【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介 ー あの日 ー [門の脇に生えている松の木の枝が 寸分違わず剪定されているのを見てから 正直少し、居心地が悪かった。 店の奥で縮こまっているだけが 古物商の仕事じゃない。 今日みたくお客の家まで出張して 買取・販売するのも俺の大事な仕事。 母屋の脇の土蔵の中のお片付けを……と お上品そうな老婦人に依頼を受けて 足を運んでみたものの、このぴしりと 湖に張った氷みたいな静謐さは どの家にいても息が詰まりそうになる。] (11) 2021/05/17(Mon) 14:25:54 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[大きな居間に俺を案内すると 大島紬をしゃなりと着こなした老婦人は 『これは代々伝わるものなのですが…』と 蔵から出てきたという 花瓶やら掛軸やら茶碗やらを並べて笑う。 その洗練された所作は、きっとこの家の 伝統や格に裏付けされたものか。 その『代々伝わるもの』を何故手放すのか 俺は問い掛けたいのを堪えながら 広げられた古美術品たちに目を落とす。 やや印のズレた掛軸、 わざとらしい釉垂れの茶碗…… 俺は見るべきもの探すように 畳の目に視線を走らせて───── かた、と襖の奥からの音に顔を上げた。] (12) 2021/05/17(Mon) 14:26:24 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[この家に似つかわしくない、 けれど『年頃の娘』という感じのお嬢さん。 古美術の色褪せたセピア色に馴染んだ目に ぱっきりとした赤い色が、眩しくて 俺は目をぱちくりさせる。 『挨拶なさい』と厳しく一喝する老婦人の声に そのお嬢さんは従っただろうか? 目が合うなら、一言「お邪魔してマス」と 片頬上げて会釈するくらいはしよう。 たった一瞬だけだったとしても 俺はあの家に咲いた、 花のような赤の鮮やかさを忘れられない。] (13) 2021/05/17(Mon) 14:26:43 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[─────その後、羽二重餅みたいな 婉曲で包んだ言葉で評価額を尋ねてきた老婦人に 『額の付けられるモンはないので 大切に仕舞うより使っちまった方が よっぽどこの品モンには良いでしょうヤ』 と正直に答えて家を叩き出されるまで、 俺の瞼の裏に、赤い花は咲いたまま。] (14) 2021/05/17(Mon) 14:27:26 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[金にはならない、時間だけ取られた仕事を終えて それから数週間は経ったろうか。 変わり映えのしない店の中で 唯一の常連客の猫の背を撫でながら ぼんやりと過ごしていた時、 ふと、また視界に花が咲く。] ─────あ、 [眠みに重たくなっていた瞼が 視線を混じえた瞬間、ふわ、と弧を描く。 記憶の糸をたぐって、このお嬢さんの 正体に合点がいけば、頷いて。] あー、西園寺さんとこの。 [アントキャトンダゴブレーヲ、と ひょい、と頭を下げてみた。 動いたせいで、膝の上の猫から苦情が飛んだ。] (15) 2021/05/17(Mon) 14:27:50 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[覚えてるのか、と言われたら 「客商売だモンでね」と 軽く笑って答えるだろうが…… 多分、「その赤が目に焼き付いててね」なんて 歳若いお嬢さんには恥ずかしくて言えないさ。 友達との待ち合わせをしているのだと 言われたならば、何かの縁だ、と 茶の1杯くらいは出すだろう。 生憎、茶の専門店じゃない、ただの骨董屋には 映えない粗茶しか出せませんが。] (16) 2021/05/17(Mon) 14:28:04 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[だから、また来てくれたなら] オウ、来たな冷やかし客め。 [当初よりも幾分砕けた口調で笑って 前と同じように粗茶を出すだろう。 小さな歓迎の印のジンジャークッキーを添えて。]* (17) 2021/05/17(Mon) 14:30:00 |
【人】 泡沫の約束 “ ” わあ、でけえ月。 [住処の窓から差し込む月明かりに思わず感嘆。 こいつはいいやとばかりに 酒蔵からブランデーとグラスを拝借し、 月見酒と洒落込みますか。] (18) 2021/05/17(Mon) 15:18:24 |
【人】 泡沫の約束 “ ”[屋根上に上がるのも今やお手の物。 外から たぁんッ!と 一息に飛び上がれば、ほら。 音もなく着地なんて朝飯前だ。 夜だけど ]よっ 、と。 [ぴゅうと一瞬強く吹いた夜風に一瞬よろめくも やがて落ち着けばストンと腰を下ろし、 まずは一杯と煽れば酒が喉を焼き、酒精が体に染み渡る。 くぅ〜っ!と思わず膝を叩いて] (19) 2021/05/17(Mon) 15:18:39 |
【人】 泡沫の約束 “ ” あ゛ぁあーーーーっ! 生きてるって感じするわぁーーーーっ! [半ば叫びのよう出てきた言葉があんまりにも可笑しくて 主に見つかってたら何してんだと言われそうなぐらい 屋根上でヒーヒー言いながら爆笑してしまった。] うわー、俺今すっげー矛盾した言葉吐いたわー。 「生きてるって感じするわー」って何? ねえ、今のすっげー笑えません? [いつも主へ接するかのように、冗談めかして語りかければ 本音がぼろりと顔を出す。] (20) 2021/05/17(Mon) 15:19:43 |
【人】 泡沫の約束 “ ” 大切な人達さえ生かせりゃ、それで良かった。 その為なら命だって惜しくは無かった。 一刻も早く、自由の身にしたくて、それで…… あと一歩のところで みーんな、死んじゃいました。 俺だけ1人、生きちゃいました。 ────生きちゃったんです。 (23) 2021/05/17(Mon) 15:20:48 |
【人】 泡沫の約束 “ ”[屋根上で望月を眺めながらひとりごちていけば 手持ちのブランデーはいつの間にかもう半分だ。] 皮肉ですよねえ、 あれだけ助けたいと願っていた人が皆死んで 大事な人さえ無事で生きてくれたら 自分の命はどうだっていい奴が「生きて」と願われ、 生き延びた挙句死なない体になるって云う、ね。 [自嘲するように笑えば、 琥珀に映り込んだ月と星ごと一息に喉奥へ流しこもう。 灼け付く喉の痛みは、飲み干した星々の熱さのせいにして。] (24) 2021/05/17(Mon) 15:21:07 |
【人】 泡沫の約束 “ ” “生きて”って軽率に言いますけど 残された方の身にもなってくれって奴ですよ。 死に物狂いで助けようとした人達が 目の前であっけなく死んで、先立たれ 最期に“生きて”と願われた身からしたらね。 あれ相当しんどいんですよ。 [助けられなかった自分の無力さを呪った。 こうなることを予測出来なかった自身の未熟さを恨んだ。 殺した奴と、そいつに与する奴ら全てへ復讐を誓い、果たした。 とはいえ願われなかったら? 復讐を果たしたナイフの鞘はきっと、己が胸。] (25) 2021/05/17(Mon) 15:21:38 |
【人】 泡沫の約束 “ ”──────“生きて”、か。 何年ぐらい生きたら あの約束果たしたことになるんでしょうね……? [人並み?それよりもっと? いっそ終わらぬ命で世界の全てを見届けるまで? 後者だったらきついなあ。いや流石に無いと思うけど。 無いよね?無いよね?] (26) 2021/05/17(Mon) 15:21:57 |
【人】 泡沫の約束 “ ” でもまずは、夜明け前に部屋へ戻るとしますか。 [昼夜逆転生活、というほどではないけれど そこそこ夜型生活な自分は日が昇ると調子が出ないものだから、 動けるうちに動いとこう。 僅かに明るくなった気配すれば「やべえやべえ」と 急いで部屋に戻る屋根上の影一人。 夜が明ければ、いつも通り何てことない1日の始まりだ。]** (27) 2021/05/17(Mon) 15:22:27 |
泡沫の約束 “ ”は、メモを貼った。 (a1) 2021/05/17(Mon) 16:40:23 |
【人】 ぷにぷに アポス――― 時は……来た! [ ぷににと丸いフォルムを揺らしてちょこんとした先端で立ち上がる。 森の中、大きな白い石と、その石が良く見えるように半円に配置されたいくつもの切り株。 その切り株の一つの上に\ばばーん!/とポーズをキメた。 もとより小さめフォルムのため切り株の上に立ったところで全然低かったけど。] (28) 2021/05/17(Mon) 17:50:59 |
【人】 ぷにぷに アポス今こそ冒険、でんせつのはじまり…! まちにっ いくのだ〜っ! [ ぴょこんっ と飛び跳ねる。身体を伸縮させてのジャンプはそこそこ高さがある。 森育ちにとって街は"なんだかすごいところ"だ。 拾った宝石で買い物ができることは知っているけど、何を売っているかとかはふんわりとしか解っていない。 今まで集めた宝石もあるし、何より今は行く理由が在る。] (29) 2021/05/17(Mon) 17:51:11 |
【人】 ぷにぷに アポスせんせえがおやすみしている今! だされた じゆうけんきゅ〜 というかだい! まちでしらべものをするっ! これが"さいつよ"だと思うのだがどうか!? [ ぺぺーんっ と胸(?)をはり、近くの友人に話しかける。 街はそう遠いところではない。別段危険もない。断る理由はないだろう。と、ふんすふんす。きらきらわくわくしながら言うことに、その友人は素気無く断ったりしないと信じていた。]* (30) 2021/05/17(Mon) 17:51:21 |
ぷにぷに アポスは、メモを貼った。 (a2) 2021/05/17(Mon) 17:52:39 |
【人】 ぷにぷに グレザンふぅん。 とうとう、街に行くときがきたか。 [ 切り株の上にぽてんと座り、長い二本を顔の前で組む。 元気で騒がしくてぴょんこぴょんこ跳ねる友人と違い、実に落ち着いた態度で頷いた。 それでも短い四本はせわしなくぶらんぶらんしている。 なんてったって初めての街だ。あっちこっちに建物があって、お店があって、見たことないものがいっぱいだと、先生や大人たちに教えてもらった。 そんなのわくわくしない方が失礼というもの。] (31) 2021/05/17(Mon) 18:33:55 |
【人】 ぷにぷに グレザン街でしらべもの。 なにをしらべるか考えてから行くべきだろう。 たとえば、街ではなにが売っているか。 森では手に入らないものをたくさん探すのはどうだ。 どんなお店があって、なにが置いてあるのかしらべるとか。 [ 先生はしばらくお休みだ。時間はたっぷりある。 それでも計画を立てるのは大事だという教えをしっかり覚えている。 よく花丸をもらうのだ。間違いない。実際に計画通りにいかなくても。 ひとまず案を一つ出したが、友人の反応はどうだったか。 宝石もいくつ持っていくべきか話し合わねば。]* (32) 2021/05/17(Mon) 18:34:24 |
ぷにぷに グレザンは、メモを貼った。 (a3) 2021/05/17(Mon) 18:36:08 |
【人】 ぷにぷに アポスほほーう たしかにイチリあるなっ! [ 隣の切り株で二本を組みながら言う友人にもっともらしくからだ全体で頷く。さすがけんせつてきな意見をだす。] 手に入らないものを買う……、 おーいにさんせいっ だとも! せっかくのまちだ、 この森で手に入るものを買ったとて、 おもしろくないっ……! [ 言いながらまだみぬ街での買い物に想いを馳せた。 ポワポワポワワンと思い浮かぶのは珍しいものを大量に手に入れて先生に花丸をたくさんもらう自分たちの姿だ。 計画性で花丸をよくもらうのは友人だ。 それに従い一緒にたくさんの花丸をもらおうというこの計画。すでにすばらしいものなのでは。] (33) 2021/05/17(Mon) 21:49:56 |
【人】 ぷにぷに アポスはっ………! ならば、持っていくものは宝石とメモ、だなっ! あますことなく書きつらねるのだっ! [ ゴーサインをだすとともにぽよよよよんっと跳び跳ねた。 手持ちの宝石はひろいあつめた様々な色の約10個。これら全てを持っていこうと思っていることも伝えつつ、決行日の話し合いもしたい。 個人的にはいまからでも行きたい気持ちだと言うことを添えて。]* (34) 2021/05/17(Mon) 21:50:22 |
【人】 ぷにぷに グレザンそうだ、めずらしいものを探す。 きっとたくさんあるに違いない。 しかし。 [ 方針には異論もなく同意した。 街も森のように広いと聞いている。気になるものも大量のはずだ。 ならば、この問題を避けては通ることはできない。 長い一本でびしっと友人を指した。] 持ち帰れる量にはかぎりがある…… 買うための宝石も、だ。 めずらしいものは高いはず。 かぎられた予算で、なにを手に入れるか。 これが大事になってくるだろう。 [ 今まで集めてきた宝石は、友人の分と合わせても二十個に届かない。いくつかある大きくてきれいな石に期待したいが、これでほしいものがどれだけ手に入るのか。 つまり、選びぬかねばならない。森に持ち帰るものを。] (35) 2021/05/18(Tue) 5:20:24 |
【人】 ぷにぷに グレザン街でなるべくたくさんしらべて、 なにがほしいか、よく相談する。 おしくも買えなかったものは、 メモにくわしく書きしるそう。 [ 再び二本を組み直して、計画をつめていく。 買えなかった分は特に詳しく書き、そして手に入れたものは何が決め手になったかも記せば、それはいい自由研究になるのではないか。 話し合いはとんとん拍子で進む。 気付けば残りは決行日を決めるばかりとなった。 友人の気持ちを聞き、ちょっと考える。 ううむと唸ってから少しして、一番大きく頷いて] (36) 2021/05/18(Tue) 5:20:46 |
【人】 ぷにぷに グレザン先生が大事なことばを教えてくれただろう。 “思い立ったがきちじ ち ”用意ができたら、すぐに行こう。 [ 思い出すのに時間がかかったがちゃんと出た。まちがいない。 太陽もまだ昇ったばかり。おでかけにはいい時間、いい天気だ。 大事な宝石たちやメモなど、忘れ物がないか一緒に指差し確認。 準備万端。いざ、初めての街へと出発だ。]* (37) 2021/05/18(Tue) 5:23:37 |
【人】 ぷにぷに アポスイチリある……っ! 高くてちいさいものならば、 きっともってかえれるだろうけどすこしになる。 安くておおきいものなら、 もってかえれないほどになるかもしれない…っ。 ならばたかくて…おおきいもの、か……?? [ 街に何があるかなど予想がつかない。そんなものがあるだろうか。行ってみなければわからないのは確かだ。 選びぬかねばならない。森に持ち帰るものを。] (39) 2021/05/18(Tue) 15:10:00 |
【人】 ぷにぷに アポスなるほどなっ!! かんがえは 理解したぞっっ! そして、そのほ〜しんを ひてーする理由は、 なにひとつないっ!のだっ! [ むむんと胸を逸らし直す。ふんす! メモにくわしく書き記すと言う言葉もおおいに納得できたため、今度は身体全体で頷いた。] (40) 2021/05/18(Tue) 15:10:15 |
【人】 ぷにぷに アポスきちじち! そうっ いまこそがっ きちじちなのだっっ!! ――― 時は……来た! いまこそわれらの冒険がはじまるっ! [ 最初に言った言葉をもう一度楽し気に繰り返すと、おでかけ準備をする。 忘れ物なし。指さし確認。準備万端。 わくわくする気持ちも身体いっぱいにためこんで、いざ街へ!だ。]* (41) 2021/05/18(Tue) 15:11:07 |
【人】 ぷにぷに アポス― いざ街へ ― ふぉおおお………っっ! [ 街に着き、その大きさ、見慣れなさに思わず息を吐く。 森の中にも住処などの"たてもの"はあったが、こんなに立派ではなかった。立ち並ぶおおきな"たてもの"をきょろきょろと見まわしてしまう。] (42) 2021/05/18(Tue) 15:38:26 |
【人】 ぷにぷに アポスせんせえがおしえてくれた、 とおりの場所とは…っ。 いやはやおそれいる………。 [ 割と意味の分からない呟きをしながらも、きょろきょろは止まらない。 いろんなお店の看板が見える。みちばたで綺麗なものを並べているものもいた。ソワソワしながらそれをみにいくと、きれいなはっぱや、どうぶつの角や、きれいな石を綴ったわっかなどがおいてある。 これがおしゃれというやつか……。ムムムム。買えそうだが、しかしこれなら森でも取れるかのうせいがある。 気にはなるが、ゆうせんじゅんいというやつは低かろう。 ぴょんこぴょんこと飛び跳ねながら他の店を見て回る。 他にはとても甘いかおりがしたりして、こころをくすぐられた。森でとれる蜜や果実と似ているようで違う。たべもの屋さんもいろいろあるみたいで、気をひかれる。 しかし、しかしだ。たべものはおそらく持って帰れないのでは……。 ムム、ムムムムム。] (43) 2021/05/18(Tue) 15:39:20 |
【人】 ぷにぷに アポス友人よ……、 買うものをかんがえるとは、 なかなかに"なんいど"がたかいようだな……っ。 [ 難しい顔で、そう唸った。街はまだまだ広いようだった。]* (44) 2021/05/18(Tue) 15:39:36 |
【人】 西園寺 飛鳥[骨董品のことは詳しくないけれど、 亡くなった曽祖父がそういったものがすきだったと いうことは知っている。 蔵には商人から大量に買い込んだ古い物の数々が 納められていた。中には不気味な絵や彫刻も あったし、古い人形もあったから、わたしは 幼い頃からあの場所が苦手だったのだ。 曽祖母は、あんなに不要なものをたくさん…と 辟易していたそうだけれど、曽祖父に生き生きと いかにすごいものかを語られていた祖母からすれば あそこは素晴らしい宝の山だったのだろう。 とはいえ、残念ながら曽祖父は残念ながら 本物を見極める目というものは持ち合わせて いなかったようで。素人目に見ても、明らかに 価値のなさそうなものはたくさんあった。 ───父に、あの蔵を整理してはどうかと 言われた祖母は、おそらく遠回しに 「捨てるように」という意味だと悟ったのだろう。 だからこそ、わざわざ鑑定士を呼んで、 あれらを鑑定させたのだ。 たぶん、信じたかったのも大きかった。 ───本当は、祖母も気付いていただろうに。 (45) 2021/05/18(Tue) 21:41:37 |
【人】 西園寺 飛鳥[1人目の鑑定士は、言いにくそうに、 これらは偽物だといった。 2人目の鑑定士は、困ったように笑って ある意味マニアには受けるかもといった。 3人目にきたのが彼だった。 3人目だったから余計にきっと、彼に対する あたりは強かったんだと思う。 祖母の前にいたその人を遠目で見て、 またか、と思った。 自分の部屋に行くにはその隣を行かなければ いけないから仕方なく、こっそり 通ったのに、目があった瞬間、全てが吹っ飛んで 電流が走って、あ、これが恋だと思った。 だって、間違いなく、落ちたんだもの。 「挨拶なさい」という祖母の声に、>>13 はっとして、一度唇を結んで、ペコリと頭を 軽く下げたら、彼の耳馴染みの良い声が すう、と通っていく。 少し歪んだ笑みも、どこか愛おしくて、 とくん、とくんと柄にもなく心臓が 跳ねるのがわかった。 顔には出さないようにして、「失礼します」と 一言告げてからそこを後にした。 その足取りは少し先ほどよりも早まっていたかも。] (46) 2021/05/18(Tue) 21:42:02 |
【人】 西園寺 飛鳥[───そんな彼だったから、まさかもう一度 巡り会うことができるだなんて思っていなくて。 わたしは、居ても立っても居られなくて 事あるごとに理由もなくその店を訪ねるのだ。] 冷やかし客だなんて、ひどい。 目的はきちんとあるもの。 あなたに会いに来てるのよ、江戸川さん。 [そうにっこり微笑んで、彼の方へ。 再会したあの日と同じ、出してくれるお茶に 今日はジンジャークッキーまでついてるから] (47) 2021/05/18(Tue) 21:42:18 |
【人】 西園寺 飛鳥私のために用意してくれたの? [と目を細めて見つめてみる。 貰い物だと言われたって、構わない。 食べないで置いてくれてたんだから、 つまりは私のためよね、と微笑んで、 一つつまんで口に放り込んだ。 さくさくした食感。 バターの芳醇な香りと、紅茶に、生姜。 甘さ控えめの大人の味に、口元を綻ばせ] 次のときは紅茶でも持ってこようかな [あ、でも江戸川さんはコーヒー派だったから なら、コーヒーのほうがいいよね、と 顔を上げて、お茶をすする。] (48) 2021/05/18(Tue) 21:42:32 |
【人】 西園寺 飛鳥───で、そろそろ考えてくれた? 私とお付き合いしてくださいって話。 [さらにクッキーを2、3枚放り込んだ後、 私は先日訪れた際に振った話を掘り返す。 あれは、先週のこと。 いつも通りこの店をおとずれて、 彼との会話に花を咲かせて、帰る間際。 『じゃあまたくるね』と告げたあと。 向けてくれた視線に、表情に、声に、 どうしたって彼のことが好きだなあとおもったから 忘れ物をしたように、あ、と前置きをして 『江戸川さん、私とお付き合いしてくれない?』 ときちんと申し込んで置いた。 なお、彼のリアクションを見てから、 うんうん頷いて。二つ返事でオーケーが もらえるとははじめからおもっていなかったから 『お返事はまた今度聞くね』と笑んで去ったのだ。] (49) 2021/05/18(Tue) 21:42:47 |
【人】 絵描き ルナリアセルベッサ王国。 一風変わったものなどない、 けれど美味しいビールを生産する国。 その片隅で、私はひとり、絵を描いている。 白いキャンバスを彩る青はまっさらに。 宙を浮くように描く桃色は夢を感じさせて。 世界の中には動物が一匹。 私が描く、私だけの世界。 (51) 2021/05/18(Tue) 22:12:45 |
【人】 絵描き ルナリア「 ……あれ、今日も来たの? 」 こつりと鳴る足音に、私は ライムグリーンの髪を揺らして振り返る。 見えた姿になにも思うことはなく、 ただ感想を呟くように、そう零した。 (52) 2021/05/18(Tue) 22:13:13 |
【人】 絵描き ルナリア一風変わったもののないセルベッサ王国の 一風変わった絵描きをしている私と そこに訪れる、一風変わった趣味をした彼の。 これはありふれた、どこにでもあるような。 つまらない話だ。** (53) 2021/05/18(Tue) 22:13:44 |
絵描き ルナリアは、メモを貼った。 (a4) 2021/05/18(Tue) 22:15:25 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介そういうのを、冷やかしってェんだよッ。 [にっこり笑う彼女につい、 つられて笑いながら突っ込みをいれる。 赤い花、と形容したお嬢さんは 思ってたよりエキセントリックな人で、 初めて会った時の人見知りみたいな 印象は何処へやら。] 俺ァ甘ェのは食わねンだ。 [そう応えて粗茶を啜る茶器の向こう、 お嬢さんはそれでもニッコリ笑って クッキーをぱくり。 その上品な所作は、どれだけはすっぱにしても 消しようのない令嬢の証だと思う。] (54) 2021/05/18(Tue) 22:27:16 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[で、と話を切り替えられて 俺はそっと目線をそばの掛軸へ逸らせた。 掛軸の中、恵比寿天が呑気に笑っている。] いつ来ても、返事は同じだよ。 「俺じゃねェ方がいい」って。 [この店に彼女が来た時の、 青天の霹靂たる一言のせいで 噴き出した茶の飛沫が 恵比寿天の余白にシミを残している。 視線をお嬢さんに戻したら、ため息ひとつ。] 来週来ても、再来週来ても同じだッつの。 [赤いリップの似合う彼女には もっと歳の近しい、育ちのいいやつがいい。 こんな古びた道具に囲まれてるやつよりは、絶対。 ふつりと切り揃えられた前髪をくしあげ、 そのおでこにぺしん、としっぺをひとつ。] (55) 2021/05/18(Tue) 22:28:09 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介いいかァ。よく聞けェ、あのな…… [難しい顔を作って、キッ、と睨んでみたものの あどけない顔に言葉が見つからなくて 俺はそっと目線をそばの古い花瓶に落とす。] ほら、ひび、入ってるだろ、ここ。 [白磁の肌を切り裂くように入ったクラック。 前の持ち主が何とかしようとしてつけた 接着剤が黄ばみを残して 膿の出た傷跡のようにも見えた。] 傷がつけば、跡が残る。 生き物も、花瓶も、人生も。 ……こんなオッサンにかまけてるのが アンタの人生ニャ傷になっちまうよ。 [もっとキラキラした恋愛を経験してもいい。 それとも、たったひとつ、本当に好きな人間と 好きあって、結ばれて、幸せになっても。 でもそれは、きっと俺とじゃない。] (56) 2021/05/18(Tue) 22:37:42 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介分かったら、ホイ、デートでも行きな。 それかガラクタのひとつでも買ってってくんなァ。 [そう言って、しっしっ、と手を振るが それ以上の言葉や態度で 彼女を諌めることもせず。 結局、こうして会いに来てくれる彼女を 嬉しく思ってしまう俺自身 大人にとして割りきれていないのだ。]* (57) 2021/05/18(Tue) 22:46:04 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介 ー 腐れ縁の紅茶屋店主 ー [コーヒーを飲みに訪れた店で からん、とドアベルを鳴らした時に 「おや?」と思った。 別に閑古鳥が鳴いているような店でもないのに 店主が目をキラキラさせながら此方を向いて 目が合った瞬間、その輝きは 掌に載った雪粒みたいに消え失せる。 女の子と見りゃすぐ相貌崩すような 軟派なやつではない。 一度酷い女に騙され、しょぼくれていた親友殿にも そろそろ春の訪れだろうか。 (時期はもう栗のうまい季節だというのに) 言わずとも俺の考えが透けていたのか 俺を見る店主の瞼は、 眼鏡の奥で、すぅ、と細まった。] (58) 2021/05/18(Tue) 22:47:28 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介なァに?気になる女の子でもできたんか。 [そう問えば「なんでもないったら」と言う。 一歩踏み込めば後ずさる。 俺はつい楽しくなって、ずいずい店の中へ 入っていくとカウンターに腰を下ろして 目的のコーヒーを注文してやるのだ。 逃げ場のない親友殿は、もう厨房くらいしか 行く場所もなく、しぶしぶケトルを火にかける。] 「別に、そんなんじゃないよ。 名前も知らないしね」 [ビンテージのティーカップを磨きながら 店主は口を尖らせた。 ということは、客か、俺の同業か。 何となく、客にベットしておこう。 アンティークの食器の並ぶ店内には 焼き菓子と紅茶の匂いが満ちていて 中庭を臨む窓からは、冬の気配の近付く 色彩を抑えたハーブガーデンが覗いている。] (59) 2021/05/18(Tue) 22:48:19 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[今度は、今度こそは、 この朴訥な親友殿と結ばれる女性は こんな店が似合うような、いい人であって欲しい。 かつての出来事を知る俺は そう願わずにいられないのだった。] また、変なの掴むなよ。 [コーヒー入りのマグを出された時に そうひとこと釘を刺すと 「本当に、そんなんじゃないから」と 店主は口をへの字に曲げてしまう。] じゃあ今お前は誰を待っていたんだよ。 悪い奴で自分からそう名乗るやつはいないぞ。 心の中で付け加えると、店主は まるで心の中を読んだかのように まだ幼さの残る頬をぷっと膨らませて] 「江戸川は、ちょっとお節介なんだよね。 時々母さんみたいって思う」 [と減らず口を叩く。 俺はくすくす笑いながら 「腹を痛めて産んでやったのによォ」と わざとらしく泣き真似なんぞをしてやって。] (60) 2021/05/18(Tue) 22:50:17 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[─────お節介。 何度かこの親友殿から そう評価されることはあった。 でも、ほっとけないじゃねェの。 せいぜい両手を拡げたくらいの範囲の人間しか 手を差し伸べてやることは出来ないんだ。 掌からこぼれ落ちた砂粒は もう二度と掌には返らないんだ。 黙って気にされててくれよ。 頼むからさ。]* (61) 2021/05/18(Tue) 22:50:48 |
【人】 西園寺 飛鳥ふーん?W冷やかしWとは目的もなく 店を訪れる人のことじゃなかった? [目的があるのだから、やっぱり冷やかし なんかじゃないな、と微笑みかけて、譲らない。 まさか彼から奇矯だと思われているなどつゆ知らず 私は当然のようにここに座ってお茶を飲んで それから、彼に問うのだ。 先日の提案に対する答えを。 ───まあ、その言葉はあのときと まったくおなじ、つれないものだったのだけど。 私はわかっていたかのように眉頭を少し上げて、 それから下げて、またひと口お茶を啜る。] (62) 2021/05/19(Wed) 0:41:36 |
【人】 西園寺 飛鳥ふふ、どうして言い切れるの? 明日には考えが変わってるかもしれないのに。 [いつきても同じだという彼に、余裕の笑みを 向けたのに、その手がこちらに伸びるから。 すこしどきりと心臓が跳ねて、身構える。 頬に手が添えられる? それとも頭を撫でられる? なんて期待して目を閉じたのも束の間、べし、と 額に走った衝撃にびくん、と肩を跳ねさせてから 抗議するような視線をそちらに向ける。 じぃん、と痛みの余韻が残る額を覆いながら 唇を少し尖らせた。 キッと睨む視線にこちらからも睨み返して じぃ、とその目を見つめていたら 先に折れたのは彼の方だった。] (63) 2021/05/19(Wed) 0:41:53 |
【人】 西園寺 飛鳥[ふふん、と少々の優越感を感じながら、 視線をそちらに落とせば、そこには古びた花瓶。 修繕の跡だろうか。ぴしりと入ったヒビに 残った黄色いシミに、目を落として、 無機物なのに「痛そう」だと思った。 彼の言葉を黙って聞いて、区切られれば、 視線を上げてまた真っ直ぐ見つめる。] 傷になるかどうかは私が決めるし 傷になりそうだと思ったら近づかない。 私が好きなものは私が決める。 [そうしてきた。おばあさまのいうことを聞くのを やめて、自分で好きなものを選ぶようになった わたしだから、恋だって選ぶ。] (64) 2021/05/19(Wed) 0:42:10 |
【人】 西園寺 飛鳥私は江戸川さんが好き。 恋人になってほしいって思ってる。 ───だから、来週までの間、 今度は江戸川さん自身の気持ちを考えて。 [そうじゃなかったら強硬手段に出るから、と にっこり笑いかけて、席を立つ。] デートはないけどクラブにいってくる 今日友達が回すから。 [そう言って。] (65) 2021/05/19(Wed) 0:42:24 |
【人】 西園寺 飛鳥今度江戸川さんも一緒にいこーよ [と、にひひ、と笑った。] 次来る時は、コーヒー、もってくるね [じゃあ、ごちそうさまでした、と告げて くるりと踵を返せば、扉の方へと向かう。] (66) 2021/05/19(Wed) 0:42:40 |
【人】 西園寺 飛鳥[しつこい女はきっと嫌いなタイプ。 でも押していかなきゃ、彼の方からは 絶対にこっちに歩み寄ってくれないタイプ。 運命を感じたひとだから、わたしは、 ぜったい彼のことを諦めるつもりはない。 彼に恋人がいるだとか、好きな人がいるだとか、 実は結婚しているだとか!そういうわたしには どうしようもない、人と人との繋がりが そこにない限り、進まなければ絶対に あとで後悔するってわかってるから。] またね、江戸川さん♡ [ひらひら手を振ってウインクをひとつ。 扉が閉まってからも、店の前を過ぎるまでは そちらに目線を遣りながら、駅の方へと向かった。]* (67) 2021/05/19(Wed) 0:42:58 |
【人】 ぷにぷに グレザンこれは、おしゃれアイテムだな。 あいつらが喜びそうだ。 [ となりに並んでおしゃれな品々をながめた。 ほわほわ思い浮かべたのは森の友人たちだ。赤や黄の友人はよく、ぴかぴかの石やいい匂いの花を集めて身に付けている。 きっとこれを見たらほしがるに違いない。帰ったら教えてやろうと、メモを取り出して絵を描いた。半分は友人にもまかせる。協力すれば時間は半分だ。 その作業中、お店の人に何を探しているのか聞かれたので、自由研究のために街で売っているものを調べていると伝えたら、それはえらいとほめられた。思わず友人の顔を見合わせてから、ちょっとほこらしげに胸をはる。友人みたいに。やはり、これはいい自由研究になりそうだ。] (70) 2021/05/19(Wed) 4:59:45 |
【人】 ぷにぷに グレザン[ そして、次々にお店を見て回る。 中でも、甘い匂いにはふらふらと引き寄せられてしまった。ふわんと香ばしいそれは、毎日森で食べているものとは違う。お店の前でにょんと背伸びして、作っているところを見つめた。] こ、これは…… [ 真ん丸のあつあつ鉄板の上に、クリーム色の液体をおたまでとろりと流し落とす。じゅうじゅうという音と一緒に白いけむりを上げている液体は、変な形の木の棒でみるみる平べったく大きな円にされてしまった。真ん中がふつふつ膨らんだかと思えばくるっとひっくり返されて、きれいな焼き色になっている。 焼けたばかりの薄いぺらぺらに、今度は盛り付けていくようだが、その中身に思わず体をさらに伸ばした。] (71) 2021/05/19(Wed) 5:00:02 |
【人】 ぷにぷに グレザンあれは、めったに食べられない生クリーム! それを、あんなにたっぷり……! あれはいちご? ……まだのせるのか? 黒いとろとろ? あれがなにか分かるか? [ たっぷりの生クリームに、きらきらのいちごがいくつも。その上に黒いソースがたくさんかかって、さらに細かいチップのようなものが振りかけられる。食い入るように見つめたまま、隣の友人に何か分かるか聞いてみる。 はたして友人は知っていたのか。それとも、夢中になって見ていた自分たちに、お店の人が教えてくれたのが先か。どうやらあれは“チョコ”というらしい。なるほど、わからない。 完成したものをお客さんが受け取って、そばのベンチでもぐもぐと食べている。なんとも美味しそうに、楽しそうにぱくぱくしている様子を見ていると、そわそわしてしまう。やはりあれは、街でしか食べられない、とてもとても美味しいものではないのだろうか。] (72) 2021/05/19(Wed) 5:00:25 |
【人】 ぷにぷに グレザンここに来る前に話した。 街でしか手に入れられないものを買う、と。 その点では、これはまさに、街だけのものだ。 森では見たことがない。 そして、もう一つ大事なことがある。 これは食べものであり、持ち帰れない。 逆に考えれば…… 荷物がかさばらないのでは? [ 逆転の発想である。 持ち帰れないというのをデメリットではなく、メリットと考えるのだ。荷物にならないのなら、他にちょっと大きなものを買ってもいい、ということにもなる。 どやあ、とばかりにこの鋭い視点を披露してから、長い一本でメモをぽんぽんと叩く。] (74) 2021/05/19(Wed) 5:01:17 |
【人】 ぷにぷに グレザンそして、食べた感想をここに残す。 “食レポ”というやつだ。 どうだろう。なかなかいい案だと思う。 [ 早速当初の計画からズレかけているが、いい匂いには逆らえなかった。友人の賛成を得られたなら、ふたりでひとつ、焼きたての“クレープ”を注文する。 その美味しさと言ったら、思わず言葉を忘れるほどだったが、交互に一口ずつ食べてから、メモいっぱいに感想と絵を残すことにした。 初めてのクレープに大満足。小さな宝石が三つ減った。]* (75) 2021/05/19(Wed) 5:01:41 |
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