人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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視点:


 
[ 生きる為に両親を見殺しにした。

  生きる為に妹を売った。

  生きる為に裏切った兄を殺した。


  生きる為に。
  生きる為に。


  仕方がなかったんだ。]

 

 
[ ────本当に?]

 

 
[ 例えろくでなしの親でも、
  本当は死んで欲しくなかった。

  金の為なんかに、
  本当は妹を売りたくなんてなかった。

  裏切ったからって、
  本当は兄を殺すつもりじゃなかった。]

 

 
[ 自分が欲しかったものは……────。]

 

 
[ 男の顔を見た瞬間、
  無表情だった顔は歪み始めて。

  目玉が零れてしまうかというぐらい
  両目を剥き出しにし。

  大きく開いた口からは
  恐怖に塗れた呻きが零れだす]


   あ、ぁ、あぁぁ……あ。
   ………ああああああああああああ!


[ 溢れる叫び声は止まらない。
  次から次へと零れ落ちていく。
  何時までも、何時までも。]
 

 
[ そうして暫くしてから今度はえづき始め
  胃に微かに残っていた食べ物を口から吐き戻す。

  吐くものがなくなった後も
  胃液を口から垂れ流し、それは止まることはなく。

  吐きながらも、声にならない声を上げて
  その場に座り込んでは身体を震わせていた]
 

 
[ 今、そこにあるのは
  壊れた人形がただひとつ。

  ────それだけ。]*
 



 やたらと素直に言う事を聞くと思ったら……


[いや、まぁ。
いきなり叫び声を上げ、
口にしたものを吐き戻したあの時から
その予感はあったのだ。


こりゃあ、壊しちまったんじゃねぇかって。



悪い予感ばかりがよく当たるってか、
正味、ビンゴだったらしい。


着替えさせる手にもなすがまま、
あの威勢の良い剣士は何処へやら。
ただひたすら震え続けるばかりでなぁ]

[なんとか飯屋に連れていき、
なんのかんのと話しかけたものの
それこそ綺麗な面したお人形さんというか。

はい、とか、いいえ、とかの
機械的な返事を聞くのが精々だっただろうか。


こうなりゃ剣士としては使えねぇ。
食事も終わり、いっそ路地裏にでも
捨ててっちまうかとも思ったが……]


 ────吐いたゲロの掃除くらい、
 自分でしてもらわんと困る。

 ほら、帰るぞ。


[そういうわけにゃあいかんよなぁ。

抱いちまった以上は情が移るし、
身体を造ったっつー意味では、餓鬼みたいなもんだし?]

[何より此処に置いてって、
こいつを他の奴らが好きにするっつーのは
どうにも気に食わないというかなんというか。

そんな訳で、再び館へととって返し]


 こうなった以上、右目奪還は当分お預けだ。

 片目が無いとなー、
 遠近感が判らんと言うか。

 飯と部屋は提供するから、
 館の掃除を頼めるか?


[と、メイド服を手渡してみれば、さて*]

 
[ その後、飯屋では
  何を聞かれたところでその口が
  音を紡ごうと動くことはなく。

  焦点の合わない目は
  ただひたすら虚空を見つめていた。


  館に連れ帰られた後も
  まともな意思疎通は叶わなかっただろう。

  それでも問い掛けには辛うじて首を縦に振って
  目の前でメイド服を受け取っては着替えていく]
 

 
[ そうして着替え終われば
  指示された通りに館の掃除を始めていった。

  床を掃き、雑巾がけをしたり
  特に何も無ければ館内の掃除をする事が
  彼女の日課となっていったか。


  それからは
  館のあちこちを幽鬼のごとく彷徨い
  掃除していく姿が見掛けられただろう。

  何も言わず、その瞳に光を宿す事もないままで]*
 



 廊下がホコリ塗れじゃないだと……


[ぴっとハメ殺しのマジックミラー号窓の桟に
人差し指の腹を走らせる。

今迄なら、何処ぞの田舎演劇よろしく
綿埃やら血痕やらが着いたもんだが。

此処しばらく、そんな馴染みの光景とも
おさらばする事ができたのだった。


──という訳で、普段であれば
短期間で変える隠れ家も
アシュレイちゃんが来てからはずっと同じ館に居続けで。


飯の用意は俺。
掃除全般はアシュレイちゃん。
ちょいちょいやって来る来客のお相手はオーク達という
妙な共同生活が続いていたのだった]

[まぁ、此処に居続けなのはもう一つ理由がある。

俺様の最新の実験体こと、
アシュレイちゃんの状態の観察の為だ。


ぶっ壊れちまったのが
精神的外傷のせいなのか
それとも俺様が行った精神移植魔導手術の
構造的な欠陥のせいなのか。

いやまぁ、いずれにしろ原因は俺様なんだが。

なるべく環境の変化を少なくして
色々試してみたいってなところだな]


 んー……
 ガントレットの宝石内の本体のバイタル値は
 変わら無いっつか、正常の範囲内だよなぁ……

 やっぱ、本体との接続部分な鎖と首輪で
 首絞めちまったのが不味かったか……?


[──だが、彼女が吐いたのはその後だ]



 やっぱその……
 おじさんにアレコレされたのが
 そんっなに嫌だったのかー?


[今日も今日とて全自動お掃除メイドな
アシュレイちゃんの進行方向に立ち塞がる。

っつても、怖がらせちゃいけないから
ちっちぇ子相手にするみたいに
少しばかり身を屈めて目の高さを合わせて]
 

 仲間を全滅させられたり、
 触手に襲われたり、オークに襲われたり、
 女の子にされちゃったり、まぁ、色々あったわけだが……

 アシュレイちゃん的に一番キツかったのが
 俺に手を出された事、なんかな?


[と、試しに無表情な彼女の頬に手を伸ばしてみれば*]

 
[ 物言わぬ人形は今日も館の掃除を行う。
  館の主人の気持ちを知る事もなき儘で。


  そんなある時、進行方向に立ち塞がる影。
  館の主たる魔王その人である。

  彼の手が頬に触れても、何か反応を返す事はなく
  そのまま横を通り過ぎては掃除を再開するのであった。


  声は届いているのかもしれない。
  それでも表情は冷たく凍った儘。

  手を動かしてははたきで埃を落としていく。]