94 【身内】青き果実の毒房【R18G】
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えむというのはああいうものなのかなぁと思いました。風評被害を重ねるな。
(3日目廊下)
「ありがとう、迷彩」
最後に頭をそっと撫で、貴戸はルームメイトを抱えてその場を後にする。ルームメイトと呼ぶにはやけに優しい手つきで体を掬い、やけに温かな視線を腕の中で眠る少年に注いでいたが。
▽
(3日目続き) >>迷彩
しばらくして蹲る貴方の耳をくすぐる靴音がやってくる。
「待たせたな。お前の行きたいところに送り届けよう。立てるか?歩けるか?」
まだ放置されていたのであれば闇谷の衣服を回収し、几帳面さが滲む手つきで畳んで手提げ袋に詰めた後。
ぽすん、と軽く頭を撫でる手と共に声が再び降ってくる。
貴戸
貴方が再び訪れた頃には、もう少年の涙は引っ込んでいた。
乱雑ではあるが、中途半端に下ろしていたズボンも上げている。
逆に言えば、それ以外はそのままだった。
「……」
行きたい所。
そう言われた真っ先に思い浮かんだのは、最も行きたくない所だった。
「オレの部屋は絶対行きたくない。
それ以外だったら、どこでもいい」
あの性悪なルームメイトは、きっとこのことを知れば揶揄うはずだ。
加害者
『同じ』になれて良かったな、と。
食堂にて。
普段通りトレーを持つ……わけではなく。その手にはカメラが渡されている。
取り止められた南波を見やり、それから再びカメラに視線を落とし。遠慮することもなく出るままにため息をこぼした。
「……そんなに撮りたそうにしているのなら、俺のを渡してやりたいぐらいだ、南波。
俺は外の人間が喜びそうなものも撮れる器用な奴だと思って二回続けてお前に投票したぐらいなのだから」
寝起きが悪い方ではある。今も昔も規則正しく生活してきてない。でも、今日は食堂に来ない。
一人分にしては多い量のサンドイッチや手鞠寿司を持ってきて席に着いた。
端末から号外記事を眺めている。漢字だらけで、母の名前があること以外は殆どわからなかった。
3日目迷彩
即答されて頷く。貴方が水面下で何を抱えているかも気付かずに。
貴方と貴方のルームメイトの間で何があったのか知る由もない。だから、単純に人がいるであろう場所は嫌がっているのだという推測しかできなかった。
「分かった。それ以外の場所で休もう。
今お前に必要なのは心と体を休める時間だ」
頭を撫でていた手を肩へ。とんと優しく撫ぜてから「掴まって立つといい」とそっと手を貴方に差し出す。断られてもどこ吹く風。気にすることなく涼しい顔で移動を始めるだろう。
貴戸
「……ん。ありがと」
礼節に欠ける少年としては珍しい言葉だった。
遠慮がちに手を取り、ようやく立ち上がる。鞄を引き摺りながら、緩慢な動きで貴方に続く。
時々、割れた皿の破片を踏んだ。
食堂にて一人分にしては多い料理を二つに分けた後。
自分一人では食べる気が起きなくて、ふとぼんやりと手遊みにカメラをいじりながら食堂の窓の向こうを見やる。
窓からあまり離れていない場所で、二匹のトンボが仲良さそうに身を寄せ合っている姿が目に止まった。
「…………」
芸術点の高い美しいお辞儀で謝罪した。「ですがハメ撮りってこういう……」
朝。
朝と言っても完全に朝の定義から外れている時間。
昼。昼である。
今日も罪のないトンボがハメ撮りの刑に処されている。
「…………〜、」
大欠伸。
眠気を隠すこともしていない。
ダラダラのろのろと
ルームメイトの向かいの席へ腰を下ろした。
怒られた。我ながら意表を突く名案だと思ったのだが。ほら、外の人間だって人以外の交尾を見たい気分だってあるかもしれないし……知らんけど。
「……」
虫の交尾の映像を削除し、嘆息する。手の中に収まるカメラがやけに重く感じて、困ったようにとんと爪で機器を小突いた。
撮影、どうしよう。
闇谷
「!」
小豆色の瞳がにわかに丸くなる。
けれどその変化も一瞬のこと。瞬き一つ行えば、普段浮かべる仏頂面に戻っていった。
「……暁。おはよう。調子はどうだ?」
軽い挨拶をしつつ、既に取り分けていた手鞠寿司やサンドイッチをずいずいと貴方に寄せるだろう。
貴戸
「……………ん」
寝起きのローテンション。
貴方を一瞥すると、ぐりぐり瞼を擦ってから
「おはよ」
朝飯は食べない派だが
貴方が渡してくれるものなのでモソモソと口にする。
「腰が悲鳴をあげてる以外は元気。」
それを元気と言うのだろうか?
闇谷
「それは元気と言わないんじゃないか?」
思わず口にした。
「……俺の異能が誰かを癒すものであればよかったのだがな。痛みを感じないようにすることは出来ても傷や疲労の回復は出来ない。
今日は大人しく休んでいろ、暁。何か欲しいものがあるなら言うといい。代わりに動こう」
貴方がやってきたのを見て漸く自分も食事を取り始めたが、そのペースは普段と比べて明らかに落ちている。表情こそ分かりにくいが、貴方を心配そうに見ているのが原因かもしれない。
貴戸
ぐるりと視線を巡らせて
食堂内に、元気な最年少の姿を探し
居ても居なくても、んー、と呟く。
「や、いいよ。
貴戸にはもうかなり助けて貰ってるし
歩けない程じゃないし………、」
貴方の手を煩わせる程では、と言い掛けて。
「……甘えて良いんだっけ。
じゃー甘いもん食べたい。持ってきて。」
なおひー、静かな方がタイプ?
貴方の背中を見送りながら、言葉を反芻する。
『ちょっとだけ』、どうやら『トモダチ』の定義が違うらしい。見方が違うらしい。……あと、なんだったっけ。そもそも、『どうして』だったっけ?
「――難しいねぇ」
小さな言葉を吐き出し、近づいてきた足音と差した影に首を動かして貴方を見上げる。
「おかえりぃ。
んー……ううん。なんにもないや。なんにもないから、見かけたなおひーに声かけたの。お腹も空いてたし。
なおひーは暇〜?……って聞くと忙しいって言われそうだねぇ」
そもそも厳密に言えば今は暇な時間なんて、あってないようなもののはずだが。
普段なら教誨で使われる部屋に、ニュースキャスターの音声が反響する。
設置されたテレビには、夕方のニュース番組が流れていた。
それをただ眺めている。
観るのではなく、瞳に映しているだけだ。
笑顔のリポーターが、百貨店の催事場から中継をしている。
画面の中は、見たこともない果物でいっぱいだった。
リョウちゃん
「リョウちゃんだ。何見てるのぉ?」
ひょこりと、扉から顔を覗かせる。
そのまま貴方の返事も待たずに部屋に入り、近づいていく。
「美味しそうだねぇ。食べたいものでもあった?」
リポーターの声と共に切り替わっていく色鮮やかな果物と、賑わうフロア。
こことは無縁の世界を眺めながらそう問いかける。
先日貴方が何をしたか、知らない訳ではない。
それでもこの少年の貴方への態度はいつも通りだ。
だって、まだ自分には向けられていないのだから。
闇谷
「ああ、分かった」
こくりと頷いて席を立つ。
少ししてヌガーを持ってきて戻ってきた。クルミやドライフルーツが混ぜ込まれた一品だ。
二人で食べられる分を盛った皿をテーブルに置き、一つ摘んで自分の口に運ぶ……かと思いきや。
そのまま闇谷へと菓子を摘んだ指を向けた。空いた片手はお菓子の屑が万が一落ちた時のための受け皿として一方の手の下に添えられている。
「食べられるか暁。口を開けるといい」
貴戸
「ん、ありが…………………………とう?
」
ルームメイトが望み通りに甘いものを持ってきてくれた。
糖分は脳を回してくれるから好きだ。
朝は食べない派でも菓子くらいは摘んでいる。
ヌガーへ手を伸ばす。厳密には伸ばしかけて止まる。
貴方が所謂──『あーん』をして来ているではないか。
「………? ??」
貴方を見る。真剣な表情だ。
何を考えているんだ、ここは人前だぞ。
「………えっと、自分で食べられる、
…………………………けど……………」
「……………、」
「……あっ、
あーん………」
口を開けた。赤い舌が、白い歯が貴方の目に入る。
放り込まれれば、そのまま咀嚼。
もったりとした口当たりが中々美味しい。うん、と頷いてみせた。
カガミン
声に振り返る。いつも通りの態度に安堵した。
「んーん。今日だから見てただけ」
再び視線は画面に戻る。興味も無いのに、少年はニュースを見ている。普段ならばすぐに寝てしまうだろう内容だが、眠気も見せない。
「今日、母さんの裁判なんだ。最後のやつ」
何の感慨も無く、唇を動かした。
闇谷
貴戸高志は真面目である。
馬鹿がつくほど真面目である。
なので、以前された「はいあーん」のお返しをするべきだと思った。
なのでやった。
ただの馬鹿なのかもしれない。
「……。うん、よく食べたな」
力強く頷いた。
その直前、貴方が菓子を口に収めるその刹那、ほんの僅かに自分の唇を引き結んだがそれもほんの一瞬のことだ。
貴方がきちんと食べたことに満足したのかそれからなんてことない様子で自分もお菓子をつまみ始めたのだった……。
リョウちゃん
「今日って何かあったっけぇ?」
この少年が興味を引くようななにかがあるのだろうかと、隣でニュースを眺めて。
耳に届いた言葉に、貴方へと視線を移した。
「そうなんだぁ。リョウちゃん、仲良いの?」
少しズレた問いかけだ。
鏡沼は貴方の家庭事情を知らない。それでも、最後の裁判でニュースになるぐらいならば求められる罪状はそう軽いものでもなさそうだとわかってもいいはずなのに。
貴戸
「あー………貴戸、人前でこういう事するのは
見せつけてるみたいで照れるんだが……。」
頭を掻く。
正直満更でもないのだが、やっぱり人目は気になる。
「嫌ではない……………嬉しい、が、二人きりの時にやってくれ。
」
フードを引っ張って表情を隠した。
ヌガーを食べる手がたいへん進む。
「………これ美味いな。」
カガミン
「大好きだよ。
唯一の家族だし、オレの為ならなんだってしてくれた
」
♪
注目を促す、特有の短いメロディが鳴った。
瑞々しい果物の断面を背景に、無味乾燥な文字列が表示される。
……果物はミキサーに詰め込まれると、
粉々に砕かれスムージーへと生まれ変わる。
リポーターが試飲を始めた直後、
画面が慌ただしいスタジオに切り替わった。
若いアナウンサーがスタッフからコピー用紙を受け取っている。
コメンテーターたちにも同じ物が配られているらしい。腰を低くしながら走るスタッフが、カメラの前を横切った。
「…………」
画面の中の家族が笑う。
「……やっぱりかぁ」
その笑顔を真似てみた。
ママ
なおひ〜〜〜!(クソデカ文字装飾略)
「あ〜。だから料理してる人、多かったんだぁ。……オレはここでしたい事、あんまり浮かばないなぁ」
いつもと変わらぬ間延びした声を出して、にこにこと見上げる。視線がかち合うことはきっと、なかった。
そもそもこの少年は以前から趣味という趣味がなかった。
読書はたまにしていたけれど、それも話題のため。料理は火も刃物も扱うから避けていた。
故に、鏡沼も貴方と同じくだらっとしたり、今のようにヒマそうにしている誰かに声を掛けている事がほとんどだっただろう。
「ほんとぉ?じゃあお話しようなおひ〜!
普通の事とか好きなご飯の話とか、いろいろ〜」
お茶飲みたいだのなんだの言ったりしながら、貴方と暫しお喋りをしただろう。
リョウちゃん
そうなんだぁと、返事をする前に。聞き慣れた速報の音に画面へと視線を戻す。
以前聞いたニュースかも。よく覚えていないけれど。苗字が一緒だなぁ。
―――死んじゃうんだなぁ。
「あれが、リョウちゃんの?」
視線を貴方に戻す。
貴方の笑顔を見て、へらっと笑った。
「似てないね」
―――切り替わった画面の中で、海を見ながら『家族』が笑う。
先ほどの女性と隣の少年のようだった。
偽物の家族はどれだけ寄せても、本物にはなれない。
本物の家族はどれだけ忌み嫌われても偽物になれない。
「なんだってって、どんな事してもらったの?」
まだ外の人々に気付いていない。気付いても、口にする言葉は何も変わらない。
カガミン
「そりゃそうだよ、他人だもん
」
目線はテレビに向けたまま。
「でも血の繋がった家族だよ」
口角は上がったまま。
「どんな事……うーん、たくさんあるからなぁ」
コマーシャルはまだ続く。夕方という時間帯故か、家族向けの内容が多かった。
スーパーで買い物をする家族。
新居で暮らす家族。
食卓を囲む家族。
全ての笑顔が、似ていない。
それでも少年は笑う。
「ね、カガミンはさ。
どんなオレのことも友達
って言ってくれる?」
「仲良くしてくれる?」
大人たちからの口止めは、少年にとってあまりにも曖昧だった。
母の罪を言うなとは言われていないし、
己の異能について言うなとは言われていない。
……それは明言されていないだけで、全て言外に示されていたが。
そんな遠回しな言いつけが、少年に伝わる筈もない。
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