「ふーん、今からでも処刑の練習はできんのか……」

今起きたといった様子で、のろのろと自室から出てくる。
初日襲撃への参加申請はしていなかったが、練習しておくのは大事かもしれない。対象の肉体は動かないのだからちょうどいい。
ロビーに行く前に00号室に向かうことにした。

……5分もしないうちに、キファは真っ青な顔で出てきた。

「うぇ……気持ち悪……」

赤黒い液体に塗れて動かない肉体は、想像以上に刺激が強すぎた。
無邪気な声を何度も聞いたし、元気に駆け回る肉体も見ていたからなおのこと。

「これから毎日、こうやって船の奴らを処刑するんだろ……？　キッツいな……」

「……映画……？」

昨晩は自室にいたのでよく分からないが、皆で映画鑑賞をしていたのか。
映画でも見れば気が紛れるかもしれない。混ぜてもらえそうなら一緒に見てみようか。

>>2:30

「良いのですか？　よければ観てみたいです！
どれだけ考えても理解できない……どのような話なのでしょうか、楽しみです」

さぞかし高尚な内容なのだろうと思っている。
悲しいかな、キファはクソ映画という文化を知らない。

>>2:34
「キャッチコピーに偽りなし……予想外の伏線……！　それも観測者たるサルガスさんが考察したくなるような内容ですか！
とても興味深いです！　ぜひご一緒させてください！」

観測者の評価を完全に良いように解釈している。
心底楽しそうである。

キファは片手で柿の葉寿司をつまみながら、片手でカード型の端末をいじっている。
どうやらタロットカードのようだ。

タロット占いは本業ではないが、カードの読み方くらいならわかる。
……あまり人に見られたくなかったので、端末を隠していたが。船内の人になら別に見られてもいいか、と思ったから。
試しに人狼ゲームの行く末でも見てみよう。

引いたのは、XI 力^tarotの正位置。

「力の正位置。の象徴。
ふむ……考えや意見を明確に表明し、困難に正面から向き合えば事態は改善する。諦めずに努力すれば道は開ける、と」

これは良い兆しと言えるだろう。
初めてのことだらけで考えることも多いが、勝利のために努力してみようか。

「え、えぇ……！？」

バーナードが食べ物を捨てる現場を見て動揺している。食べ物を粗末にするタイプには見えなかったが……。
いったい何を注文したのだろう。気になったので検索してみた。

>>2:204

「ありがとうございます……うっ……」

お裾分けされた焼きそばを受け取って食べた。美味しい。傷ついた心に染みる。

「温泉……温泉……あった、ここか。うわっすげえ人いる」

演奏を聴き終えた後で温泉に来てみたが、思ったより人がいる気配を感じて入り口で急停止する。
今回、女性体の参加者は少ない。参加者の中には性差を気にする人がいるかもしれない。

少し考えて、何か言われたら出ればいいか、と思ったので気にせず入ることにした。

>>2:249
「あ、すみません……さっきからおりました……　お邪魔でしたか？」

おずおずと手を挙げる。何とは言わないが堂々と自己主張している。

>>2:252　カストル
「か、カストルさん！？どうかしましたか！？」

急に少年が沈んだのでうろたえている。
なお本人は一切気にしていない。男性体も無性体も同じようなものだと思っている。
もっとも、相手が気にするなら見えないようにするが。

>>262　>>265
「えっ、え？　私が何かしました！？」

混乱している。こいつ自覚がないぞ。
とりあえずカストルは温泉の外に出した方がいいのだろうか。あとぼーっとしながら流れてきたバーナードも。

「うーん、うーん……　どうしよう……」

ひたすらおろおろしているが、本人も割とのぼせそうである。頭が回っていない。

>>268
「ああ……　そういえば、そういうものでしたね。配慮が足りませんでした」

自分がその手のことに無頓着だったため、そういう方向で動揺されるとは思っていなかった。
人の感性は多様であるということや、いろいろな可能性を考えていなかった自分の落ち度だ。

「だとすると、カストルさんには悪いことをしました。後で謝っておきます」

「あー、あー！！ あ」

ハマルが手にしたトリカブト茶を回収しようと立ち上がったが、テンガンがはたき落としてくれたので着席した。

「な、なんだかすみません……代わりにこれ、よければどうぞ」

キファは申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、ハマルに普通のコーヒーを差し出した。
あとハマルの危機を救ってくれたテンガンにも。