人狼物語 三日月国


159 【身内RP】旧三途国民学校の怪【R18G】

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視点:



そうしてぼくは、ぼくの死体を見る。
 
,

相馬栗栖は、倒錯した復讐劇が既に叶わないことに気づいている。

相馬栗栖は、相馬栗栖が相馬栗栖であることを知っている。

相馬栗栖は、相馬栗栖を悪魔と呼ぶことが出来ない。

相馬栗栖は、探偵には向いていない。


相馬栗栖は、偽物にすらなれない。



相馬栗栖は、相馬栗栖でしかない。



相馬栗栖は、

このまま終わらせてしまうことを、つまらないと思ってしまった。



きっと、昔から。

相馬栗栖は死んでいく。

暫く前から、既読をつけていないはず。

廊下の、薄汚れた、古びた窓ガラスにそいつが写った。

「……、今更だね」

同じ顔で、同じ表情で。そいつは相馬栗栖の姿をしていて。
どこまでも愉快気に、そいつの生き方は自分が思った通りになったみたいな顔して。

古びた窓ガラスの奥で、そいつは相馬栗栖を見ている。

   「あぁ、なに。殺しにでもきた?」



そいつは喋らず、笑っている。何も答えず笑っている。でも相馬栗栖は、それが当然だろうなと思っている。
ドッペルゲンガーにあったものは死ぬという。おあつらえ向きの話だな、なんて。狂った思考の中で思った。
そいつは、現実に殺された。そいつはもういない。悪魔はお話の中にしかいない。


そいつは腕を伸ばして、相馬栗栖の首を絞める。


そいつはどこにもいなくて、首を絞めているのは相馬栗栖自身だ。

そいつのために生きて、そいつを殺そうとした。

まぁ、そいつから見れば、確かに。

面白い
存在なのだろうな、と思う。

壊されていく。幼稚な想像が。愚かな人生が。

罪人は裁かれゆく。




    
────息が、

──此処で終わらせてやるかよ。

相馬栗栖は、そいつになり得なくて。
相馬栗栖は、とっくにつまらないとだけじゃ言い表せないだけの約束を抱えていて。
相馬栗栖は、確かにそれを解決するために動こうとしていて。

腕を引きはがし、窓ガラスを、殴り割り、相馬栗栖は──




   相馬栗栖は姿を消した。
その場に残ってるのは、皆が見慣れている、彼の帽子だけがそこにあった。

すこしだけ瘠せた、透けたからだで彷徨っている。
スニーカーの片方をどこかへやってしまって、歩きにくそう。

 
……はー、は、


時おり息を切らしたように立ち止まり、
それからまた、ふらふら、ゆらゆら。

旧い校舎の中を、歩き回っている。

「うらみち?」


昇降口の隅に、目を留めて。
そこに一人蹲る少年に駆けよった。

「どうし…
 な 泣いてるのか」


おろおろと両手を無意味にうろつかせて。

「こわいこと、あったのか」

「なぁ」

「泣くな、泣くな」


透明の声をきみに掛ける。
隠れたからだで、きみのそばに居る。




「……ぼくの、見たか?」

「ごめんなぁ」 
「……見つけてくれて、ありがとなぁ」


「あとは ねーちゃんが、なんとかしてやるから」

「な?」




「大丈夫だから、泣くなよ」

「こわくない、こわくない……」

メモを貼った。

メモを貼った。


それでも、



「まぁ」



それでも、


それでも。


もう一度、会えるのなら。

準備室。ガタガタ漁って見つけるのは、

画板とそれから、いい感じ度が38くらいのもの。

見つけたそれらを抱えて、このあと転ばない

まだ、死んでいないかもしれない。

行方不明になっていないかもしれない。

どこかで話せるかもしれない。

解決するかもしれない。

まだ、終わってないかもしれない。その死が見いだされるまで。

どこかで死んでいく。

暗い暗い夜のすきま、
どこかの、何かの、誰かのあわい。

ぱたぱたきぃきぃ足音と木の軋む音を響かせながら、
彼を背にして廊下を走って、角を曲がって、

えぁ」


なにかに蹴躓いたらしきいつもの声が。
暗い廊下に小さく響いて、



ちかちか、

ちか、

 

電池の切れたマグライト一つだけが、転がっていた。