203 三月うさぎの不思議なテーブル
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[しゃがんだチエに近づくけれど、手にクリームが山盛りついていたので]
とにかく、わかった
アンに伝えて、営業に支障ない範囲でこれからは私のヘルプも頼むね。条件面はまた今度……
結構、こき使うと思うけど、良い?
[話しかけながら,チエの手を握る。
ハンドクリームのお裾分け。拭き取るのは勿体ないし、手は大事だから*]
だいじょうぶじゃないかも……
[顔があげられない。
なんかもう、完全に片思いだと思ってたすれ違いとか、振ってほしいとか言っちゃったかっこ悪さとか、それはそれとして振られなかった現実とか、本物のデートしようとか、何もかもがぐるぐる頭の中で渦巻いて、立ち上がれない。]
うん、それは、全然、望むところ。
やらせてっていったの、ボクだし……
[条件とか、こき使うとか、冷静な話になってきたら少し落ち着ける。
のろのろ立ち上がって、手をつなぐ。
その行為がハンドクリームのお裾分けと気づけないくらいに、頭の中から指先まで熱くなってる気がした*]
………、
良い。
[ 駄目にしたいんだ?
という問い掛けには
うなずくのみに留めた。
ぽふんと、ダイブしてこちらを
振り返る那岐くん、
緩んだ頬で見られると心底、買って
良かった、と思う。 ]
[ 僅かに滲みそうなものを、
まだ出てくるなと押し込んだ事は否めない。
到着早々ギラついた視線を向けるなんて
いくらなんでも。ティーンじゃないんだから。
時々敬語が抜けるようになってきて
だんだん、君に近づいているのが
感じ取れたから、一人で過ごして
居るときのように、くつろいで欲しいのも本当。
それを自分だけに見せて欲しいと
思ったのもまた、本当。 ]
だよね
俺もそう思って。那岐くん来たら
一緒に選ぼうと思ってて。
[ ピザとコーラに頷いて
スマホ片手に、画面を見せるようにして
一歩近づいた時、なにやらもぞ、と彼の体が
移動していく。
そっちは、今までも使っていた方だが
はて。ある程度くたっとしているほうが
心地よいのか、とか考えた俺の耳に、
とんでもない言葉が飛び込んできて
危うく、スマホを取り落とすところだった。 ]
そう?那岐くんがいいならいいけど
……あんまりそう可愛いことを言うと
高野さん動画鑑賞どころじゃなくなるので、
気をつけて。
[ 今日に至るまで、あの言葉を
何度リフレインしたと思っているのか。 ]
どれがいい?俺はとりあえずこれかなって
[ 平常心と二度胸中で呟いてから、
スマホの画面を見せる、自分が選んだものは
定番のトマトとチーズ、
それにバジルが乗っているもの。* ]
…………?
[問い掛けに予想していた答えとは、
違うものが返ってきた。
良い?……のなら、まあ、いいのか。
頷いているのであればと納得させた、後。
ピザの合意を得たのは同じまだ20代の食べ盛り。
スマホを掲げるのを横目に、
改めて文明の利器の偉大さを感じる。]
[スマホ慣れしているんだろうな。
とか、些細な仕草に今更気づきながら。
愛しいクッションとの余韻を惜しみつつ、
身体を起こそうとすれば、彼が手を滑らせたのか。
落としそうになったスマホ。
可愛いこと。
口の中で反芻して。
その後に続いた言葉を聞きながら、
自身の行動を振り返ってみて、思い至れば。]
あー……、
……いや、まあ
……
……、はい。
[意図した訳じゃなかっただけに。羞恥が襲って。
耳朶を仄かに染めながら、画面へと視線を落とした。]
[
嫌じゃない、
と言いかけた言葉は。
今、は、呑み込んでおく。
過去の彼のことを知るために今日は来たのだから。 ]
[代わりに、トン、と肩をぶつけて。
隣から覗き込むようにしてスマホを覗き込む。
指し示されたものは定番のトマトを使ったもの。]
いいですね、バジル。
後、季節モノなら……、サーモンと菜の花。
サーモン、好きなんです。
[横から画面をフリックさせてカルボナーラを選ぶ。
以前にも話した、好きなものの一つ。
店の素材から選んで料理を考える瞬間も好きだけど。
限られたメニューの中から好きなものを探すのも、
それはまた楽しく、好みが分かれるから。
それぞれの『好き』を知るのも、いい。**]
[ オープンショルダーを見た男の気持ちは、
残念なことに乙女心を抱える大咲には察せないまま。
先程彼の中の獣性を抑えて焦らしたばかりだというのに
そっと髪へ触れてくる指先への警戒心さえ欠片もなかった。
前も髪、触っていたような。
好きなのかな、なんて思いながら ]
ふふ、夜綿さんの好みになりたくて、気合い入れてるので。
そう思って貰えてるなら嬉しいです。
[ もっとシンプルで大人びた服が好きなら合わせよう、とか
色々考えてもいたけれど。
元から自分が好きなかわいい服がちゃんと彼の好み通りなら
それは運命と言っても良いような、浮かれすぎであるような?
いつもと変わらないジャケットでも何でも構わない。
約束した通り、私の思う貴方に似合う服で、
貴方をコーディネートして私の夜綿さんに出来るので。 ]
……うれしい。
私も繋ぎたいです、夜綿さん。
[ 短いシンプルなお誘いなのに。
それだけで緊張がふんわりと解けていってしまうのだから
こういう時、敵わないなあ、と思うのだ。
きゅう、と繋いだ手はいわゆるところの恋人繋ぎ。
離さないように、離れないように、指先へ優しく力を込め。
へにゃんと幸せそうに頬を緩め、デートの約束。>>+5:+339 ]
…合わせてもらっちゃうこと多くて、すみません。
ありがとうございます。デート、うれしいです。
えっとね、駅前のショッピングモールの中に
……見たことあります? ふわふわ生地のパジャマ売ってる店。
あそこでお揃いのパジャマ買いたいのと、
メンズ系は……んと、あんまり詳しくないから
入ってるブランド下調べしておきますね。
[ 挙げられた名前のショッピングモールで異論はなかった。
ふわふわのパジャマが買えるブランドは恋人同士用も売っていて
それに、かわいい。大咲の趣味全開になってしまうけれども
夜寝る時に見せる彼専用の姿なので、許してほしいところ。
女性向けの服のブランドもお気に入りが幾つか入っているし
アプリで軽くショップリストを表示させながら、
こことかも行きたいです、と今のうちに意思表示。
彼がいつも買うブランドがあるならそこを教えて欲しがって、
お気に入りボタンを押し、下準備は入念にしておくことにして。
そんな風にのんびりと歩いていれば。 ]
……?
渡したいもの ですか?
[ まだ電車が動いている時間帯の自宅へのお誘いに、
小首を傾げはしたけれど。
もちろん喜んで、とはにかんで答える以外の考えは無いのです。
……翌日響かない時間に帰して貰えるというよりは
お泊まりセット、置きっ放しなの、忘れていませんし? ]
[ マンションの5階、彼の家の前。
ポケットの中を探した彼が取り出したのは鍵ではなくて
小さな封筒だった。
差し出される封筒をぽかん、と見つめる羽目になり
数拍遅れて開けてみれば、中から出てくるのは
自分の家の鍵とは確かに違う形の、彼の家の、合鍵ひとつ。 ]
……わ、ぇ、貰っちゃっていいんですか?
キーホルダー……買いたいです、おそろい、の。
わ……どうしよ、嬉しい、大事にします。
[ さっきから嬉しいしか語彙が無くなっている気がする。
随分春で浮かれた頭からは単純な言葉しか出てこないけれど
彼なら多分、気持ちを分かってくれるはず。
促されるままにそっと鍵穴へ鍵を差し込んで。
真剣勝負の時のように緊張した面持ちで、鍵を回す。
────扉が開き、玄関が姿を現すと同時
彼が先に家の中へ体を滑り込ませ、こちらへ腕を広げた。
……ああ、ああ、もう!
本当のほんとうに幸せにしてくれるのが上手い人! ]
……た、ただいま……です 夜綿さんっ
[ 店で他の人が言っているのを聞いても。
そう言いたくなる気持ちを理解しても言えなかった4文字を
振り絞るように、彼の名前と一緒に、しっかり紡いで。
広げられた手の意図をちゃんと理解している大咲は
その感情の勢いのまま、彼の腕の中へ飛び込んだ。 ]
…………こんな風に、おかえりとただいまが言えたあとで
自分の家へ戻るの……寂しい、です
やっぱり今日、このままお泊まりしちゃだめですか?
[ というかもう次お迎えに来てもらえる時、
何着か私服とパジャマと他の細々したスキンケアセットやら
そういうのを置かせて貰おうと決意して。
彼を抱きしめながら、伺うように顔を見上げて問いかけつつ
あのね、とちいさく声を零した。 ]
一緒に住む……同棲、の、約束 した日に
……個人的に、ひとつ。
しっかり向き合ってきたことが、あるんです
[ 彼へ吐いた弱音とはまあ別の、と付け加えて。
車で送ってもらった日に繋がった電話先の声を思い出しながら
常よりもゆっくりと、言葉を。 ]
いつ話そうか、迷ってたんですけど。
合鍵をくれた今日、話したいなって……思って。
[ 聞いてくれますか、と問いかける大咲の心音は
きっと常より早鐘を打っていて。
抱きしめた貴方には、それさえ筒抜けなのだと思うと
恥ずかしいような、……それ以上に幸せの、ような。
不思議な心地ばかり。** ]
―― ラムの日 ――
[カウンターを挟んで語られる会話は
杏の可愛い談義だったか
。
会話に交わらずとも、時折耳を傾けながら。
同僚たちの従姉妹の評価に小さく笑う。
可愛いだけで済まさずに、マダムとしての評価も
見ている辺り、さすが速崎と言ったところ。
杏が可愛いのは昔から当然だから。
……というのは、可愛がられてきた従兄弟としての言い分。
その速崎の方へと目を向ければ、
いつも一人で食事を楽しんでいる女性と話していただろうか。
葉月は今日は一人で食事を楽しんでいる様子。
時折、美澄と話しながら。]
[花を見に行きたいと、言う知恵の声。
笑いながら、応える沙弥の姿に
ああ、ここにもまたひとつ、花開く。
肉好きの人と綺麗な女性が二人で店に来ることも、
その頃には増えていただろうか。
美味しい食事と楽しい会話。
今日も過ぎていく一日。]
美澄、……ラム焦げそう。
[さて、この後輩は相変わらず腕は確かなようだが。
あれからルームシェアの話は進んだのかどうか。
あまり突っ込みすぎるのも、
先輩風を吹かし過ぎるようで口を挟まないまま。
静かに見守ることにしよう。**]
── 同士は提案を却下した ──
[大咲さんに鈍感天然同盟を持ちかけたら却下されました。
素質はあると思うよ!!
しかしNOと言えるの大事なので、大人しく心の中だけで同盟を組もう。色んなところから怒られそう。
ほら。やっぱり同士だ。]
おもちはね〜〜。やっかいだって聞くよ〜?
神田さん大人だから、『余裕です』って隠すかもしれないし。
『なんでもない日』にもたくさん伝えてあげてね。
きっと喜ぶ!何故なら俺なら喜ぶから!!
[ソースは俺です。
そして俺は自分なら大丈夫とか全く思いません。
ほらね。
俺に『なんでもない日おめでとう』のパーティーを教えてくれた大咲さんには。毎日パーティーしたいくらい。幸せでいて欲しいなって思いました。**]
── お兄ちゃんにご報告 ──
[お兄ちゃんこと神田さんは、内心
はどうあれ、俺に新設に接してくれる。そりゃ懐きます。]
やっぱりバレバレだった??
周りより自分の方が鈍いの、大咲さんから鈍感天然言われても反論出来ない。
慎重と言うか……タイミング?が合わなかったかなぁ。
本当に色々ありました……
あ。これだけは言わせておいてね。
俺は玲羅一筋だし、大咲さんは俺に神田さん好きとか惚気てくるからね。
[嘘は言ってない。]
[紅葉狩りのお誘いとか嬉しいんですけど?]
玲羅に聞いてみる。
玲羅が神田さんや大咲さんとどれくらい親しいか分からないし。
でも誘ってくれてありがと〜。
紅葉狩り綺麗だろうね〜。
い〜〜〜な〜〜〜……。
あ。手を繋いだのおめでとうございます。
[ちょっと紅葉に想いを馳せていましたが。
戻って第一声でおめでとうを言ったのでした。**]
え?うん。そのつもりだけど。
[職場でいつも地味スーツなのは単純に
あんまり職場で着飾ると色々面倒くさいからで、
そこまで服装規定が厳しい会社ってわけでもない。
後輩も時々指輪つけてきたりしてるし、咎められたりもしなかろう。
うん、たぶん大丈夫。
と思い返しながら彼の方を見れば
期待と不安。そして何より嬉しそうにじっとこちらを見つめていて。
ふふ、と釣られて微笑みながら頷く。
牛になる彼にからから笑いながら手を繋いで。
目的地のアクセサリー作り教室へ。]
ん、分かった。シルバーだね。
[これだけでは結婚指輪をイメージして、とまでは分からず
そっかー、とそのまま受け取ったけど。
左手につけるものだと思ってたって言われたら
ちょっと照れたようにどぎまぎしたと思う。]
一応指輪つける手、
恋人同士は右手の薬指につけることが多くて…
左手だとその、一般的には夫婦とか婚約者…に見られると思うんだけど、えっと…
いや、瑛斗がそれでいいなら全然いいんだけど……
[と、赤い顔で答える玲羅がどっかにいました。]
[話を戻してリングの装飾ね。
最終的な判断を委ねられたので]
んー、じゃあねー、槌目にしようかな!
形は甲丸で、質感はクリア。
幅は3mmくらいかなあ?広すぎず狭すぎず。
[普通に結婚指輪としても使われているデザインだけあって
そこまで華美なものではないのだし
着けやすさ、は多分どれでもそこまで大きくは変わらない。
どちらかと言うと個人の好みになってくると思う。
柔らかな丸みを帯びたスタンダードな形状と、
きらきら万華鏡みたいに光が反射するリングの表面が
何だか宝石みたいで気に入った。
裏に刻印を入れて貰う旨も述べて。]
よし、頑張って作ろうねー!!
[特に彼の方から異論が出なければ
気合を入れて作業に取り掛かるつもりだ。**]
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