人狼物語 三日月国


112 【R18】アルステラのもとに婚姻を

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【人】 怪力 シャオロン


 おれは、こんなふうにはなもぐちゃぐちゃにしちゃうぞ。


[折角くれたのに、やはり自分は「危ない」のだと離れようとしたら、手を引かれる。
やわらかくてやさしい温もり。
それに、とても良い匂いがした。]
(44) 2021/12/02(Thu) 16:49:37

【人】 怪力 シャオロン



 おれは、おまえのおかあさまのことをしらない。
 しらないひとのためにはつまない。
 おまえに――レイにあげるのなら、つむよ。


[茎が千切れてもまだ花は開いたまま残っていた。
掴まれていない方の手でひとつを摘まんで、彼女の獣耳の付け根付近の髪にそっとさした。]


 きれいだ。


[何故だかとても恥ずかしくて逃げたい気持ちになりながら、花の髪飾りをつけた女の子に不器用な微笑みを向けた。

彼女のやさしさに触れた。
あれは確かに初恋だった。**]
(45) 2021/12/02(Thu) 16:52:04
  コン   は、メモを貼った。
(a9) 2021/12/02(Thu) 18:01:26

【人】 翠眼 ユンチェ

ー 婚儀の日 ー

[その華奢な姿が同族たちの前に現れると駆け寄ろうとしてすぐに、よた、っと体が傾いて。
 どうやら婚礼衣装の裾を、すっかり埋もれてしまっていた自分の足で踏んづけてしまったらしい。
 そのことに気付くと、これまた袖から指先すら溢れないぐらい埋もれた手で、腿の脇をつまんで引っ張り上げる。

 衣装は間違いなく男性用なのだが、丈が余りすぎて婦人のようなシルエットになってしまっていた。

 そして格好だけでなく、背丈もまさに少年か婦人かとして差し支えないぐらい低く……事実、同じく婚礼に赴く、ユンチェと同い年の女性と比べても遜色無く、かろうじてややマシ、といったぐらいか。]


 ……こんなナリじゃ、逃げられるわけないですよねぇ


[この一家にそんな意図などもはや不可能なのだけど、定まってしまった自分の運命について覚悟を決められるのはもう少しかかるかもしれない。
  
 よたれた時にずれた眼鏡を、サイズが異なりすぎる衣装の袖に埋もれたままの手で直した。]
(46) 2021/12/02(Thu) 18:46:37

【人】 翠眼 ユンチェ

[婚礼衣装は当人に合わせて誂えられるものであるが、ユンチェについてはいろいろ例外があって。
 この一家が、外との交流が少ないヴィス族においてさらに族内でも関わり合いが少ないものだから、村としては細かい寸法合わせとか間に合わなかったのである。
 それどころかユンチェについては数年前の姿しか情報が無いわけで……そこから成長するぶんを加味して大きめに作って届けるしかできなかったのだ。

 そもそも長老の命に従うかすら怪しかったのはどうにか守られたようだが……代わりに身長予想は大ハズレに終わってしまったらしい。
 結果、その当時から背丈はいっさい伸びることなかったのか、同世代からの記憶も希薄になったあどけない少年の姿そのまま持って来たかのようにこの日を迎えたのである。]
(47) 2021/12/02(Thu) 18:47:57
翠眼 ユンチェは、メモを貼った。
(a10) 2021/12/02(Thu) 18:50:27

【人】 狐娘 レイ

―― 小さな約束 ――

[花を知らないわけではないだろうに。
物珍しそうに見る姿はどこかおかしかった。
男の子だから、もしかしたら興味はないのかもしれない。
二人の手の内に収められた花は、積んだばかりでまだ瑞々しく、生きていることを伝えていた。]


 おかあさま、いないの?
 だったら、おとうさまは?


[まるで最初から居なかったみたいにロンは言った。
そのことが「寂しい」ということもわからないみたいに。
父もいないという彼に家族が居ないということをしり悲しくなった。

その口ぶりから母がどんなものであるのかは、知っていそうなものなのに。
彼は母親の優しい手を知らない。]


 でも、ロンがたすけてくれたでしょう?
 だから、へいきよ。


[たぶん。とついているのが可笑しくて、くすくすと笑った。
魔物をは怖いけれど、道中は一人でも怖くなかったし、今は彼が居てくれる。
だから、平気。
子供というのはそんな単純なものだ。]
(48) 2021/12/02(Thu) 18:54:57

【人】 狐娘 レイ

[強いから平気。
そう告げるロンの裏の意味までは気づけずに、言葉の意味を素直に受け取る。
確かに彼ほどの強さなら怖いものなど無いだろう。]

 
 まいにちくれば、まいにちロンにあえる?
 わたし、へいきよ。
 ここまでのみちはおぼえたもの!


[満面の笑みを浮かべて、はしゃいだ声が響く。
此処にくれば、また彼に会えるということに期待して。
ロンは少し渋い顔を作ったけれど、助けてくれた彼のこと。
きっと優しい子だから来てくれるに違いない。

くしゃりと茎が萎れてしまったのを見届けて、あ、と声を漏らす。
茎はぐちゃぐちゃになったけれど、その先の花はまだ綺麗に咲いている。]
(49) 2021/12/02(Thu) 18:55:13

【人】 狐娘 レイ

 
 ……ちからのかげんがわからないのね。
 おはなはね、やさしくふれるのよ。
 
 みずをあげれば、またつよくさくわ。


[彼の手を引いて、泉に折れた茎を差し入れる。
元のようには戻らないかもしれないが、水を与えればいくらか回復するだろう。

強さしか知らない彼に、一つ物を教えた気になって笑った。]
(50) 2021/12/02(Thu) 18:55:27

【人】 狐娘 レイ

[泉のほとりに二人腰を下ろして、泉に手を浸す。
ロンの声は静かに耳に響いて心地が良かった。]


 ……わたしに?


[彼の言葉にきょとりと目を丸くしていれば、手が伸びてきて。
泉を覗き込めば、獣耳の傍に花が咲いた。
呟く声に、ぽっと頬が赤く染まる。
彼の瞳と髪色みたいに。

ようやく垣間見えた彼の笑顔につられるように微笑んで、]


 ありがとう、ロン。
 だいじにするわね。

 そうだ。
 あなたがわたしをたすけてくれたかわりに、
 わたしがロンのかぞくになってあげる!


[彼の両手を取って約束を交わした。
彼と同じ色の赤い花は、家に持ち帰った後は押し花にして大事に大事にしまわれた。]
(51) 2021/12/02(Thu) 18:55:59

【人】 狐娘 レイ

[それからは、有言実行どおり毎日泉に通った。
会えない日もあったけれど、泉のほとりで遊んでいれば、
どこからか彼が姿を現した。

花飾りを送ってくれた代わりに、
彼に花冠を作って送ったり、冠の作り方を教えたり。
花言葉や、薬草になる花のことも教えたこともあった。

日が暮れるまでの楽しい時間は毎日あっという間に過ぎ去って、
ここが魔物が出るような危険な場所でもあるということをすっかり忘れていた。

私の後を追って、兄弟たちが様子を見に来るまでは―――**]
  
(52) 2021/12/02(Thu) 18:56:42

【人】 御曹司 ジャヤート

―― 時は少し遡る ――

[リル族の中で権勢を誇る家に生まれたジャヤートは幼き頃より英才教育を受けてきた。
その際の教育方針が褒めて伸ばすと言うもので上手に天狗にならぬよう加減され周囲からよいしょされ続けてきていた。
結果、それらが功を奏したのか次期頭領として期待され望まれるようになり、ジャヤート自身もそれに応えるかのように成長した。

 何か成功すると褒めたたえられるのだから自信に満ち溢れており齢20をしてそれは風貌にも現れていた。
顔立ちも良く魔法を使う際に身に纏う衣の様に展開される蒼い波動は神秘的でもあった。
同世代の者は知っているだろう。
ジャヤートは海原を駆ける板を操り空を翔る。
リル族に生まれた者として最初は海で泳ぐところから始まったがあれよあれよと言う間に海に潜り、海を駆け、船を駆り、気づけば蒼い空と紺碧の海の狭間を征くようになっていた。

 学を修めると家の交易を手伝い始め、交易船の邪魔をする魔獣を狩ることもしばしばであった]
(53) 2021/12/02(Thu) 20:13:06

【人】 御曹司 ジャヤート

[教育課程でヴィス族のことは聞いていたし大人たちが語る彼ら・彼女らの話も当然のように耳にしていた。
曰く、森から離れられない引きこもりたち。
女は皆芋みたいな感じで――。

 それなのに――]


『おい! 親父! ふざけるなよ!
 なんでオレが行かなきゃならんのだ!

 オレは嫌だぞ!
 海がないなら波もない!
 魚も川魚なんて泥臭ければ空も澱んで見える。

 何より芋みたいな女なんて愛せるか!
 一生を添い遂げるならまぶい子が良い!』


[ジャヤートは波乗り板を持ち出し窓を開け放つを足をかけた]
(54) 2021/12/02(Thu) 20:13:22

【人】 御曹司 ジャヤート

『あばよ!
 オレはオレで自由に生きるぜ!

 太陽と海とまぶい子がオレを呼んでいる!』


[言うだけ言うや魔力を使い蒼い波動の衣を纏わせると窓から踊り出て夜空に翔け上がっていった。
地上から見ると夜空に走る一条の蒼い軌跡が見えたことだろう。

後ろで>>21『先方からは可愛い子らしい』とか聞こえるが心の中で盛大に嘘だろと叫びつつ翔け抜けようとして。
次の瞬間、親父が放った雷に打たれて海に落ちてお縄となった]
(55) 2021/12/02(Thu) 20:13:38

【人】 御曹司 ジャヤート

―― 婚儀の日 ――

 だからもう逃げねぇってだから解いてくれよ。
 頭に血が登ってるんだ。


[訴えかけても誰一人として聞いてきれない。
解いたら絶対逃走すると誰もが認識しているからである。
舌打ちをしていると作り立てのような町とも言えない村が見えはじめた。
米粒大であったそれはすぐに大きくなっていき川を遡る船は簡易の波止場に停船すると船員が縄で船を固定しはじめた。

 船で着たのには理由がある。
荷台よりも多くの荷物を運べるのだからと家財道具や当面の生活に必要なものを取り揃えて持ってきていた。
あとは婚約者の家族に渡す結納分であったりするらしいが荷は海の男たちによってどんどんと運び出され、ジャヤートもまた荷のように運ばれて邪魔にならぬ位置に置かれた。

 やはり解かれる気配はない。
かなり気落ちした表情でごろごろと、拗ねていた*]
(56) 2021/12/02(Thu) 20:13:46
御曹司 ジャヤートは、メモを貼った。
(a11) 2021/12/02(Thu) 20:19:39

【人】 怪力 シャオロン

――失われた記憶――


[父もいないと言うと、何故か彼女の方が悲しそうな顔をした。
彼女には両親がいるのに、おかしな話だ。

悲しそうな顔が通常かと思いきや、母が彼女を心配するのではないかと言った時には自分が助けたから平気だと居直ったように断言する。]


 そりゃたまたまだろ、 ……はあ、

 あぶなっかしーなぁ、おまえ。
 ほんとにまいにちこなきゃいけなくなったじゃないか。
 そんなにまいにちはなつんでたら、いえがはなやになるぞ。


[彼女がいつ来るかわからないから備えて毎日来る、というつもりが、いつの間にか毎日会う約束をしたみたいになっている。
はしゃぐ彼女に呆れたように溜息を吐いて苦笑した。
誰かを「放っておけない」なんて思ったのは初めてのことだった。]
(57) 2021/12/02(Thu) 20:42:52

【人】 怪力 シャオロン


 はななんか、はじめてさわったし……、


[もごもごと咥内でぶつくさ言い訳を言っていると、それこそ小龍を花に見立てたかのようにやさしく触れてくる。
導かれるまま、潰れた茎を差し入れた。]


 ふーん。
 ものしりだな。


[このまますぐに枯れてしまうから、捨てるしかないと思っていた。
だから、潰したことを彼女は怒るだろうと。
こんな風にやさしく教えてもらうなんて、思ってもみなかった。]
(58) 2021/12/02(Thu) 20:43:19

【人】 怪力 シャオロン

[すぐに萎れてしまうわけではないと知った花を彼女の髪にさす。
きれいだと言った小龍以上にレイの方が頬を染めて、暫く二人とももじもじと足元を見つめていた。]


 きゅうにかぞくがふえたら、レイのおかあさまもおとうさまもこまるだろ。
 なにいってんだ。


[まだ「結婚」というシステムもわからなかった頃。
「家族になる」ということは、彼女の家族にもらわれていくことしか想像できなかった。

「なにいってんだ」と言いながらも、家に帰れば彼女が「おかえり」と迎えてくれるのを想像した。
それはとてもしあわせなことのように思えて――同時に悲しかった。
そんなことを、彼女の両親が許す筈がないと、幼心にわかっていたから。

約束、とは言わなかった。
願っても叶わなかった時、彼女はきっとまた泣いてしまうだろう。]
(59) 2021/12/02(Thu) 20:44:13

【人】 怪力 シャオロン

[「毎日来る」という約束の方は続けられた。
小龍は元々村で遊ぶことを良しとされていなかったから、泉でレイと遊ぶことにすぐに夢中になった。

最初はぐちゃぐちゃにしていた花冠も徐々に上手くなり、花の名前や知識も増えた。
小龍の方から彼女に教えられることは何もなかったが、指先ひとつで木や石を削ってみせては彼女が驚いて笑ってくれたので、引け目に感じることもなかった。]


 きれいだろ、すいしょう。
 これにこうやってまんなかにあなあけて……っと。
 レイのすきなこのしろいはなをおいて、うえからくりぬいたまるでぎゅってふたをして……


[固い石も小龍の力にかかれば粘土のようなものだ。
透明の環に白い花を閉じ込めて、力だけで溶接すると、彼女の指に嵌めた。
世話をしてくれる女たちがいつも指輪をしているのと同じ指に。


――それがどんな意味を持つのか、知るよりも前に「終わり」が訪れた。]
(60) 2021/12/02(Thu) 20:44:49

【人】 怪力 シャオロン

[怒号。痛み。彼女の泣き声。
贈ったばかりの指輪は泉に投げられ、沈んで行った。

「汚らしいヴィスのガキが」

自分を殴る誰かの声で漸く、彼女が「憎みあう一族の子」だったと知る。]


 レイ!


[声の限りに叫んだ。
その名を――その姿を――
次に目覚めた時には忘れていた。**]
(61) 2021/12/02(Thu) 20:45:15

【人】   コン   

────数年前: 海の見える場所で


[ コンは小さい頃から風を操ることができ、
  海辺にある彼の家系が育てていた果物を
  傷つけないように収穫して生計をたてていた。

  父親たちは海に行っていたけれど、
  彼はそれを選ばず、果物を売ることにした。
  それは多分、海に出ていては見えない世界があると
  思っていた節が彼の中にあるから。

  それだけではないけれども。 
    ]


   夜露に濡れる前に作業するか…



(62) 2021/12/02(Thu) 21:01:20

【人】   コン   




[ 木になる果実たちを個別に包み込んで
  味が良くなるように気持ちを込める。
  同じリルの人間であるジャヤートのように
  積極的に海に関わりを持つ人間を
  コンは凄く勇気のあると思っていた。

  危険と隣り合わせで迅速な対応を
  海の上でやるには、知識が足りなく
  自分を鼓舞する力が足りない。
  それ故に海にでる父親のことも尊敬し
  生き方を選ぶことの大切さを学んだつもり。

  とは言っても、海に慣れていない人間では
  ないので、もし海辺で怪しげな動きを
  している誰かがいるのであれば
  仮面をつけたまま、声をかけるために
  一歩一歩と距離を詰めていくのだった。  ]*




(63) 2021/12/02(Thu) 21:04:08
  コン   は、メモを貼った。
(a12) 2021/12/02(Thu) 21:13:59

【人】 狐娘 レイ

―― 別れ ――

[レイの家は温かかった。仲睦まじい両親と少し年の離れた兄が二人。
兄弟仲も良く、ありきたりな家族図であった。
だから、家族が居ないというロンを知ったとき、物悲しくなった。
誰も居ない家に帰る孤独。
それは温かな家に住むレイ自身には想像もできない。

独り、だから彼は強いのだろうか。
少なくとも、幼い子供が独りを好むことはないだろうと思う。

だから、彼が面倒くさがりながらも泉に来てくれる様子にはぱっと顔を輝かせた。
一緒に遊んでいる間は、独りではないから。]


 いえがおはなやさんになったら、すてきね。
 そのときはロンがかいにきてね。
 いっぱいのおはなで、おうちをかざるから。


[レイもまた、ロンを同じ村の子供だと思った。
子供にとっての村は大きく、未開の地もたくさんある。
まだ出会えていない子供の一人や二人居るだろうと。]
(64) 2021/12/02(Thu) 21:45:43

【人】 狐娘 レイ

[泉に浸した花は水を得て、逞しくなっていく。
萎れかけていた茎も水気を吸って、強くなる。
ほらね?と花を見せながら、ロンに向かって微笑む。]


 だいじょうぶよ!
 ロンがわたしの「だんなさま」になればいいの。

 そうしたら、おとうさまとおかあさまのように
 いっしょにくらせるわ。

 レイしってるの。
 「けっこん」っていうのよ。


[力の強さは知っていても、花の扱いは分からないという。
ものしりと褒められて鼻を高くしながら、彼に教えていこうと思った。
家族の温かさを、花の繊細さを、独りの孤独さを。

彼の孤独が、どれだけ根深いものかも。
まだその時は知る由もなかった。]
(65) 2021/12/02(Thu) 21:46:01

【人】 狐娘 レイ

[その日は唐突に訪れた。

いつものように一人で村を抜け出して泉に向かえば、先にロンが待っていてくれた。
花冠の作り方が上手くなってきたことを褒めて、また母に新しい花を摘む。

レイの力ではびくともしない石を簡単に削るロンの力は凄まじく、彼がその力を見せる度にすごいわ!と感嘆の声を上げた。
彼の力は大人でさえも敵わないかもしれない。

透明の石に花が閉じ込められていく様は不思議で、まじまじとその光景を見つめた。
出来上がった指輪は、彼の力が込められた、わたしの好きな花が添えられた可愛らしいもの。

お伽噺で読んだみたいに、指輪を小さな手に嵌められて。
まるでお姫様になったような気分で高揚した。]


 わぁ……、わたしにくれるの?
 ふふ、きれいね。すてきね。

 ロンは「おうじさま」みたいね。


[くふくふと花の咲いた手を口元に添えて笑っていれば、背後から声がした。]
(66) 2021/12/02(Thu) 21:46:22

【人】 狐娘 レイ

 
『レイ、そいつから離れろ!』


[何が起こったのか分からなかった。
茂みから飛び出してきたのは兄と、数人の村の子供。
ロンを取り囲むようにして、私をロンから遠ざける。

兄たちはロンに罵声を浴びせ、石を投げつけ、木の棒で彼を殴りつけた。]

 
 やめて!
 ロンにひどいことをしないで!

 ロン、……――ロン!


[止める声も虚しく、貰ったばかりの指輪を外され、
引きずられるようにして村に連れ帰られた。

後で分かったことは、ロンがヴィスの一族の子であること。
気立ての良い兄が唯一顔を顰める一族の子であること。

そしてわたしは一人で泉に向かうことを禁じられた。

それから、なんとか兄を煙に巻いて泉に訪れても。
二度と、ロンの姿を見ることは叶わなかった――。
(67) 2021/12/02(Thu) 21:47:33

【人】 光の尾 マンユゥ

[マンユゥはすっかりこの世の終わりのような顔をしていたが
向こうは向こうでひと悶着あったとは勿論知る由もない。>>54>>55

もしも神様がいるなら何とかしてください、
なんてあの日夜に祈りを捧げた流星が
実はまだ見ぬ未来の夫の魔法だったなんてことも。

ともあれ、ヴィス族の一行と共に
新しい居住区らしき地までやって来た。
周囲には転々と新しく作られたばかりの家が並ぶ。

ここが今日から新しい住処になる、なんて
聞かされていてもまだ実感はなかった。
手伝いの男衆が積み荷を降ろし、
てきぱきと儀式の準備を整えていく。

婚礼装束が汚れても事だということで
手伝いを申し出ても断られてしまい
出来ることと言えばただぼうっと見ているだけだ。]
(68) 2021/12/02(Thu) 21:47:50

【人】 狐娘 レイ

―― 婚儀の日 ――

[婚儀の参列はやがて新しい村へとたどり着く。
村の中央には広場があり、作られて間もないだろう家々が広場を囲むように点々と建てられていた。

手伝いの者たちが各部屋へと荷物を運び始める。
手伝いをかって出たものの、
婚儀までにはもう少しあるからと休みを言い渡されてしまい、辺りを見回していれば、川からも大仰な荷物が運び込まれていた。

その荷物の中には、紐で縛られたままのジャヤートもいて。>>56
その光景にくすりと笑ってしまう。
奔放な彼のこと、またお父上と揉めたのだろう。]


 また一段と大きな荷物ね、ジャヤート。
 ……今度は何をしたの?


[荷物の端に佇むジャヤートの前に腰を下ろして、話し相手の一つにでもなればと声を掛けた。*]
(69) 2021/12/02(Thu) 21:49:58

【人】   コン   

──婚儀の日


   ジャヤートは船で護送か。
   これは面白いものが見られたものだな。


[ 残念ながら、これは誰しもが知る事実。
  船に縛り付けられた彼のことを見れば
  若気の至りとは凄いものだと知らされる。>>14
  仮面をつけていないコンというのは
  一族の人間でもあまり見たことがないので
  集まった場所に行った時は
  誰なのかと聞かれた瞬間もあった。

  もしかしたら、コンよりも少し年上の
  シオンは仮面の下を見たことがあったかも
  しれないけれど、どうだったか。      ]



(70) 2021/12/02(Thu) 21:59:09

【人】 光の尾 マンユゥ

[改めて、自分以外のヴィスの民を見遣る。
自分を含めて女が二人、男が二人。
ということは向こうも同じ比率だと言うことだ。
流石に和平を謳う儀らしく、
男女同数に揃えたのだろう。

男性陣とも同じくらいの年頃の筈だが、
2人とも幼い頃に遊んだ顔ではない。

1人は村の中で大人に混じって
力仕事をしているのを時折見かけたが>>5
話しかけようとすると周囲の大人に
何故かやんわりと遠ざけられた覚えがある。

1人はぶかぶかの衣装を着ており
少年と言っても差し支えないような見た目だが>>56
この儀に出される限りは成人…なのだろうか。

彼らは一体何を思っているのだろう。
そわそわと落ち着きなく周囲を見回しながら
所在なくその場に佇んでいる。*]
(71) 2021/12/02(Thu) 22:00:09

【人】   コン   



   ………今頃、どうしているのか。
   同じように、移動しているんだろうな。


[ 親に此度の婚礼の話を出された時、
  逃げ出すことももちろん考えた。

  けれども、コンとていい歳した大人だ。
  逃げ出したところで生きていけないことくらい
  すぐに理解をして、受け入れた。
  婚姻を結ぶ相手のことを愛していけるのか、
  違う女のことを考えている男を許してくれるのか。
  好きになってしまった人間がいれば
  そういうことを考えてしまうのではないかと
  改めて道すがらに思ってしまう。

  用意された装束に袖を通して、
  新しい住処のあるお互いの中間地点まで
  移動するこの時間は、まだ苦痛。      ]*



(72) 2021/12/02(Thu) 22:00:54

【人】 末っ子長女 シャーレン

[ヴィス族の歴史ある家の生まれではあるが、リル族への偏見はなかった。
昔、リル族とヴィス族に分かれる前はアルステラ族と呼ばれていた事も知っている。
元は同じ一族であったのだし、生まれが違うだけでなんだと言うのか。
偏見がないのは書物から得たたくさんの知識や、両親からの教育のおかげと言えるかもしれない。
しかし、リル族に偏見がないからと言って見ず知らずの男性と結婚が出来るかと言われれば否。
少しづつ育んでいた愛が、華咲く前に散らされてしまうのだから尚更]

お父様、お母様、お兄様…。
この家の一人娘である私が、いつか嫁がなければならない事はわかっていましたし覚悟していました。
けれど…わたし、私は。
見ず知らずのリル族の男性と結婚しなければならないのですか?

[悲しそうな顔をする家族。
こんな事を言っては困らせてしまう事もわかっている。
それでも思わずにはいられなかった。
相手だと告げられた名前は知らぬもので。
あの人だったらよかったのに、そう思わずにはいられなかった]
(73) 2021/12/02(Thu) 22:05:10