人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>30 ニーノ

暗い知らせと取締法が収束しかけ明るい賑わいを見せる頃。
空は晴れ渡り、火花が空に咲き――
まだ知人達が数人拘留されている時間、外に用があった男は出歩いていた。

そうしてふ、と一台の車が目に入る。
その車の運転手など見えない、ナンバーに覚えもない。
それでも、都合の良い『あいつ』の車だと気付いた瞬間、
ルチアーノはパレードの通りに向かって走っていた。


パン。

音がやけに大きく聞こえた気がした。
どんな状況であるか男は確認できないまま辺りを見渡す、そして漸く見つけた知り合いは。
賑やかな喧騒の前に立ち尽くす、彼らが大事にする小さな弟分だった。

「ニーノ!」

その呆然としている姿に声をかける、貴方はこの嫌な予感の当事者であったのか。
それとも、ただの、目撃者であったのか。

#BlackAndWhiteMovie
(37) 2023/09/27(Wed) 18:18:59

【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>49 ニーノ

「ヴィトー、……そうか。あいつが」

本当に、嫌な予感が当たってしまった。
だけど今ここに死体はない、周りが騒いでいる様子もない。
つまり彼はまだ生きていて、彼女は殺し損ねたか何かを仕込んだか。

少なくとも――その引き金を引いたのは確かなのだろう。

「……すまんなあ、ニーノ。止められんかった」

また男はあなたに謝った。
悪くもないのに、ただ謝った方が楽になれる気がして。
それは起こるのがわかっていたかのような表情で、諦めたような、それでも物悲しそうなものであった。

「旦那のことは諦めるんだなあ。
 あの音で撃たれて騒ぎがないってことは
 もう何処かに逃げてるか、誰かに匿われてる。
 行き場所は分からんが、……俺たちが探すから心配するなあ。
 無事なら病院に直ぐ運ばれるだろうよ」

「それよりもなあ、ニーノ。今お前は誰に何を言ってやりたい。
 ちゃんと決めんとならんだろ、俺はそれの手助けをしてやる」

「また一人で泣いてお家に引きこもるつもりか?」

#BlackAndWhiteMovie
(52) 2023/09/28(Thu) 11:06:12

【人】 口に金貨を ルチアーノ


日常と言うにはまだ遠いが、それでも多少の落ち着きを取り戻してきた頃。
その日はなんてないただの雨予報の日だった。
灰色の空は水気を含んだ空気を纏って重く沈んだ色をしている。

こつん、わざとらしく靴先で石を蹴った音。
忘れるわけもない。気付いてしまった自分に嫌気がさした。



「Bonsoir.愛しの猫ちゃんルーカス。今日も可愛らしいね」



その声の正体が確信へと変わった瞬間、彼の体はただただ固まって、その顔を見る事しかできなくなっていた。


「なんだ、ご機嫌斜めだね。
 色男になったのでも言われたかったかい?」



散歩でもするように歩いてきた者の名はファヴィオ・ビアンコ。
十年前にルチアーノの上司となり、五年前に行方不明になった男であった。

#ReFantasma
(57) 2023/09/28(Thu) 21:55:13

【人】 口に金貨を ルチアーノ

「見違えたね、随分大きくなって」

「……だんまりか、本当に拗ねているのかい。
 甘えたがりのルーカスは何処に行ってしまったのかな」

「うるさい」

聞きたくない、嫌でもあの日を思い出させるから。
目の前の男に触れられ、愛されて満たされていた日々が蘇ってくる。
失いたくなど無かった、ずっと居なくなって欲しくなかったものだ。


「どうして今更此処にいるんだ」
焦がれて、愛して、忘れられるはずなんてなかった存在が目の前にいる。


男から彼に施していたのは五年間の"教育"だ。
彼が決して逆らわないように、男の前では従順で素直で、常に周りを疑い警戒をし、それこそ男が居なくなれば何もできなくなるような人間になるように。
彼に自覚させることもなく、それが正しいことなのだと教え込ませ続けていた。
それは確かにうまくいっていて、今でさえその事実を彼は自覚することはない。

しかしそれは――未完成に終わっている。


#ReFantasma
(58) 2023/09/28(Thu) 21:58:17

【人】 口に金貨を ルチアーノ


「仕事だよ、言わなかったかな?
 『行ってきます』って。期間を言い忘れていたかもね」

「なんだ寂しかったのか、それなら君が怒るのも仕方ない。
 私が居なくなってから昇進もしたようだし、
 それはうんと働いて一生懸命に頑張ってきたんだろう」


五年前ファヴィオはオルランドに海外のマフィアへ諜報員として潜入する命を受けた。
極秘任務の為に完全に身分を隠さねばならず、同意の下行方不明扱いにされることになる。

そうして雨が降りしきるその日、何も言わずに男は彼の前から姿を消したのだ。



「それでも、漸くひと段落付いた。
 時間はかかったけどボスにも許可は貰っていてね。
 やっと君を連れて行けるようになったんだ」


ああ本当に自分勝手だな、年寄り共は。
俺のことを一体何だと思っているんだ。

初めからそうだった。
死体の前に血塗れで座る子供の俺を連れて行った今のボスも。
そんなガキを兄弟みたいに連れまわして面倒を見た黒眼鏡も。
十年前がらりと変わったファミリーで孤独を埋めてきた男も。

本当に、俺を何だと思って。

#ReFantasma
(59) 2023/09/28(Thu) 21:59:29

【人】 口に金貨を ルチアーノ

「おいで。また昔みたいにしてあげよう」


男は動きがない彼の目の前まで歩んでいけば、流れるような仕草で頭の上に手を置いて髪を梳く。
腰を抱き寄せつつ首元に見えた赤い痕におや、と呟けばくすくすと楽し気に笑って愛で続けた。

「何も考えなくてよくなるよ。沢山頑張って疲れただろう?」

「ファヴィオ、」

反射で男の名前を呼んでしまえばもう止まらない。

「俺は……」

揺れた声は艶を帯びていて、緩やかにそのシャツに手が伸びて。
縋るように服に皴を作れば、甘く誘うように口端が上げられる。

やっと、見つけた。


#ReFantasma
(60) 2023/09/28(Thu) 22:00:59

【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>54 ニーノ

「お節介なところが誰かに似た。
 なんだ甘えたいのか、どうした?」

視線を一瞬だけ他所にやって、また顔を見返した。
やはり大人だといっても心配されるような家に居るのだろう。
羨ましいような、そんな自分も想像もつかないというべきか。

「なんだそんなことか。
 お安い御用だ、その言葉のチョイスの是非は置いといてな。
 いったい誰に貰った教わったのやら」

「重要なのは言葉の意味じゃない、おまじないであることだ」

そう言いながら、貴方の頬に手を当て、こつんと額を合わせる。


「ニーノ、お前は"大丈夫だ"」


余計なことは添えずに男の目は正面から貴方を見つめている。
根拠もない言葉がどんな意味を持って貴方の中に生きるのか。
きっと多くに生かせる人間であると男は信じていた。
それだけに頼り切らないで歩いてくれると祈っていた。
だから、これだけでいい。

#BlackAndWhiteMovie
(61) 2023/09/29(Fri) 1:23:25

【人】 口に金貨を ルチアーノ

背の低いしっかり者を見送ったあと、通知の鳴り止まない携帯を見る。
まだまだ自分は何処かで必要とされていて。
疲れても歩きを止めることすら許されないような気にさせられた。

「『ちゃんと答えを見つけて、言いたいことを言えるようになるから』……ねえ」

「俺もそれをしないとならんのだよな」

大きなため息をついて空を仰ぐ。
にぎやかなリボンを一つ空中でキャッチしてまた捨てた。

「それにしても今、あの旦那のことを頼まれたか……?
 どうせアレのところに行ったんだろ……人気者め……。
 ……はあ、……俺が吹っ掛けておいて邪魔できるか」

あと何時間だろうか、と凡そ場所ももうわかっている。
片方の事は良く知らずとも、片方のことはよくわかっている。
あいつがやると言ったらやるやつだ、一番とは言わずともそこそこ理解者でいるつもりなのだ。

「アジトの様子見に行くか……あーあと牢屋の中の怪我人……。
 忙しい、忙しいぞアレッサンドロ・ルカーニア!
 お前が放り投げた分全部俺が拾うことになってるの許さんからな!」

#BlackAndWhiteMovie
(83) 2023/09/29(Fri) 23:14:10

【人】 口に金貨を ルチアーノ

からん、と靴の先で何かを蹴った軽い音がする。
繊細なグラスに罅が入ったそれは、何の変哲もない眼鏡であった。
裏路地をただいつものように歩いていた男は首を傾げつつも、
それを上着のポケットに入れてそのまま先へと歩んでいった。

「……、何かいるなあ」

漂ってくるのは慣れない鉄の香りだった。
鼻が利く犬でなくとも想像できてしまう程の量が流れていることがわかる。
すえた匂いはしない、まだ時間があまり経っていないのだろうか。

さらに足を向ける。
ここは自分のシマの傍だから、治安は正しく守っていかねばならないと。

#AbbaiareAllaLuna
(92) 2023/09/30(Sat) 7:53:53

【人】 口に金貨を ルチアーノ

路地裏の前に用意された二台の車のうち、大きな黒いずた袋を乗せた車が男を乗せずに何処かへと向かっていく。

「うちの犬も仕事が早くなったなあ。
 猫が関わらなければ本当にいい仕事をする。あ。
 ……今日は猫にすれ違わんかったな、エキスパート失格か?
 まあいい」

車が向かう目的地は知っている、だが自分がそこまでついて行ってやる気もなかった。
そこまで自分達は仲もよくなければ情もない。
俺の方で悪かったな、クソガキ。だが別れの挨拶ぐらいは送ってやろう。


Notte notte e sogni belliおやすみなさい、良い夢を,
 それでは御機嫌よう」

#AbbaiareAllaLuna
(93) 2023/09/30(Sat) 8:05:00

【人】 口に金貨を ルチアーノ

薄く太陽に陰りをもたらす空の下。
ルチアーノは片手にブーゲンビリアの花束を持ち何度も足を運んだガレージの前に居た。
そこに同じく見飽きるほど身近に感じていた赤のフィアット500チンクェチェントが収まることは二度とない。

鍵のかかっていない扉を開ければ真っ直ぐいつもの場所へ。
ここは誰が入ってくるかもすぐわかる席で、カウンターに立つ長躯も良く見えた。


「あんたにじゃないぞ」


花束を置いてから店をじっくりと見渡して、一つ息を吐く。
もうこの空間が無くなるのは時間の問題だ、珈琲は飲めなくなるし、皆でたまに顔を合わせた時間もなくなる。
暫くしてからテーブルにうつ伏せ目を閉じた、ここでもやっぱり眠れそうだ、今はとても疲れていたし誰も来なければ許されるだろう。

何処か穏やかな気持ちで別れを受け入れることができている。
怒りや殺意がないとは言わないが、楽しそうであったのだ、
そんな男の姿が見れて自分が嬉しくないわけがない。

ただ今は静かに休んでいたい。
大好きだったこの場所で、彼の愛したものへの想いが籠もったこの場所で。

#Mazzetto
(94) 2023/09/30(Sat) 18:15:27
ルチアーノは、「爆破でもしてやろうかと思ったんだがなあ」#Mazzetto
(a33) 2023/09/30(Sat) 18:15:48

ルチアーノは、「早起きが毎日出来るようになったらな」そう告げて、貴方と共に海辺を歩いた。 #ReFantasma
(a56) 2023/10/01(Sun) 20:53:46

ルチアーノは、あの店にあったコーヒーミルを捨てた。 #Mazzetto
(a61) 2023/10/01(Sun) 20:59:14