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【人】 教師 落川 禅── 花火の下で ── [花巻に見送られながら屋台を後にすれば。 再びシャツを引かれる感覚に、ちらりと背後を見て。>>8 次々とあがる花火に照らされる鳳を確認して小さく笑い、人波に流されないよう前を向く。 空に花が咲く度に、湧きあがる賑やかな歓声。 それに混じって聞こえた声に、ふと。] …………お前のそれって、父親と重なるからか? [前から一度、聞いてみたかったことが零れた。 別に自分が年寄りくさいとか思ってるわけじゃないし。 歳はひとまわり違うとはいえ、親子と言うほど離れてない。 けれど彼女が投影するとしたら、家族くらいしか思い当たらなかった。 人間に対する辛辣な評価が根底にあるくせに。>>0:183 それを、素敵な家族だと語る。>>0:12>>0:13 それが俺を褒める時の言葉に、よく似ていたせいだ。] (46) 2021/07/27(Tue) 23:35:31 |
【人】 教師 落川 禅[屋台から少し離れたところまで歩き。 やっと空いたベンチを見つけたなら。] ここでいいかー? 歩いたから、ちょっとたい焼き冷めちまったなー。 [到着だぞー、と笑いながら振り返り。 手を離してくれるのを待って、腰を下ろそうと。**] (48) 2021/07/27(Tue) 23:35:46 |
【人】 教師 落川 禅まあそこそこ稼いで、そこそこ生きて、 満足してるっていいうか。 腹八分目が、ちょうどいいってやつだな。 だから、強いて言うなら…… [俺は、ちょっと怠惰で、さほど強いわけでもなく、なんだかんだちゃっかり生きてきただけの、わりと平凡な人間だ。 面白くない答えだろうな、と肩を竦めながら。] 今みたいな生活が長く続けばいい、ってのが夢かもなー。 [そんな風に答えて。 そういう鳳には、夢あるのか?、と。 目を細めながら、聞き返したのだった。**] (58) 2021/07/28(Wed) 1:55:40 |
【人】 教師 落川 禅[あくまで、夢は夢。 大人になるにつれて、嫌でも見える物事の上限に。 そんな長く続かないとわかっているから吐ける、綺麗事。 自分の平凡さを、足ることを知る度に。 そう考えるようになったのは、いつからだろう。] (165) 2021/07/29(Thu) 3:34:12 |
【人】 教師 落川 禅[頭上で鳴り続ける花火の音と、歓声を遠くに聞きながら。 一度伏せられた瞳がこちらを向く。 それは、何かを悟ったように大人びていて。>>71>>72 ほんの少しだけ、胸が痛んだ。] ……ああ。 言ったろ、俺は『先生』だって。 どんなやつでも生徒に頼られれば手を伸ばすし、 いいところがあれば褒めるし、 間違ったことしてるなら叱ることだってする。 ……そうしていつか、 大人になってく生徒を送り出さなきゃならない。 先生だからな。 [そうやってこれまで、数えきれない生徒を送り出してきたし。 これからも、送り出していくつもりでいる。 だから、今なんてのはいつか終わる儚い夢だ。>>70 空に弾けて散っていく、花火のように。] (166) 2021/07/29(Thu) 3:47:24 |
【人】 教師 落川 禅[礼儀正しく頭を下げて、向けられた小さな背中。 卒業するまで甘えていいと言ったつもりだったのに。 生徒として『甘え』るのを拒否されてしまえば、それを強要する権利は俺にはないから。 追いかけることはしない、けれど。] でも、俺はそんな出来た人間じゃあないからな。 懐いてこられりゃ可愛くて少し多めに甘やかしたくなるし、 不味いものを美味いなんて言うほど優しかないし、 用もないのに毎度声掛けるほどマメでもなけりゃ 楽しくもないのに声上げて笑ったりもしない。 (167) 2021/07/29(Thu) 3:47:40 |
【人】 教師 落川 禅── 卒業式 ── [今年も式は滞りなく終わり。 一息つくように戻った美術室で早速ネクタイを緩める。 机に寄りかかり、久々にスーツを着て凝った肩を回しながら。 ふと、少し色褪せた向日葵色の扇風機が目に入った。] ……ちゃんと卒業できてたなー。 [鳳が美術室に頻繁に来なくなって、一年数ヵ月。>>185 廊下ですれ違えば軽口は交わすし、声を掛ければ無視されることはないけれど。 以前に比べると余所余所しく感じるのは、たぶんそれまでが近すぎたからだろう。 遅かれ早かれ、引かなければならかなった線引き。 でもちょっと早すぎたかもなぁ、なんて後悔したりもしたけれど。 美術室から離れた彼女は、校内のあちこちに居場所を広げ。 校外でも順調に、世界を広げていっている。>>320 きっともう、大丈夫だろう。 巣立っていく姿を、無事見送ることができた。 思い出して目を細めながら、扇風機をそっと撫でた時。] (422) 2021/07/30(Fri) 23:54:55 |
【人】 教師 落川 禅はは……だから、男の趣味が悪すぎるだろ。 後悔しても知らねーぞ。 [いつものように、額をおさえて。 でも口元はどうしようもなく緩んで、笑ってしまう。 彼女が美術室に来なくなってから、感じていた。 早すぎたかもという後悔とか。 余所余所しい距離に感じるもどかしさとか。 ぽっかりと穴が開いたようなそれが、埋まって初めてさみしさだったことにようやく気づく。] ……会えそうな時間あれば連絡よこせよ、 急に来ても、忙しかったら構えないかもしれねーし。 鳳がいるのに、それじゃさみしいしなー。 [ゆっくりと顔を上げて。] (425) 2021/07/30(Fri) 23:56:48 |
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