人狼物語 三日月国


84 【R18G】神狼に捧ぐ祀【身内】

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■■■は、悠々とりんご飴を手に、神託が下される様を眺めている。
(t0) 2021/07/24(Sat) 21:16:19

「……う?」

 ぱち、ぱちと目を開く。

「くそ……頭が、」

 ゆらゆらと。

「……ぼんやりする……」

 げほ、と喉につまったものを吐き出すように、
 軽くせき込んだ。
 ぽたぽたと、汗か、涙のようなものが、少し垂れる。

はてさて、仄暗い中でも学徒は何時も通り変わらない。
一枚、一枚と紙を捲る。

「しかし、しかし。成る程。本を読むにはいい場所ですね」

其の様子は、何一つ代わり映えしない。
何時も通りであった。

すく、と立ち上がる。
拘束はされていない。
見張りはいるようだが。

懐から、扇を二本。すらりと取り出し、しゃんと開く。
ひらひらと布をはためかせながら。

躍る。

踊る。

舞うように生き、舞うために生きよう。
不器用な自分の、それが生き様だから。

奉納の舞を舞っている。

 舞う。
 舞って。

 この島の舞いは、独特だ。
 他の地方にない、特有の動き、特有のモチーフ。

 それはつまり、何か確たるものに根差している。

 舞の中から、それをつかみ取る。
 踊りながら、自分の身体に刻み込む。

 ──遠吠えが聞こえた気がした。

「──……狼、か」

 ぽつり、と呟く。

 脳裏に浮かぶのは、

 神々しく、畏ろしく、美しい。

 
 おおかみのすがた。

はらり、はらり、一枚、一枚と紙を捲る。
残った項目も、後わずか。

「さて、いよいよ大詰めだ。仕込みは重畳」

はらり、はらり、一枚、一枚と紙を捲る。

学徒は静かに、天を仰いだ。
何とも侘しき、土天上。

「さて、最後に笑うのは如何なるものか……嗚呼、小生は犬死こそ御免だが、盛り上げるには充分な事は起きるとも」

「しっぺ返しを受けるか、悪が笑うか、或いは漁夫の利を得たものがいるか……」

はらり。最後の項目で、指が止まる。