【人】 『ただの子供』 ソフィア村を守る代わりに贄を差し出せと言われ 最初は男女ともに差し出していたが>>303 いつからかそれが女性だけになったのは、 神として崇められ始めたからか、 大蛇が従っていたという医学の神に準えたのか、 それとも……。 思惑はどうであれ、成人した女を一人>>304 毎年神へと嫁入りさせる習わしが村には出来ている。 決して多くない村人の数を補うために 遠くない親族同士で契りを交わす時もあるとか。 (322) 2021/06/18(Fri) 14:47:28 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア*** 顔を顰める様子を見れば>>306 自分が怒られたかのように身体を震わせた。 「 えと、ごめんなさい……? でも、色んなことを村にしてくれる すごい人なんでしょう? 」 神様という言葉は人が呼ぶ敬称でしかない というのなら、自分から名乗っていないのは頷ける。 顰めた顔がどういう理由からのものか よくわからず、オロオロと眉根を下げる。 (323) 2021/06/18(Fri) 14:48:15 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア神様だとは信じても、人ではないだとか 蛇だとかは、未だによくわかっていないもの>>307 触れた手の冷たさに内心びっくりしながら 先程までとは違うような、 どこか冷ややかに感じる顔を見上げる>>308 「 ……覚悟。 」 神の元へと手伝いをしに行くには 重い覚悟が必要なのだろうか。 一体なにの手伝いをしているのか、 それを聞いてもいいものだろうか。 『ただの子供』はただの子供でしかなく 深く疑うことを知らない。 聡明というには遠く、見える世界しか語れないのだ。 (324) 2021/06/18(Fri) 14:48:41 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア (325) 2021/06/18(Fri) 14:49:03 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア話が途切れ、静寂が辺りを包み込むと>>310 いつの間にか、手を当てている胸の鼓動が 落ち着いていることに気がついた。 今でも大きな存在として、重圧を感じるけれど、 話している間にすっかりと慣れてしまった ということだろうか。 彼の髪は燃えるように赤いのに 瞳は湖面のように静かで>>311 真逆な色合いを不思議そうに眺めていると 頬に当てられていた手が白縹の髪を撫ぜていく。 (326) 2021/06/18(Fri) 14:49:23 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 え? 」 囁き声が一瞬理解できなくて>>312 聞き返すように声を上げれば すい、と彼の目線が私から離れた>>313 褒められたのかな、いや、気の所為かな。 流れ星のように通り過ぎて行った言葉を なんだか雰囲気の硬くなった彼に聞けないでいる。 (327) 2021/06/18(Fri) 14:49:38 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアどうしよう、そう思っている間に視線がまた こちらに帰ってきたけれど>>314 その表情はどこか不機嫌そうに見えて やっぱり、聞く時ではないと感じた。 「 人が来たの? 探しに来てくれたんだ。 神様はそういうこともわかるのね すごい。 」 安心したように息を吐けば漸く笑みを浮かべる。 神様が優しい人だからといって、森の中で 知っているものがいない状態は、やはり心細かったのだ。 (328) 2021/06/18(Fri) 14:49:58 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 いいの? ……ありがとう! 」 送ってくれると差し出してくれた手を そっと小さな手でとって。 すっかりと打ち解けた気持ちの神様と帰路へつく。 村で他の村人と顔を合わせたのなら こっぴどく怒られることだろう。* (329) 2021/06/18(Fri) 14:50:07 |
『ただの子供』 ソフィアは、メモを貼った。 (a27) 2021/06/18(Fri) 15:02:55 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア神様にとって、昔とはどのくらい前の話なのだろう。 横道に逸れやすい思考は、言葉を聞いて そんなことを考えた>>330 「 そっか、……ありがとう。 」 謝らなくていいと、そう言ってくれるのは 優しさだと感じた。 だから返すのはお礼。気にかけてくれたことに。 問いに答えが返らないのは、 もしかして『神様』と、 呼ばれるのが嫌なのかなって思ったけれど。 名前で呼ぶのは敬っていないように感じて やっぱり私は神様と呼ぶことにした。 (362) 2021/06/18(Fri) 22:27:48 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア “覚悟”という言葉の意味を>>331 彼が推測するように、私はまだ知らない。 あの村に住んでいるのなら負うべき責任を 負わずにのうのうと生きている。 それは私だけではなく、私以外の人たちも。 でも、他がそうだからって、 決して許されることではないのだろう。 (363) 2021/06/18(Fri) 22:28:27 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア (364) 2021/06/18(Fri) 22:30:12 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 違う村に住んでいるの? なら、そっちにまで行けば会えるのね。 」 どうして元の村に戻れないのかはわからないけれど お手伝いを終えた人は普通に生活しているらしい。 よかった、と安堵の息を吐きつつ。 疑問を口に出そうとしたら、先手を打つように 今はダメだと言われてしまった>>335 (365) 2021/06/18(Fri) 22:31:25 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアなんで? そう思わないわけじゃなかった。 けれど、視線を合わせた水のような瞳が こちらを穏やかに見ているように感じたから。 意地悪を言っているんじゃなく、 本当に必要だからそう言っているんだろうって 私は素直に、彼のことを信じようと思ったんだ。 (366) 2021/06/18(Fri) 22:31:45 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア*** 聞きたくないのに聞いてしまうというのは なるほど、確かに大変なことに思う>>336 安堵に緩んだ表情を神妙なものに変えて どう言おうか迷った結果、 「 じゃあ、出来るだけ、 うるさくしないようにする。 」 自分一人の努力でどうにかなるものではないと 子供の私に気づくことは出来ない。 (367) 2021/06/18(Fri) 22:32:08 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアそうして、少しゴツゴツとした 大人の硬い手に引かれるまま歩き始めれば>>337 一人で闇雲に歩いていた時とは裏腹に 気分は上がり始め、機嫌良く 木々の隙間から空を見上げた。 見えるものは少ないけれど。 綺麗に見える星の数々。 もし『Rasalhague』の意味を知っていれば 探すなんてこともしていたかもしれない。 (368) 2021/06/18(Fri) 22:32:26 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア夜の森、最初は怖かったけれど 今は楽しくて、好きになりそう。 上を見上げていれば転けてしまいそうに なったりもして。 その時は彼に迷惑をかけたかな。 「 あ、 あそこ! 」 森を抜けて村の入口が見えれば 思わず歓声を上げて喜んだ>>338 周りには運がいいのか大人の姿はなく 私たちの姿は見られていないみたい。 (369) 2021/06/18(Fri) 22:32:43 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアするりと手が離れれば、もう この楽しい時間は終わりなのだろう。 名残惜しげな顔をしながら彼を見上げたけれど 月の光が邪魔をして、その表情は伺えない。 「 ……そっか、神様に会ったって言ったら みんな驚くものね。 」 「こんらん」の意味はわからなかったけれど 言いたいことはなんとなくわかる。 手伝いに行った人達がどうなったか 友達たちに言いたかったけれど、きっと言えば あまり良くないことが起こるのだろう。 (370) 2021/06/18(Fri) 22:33:03 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア (371) 2021/06/18(Fri) 22:33:20 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアだって、きちんとお礼を言えてなかった。 言いたかった。 貴方のおかげで助かったんだって。 私の気持ちは伝わっただろうか。 月の光はどちらの向きか。 あなたの表情は見えただろうか。 (373) 2021/06/18(Fri) 22:34:58 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア村に帰れば、案の定とても怒られた。 友達には泣かれたし、 大人はなにを叫んでいたんだって 訝しげに見てきたり。 それでも、森で出会った彼のことは誰にも言ってない。 友達にも、両親にも、内緒の話。* (374) 2021/06/18(Fri) 22:35:12 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア*** ─── あの日から数日後。 私は両親が仕事に行っている間に キッチンに立って料理をしていた。 そう、料理である。 パンの耳を切って(手が危うく切れそうになった) 具材を混ぜて(それっぽいものを) パンに挟んで(量の加減が難しい) 皿の上に出来上がったのは、見事なサンドイッチ。 少々形が不格好で、マヨネーズが多すぎて、 野菜が多かったり少なかったりするけれど。 これは立派な料理。 それらをバスケットに優しく入れたら、準備は完了。 持ち手に腕を通して家を出て、目指す場所は、勿論。 ── ▷ 森の入口 ── (375) 2021/06/18(Fri) 22:35:44 |
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