人狼物語 三日月国


246 幾星霜のメモワール

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視点:


【人】 温室 マーサ

「ど、どうしようかな……急に言われてもなあ……」

集められた教会の長椅子にて、差す日を鮮やかに染めるステンドグラスを仰ぎながら、ほう、と溜息をついた。

実感がない、というか……ちょっと辟易としている感じだ。
肩口に浮いた痣を掌で包んで、小さく唸る。

それから、聞こえてきた言葉に慌てて跳ねるように立ち上がる。

「あっ、あっ、あのっ! 私はマーサって言いますっ!
治癒術士で、冒険者さんの手伝いとかを仕事にしててっ、……えっと、えっと。
怪我とかは治せますので、いつでも行ってくだされば…………あ、でもお祭り中はそんなに怪我しないかな……うぅ……」

半分裏返るみたいな威勢のあった挨拶も、最後の方は尻すぼみで、耳を済ませねば聞きづらい。
どうも要領のよくなさそうな印象を与える娘だった。
(8) 2024/01/27(Sat) 1:19:35