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【人】 オーナー 敷島[本の作家が新たな一冊を書き上げて 再びこの地に戻ってくることがあったとして その頃には安さと掛け流しの温泉が売りだった ペンションのオーナーは、この世に存在しない。 最後の方は態とかのように客を怒らせることが増え 自分が何者であるかわからなくなった様子で まともに歩くこともできなくなっていたようだ。 そしてある日突然、眠ったまま目覚めなかった。 ペンション内にある自室で冷たくなっているのを アルバイトの山下さんが発見、通報した。 解剖の結果、病に冒されていたことがわかった。] (0) 2024/03/17(Sun) 9:59:14 |
【人】 オーナー 敷島[国内での発症例がごく限られる神経難病だった。 患者はいずれもヨーロッパ等への旅行歴が認められた。 敷島の場合も例に漏れず。 イギリスでの食事が感染源と推測された。 相続人のいない敷島は遺言書の作成を済ませており 遺産のほとんどは社会福祉施設に寄付された。 改装済みの平屋のペンションは本人の希望通り 古くなっていた孤児院の転居先として 活用されることが決まっている。 敷島への感謝の気持ちとして ペンションの名はそのまま使われることになった。] (1) 2024/03/17(Sun) 9:59:20 |
【人】 オーナー 敷島[────Snowy Day(雪の日). 失われるのも失うのも突然だった。 だが最も愛した友希と行人、 その名を遺すことができた人生は……。]** (2) 2024/03/17(Sun) 10:00:08 |
【人】 癒月[この世界でのおれは永いこと 空を海のようにして"泳いでいた"。 親の脛を齧って家にばかり居た頃に比べると 随分と出世したものだと思われた。 後から知恵をつけ文明を得た人間からすれば 己は"泳いでいた"のではなく "飛んでいた"ことになるらしかった。 まあそれはすきに語ればいい。] (3) 2024/03/18(Mon) 19:30:52 |
【人】 癒月[いつしか有力者に気に入られ祀られ この地に縛られることになっていた。 結局自分の肩書きは変わらぬらしく笑えた。 文明の進化は加速度的で 信仰が失われるのもまた早かった。 比例して衰えていく力。 年に一度だけ会いに来る欲深き者たちは かわいい我が子のようなものだった。 永きを人のそばで生活すると 全ての父と母になったように錯覚するのだ。 だけど誰であっても祠の中まで 案内したかというと違う気がする。 あくまで気だが。] (4) 2024/03/18(Mon) 19:32:43 |
【人】 癒月[己を知る者がいる限り存在は続く。 もしも自分を題材に 本を書いてくれる者がいたなら 読者の分だけ延命されるのだろう。 出逢いと別れを繰り返しながら。] (5) 2024/03/18(Mon) 19:52:05 |
【人】 癒月[祭りの日。 地底湖ではパシャリと水飛沫が上がる。 松明の灯りを反射して七色に輝く鱗が微かに見える。 それは非常に俗っぽい言い方であるが……、 ソシャゲのログインボーナスの様なものだった。**] (6) 2024/03/18(Mon) 19:52:51 |
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