扱い方を覚えるだけだ。 だから男は大浴場へ向かった。 汗を流すついでに裸身を晒してのんびり過ごしてやれば、いいカモが罠と知らず寄ってくるかもしれないから。 何も来ないならそれでもよい、そのときは大浴場での入浴を満喫すればいいだけだ。スラムでは滅多に出来ないことだから]** (17) 2021/05/08(Sat) 6:22:40 |
淫魔 ギュルセルは、メモを貼った。 (a1) 2021/05/08(Sat) 6:25:31 |
【人】 淫魔 ギュルセル[大浴場やその近くで誰かと話すことはあっただろうか。 大浴場でのんびりと入浴を楽しんだあと、男はダンジョンの中を歩いていた。 獲物の気配がめっきり減ったダンジョンで、自然と感じ取れるようになった“同族”の気配の中に、知り合いとはっきりわかるものを一つだけ見つけたからだ。 男がここに連れてきた仲間。そのうちの1人が、男と同じように淫魔に堕ちたようだった。 彼女を連れ戻すべく、男は酒場に向かっていた。>>1:199 だがその途中、並ならぬ同族の気配を感じて足を止めた。 ──絶対に刃向かってはならない。 敵対してはいけない相手だ。 そう感じながら視線で気配の主を探した先には、金髪の淫魔がいた。 逃げるべきか逡巡しながら、男はその長く美しい髪を見つめていた]* (35) 2021/05/08(Sat) 20:17:19 |
【人】 淫魔 ギュルセル[「命を奪うのは苦手」。 その自己申告が当てになるわけがないのだが、相手は淫魔。今や同族だ。 同族の誼が通用するものなのかもしれない。暫し様子を見ることにして] これからか……。 [明かしてよいものか一瞬悩んだが、男は素直に話してみることにした。 これからやろうと思っていること>>17を同族がどう思うのか、感想を聞いてみたいと思った] 俺の周りにいる奴らを、ひとり残らず突き堕として 這い上がれなくしてやろうかと思ってな。 そうすれば、俺が頂点に立てるだろう? [気に食わない奴ら、いけすかない奴ら。そいつらを皆堕として支配下に置いてやろうと。 その手段を学ぶために、ここは良い場所だったと男は思っていた]* (37) 2021/05/08(Sat) 20:19:20 |
【人】 淫魔 ギュルセル[同族のあまりの食いつきの良さに、男は一瞬面食らった。 だが次の瞬間から気分が高揚し始める。 同族がこう思うくらい愉しいことを始めようとしているのだ] ああ、そこの街の一角からだ。 まずは絶対に逆らわない駒作りからだからな。 あのスラムを俺の支配下に置くのが夢だったんだよ。 [男が連れてきた仲間のうちで同族となった者は1人しかいないようだった。 まずは仲間内、それから身近な者たち。そしてスラム全体へ。 人を己に心酔させて支配するのはさぞかし愉しいだろう。 人を堕とす愉しみを知る男は牙を見せて笑んだ] ここの難を逃れた奴らも俺たちがいただく。いいだろう? [ここから生還できた人間なら、外に出た瞬間はさぞかし油断し尽くしているだろう。 獲物を餌食にするのに抜群のタイミングを、男が逃すはずはなかった]* (39) 2021/05/08(Sat) 20:21:06 |
【人】 淫魔 ギュルセル[弱みを握られるのは誰相手でも嫌だった。 気の合う同族であろうとも。 相手が優位なら尚更だ。 仮に弱点を突かれても、そうと悟られないために平然としていたい──男はそう思ってはいたが、そうそうできるものではないとも実感していた。 だから弱点は誰にも見せずに押し隠すつもりで生きてきたし、人間でなくなった今はもう気にする必要も無いのかと思っていた。 しかし、男のそういう性質は淫魔に堕ちようとも変わらないものらしい。 ここを出る前にそれを痛感できたことは今後の助けとなるに違いないが、男は心に楔を打ち込まれたかのように感じて小さく唸った] (42) 2021/05/08(Sat) 20:23:01 |
【人】 淫魔 ギュルセル……ああ、またそのときにな。 [どうにか表情を取り繕うと男はそう言って、酒場へと足を向けた。 動揺を隠し切れなかったのは、相手が同族だからだろう。 敵対することはないであろう相手。だから構わない。そのはずだ。 酒場に着くと仲間の女の首根っこを掴み、男は瞬時に2人で姿を消した。 空間移動魔法で外に出られると、いつの間にか理解していた。 出入口に着いたとき、他の男の仲間たちは誰もいなかったが、その他の人影はあっただろうか。 知り合いがいれば話すこともあるかもしれない。 その後は街の裏門からスラムの裏酒場へと帰っていく。 いつもと変わらない帰り道を、不可逆の変化を抱えて歩いていく]* (43) 2021/05/08(Sat) 20:24:49 |
【人】 瞬風の鬣犬 ギュルセル─ “瞬風の鬣犬”の死 ─ [手始めに仲間から、その次に周囲の人物へ。 男は宣言通りに忠実な手駒を増やし始めた。 快楽に堕とし心を絡め取り、次へ次へと爪を伸ばして牙にかけた。 男がスラムを掌握して牙城を築き上げたのは(9)1n11ヶ月後のことだった。 その次の月には娼館を支配下に置いていた] (56) 2021/05/08(Sat) 23:14:58 |
【人】 瞬風の鬣犬 ギュルセル[その頃には、男の狩りの仕方は大きく変わっていた。 手早く金品だけを奪う狩り方から、時間をかけて心ごと奪う狩り方へと。 時には人目につきやすい場所で、わざと姿を見せつけるように狩りの獲物を輪姦した。 止めに入った者まで餌食にしたし、終わると全員連れ去ることまであった。 獲物たちはその日の出来事に恐怖や屈辱ばかりか、陶酔すら覚えるという。 導かれるようにスラムやダンジョンに向かい“帰らぬ人”となる者たちが後を絶たなくなった] (57) 2021/05/08(Sat) 23:15:37 |
【人】 ── ギュルセル[男は瞬風と呼ばれなくなった。 次第に鬣犬とも呼ばれなくなった。 あれはただの鬣犬ではない、もっと悍ましい別の何かだと囁かれるようになった。 男の元に侍る者は増え続けた。 悪魔に魅入られたかのように。 王者の如くスラムに君臨し支配の手を広げていく男の手配書は、やがて名を書き換えられた] (58) 2021/05/08(Sat) 23:16:12 |
【人】 淫楽の夜魔王 ギュルセル[“淫楽の夜魔王” 人々のつけた名が混ざり合い、男の二つ名はいつしかそんな名になっていた。 男の元へ行けば極上の夢が見られ、その代わりに二度と戻ることができないとまことしやかに囁かれた。 男が地位を得ても、手配書を外すことはなかった。 己の存在を知らしめるため、己の元へ人を誘き寄せるために役立つからだ。 堕落と悦楽を望む者。 それらを毛嫌いし男を討とうとする者。 そういった者たちが男の牙城を訪れてはそのまま魅了され、一部は人ならざる者へと姿を変えるという。 男の名が国内に広く知られるようになったのは、男にかけられていた人間の枷が外れてから(5)1d6年後のことだった]** (59) 2021/05/08(Sat) 23:17:12 |
【人】 淫楽の夜魔王 ギュルセル─ 三年後のある日 ─ [スラムを完全に支配下に置き終えて2年、街全体も支配しつつある頃。 男はいつものように、あの刀使いと取引をした。>>76 日頃、誰かとの取引の現場に男が自ら出向くことは無い。だが彼相手のときだけは別だった。 かつて手出し無用と判断した相手だからだ。>>0:22 下手をすれば手間暇かけて懐けた手駒を失いかねない。 それよりは自ら出向いたほうが効率が良い。 そう判断してのことだった] (79) 2021/05/09(Sun) 22:05:20 |
【人】 淫楽の夜魔王 ギュルセル[言葉なく投げ渡された袋に入っていたのは、間違いなく男が依頼した代物。『ヨルムンガンドの毒牙』だった。 薬剤の材料として依頼したのだ。 厄介な敵──兼・獲物──を陥落させるために。 人間の目線で言えば、薬と言うよりむしろ毒であろう。 世界を呑むとさえ言われる“蛇”の牙は、人間に堕落の味を教え込むのに非常に役立つ毒薬となる。 差し出された手の上に、男は拳大の布袋を置いた。 その中には金貨が一掴みと、次の依頼について書いたメモが入っている。 報酬として渡した額は相場の倍にはなるだろうが、依頼品を単身得てくる彼にはそれでも安いほどだ。 余分な言葉も礼もなく、ただあるのは継続した依頼のやり取り。 続けて依頼するのだから仕事に満足している、続けて受けるのだから報酬に問題がない。 そんな言外のやりとりだけで、男たちは繋がっていた] (80) 2021/05/09(Sun) 22:05:45 |
【人】 淫楽の夜魔王 ギュルセル[彼にとってこれがただのビジネスなのを男は察していたが、もし彼のほうから歩み寄ってくることがあれば、そのとき男は躊躇わず彼を引き込むだろう。 男は誰かの心を誘惑し引きずり堕とすのをゲームのように楽しんでいるからだ。 最も好都合な関係を維持しながら、絶えず隙を狙い続ける。例え同族であろうとも。 それが“淫楽の夜魔王”などと呼ばれる魔物の習性だった]** (81) 2021/05/09(Sun) 22:06:07 |
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