京職 一葉は、メモを貼った。 (a13) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 6:24:45 |
【人】 京職 一葉日々、戦場や墓で屍肉を漁り、腐肉を啜る。 この都の郊外に居着いていた取るに足らない小物妖怪────それが元々のオレ、だ。 「そんなものより、こっちの方がずっと美味しいわよ?」 二十年ほど前のある日、犬の死骸に食い付いていたオレに、そう声をかけたヒトがいた。 白くふわふわした甘い何かを手渡され、その鈴のような声に驚き顔を上げれば、満開の桜の下、微笑む娘が居た。 「ご覧なさいな、綺麗な桜じゃない」 端から見ればほんの些細な、小さな出来事だったろう。 だが、死骸を探し、地だけを見て生きていたオレに、それは、世界を変える出来事だった。 * * * 「それまでは、ヒトとは、精々が"知恵のある餌"でしかありませんでした」 だが、ヒトには心があった。 花は美しく、"団子"なるものは屍肉より遥かに旨かった。 ────屍肉を啜るしかない己が、酷くさもしく、恥ずかしいものに思われた。 訥々と身の上を話す私を、百継様はどのような顔で受け止めていたのか。いや、最早、聞く耳すら持たれていなかったやもしれぬけど。 (18) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 8:12:11 |
【人】 京職 一葉その直ぐ後に訪れた百鬼夜行で、その娘を助けようと思った事。 街を駆け、娘を探すために、妖共に襲われていた民を"利用"した事。 あるいは助けることも出来たやもしれないその者の、"がわ"を。容貌を髪を声を、その態の諸々を奪い、己のものとした事。 「かの娘は、結局、見つけること叶いませんでした」 妖を見、言葉を交わす能のあった娘はきっと連れ去られたのだ。百鬼夜行に。 あの時から己は、人の世を妖から守りたいと願うようになった。 2つの世界が交わるから斯様な事になる。人は人の世に。妖は、妖の。 何よりの災厄、百鬼夜行は阻止すべきもの、と。 「私……は、百継様の憎しみの対象でございますか……?」 それも当然の事と思う。 「この一葉、百継様に一度たりとも嘘は申しておりませぬ」 言えなかった真実があっただけ。 ただ、その真実が、この方にとっては、最大の禁忌だった。ゆえに、ずっと言えずにいた。 香を吸いずきずきと脈打って痛む身体が限界を越え、身体がぐらりと傾いでいく。 「どうか。……どうか百鬼夜行を御封じ下さい。百継、さま」 望むのは、本当に、只それだけ。 それでも許せぬならどうぞ私を御討取りをと、私はゆっくり眼を閉じた。 [パス] (19) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 8:14:50 |
京職 一葉は、メモを貼った。 (a14) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 8:24:06 |
【人】 京職 一葉>>14 サービスシーン ■状況:全裸 ■解決:和歌 「「「あぶない!」」」 三者三様の悲鳴が響き、直後に派手な水音が、これまた3つ。 麗らかな春の日、私たちは鯉泳ぐ池の中で顔を見合わせ、げらげらと笑い出したのだった。 その日は確か、蹴鞠なるものをしたいという話になって。 未だ少年然とした継置様と、"幼い"という形容が未だ相応しい百継様と、私の3人で事に興じていた。 百継様の蹴る鞠は距離も方向も些か安定しなかったものの、継置様は器用にどの球も器用に受け止められるものだから、百継様もおおいに喜ばれていた。 そうして大きく青空に上げられた鞠が向かった先は池だった、という次第。 どう見ても池に落ちる角度で鞠を受け止めた継置様の袖を百継様がひっつかみ。 私は諸共落ちそうになる2人を引き留めようとはしたものの、力及ばず────大惨事。 邸内の徽子様から、急ぎ湯の支度をしますと呆れ顔つきの溜息混じりの声があった。 (23) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 14:59:42 |
【人】 京職 一葉湯殿の格子窓からは屋敷脇で咲き乱れる桜の木が良く見えた。 流石の百継豪邸、湯殿は私たち3人が使っても十二分の広さがある。 「ひさかたの 光のどけき春の日に」 高名な歌人の歌を中途まで諳んじたのは、百継様、継置様、さてどちらだったろう。 昼日中に花見をしながら湯浴みとは贅沢極まりない事でございますねと、御機嫌な私は檜の浴槽に頭を凭せかけながら調子はずれの節をつけつつ続きを詠んだ。 「つぐおきももつぐ 池に落ちけり…………、ぶはっ」 ちゃっかり己の名は組み込まなかった私に、2方向から盛大に湯飛沫が飛んでくる。 ずるいとかひどいとかへたくそとか、ぎゃあぎゃあと湯殿での騒ぎを再開した私たちに、また徽子様からの叱責が飛んできたのだった。* [テラーダイス取得] (24) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 15:00:22 |
【人】 京職 一葉>>31 >>32 誘蛾様返し 油断、していた。 才に溢るるとはいえ、容貌は少女で。声はかそけき鈴の音のよう。 「────…………ぇ、」 傍らを歩く誘蛾様がひたりと足を留め、こちらを見上げ、「何者」かと問うて来た。 ざあ、と体温を奪う一陣の風が吹き、大通り特有の喧噪が瞬間、遠のいてゆく。 ────しまった。 肌がざわりと粟立つ気がした。 時は正に"逢魔が時"。 昼と夜とが混ざり合い、妖のものが最も人の世に近付きやすい頃合い。取り繕っていた諸々が剥がれ綻びかけているのを、私は肌で感じていた。 その顔を覆う飾り絹の向こうかじいとこちらを見つめる少女から、私は、目を逸らせることも他愛ない話で誤魔化すことも出来ず、 (35) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 17:29:57 |
【人】 京職 一葉それは、これまで誰にも告げずに居た事。 告げねばならぬと思いつつも、告げられずに居た事。 ────これは、あの方も直ぐ知る事になるな。 濃紫に染まる空を見上げ、腹の底が緊張で冷えていくのを感じつつ、さあ行きましょうと常の顔と態度に戻した私は、誘蛾様と共に再び歩き出したのだった。* [誘蛾様へ一葉の秘密譲渡] (37) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 17:31:29 |
【人】 京職 一葉>>33 ■ドラマシーンA 絆取得 ■相手:徽子 ■場所:寺 ■成否判定:成功 徽子はあやかし。私もまた。 もう取り繕う必要なぞ、欠片も無かった。 百継邸から離れたところでと、しかし寺は寺であの香の匂いが厄介だ。 場を選び慎重に香の煙が届かない塀際に立つ私に、か弱きことと徽子は余裕げに嗤う。 「────何の為かと、聞くのも野暮だが」 私は知っている。 只々、その一時の快楽のため。 「お前は、何も思わぬのか。感じないのか?」 長年、百継様の傍に居て。 あの方の成長と苦悩と悲願を目の当たりにし続けて、それでも何も思わないのか。 私は知っている。 思わないのが、あやかしなのだ。 徽子からすれば、私の側こそ滑稽に見えるだろう。 人の姿となり、人と混じり、都をあやかしの被害から守るために奔走している私の側こそ。 (48) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 19:30:16 |
【人】 京職 一葉「オレにしてみれば、お前たちこそ憐れな存在だ」 人の世の美しさ、儚さ。 彼らは弱いからこそ信じ合い、愛し合い、守り合う。 あやかしには作り得ない、信頼という魂の鎖を紡ぐことができる。 私には何にも代え難い"宝"が出来た。 あれは、お前には到底手に入らぬものだろう?と小さく笑う。 「百鬼夜行の再来?好きにすればいい」 「でも百継様は、きっとお前を討ち倒す」 正直なところ、私と徽子では、妖怪としての格が違う。 例えるなら獅子と鼠のようなものだろう。 それでも。 (49) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 19:30:32 |
【人】 京職 一葉「オレが百継様を御守りする。継置様達もいらっしゃる」 口にすれば、それは叶わない未来ではないように思われた。 「オレはね徽子。お前が嫌いだったよ。ずっと昔から」 口にすれば、どこか清々しい気持ちになった。 お前みたいなのは、面と向かって「嫌い」と言われたことなどないだろう。 ザマーミロ。 「────だが。百継様を大過なく育ててくれた事は、感謝する」 幼き百継様を喰らわなかったのは、何かの狙いあってか、はたまた気紛れか。 そんなのは、知った事ではないけれど。 唐突に礼を述べたオレに、徽子はどんな顔をしたろうか。* [パス] (50) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 19:30:50 |
(a17) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 19:36:39 |
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