人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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到着:   

帝国史録  は、メモを貼った。
(a8) 2020/11/26(Thu) 10:10:21

【人】 帝国史録  


 ────帝国歴525年。

 婚礼は生憎の雨であった。
 泥道を馬で超えた諸侯達は城の大広間に集い、
 火の傍で豪勢な食事の振る舞いを受ける。

 シェーンシュタインは白く美しい雄大な城だ。
 帝国の要であるアーレンベルク家に相応しく、
 城門に飾られた赤い獅子の旗がよく映えた。

 
(57) 2020/11/26(Thu) 16:30:10

【人】 帝国史録  


 遠方より若妻を迎え、
 ゴブレットを手に笑うアーレンベルク公の頭上では
 一流の楽団が祝いの曲を奏でている。

 各諸侯が持ち寄ったその年一番の畜産物が
 煌びやかな料理へと変わって
 メインディッシュとして振る舞われる頃。

 
「飲まないのですか?」


 数年前に遠征で夫を亡くしていた前当主夫人アメリアが
 隣席のベストラ公爵に不思議そうに訊ねる。
 彼は薄く笑いながら首を振った。
 この晩は客室を貸し与え、全員が夜を明かす筈だったのだ。

 賑やかな歓談に添えられる音楽も、楽団も
 アメリアが天井を仰げば忽然と消えている。

 
(58) 2020/11/26(Thu) 16:30:59

【人】 帝国史録  


 不安を押し殺した面持ちの儘、
 アメリアがベストラ公の袖口をたくし上げた。
 上品なコートの内側には鎖帷子が鈍く光っている。

 ────謀ったなと、
 叱責の声を上げるより早く彼女は叫んだ。
 愛しい我が子へ、早く此処を離れなさいと。

 願いは誰にも届く事はなく、
 クロスボウから放たれる矢が震える喉を
いた。
 そうして彼女が始めの犠牲者となった。

 鮮血を撒き散らして倒れ込んだ音を合図に、
 隠れていた刺客や兵士が一斉に広間へ雪崩込む。
 丸腰の忠臣達が皆、喉を切られ家畜の様に葬られていく。

(59) 2020/11/26(Thu) 16:31:24

【人】 帝国史録  



 殺戮の手は契りを交わしたばかりの夫婦にも伸び、
 若きレオポルドの眼前で彼の花嫁は刺殺された。

 清らかな胸を、
      世継ぎが宿る筈だった腹を、
                 細く白い喉を。

 背後から現れた刺客の手で滅多刺しにされ、
 目を見開いた儘に床へ転がり、口を利かなくなったと言う。

 重傷を負ったレオポルドが這うようにして
 事切れた花嫁に追い縋り、血に沈んだ手を握ろうとする。
 その無防備な背にも、無慈悲に暗器が突き立てられた。

             ……惨劇は終わらず。
         寝室で既に眠っていた幼い兄弟までもが
           次々に手にかけられていった。


 
(60) 2020/11/26(Thu) 16:32:09

【人】 帝国史録  



 物置に隠れていた齢五足らずの末弟を除き、
 アーレンベルクの人間は老翁から幼子まで惨殺された。
 掲げられていた赤獅子の旗は焼け落ち、
 弑逆の血によって穢された城は、革命派諸侯の手に渡った。

 防衛の要である大公爵を失い、
 諸侯の反逆はその後帝都へ伸びる事となる。

 皇帝家は完全に断絶され、領土の多くは奪われ、
 討死した先帝の代わりとして
 元来皇帝家の分家であったアーレンベルクの唯一生き残り、
 ディードリヒがお飾りの王として立てられた。

 反乱を起こした七大貴族達はそれぞれの領地へ戻り、
 彼等によって新たな諸侯公国が生まれる────


 五百年続いた帝国史を揺るがす大事件。
 この革命の発端となった婚礼での弑逆を、
 人々は畏怖を込めてこう呼んだ。

              
シェーンシュタインの雨

       ──── 
Der Ragen von Schoenstein


              …………と。


 
(61) 2020/11/26(Thu) 16:32:39

【人】 憾みの書  

 


  あれから二百年。
  弱小国家と化した帝国は苦しい時代を歩み続け、
  公国による内政干渉を強く受けながらも
  長い年月をかけて安定を取り戻して行った。

      茨の冠を被せられ、無一文の獅子と罵られた
      アーレンベルクは決して揺るがなかった。
      幼帝に始まり、何代も試練に晒され続けた彼等が
      この恨みをどうして忘れられようか?



 
(62) 2020/11/26(Thu) 16:33:37

【人】 ゴエティアの書  

 
 
  
D
er
Teufel
flüstert nur.
  Rücksichtslos zu jeder Zeit.
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


  悪魔と呼ばれる存在。
  古より存在し、其の多くは肉体を滅ぼされ
  或いは封印された大いなる種族。

  彼等は唯一の依代である人間の召喚者を待ち侘び、
  今も尚、実体を得て返り咲く日を望んでいると云う。


(134) 2020/11/27(Fri) 17:07:02

【人】 ゴエティアの書  



   
M
arbas …… 

 序列5番目にして地獄の大総裁。
 獅子の姿を取り、隠された真実を知る力を与える。
 あらゆる疫病を齎す力と其れを治す力を兼ね備え、

      ──── 肉体が亡びた今では玉座を求め、
           契約者の来訪を待ち続けている。



(137) 2020/11/27(Fri) 17:08:42

【人】 皇帝の系譜  



   Wilhelm Herrman Joshias Leopold
   711年 嵐の月15日生

 ヘルマン2世と妃エーディトの唯一の子として生まれる。
 皇帝家の特徴を色濃く表した赤髪赤目。
 出生時に一度泣いたきり、まるで声を上げぬ様な
 赤子であった事で知られる。

(172) 2020/11/28(Sat) 0:40:38

【人】 皇帝の系譜  




  其の背景に隠されし、忌々しき真実は────


(173) 2020/11/28(Sat) 0:40:59

【人】 皇帝の系譜  


          
血の禁術

       
“ 
B
lutzauber ”


 王の血には特別な力が宿る。
 受け継がれる血統は同様に消えない記憶を保持するが、
 生まれ来る子供は皆、生涯思い出さないまま幕を閉じる。
 
 記憶とは経験だ。
 培った剣術や魔導の全てが其処には宿っているのだから。

 では、二百年細々と続いたアーレンベルクの記憶を
 胎児の中で解放すれば何が起こるか?


(174) 2020/11/28(Sat) 0:41:32

【人】 皇帝の系譜  



 ヘルマン帝の指揮に始まり、妃の同意を得て、
 重臣達が見守る中其の赤子は取り上げられたが────

 臨月を迎えた時点でエーディトは衰弱し切っていた。
 常ならざる記憶と力を蓄えた胎児は
 母親の胎内でその魔力を吸い上げて完成されていく。

 羊水に揺られながら見る夢は、
 遠い過去の惨劇だったのかも知れない。
 立ち会った者にそう思わせる程度には
 生まれ落ちた新生児は“異様”だった。

 実母の血を被って産声を上げた時、
 既に彼を抱くべき母親の魂は其処になかった。


(175) 2020/11/28(Sat) 0:41:53

【人】 皇帝の系譜  



 待望の世継ぎは恐ろしい迄に物覚えがよく、
 一度教えれば大抵の技術は会得し我が物とした。

 エーディトの死後間もなく次の妃が迎えられたが、
 彼女が幼きヴィルヘルムを愛することはなかった。

 アーレンベルクの希望であり、応酬の火種。
 乱世の剣であり、未来を切り拓く鍵。
 命名日を迎える度、彼が贈り物に求める物は────


      訊ねた所で「解らない」と応えたのだと言う。


 
(176) 2020/11/28(Sat) 0:42:23