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【人】 AI研究 波照間 ハテマ■VS アカツキ アカツキの身体は強く作ってある。 貧弱の見本みたいな僕が彼に敵うわけない。 ……と、思うだろう。 アンドロイド法、その筆頭に書いてある。 自由意志を持たせたアンドロイドが人間に反抗する場合、人間は速やかにその機能を停止する権利を持つ。 くそくらえだ、と思っていた。 僕のアカツキにそんなことできるものか。 仕方なく、そう、仕方なく……僕は、法にのっとって、アカツキに緊急停止ボタンを搭載した。 それは背中にあって、アカツキ自身では手が届かない。 「……ごめんね」 使うつもりはなかった。 なんでこんなことに。 視界が滲んで、僕は自分が泣いているのだと知った。 「アカツキ……」 僕の夢。 僕の憧れ。 僕の未来。 僕はアカツキをそっと抱きしめて、背中に回した手で、緊急停止ボタンを押した。 ――吐きそうだ。 (0) TSO 2019/09/01(Sun) 8:39:25 |
【人】 助手 茉莉花 -マツリカ-■VS ハテマ いくら先生が貧弱で不摂生だからって男の人だ。 流石に私も、正面からの取っ組み合いで勝てるとは思っていない。 赤月くんと決着をつけて来たと悟って、私は立ち上がった。 「先生、ひとつ良いですか?耳を貸していただけませんか?」 微笑んでそうおねだりをすると、戸惑った風に…でも、頷いてくれる。 先生、そういうとこですよ? 私は大きく大きく息を吸う。 理由?大声を出す為だ。ヘッドフォンも関係ないくらい。 「まずは自分でとことん努力するのが筋でしょー!? あなたはそれを認めないけど間違いなくあなたは、“天才”ですっ! スーパー有能で可愛い助手ちゃんが言うんだから、間違いありません! 故に、“アンドロイドになる”程度の願い、自分の力でやり遂げなさい! その“アカツキ”さんとご両親と先生自身が育てた頭脳を持って、ご両親がくれた身体を捨てる覚悟を持って! 悪魔の力なんて非科学に頼らなくたって、先生なら、出来ます!」 間近で大音量で騒がれて先生の繊細な脳は悲鳴を上げたみたい。 人間の身体だと、音量調節とかできませんもんね。 (1) rein-joir 2019/09/01(Sun) 9:31:31 |
【人】 助手 茉莉花 -マツリカ-「先生より私の方がずぅっと低レベルに困ってるんですから! 今回の願い、私に譲っていただきます!」 言ってる事全部めちゃくちゃだって?分かってます。 私はずるい“凡人”ですからね。そんなものです。 先生の方こそ、頭が良いからって考え過ぎなんですよ。 ふん、と胸を張ってふんぞり返った。* (2) rein-joir 2019/09/01(Sun) 9:32:31 |
【人】 助手 茉莉花 -マツリカ-これで私は晴れて“産業スパイ”から無罪放免です! とりあえず赤月くんは先生から経済的・物理的に独立しましょう! これでも助手だし、私もメンテできるからね?手伝うよ? 赤月くんが良いと思ったら、先生にメンテしてもらう形に戻せば良いんじゃないかな? 先生は、まずはそのヘッドフォン外して生活できるようになるところから始めましょうか! “アンドロイドになる夢”を叶えるとなれば、やる事山積みですよっ一緒に頑張りましょう!子離れできない親みたいに赤月くんいじめてる暇だってありませんからね? (4) rein-joir 2019/09/01(Sun) 14:18:41 |
【人】 アンドロイド 赤月 ーアカツキー>>0 アンドロイドは人間に逆らってはいけない。 そういう風に、定められている。 ――ハテマが俺を止めようと思うならするべき事は明白で、 それを選ぶなら、俺は、……抵抗しない事に決めていた。 ハテマに挑むフリ。 飛び込んでくるハテマに、意表をつかれたフリ。 ――……人間になれば、ハテマから自由になれる。 改めて人間になって生きる事に俺にとって価値があるのか、 理解するには、知識も、経験も、足りなさすぎた。 「……ごめんね」 ……ハテマが誰に謝っているのか、わからなかった。 求められているのは外見であり、兄に酷似した人格であり、 似た人格であって、俺の自我ではない。 好き、という言葉に隠された自己愛に、一体何の価値がある? ただ、こいつの眠れない夜が無くなるなら、 それは良いんじゃないかと―― 最後に、俺は思った* (5) 青磁 2019/09/01(Sun) 21:29:37 |
【人】 助手 茉莉花 -マツリカ-■その後の話 願いを叶えた私は“産業スパイ”ではなくなった。 唯、“そういう過去”の記録自体が消えているようなのに…何故か、仕事上仕方なく手元に置いていた機密資料とか機器は全部残っていた。 どういうシステムなんだろう。悪魔ってすごい。 もしかすると、あの黄色いゼリーちゃんが色々雑なだけかもしれないんだけど。 ともあれ晴れて唯の助手の誕生である。 万歳! こうなれば、もう憚ることなく色々出来るというもので。 「赤月くん、私と住む場所を取り換えっこしようって言ったら、乗る?」 悪戯っ子の笑顔で彼に持ち掛けたのは、数日後のこと。 色々考えたし先生とも話したけれど、やっぱり私の意見としては、赤月くんは先生から多少距離を置いて世界を見た方が良いと思う。 その一歩としては一人暮らしは悪くない話のはず。 実際に私が住んでいる場所なので、不便じゃないだろうし。 毎日通ってくるのだって余裕な距離感だし、ね? 「ふふ、面白そうでしょ?」 面白そうだ、と言ってくれた赤月くんにそう返す。 まずは色々見て、知って欲しい。あなたは“自由”を望んだから。 決行日は何時が良いかな、なんて考えつつ、私は合鍵を彼に渡したのだった。* (6) rein-joir 2019/09/01(Sun) 23:27:40 |
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