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【置】 いつかの 御山洗──御山洗 彰良『不発弾 <タイムカプセル> 』の主な中身きっと二人の入れたものより、内容は少ないのだろう。 『一枚の写真』 三人が遊んでいる風景の写った写真。 村の大人に、もしかしたら鬼走かもしれない、撮ってもらった写真は、視点が高い。 思い思いのポーズをとっていて、薄い写真からでもそれぞれの性格が現れるようだった。 『MDプレイヤー』 ずっと昔に御山洗が使っていた。一枚のMDディスクがそのまま入っている。 好きな順番で録音された中には、清和や宵闇の勧めた曲が入っているのだろう。 "11' 夏"とラベリングがされている。 『フォトブック』 料理の写真と料理名や感想が乗っている。 清和の家でいただいたものや集落の外で外食した時のものばかり。 そんな機会は少なかったのか、後ろの方はページが余ってしまっている。 『押し花の栞』 ベゴニアの押し花がプラスチックに挟まれている。 (L6) 2021/08/20(Fri) 13:10:38 公開: 2021/08/20(Fri) 13:10:00 |
【人】 過去から 編笠>>23 凪 ――俺は、静かにその言葉に応える。 「……ああ。分かった、姉さん。 それだけは、絶対に約束する。 俺も自分の気持ちに、はっきりとケリをつける覚悟、 姉さんのお陰で出来たから。 お互い、どこまで覚えているか分からねえけど、 だからこそ意味のある約束を、ここでしよう」 言いながら、目の前の誰かに、小指を差し出した。 それは意味のない約束だ。 ここから出たときに、夢から覚めた後に、 どれくらいそれを覚えているかは分からない。 ましてや本人でもなければ、今のままの姿とも限らない。 それでも、今ここに居る俺たちの間で約束をすることが、 必ず意味を持つ。 (24) 2021/08/20(Fri) 19:34:14 |
【人】 過去から 編笠>>24 夕凪 「……俺が出来る限りの何もかもを引き連れて、 必ず、会いに行く。夕凪の姉さんが思っているよりも、 もっともっとすげえものを見せるために、 ちゃんと自分の声を伝えに行く。 ――今なら、 自転車一個でどこまでも行けそうな気するんだ。 夢のような言葉も、夢のような現実も、 何もかも持って行くことを、ここで約束しよう」 だからこの"初恋"だけは、 もう少しだけ決着を先延ばしにしておく。 これは間違いなく、"本人同士"の問題なんだから ちゃんと失恋なりなんなり、しにいかねえとな……。 「なあ、こっちからも一つだけお願いしていいか、 ――『夕凪の姉さん』」 相手に、静かに尋ねる。 (25) 2021/08/20(Fri) 19:35:43 |
宵闇は、御山洗に口づけをした。 (a11) 2021/08/20(Fri) 20:02:26 |
御山洗は、宵闇を抱きしめた。 (a12) 2021/08/20(Fri) 20:35:42 |
【人】 陽は落ちぬ 夕凪>>25 編笠 「……大げさ。 それでも、夕凪は楽しみにしてる。 怪我してこないでよ、…急ぎすぎないで。 夕凪は、ただ。 こんな約束ができただけで、十分なんだよ」 小指を絡めただけの意味のない約束。 少年はなにに固執していたのか、今になってわかったような気がした。 編笠の"夕凪たち"に対する気持ちが聞きたかったのだ。 夕凪として聞きたかったのか。 夜凪として聞きたかったのか。 今となっては混ざってしまって明確にするのは意味をなさないだろう。 一度でも任せてしまいたくなったこの気持ちも。 一度でも隣を夢見た形にならないこの気持ちも。 あなたへの気持ちが泡沫のように消えてしまうのかは、この約束さえあれば不安じゃない。 "なれなかったこの気持ち"は、成熟する前に夢が覚めていく。 (26) 2021/08/20(Fri) 20:50:23 |
【人】 陽は落ちぬ 夕凪>>26 編笠へ だから今この祭りの間だけは、 夕凪としてこの夏、ここにいる。 「お願いって、何? わざわざ改まって」 あなたの言葉を聞くために、ここにいる。 ――ねぇ、淡い初恋を話してくれるのが楽しみよ。 大切な思い出が存在したことが嬉しくて仕方ない。 今も思ってくれていたことに胸がいっぱいで。 本当に来ていたら、その手を掴んで、水に飛び込んでいたでしょうね。 お魚さんは、逃げちゃうのかしら、捕まっちゃったのかしら。 夜凪なら、きっとそうしたわ。あなたのことが好きだから。 だから私も、言葉があふれる前に体が先に動いてしまいそうね。 (27) 2021/08/20(Fri) 21:05:45 |
【人】 過去から 編笠>>27 夕凪 ずっと、その器用に何かをこなす彼に憧れていた。 子どもだった俺たちは全員、その背中に背負われてきたはずだ。 普遍で、不動で、信頼できて、 何故かそれが絶対崩れないと信頼していた。 だから、誰も気づかなかった。 他の皆には夜凪の旦那がいても、 夜凪の旦那には、夜凪の旦那が居なかったことを。 弟分が、卯波が憧れを捨て去ったなら。 あいつのことを格好いいと思ってしまった俺が。 ――じゃあいつまでも、 こんな気持ちを抱えてていいはずがない。 助けての言葉が言えない相手に、手を伸ばさずにいられない。 「……伝わんないかもしれないけど。 ……全部勘違いかもしれないけど。 俺は憧れていた『夜凪の旦那』になる覚悟が出来たから。 だから、アンタにも必ず会いに行くよ。 でも、一人じゃ何もできないから。 ――たくさんの仲間を連れて」 そしたらきっと。 俺は、俺たちは――無敵だと。 そう信じさせてくれた親友がいるから。 (30) 2021/08/20(Fri) 21:37:16 |
【人】 夜を越えて 編笠>>27 夕凪 たち 一人じゃ救えないかもしれない。 一人じゃ答えを出せないかもしれない。 人は、誰かを救うようには出来ていない。 何もかもを解決するなんて無理だ。 なあ、もう一人の俺。 もし会えたら言うよ。必ず探し出して伝えるよ 人の腕が二本しかないのは。 誰かの差し出した手を握り、誰かに手を差し伸べるためだって。 「……だから夕凪の姉さん。 『 旦那も姉さんも待っててくれ 』って。そう伝えてくれねえかな。必ず、迎えに行くから。 それが、俺のお願いだ」 少しは、これで惚れた相手の前で格好つくかなと、 少年だった顔で、自然な顔で笑って肩を竦めた。 (31) 2021/08/20(Fri) 21:39:34 |
【人】 陽は落ちぬ 夕凪>>32 編笠 たち 「『なんだか楽しみ、賑やかそうで。 もちろん伝えてあげるわ。 今の言葉、夕凪にはさっぱりわからないのに。 夜凪がずっと聞きたかった言葉だってすごく思うの。 男の子同士で伝わるものなんて、なんだか妬けちゃうな』」 伝わらないかもしれないけど。 全部勘違いかもしれないけど。 「『夢から覚めたら、―――』 夕凪たちの物語も、これから紡がれていくんだから。 私から夜凪たちに伝えることは、 」一生があれば、大抵のことは大丈夫ってこと ここには凪いだ波しかなくて。 何一つ紡がれていなかったとしたら。 未来に繋がる"それ"さえ、あれば。 夕凪たちは二人でいくらでも待てるよ、だから。 「「待ってるね、編笠。 夕凪たちはきっと、そう言うよ。双子だからわかるんだ」」 青い空に、朱い灯火に、黄色の太陽に、緑の山に。 忘れ物はもうしなくてすむように。 もし、なくしたものがあったなら。 一緒に探して、また、魚でも捕まえて帰りましょう。 思い出はいつだって、みんなが来るのを待っている。 (33) 2021/08/20(Fri) 23:20:57 |
【人】 夜を越えて 編笠>>33 夕凪 「残念だけど夜凪の旦那との関係は、 夜凪の旦那との関係だけなんだよ。 同じように、夕凪の姉さんとの関係も、 夕凪の姉さんとの間のものだけだけど。 だから、俺にとっては…… どっちだって欠けがたいもんなんだよ」 それは。 幼馴染三人の誰一人、 何一つ手放す勇気を持てなかったのと同じで。 今まで何かを支えてきた人が居るなら、 今度はそれになりたがったっていいはずだ。 どうせここが夢なんだとしたら。 夢みたいな話をしたって構わないだろう。 そしてその夢を現実にするために、 少しばかり頑張ってしまうのが男という生き物なんだ。 大切な誰かの夢を叶えてほしいから、 方法を迷わないのが、男なんだ。 そうだろう――夜凪の旦那。俺たちやっぱ、似てるかもな。 (34) 2021/08/21(Sat) 0:18:55 |
【人】 茜差す方へ 編笠言いながら、自転車に跨った。 もう、後ろは振りむかない。 後ろに置いていくんじゃない、前に迎えに行くために。 だから、ここでは、さよならしなきゃな。 少年の残滓を置いていくようにして、 自転車のペダルに足を置いた。 「さあ、伝えてくるか。 ――今度は、俺の番だ、アカネ」 世界の何処にいたって一番最初にはきっと、 お前を見つけてやる。何回でも。何十回でも。 そう思いながら、自転車に跨った。 お前のことが好きだと。 今どこにいても伝えにいってやるからな――。 (36) 2021/08/21(Sat) 0:23:11 |
夜長は、こくり、こくり。頷いて、百千鳥の言葉を聞いていた。しっかり、確かめるように。 (t1) 2021/08/21(Sat) 1:00:41 |
夜長は、差し出された小指を見て、少し申し訳なく思った。 (t2) 2021/08/21(Sat) 1:00:46 |
夜長は、小指を置いてけぼりにして言った。「考えても仕方のないことでも、考えてはいけないことではないです」 (t3) 2021/08/21(Sat) 1:00:59 |
【見】 天狼の子 夜長【祭りの終わり】百千鳥 「昔がよかった、こうだったらよかった。 それは持ち続けていていい、モモチの持ち物だ」 またいつかの約束をするのは嫌でなかった。むしろしたいことだったが、そうするよりも先に、言いたいことがあった。 「……なんだろう。砂が、経験や思い出の砂時計があって。 白い砂が、落ちたら色が付くんです。 生きていて、色砂が積もって、増えていって。 その増えたもののことを考えることが増えるのは、当たり前だと 俺は思う。良くない思い出一個だけをよけておくのも難しい。 砂が落ちて積もる場所は、ひとつだけだから」 雪子から聞く思い出話は、いい思い出だけではなかった。悪い思い出の全部が話されたわけでもないと夜長は思っている。それでも夜長は村が好きで、村に行きたかった。 「色砂はモモチの物だが、 忘れたり、考えないようにしまってもいい。 考えるとつらかったり、くるしかったりするから。 時間を刻まない、時計みたいになっても良くて」 鬼走から譲られた懐中時計も、もしかしたらつらいやくるしいが理由で止まってるのかもしれない。そんなことを考えたことがある。 家族が欠けて、かなしくて、それでも変わらず時を刻み続けて。それはすごく無理をしている状態で。みんなが揃っていた時には、同じ様に落ちても"みんながいるから"平気だったかもしれない。でも、落ちた時にはたくさんくるしかったから。 何もなく動き始めるとしたら、色んな奇跡が重なった時だろう。 (@5) 2021/08/21(Sat) 1:03:37 |
夜長は、ひとつ深呼吸をして。それから言った。「モモチ」 (t4) 2021/08/21(Sat) 1:04:13 |
【見】 天狼の子 夜長【祭りの終わり】百千鳥 「俺は会いに行きます、連れ出します」 「でも、考える暇がなくなるようにでなくて、 モモチがモモチの持ち物を全部持って行けるようにが、 俺の理由になるな」 考える暇がなくなるように。自分が動くのはそのためにではない。少し突拍子のない例え話は、夜長本人としては繋がったものだった。 「そっちは、できるのがいつかもわからない、 本当にいつかのことになってしまうが……それでも、」 止まった時計が動くのは、奇跡が重なった時だけではない。 「あなたに会いに行く、またいつかの約束は今に出来る」 (@6) 2021/08/21(Sat) 1:05:26 |
夜長は、小指を絡めた。 (t5) 2021/08/21(Sat) 1:05:41 |
夜長は、何度でも約束し、何度でもそれを果たす。 (t6) 2021/08/21(Sat) 1:05:47 |
【置】 いつかの 清和──清和 瑠夏『不発弾 <タイムカプセル> 』の主な中身『一枚の写真』 中学生の頃の三人が写っている。 清和が思う、三人が最も"三人"だった頃の写真のようだ。 『オイルライター』 "火遊び"に使っていたもの。 "ワル"との決別のために過去に置いてきた。 『キーホルダー』 "相棒"であるバイクに付けていたもの。 懐かしいデザインのそれも、決別のために過去に置いてきた。 『手紙』 "10年後のカケルとアキラへ"と書かれた封筒に入っている。 (L7) 2021/08/21(Sat) 1:07:58 公開: 2021/08/21(Sat) 1:10:00 |
【置】 いつかの 清和俺の親友たちへ。 お前らがこの手紙を読んでいるということは、 俺はそのタイムカプセルの回収に失敗したということなのだろう。 もしくは、何らかの事情でそちらに行けなくなってしまったのか。 ともあれ、先に手紙に辿り着いたお前らに向けて俺は筆を取っている。 何も言わずに出て行ってしまったこと、お前らは恨んでいるだろうか。 この手紙を書いているときから、そうすることは決めていた。 俺たちの田舎がなくなってしまう以上、誰かがしなければならない。 その役割をする悪者は、俺であるべきだろうと、カッコつけていた。 本当は、俺もお前らと離れるのは寂しいと思う。 だけど、お前らを守るためにはいつまでも田舎にはいられなかった。 俺は必ず警察官になると決めた。みんなを守れるようになるために。 ハーフだろうが、金髪だろうが、誰にも文句を言わせるつもりはない。 だから、お前らにもちゃんと夢を叶えて欲しいと願ってる。 俺は、お前らの音楽や料理が、みんなを笑顔にできるように、 この世界の平和と安全を守れるような人間になってやるから。 カケル、アキラ。 俺は、何処に行ってしまってもお前らの幸せをずっと願い続けてる。 お前らが幸せに笑って生きていてくれることが、俺の幸せだ。 だから、どうか笑ってやってくれ。 こんな手紙を残してやる、バカな清和瑠夏って男のことを。 お前らの親友より。 (L8) 2021/08/21(Sat) 1:18:05 公開: 2021/08/21(Sat) 1:30:00 |
【人】 夢のその先 百千鳥>>@5 >>@6 夜長 【祭りの終わり】 置いてけぼりになった小指に、一瞬だけ ああ、やっぱり皆は自分が思うほどには、なんて 後ろ向きな考えが首を擡げて けれどそれはすぐに散り失せる事になった。 「……そうだね。 砂が落ちて積もる場所は、一つだけ。 そこには当然良くない思い出もあって、 他のものと混ざり合っているから、よけておくのは難しい」 「だから、掬い取ってよそへやってしまうのも良くない。 全部が混ざり合って、それでやっと今の僕があるから。 たとえたった一掬いだけでも、それを失くしてしまったら きっとそれは、今の僕とは違う人になってしまうのかも」 さんざん人に取り落とすな、なんて言っておいて その実、自身を省みる事もできていなかった。 はは、と息を吐くようにも笑いを零す。 夢を見るのに疲れてしまった今のそれは弱々しいものだけど 決して、後ろ向きなものだけではない。 「…うん。 それがいつになるかは僕にもわからない、それでもよければ いつか会いに来て、晴臣くん。 それで会えたらその時は、もう一度"またいつか"を約束しよう」 (37) 2021/08/21(Sat) 4:55:09 |
百千鳥は、「ゆびきった。」 (a13) 2021/08/21(Sat) 4:55:59 |
【置】 涼風拝啓 ひぐらしの声を聞いて胸に寂寥感が芽生え始めて参りました。残暑厳しき折ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。 手紙を書き始め、次で十通目になります。 月日が経つのも早いものです。私の周りも、私の立場も、昔と比べると変わったものが随分増えました。 それでも変わることのないものがあります。どれだけ経っても、決して色褪せないものたちが。 (中略) 手紙は勿論書きますが、来年はようやく時間が取れそうですからきちんと貴方にお会いして挨拶をしようかと思います。 それに、見せたいものもありますから。ようやく夢が形になったんです。 (中略) 略儀ながら、書中をもちましてお見舞い申し上げます。 敬具 20××年 8月××日 涼風薫 (L9) 2021/08/21(Sat) 14:40:39 公開: 2021/08/21(Sat) 14:45:00 |
【置】 涼風 家か、或いは関係者に渡したのか。 手触りのいい和紙の便箋がとある人宛に送られた。 『優くん元気?私だよ。涼風です。 こうして手紙を君に送るなんて、昔を思い出してしまうね。 久しぶりに話がしたいな。アイスでも食べてさ。ところで、おすすめのアイスとか知らない?折角だし一緒に買おうよ。お墓参りが終わった後にでも。 追伸 なんとなく昔を思い出したからお墓参りも自転車で行きたくなっちゃった。まだ自転車はある?』 ほっそりとした字で、ありとあらゆる無茶振りが書かれている。 そんなマイペース極めた手紙を貴方が読み終えた頃── (L10) 2021/08/21(Sat) 14:44:09 公開: 2021/08/21(Sat) 14:45:00 |
【置】 再点火 花守>>添木 【乾杯】 おつかれさまヒサシ、ホントに警察になっちゃってまあ、よくがんばったな。 久しぶりに会って、あんたの家に行って、ご飯したり酒飲んだりして、"オトナ"になったくせに昔っから変わらない所もあって、楽しかった、でも、それが逆に寂しいやらでさ…… 結局、言い出せなかったけど、私は『約束』守れなかったよ。 あんたと同じか、それ以上に努力してきたつもりだったけど、現実はいつも私に厳しくって、それでも次こそはって頑張ってきたけれど……あれから10年経って私は医学部にも入れず8浪だよ。 8年、『約束』も果たせず、"オトナ"にもなりきれないで停滞してた時間が8年間、親に呆れられて、毎日毎日生活費と学費を稼いで、隙間の時間で勉強した時間が8年間、振り返っても空虚しかないこの時間の重さ。 それに気が付いちゃったから、もうダメだって諦めてた。 だからだろうね、私がここにきたのは。 この村の大人たちはそんな好きじゃなかったけど、私の人生で一番充実してた青春が、確かに此処にあったから。 嘘つきは嘘を隠したまま、幻想の中のあの頃をもう一度望んで、あんたや私の事を知ってても知らなくても、良くしてくれた皆に会いたくて………… でもさあ、会っちゃったら、やっぱ悔しかったわ。 昔っから『対等』だって思ってたあんたが成功して、私はそのままって、惨めで悔しかったわ。 だから待ってな、今度こそ果たせなかった『約束』を果たして、ついたウソを告白して、あんたは呆れるかな、それとも昔通りでいてくれるかな、ともかく── ──果しにいくよ。 (L11) 2021/08/21(Sat) 18:09:37 公開: 2021/08/21(Sat) 18:30:00 |
【置】 再点火 花守>>清和 【約束】 『約束』、うん『約束』するよ、センパイ。 今度こそ、ウソをホントにする為の、私の人生を、この10年を。 いや、この人生が無駄じゃなかったと、私が私であると胸を張って言える様にする為に、もう一度『約束』する。 だから、貰ったメモにはしばらく頼らない、ここに連絡するのは私が合格した時だって決めた。 すぐ連絡できるかも知れないし、もしかしたらまた永く待たせちゃうかもしれないけど、これはケジメ。 そうしたら、よくやったって、褒めて。 きっとそれで、それまでの苦労が報われるから。 あと、合格したら、一緒に両親に会って欲しい、散々試験に落ちた私をみかねて、もう諦めたらと心配してくれてた二人。 意地っ張りで、見栄っ張りな私は、それに反発して喧嘩して、もう何年も会ってないから、今更顔を合わせるのが怖くて、謝りに行くのに、一人じゃちょっと難しいから、一緒に来て欲しい。 まだまだ、こんな歳になっても"コドモ"のままの私に、もう一度歩き出す勇気をありがとう。 それに報いれるように、今度こそ"オトナ"になった私をみせられるように頑張るから、きっと、必ず、いい知らせを届ける、だから私を信じて、見守ってて、いつか"コドモ"を── ──卒業できるように。 (L12) 2021/08/21(Sat) 18:11:07 公開: 2021/08/21(Sat) 18:30:00 |
【人】 再点火 花守>>4:41 「ホント、こなくてもよかったな。 甘い夢を見に来たのに、辛くて重ーい現実と向き合う勇気、貰っちゃう事になるなんて、思いもしなかった。 あーあ、諦めようと思ってたのに、これじゃ仕方無いかね」 立ち上がって、土埃を払って、大きく伸びをする。 「それに……」 ハウリングするくらい目一杯の叫びがスピーカーからきこえる。 小さい方のアキラくんの、青春生放送。 「また集まるんだったら、顔向け出来るようにしとかないとね」 夏の終わりに産まれた彼女の誕生花はシロツメクサ。 この"花"に込められた言葉を、きっと彼女は"守り"果たすだろう。 (38) 2021/08/21(Sat) 18:12:08 |
【置】 あの頃の 宵闇すこし古ぼけてかすんでいる楽譜、かろうじて読めるくらいの。 まだ音楽への知識が浅い時にはじめて創作したもの。 その曲のタイトルは『再会』 あの頃の少年が細い指でギターをかき鳴らす。 ──ふわりと、頬を風が撫ぜた 前奏、それはそよ風のように優雅に 爽やかな空気の流れるはずんだ音 雲ひとつない青空広がるすっきりとした空。 ──僕らは繋がっている ──きっと同じ空を見上げている 間奏、転調、雨が降ったように、ぽつりぽつりと。 しっとりとした、音が紡がれる。 それは恵みの雨、悲しみを流す清らかな水だ ──晴れた夕焼け空にカラスが鳴く ──帰ろう、僕らの道へ 後奏、夜が訪れるように 宵闇は光へと続くしずかな夜だ。 ──朝は必ずやってくる ──それまでは安らかな夢を (L13) 2021/08/21(Sat) 18:19:17 公開: 2021/08/21(Sat) 18:20:00 |
【置】 あの頃の 宵闇 "未来"の宵闇 翔へ 元気ですか? ちゃんとメシ食ってますか? 彼女はできましたか? 夢は叶えましたか? 俺は小さい頃、なんとなく母さんが喜んでくれるからって 理由でピアノをやってたけど、今ではすごく楽しんでる。 都会の音楽に触れられるようになったのはルカのおかげだし。 俺もなにか夢を持ってみたいと思ったのはアキラのおかげだ。 未来の俺はどうですか? もし、挫折してたりつまんねえなって思ってたら いっそ音楽なんてやめちまえばいいと思います。 それもいやなら、一緒に入れた楽譜を見て思い出してくれ。 これはアイツらには今はナイショだけど、曲をつくったんだ。 練習もしたから今の俺は歌えるし、思い出すはずだ。 まだうまくできないけど、未来の俺がアイツらと再会したら 歌ってくれよな。絶対はずかしいと思うけど。 過去の宵闇 翔 (L14) 2021/08/21(Sat) 18:21:01 公開: 2021/08/21(Sat) 18:25:00 |
夜長は、 夢から覚めた後、モモチに会うのが少し照れくさいかもしれない。 (t7) 2021/08/21(Sat) 20:28:41 |
夜長は、早く大人になりたい。夢に来る前と、理由は変わった。 (t8) 2021/08/21(Sat) 20:28:52 |
夜長は、来年中にはお兄ちゃんになっています。 (t9) 2021/08/21(Sat) 20:29:41 |
【置】 夢のその先 百千鳥「さようなら、慈姑さん。 ずっとを望むくらいには、ここは良い夢だったよ。 あなたにとってもそうであったらいいんだけど。 ──待っててね、きっといつか、また皆で会いに行くから。」 皆を見送る老婆に挨拶を終えて、 爽やかな風の吹き抜けるあぜ道を歩く。 夢から覚めたら、現実を生きていかなければならないから。 だから夢と現の狭間、微睡の中にある今の内に これからの事を考えよう。 皆を守る、"正義の味方"を守るのは誰? 誰もなれないのなら、今は何にもなれない自分がそうなろう。 いつも皆の背を追ってばかりのあの人は、 今や自分も追われる側なのだといつ気付くだろう? 物語を、夢を紡ぐ事を今尚捨てなかった人々に "みんな"の居る長閑な村を、物語の中に創ってもらうのもいい。 水鉄砲の、最後の一発は"またいつか"のその時までとっておこう この村に来た時に、自身の慕う兄がそうしたように "再会の挨拶"を叩き付けてやるのだ。 自分と同じように、抱えきれないほど多くを欲しがって 同じ夢を見て、そしてこれからも同じ夢を見続ける 大人になりきれなかった誰かさんに。 (L15) 2021/08/21(Sat) 20:40:29 公開: 2021/08/21(Sat) 20:50:00 |
天狼の子 夜長(匿名)は、メモを貼った。 2021/08/21(Sat) 20:42:58 |
【置】 君ぞ来まさぬ 百千鳥わが門の 榎の実 もり食む 百千鳥 千鳥は来れど 君ぞ来まさぬ ──作者未詳 『万葉集』 巻16-3872 雑歌 我が家の門前の榎の実を啄みにくるたくさんの鳥たち、 鳥は来るのですが、あなたは来てくださらないのですね。 (L16) 2021/08/21(Sat) 20:43:33 公開: 2021/08/21(Sat) 20:50:00 |
【人】 音楽家 宵闇ここにずっといたら取り戻せそうだった心があった。 今の自分にはなくて、過去に置いてきてしまったものがあった。 思い出せそうだった、すこしだけ思い出した。 それは『好き』という、身近にあって大事もの。 この村で培ってきたものが、音楽が好きだった。 男はきっと、この夢の事を一曲にするだろう。 ひとりの老人が、皆が愛した村。 ──時数えの田舎村。 (39) 2021/08/21(Sat) 20:55:31 |
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