54 【半再演RP】異世界温泉物語【R18】
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『真里花はしっかりしてるからお母さん助かるわ』
『真里花ちゃん、何でも一人でできちゃうんだね』
『おかあさん!まりお姉ちゃんがやさしくしてくれない!』
『おとうさん!まりお姉ちゃんが柚理と遊んでくれない!』
『あらあら"お姉ちゃん"なんだから』
「……うん、でもこれはだめ。他のであそぼ」
[ 妹の、見えるところに置いていたわたしがわるい。
――いつでも見える場所に、置いておきたかったのに
妹が興味を示すようなものなのだから
隠して置かなかった、私が悪い?
――兄がプレゼントしてくれたもので遊べるのは、
妹が寝静まった後の話。
いつも、遊べなくても。
いつも、眺められなくても。
汚されたり、壊されたりするよりはずっとまし。
妹は、姉の持っているものを自分も持ちたがり、
姉のやっていることはなんでもやりたいと言う
かわいいいもうとで。
姉は、そんな妹のわがままにすべて「いいよ」で
答えなければいけない、
てのかからないあね なのだから――。 ]
こわいゆめみたの
いっしょにねて
[ そうじゃなくたって、潜り込むくせに。
わたしはいいわけをしては、
兄の布団に転がり込んでた。 ]
おばけがきたら
こわいから
[ ただただ、一緒に寝たいと
そう口にすることも時々はあったかな。 ]
―とある青年のこれから―
[脱衣所の棚へと何種類も詰め込まれた入浴剤に、
うんざりと詰め込んだ犯人を見上げる。]
おまえ、これどうやって消費しやがれってんです。
[抗議の視線も何のその、
気分で使い分けなよとへらりと笑われては、
二の句は飲み込むことになった。
いくつかは妹にもおすそ分けしよう。そうしよう。
妹から送られてきた誕生日プレゼントに
すっぽり収まったまま、片足で犯人に蹴りをいれておく。
そうして自分はリビングへと引き上げた。
調子っぱずれの鼻歌が聞こえるあたり、奴の機嫌は上々だ]
[ほんの数時間の不思議な小旅行から帰ってきてからというもの、
とりあえず変わったことといえば、
まずはメッセージアプリのIDを伝えたこと、
年に数度の特別なやりとりが、日常に馴染みつつあること、
それから、]
「じーんー、これとこれどっちつかっていいやつー?」
ひだり。
「こっちね」
おれからみて左だ。
[はいはーい、とわかっているんだかわかっていないんだか、
間延びした声を返して今度はキッチンに引っ込んだ、
件のこの"友人"との関係性が、少し変わってきたこととか。]
[誕生日のメッセージはいつも日替わりギリギリに届く。
――毎年律儀に。
なぜ迎えた直後でないのかと聞けば、
それは妹ちゃんのもの、と殊勝な答えをよこしたので、
いちいち祝わなくていい、なんて無粋はやめておいた。
だから今年もメッセージを受信した直後に、
初めてコールバックした。]
『珍しいなァ、誕生日おめでと〜』
どーも。
温泉に行ってきたんですよ、この前。
『へえ、いいじゃん。どこの?』
遠いとこ。まぁそれはいいです、
んでおまえ、前土産に入浴剤よこしかけたでしょう。
『雑だな! うん、オマエがいらねーっていったやつね』
あれまだあります?
それと、こないだ言ってた果樹園に、
今度妹来た時行きますよ。食事場所は任せました。
未成年入れるところで。
[旅館に居た間に書き込んでいた脳内タスクを、
これでもか、と一度に放出して、ふうと息をつく。
戻ってきたのは、ふわふわとした笑い声だった。]
『めっちゃ一気に言うじゃんオマエさァ』
[言葉ばかりは呆れたようなふりをして、
声音には喜色が滲んでいた。
思わず唇をもごつかせて、]
……まあ、十年分ぐらいありますし。
『いーよいーよ、オレがちゃあんと準備しといてあげる』
[今度こそ閉口した。
もしやと思うが、自分が妹に声をかけているときも、
こんな声音なんだろうか。
こんな、
愛おしくてたまらない、というような、
――途端に恥ずかしいような面映いような、
なんとも言えない感情が押し寄せて、スマホが軋む]
――それだけですんで、
[いたたまれなくなって、通話を強制終了した。]
[ソファの上で、毛布にくるまって縮こまる。
思い出してはならないものを思い出した気がする。
無心で最近置物を脱しつつあるテレビのスイッチを入れて、
クリスマス特集!の音声で問答無用でチャンネルを変えた。
――世間はクリスマスだ。
きっと、妹のところにも、"プレゼント"が届いたころだろう。]
「楽しみだなァ妹ちゃんに会うの」
おまえに会わせるために呼んだわけじゃねぇですけど。
「えー会わせてくれるんじゃねぇの?」
…………くれぐれも言動には気をつけるように。
[ココアを入れたマグを持って、隣に腰を下ろした顔を盗み見る。
終始ご機嫌らしい横顔は、視線に気づくとうん?と首を傾ぐ。
自分の分で両手を温めながら、ふいと視線を外した。
――あの電話以来、万事が万事この調子で、まるでぬるま湯だ]
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