26 【身内】朧月夜とお散歩犬【R18】
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本日の生存者:檜扇 レオ、早乙女 太郎、マナ、ルー、街路灯以上5名。
| [犯行予告の日。 清々しい朝の空気が窓から入り込む。
想い人の住む舘の塀に 4WDの黒い車を横付けると エンジンを切った。
着きました‥‥と 電子機器を弄って連絡することもなく ただ、ただ、静かに待つ。
攫われることを 再び望んでくださるのであれば 最初に姿が見えるだろう扉を、じっと見つめて。**] (@0) 2020/05/05(Tue) 23:55:54 |
|
また攫ってくれるだろうか……
(@1) 2020/05/05(Tue) 23:55:55 |
| [期待をせずに、居られなかった。
今月は一年でいちばん 大好きな数字が多く並ぶ月だから
貴方がきっと、攫いに来てくれるって。] (@2) 2020/05/06(Wed) 0:09:55 |
| [けれど、期待が高まるほどに 不安も強くなる。
もし来てくれなかったらどうしよう……、って。] (@3) 2020/05/06(Wed) 0:12:55 |
| [魂の形がぴったりと合う貴方を 僕の殺戮衝動を受け止めてくれる貴方を 何度でも殺したくて堪らない貴方を
誰にも奪われたくないと思う、僕は
貴方から届けられるW犯行予告Wの四角を いつも いつでも 心待ちにしている。] (@4) 2020/05/06(Wed) 0:23:05 |
| [貴方に出逢ってから、筆のノリが頗る良い。
突然書けなくなっては休載して 編集の手を焼かせていたノワール小説家は いまや締め切りを守る優等生作家だ。
僕の歪みを赦してくれる貴方を 原稿用紙の上で殺すことが 楽しくて愉しくて堪らないから インクの減りが早くなった。
いつ攫われても良いように 仕事を早めに終わらせる癖がついた……、 というのも、あるけれど。] (@5) 2020/05/06(Wed) 0:42:55 |
| [そんな僕のもとに 今月も一枚、届けられた。 >>5:@3 封筒に包まれたそれを受け取れば、心底ほっとして。 掴む手から全身へ、春の陽気を浴びているような 優しいあたたかさが拡がった。 ――かと思えば、中身を確認して 真夏の太陽に灼かれる。] (いつの間に、撮ったんですか……っ) [帰されてから段々薄く消えていく形を 惜しみながら眺めていたから アップに写された赤がなにか直ぐに気付いた。 >>5:@3 撮られた記憶は、ない。] (@6) 2020/05/06(Wed) 1:02:15 |
| [封筒の中に戻して 鍵付きの袖机に大切に仕舞えば ぱたぱたと手で顔を扇いだ。
幾らか涼しくなるけれど 貴方が痕をつけてくれた場所は 熱を思い出したようにあつい。]
(迂闊に寝られないな)
[とは、恥ずかしいゆえに思うけれど
心を許しているからこそ 彼の前では無防備に眠ってしまうことも よく理解しているから
きっとまた気付かぬうちに撮られてしまうし 自分はそれらを許すのだろう。**] (@7) 2020/05/06(Wed) 1:17:01 |
── 夜:病室にて ──
[面会時間が終わり
彼が帰ってしまった病室は
急に温度を失ったように酷く寒々しい。
空調管理されている筈なのに
指先から凍えていく感じがする。
そんな両手に、はー…と息を吹きかけ
こすり合わせてから
筆を取った。
”タロの体温を感じながら眠る”
それを叶える為に
どんなことでもする覚悟を綴る。
抗い切れない睡魔に襲われるまで────…]*
[眠りに就いた後に見る夢は
場面こそ違えど
あの悪夢の繰り返しだ。
結末が分かっているのに止められない。
変えることもできない。
絶望
を、
何度も何度でも…………]
── 悪夢の中で ──
[タロからの提案は
とてつもなく魅惑的だった。
アレはもちろん飲みたくない。
が、
それ以上に
俺の希望を叶えてくれようとする
気持ちの方に心打たれた。]
[幼い頃から
誰にも理解されずにきた
だ。
医者の子はやっぱり違うね、
なんて、やっかみ混じりの感想なんか
疾うに聞き飽きた。
「今度、解剖させてくれん?」
自らネタにすることも覚えたが
本心だと判かれば
同じ方向性を目指しているはずの
学友たちでさえ、眉を顰める。
まさか本気で
肯定してくれる人が現れるとは
思ってもみなかった。]
[
ああ、嬉しかったんだ。
どうしようもなく。
]
[他の選択肢なんか
目に入らぬ程に
その計画に取り込まれた。]
タロのタイミングで、いいぜ
[運命の選択の瞬間は彼に任せ、
手を引かれて駆ける。
弟みたいだ…なんて言ったけれど
どちらが兄か
分からねーなって
そんなことを考えられたのは一瞬だった。]
[本当に…
ああ、本当に
この上もなく特等席だった。
扉を開けた途端に
凄い勢いで、”アレ”が這い寄り
獣臭い息を感じた時には、]
ッ、──────!!!!!!
[かぱりと開かれた大きな顎が
タロに、タロだけに襲いかかっていた。
丸呑みされる筈だなどと言う
俺の半端な知識は、ものの見事に裏切られ
頭を噛み砕かれる血飛沫を
てっぺんから爪先まで
思いっきり、ビチャビチャと浴びながら
望んで止まなかった、その光景を
食い入るように凝視した。]
[前日に観ていた
グロいホラーなんか
児戯に等しい、作り物。紛い物。
悲痛な叫びと、生々しい咀嚼音。
8Kの画面でだって
表現しきれない美しすぎる赤が
彼の命の散り際を、辺り一面に咲かせている。
布地に覆われていない素肌は
その血の”暖かさ”を
敏感に感じ取って総毛立ち、
鼻腔を満たす噎ぶ香りに
興奮を否応なく掻き立てられた。]
は、はは‥‥、ははは
すっげぇ 頑張ってるな?
えらいぞ、タロ。
[気が狂った訳でなく
正気を保ったまま、男は歓喜する。]
[ただ、惜しむらくは
あまりに早く、腹の中に収められすぎて
堪能する時間が限られていること。
その綺麗な内蔵に
手を突っ込んで掻き混ぜて
弾力も、感触も、思う存分愉しんで
ぴくぴくと痙攣する様も
苦痛に歪む表情も
もっともっと、味わいたかった。
そう、できれば、
─────自分の手で。
]
[体から切り離され
取り残された腕は重いのだな、と思う。
筋肉のあまりない
ほっそりした二の腕ですら
こんなにも。
繋いだ指先に
ぷらり、ぶら下がり血が滴る。
力強く引いてくれた
”タロの意志”は
もう此処には存在しないのだと
唐突に実感して………… ]
[そんなことを思っているうちに
繋いだ手も、もぎ取られ
大きな空洞へと収められていく。
肉塊が無くなってしまえば
ぶち撒けられた
脳みそと血液のマーブルソースまで
旨そうにべろりと舐め取られ
ころり、と眼球を口に放り込まれれば
タロの痕跡は
床に転がる真っ黒な腕、唯1本だけ。]
[ああ、だけど、
だけど…、そうだ!!
何の問題もなかった。
俺も続いて食べてもらえば
腹の中でグチャグチャに混ざり合える。
喰われるのは痛いだろう、
苦しいだろう、
それでも、
あの綺麗な内蔵と
鮮やかな血と、柔らかな脳みそと
”がんばる”と伝えてくれた声帯や唇と
もう1度
邂逅できるのだと考えれば
そう悪いことには思えなかった。]
[なのに、
この番人ときたら、だ!
俺には目もくれず
くるりと背を向けると
重そうな腹を引きずりながら
ズルズルと去っていく。
タロの血で足裏を
滑らせそうになりながらも追いかけて
握りしめていた包丁を、力一杯振り下ろす。]
俺も、喰え!!
喰えっつってんだよッ!!!!!
この畜生がッッ!!!
[弾かれたか、避けられたか
それとも傷つけることが叶ったか。
いずれにせよ
共に逝こうという約束は
大きな影によって、
]
あ‥‥、 ああ、…!
[一度見た、夢?の中では
巨大な影でしかなかった存在は
隣室から入る炎の揺らめきに照らされて
輪郭を露わにする。
それは、神様と呼ぶには
あまりにも……
ゾウ
だった。
動物の
ゾウ
は優しいはずだが
コレは…、コイツは……]
……ッ、 い…や、 イヤ……、だ…!
[禍々しい気配に
ガクガクと震えながら
首を左右に打ち振り、後退る。]
[タロが喰われ
皆が居なくなってしまってから
どのくらい経ったのか。]
……もぅ、 も、殺さな……
あ、来るな!……来る、なッ…
や、…
あぁああああああ…ッ!
[どうやったって
その激痛からは逃れられぬというのに
一向に慣れぬ体は、逃げを打つ。
ひとは、死を意識した時
苦痛や恐怖と向き合わずに済むよう
性交の200倍もの快楽物質で、脳が満たされるという。
しかし、神の気まぐれで玩具と化した男には
そんな赦しが与えられる筈もなく
逃げ道のない死の遊戯は
レオの精神を延々と削り取っていった。]
[蝕まれた精神の唯一の拠り所は
残された黒い、腕。
あの時みたいに、救い上げて欲しくて
硬く冷たくなってしまった腕に
手を伸ばし、抱きしめる。]
……タ、ロ ッ、 助け、て…… ぅ、ぁあ!
[今度こそ、
一息で死ねるんじゃないかと
指をしゃぶり
肌を舐ったりもしたけれど
命を弄ばれる悪夢から
決して、覚めることはなく───……]