─　回想：2day 放課後(壮真)　─


　　　…壮真がそう言ってくれるのは嬉しいけどね

　　　手紙とか今どきマニアックな…







　　あまり強く言い返すことも出来ずに
　　はぐらかすしかできなかった。　］
　

　　　…そうだね
　　　10年もあってなかったらもう
　　　何もわかんないけど 生きてはいると思う
　　　生きててほしい、な

よく父さんには間違われてた
　　　弟の方が若干つり目だったな
　　　母さん似だから母さんは間違えたことなかった


［　葬式に呼ばれてないなら生きてるんだと思いたい
　　俺は呼んでもらえる家族なのかすら怪しいけれど
　　頭を打ったんだ 悪化してても
　　何か重大な障害が残ってたっておかしくない


　　
　　嫌な想像がよぎる度にぐりぐりと額を
　　君の肩に押し付ける。　］
　

　　　俺のマスターじゃん
　　　…でも不器用なのは壮真の方が
　　　ッ…

　　　泣かせようとして髪引っ張るとか
　　　その究極物理思考はどこからくんの



［　零れるほどじゃないけど涙が滲んできた。
　　痛くして優しくするとかずるいね



　　背中に回した手を軽く爪で引っ掛ける。

　　少し傷をつけたくなって、けれど留まって。　］
　

　

　

　　　
　　　




　

　　　

　　その逆も然り
　　互いに見張りあっている それでもいい


　

　　　『過去の自分の行動を変える』
　　　なら、それで願い事ひとつ になっちゃいそうだ



　

　　　………どうって そんなの、


［　ありえない、と。
　　強く否定してしまいたい気持ちと、
　　もしそんな都合のいいことがあるのなら、
　　縋りたい。そんな気持ちでぐちゃぐちゃだ

　　狡いね


　

　　　───…試す価値はあるし 可能性もあると思うよ

　　　自分たちで過去を変えようとするよりは
　　　今を何とかしてもらった方がいいのかも
　　　本当の 本当に 無条件で叶えてくれるなら、だけどさ


　　　………欲張っても、いいのかな




［　伸ばしかけた手を止めた




　

　　　

　　　……本当はさ

　　　ロシアンルーレットなんかでハズレ引いた時
　　　たまたま運悪かったなーって
　　　笑えるくらいの運になりたい

　　　しょっちゅうしてきた怪我の跡を消したい

　　　罪を償いたい

　　　家族と何も無かったみたいに暮らしたい
　　　それと同じくらい



　　　


　

　　　壮真の願いを叶えられるように
　　　俺は願うだけじゃなくて動いてみるから

　　　俺は壮真に願ってもいいかな



　

　

　

起きたよ　おはよ、壮真


［　同じだったね、
　　でも昨日よりは聞き分けがよかったでしょ　］
　

［　君が家に一度帰るというなら
　　近くまででもいいから送らせてと頼んだかな

　　そうしたら先に学校へ行こう。
　　まばらな人すらまだ見当たらない学校の教室で
　　携帯の画面を点ける。

　　メッセージアプリの中、
　　月に1度しか開かないトークを開いて。　］
　

　

　

　

　

　

　　─　回想：2day 放課後(壮真)　─





　　　　…………………………ッ、


［　……何も、言えなかった。>>210




　

　　　……わかるよ……わかってる

　　　俺だって 兄だ
　　　君が大切に思っているから
　　　君の弟だって助けたい
　　　けどその為に君が犠牲になるのは嫌だ


　　　
　　　


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だから　］
　

　　　…俺は消えるつもりは無いよ


　　　恨まないで
　　　壮真と生きる方法を 探したい








　

　　　　……わかってんじゃん
　　　　

［　運のなさならきっと随一だ
　　痛いけど傷つかないよ 　］


　　　　先に、か


　　　　
　　　　わかったよ 俺が賭けに勝てばいいんでしょ
　　　　…俺は信じて、俺の願いを叶えるよ


［　───…俺の願いは

　

　

　　　だから 居てくれて 安心しておきれた、


［　永遠に眠っていられたとしても
　　今は君を選びたい
　　うとうとと目を擦って 船を漕いで
　　座ってみれば何とか目は覚めてきたような、気もする。

　　……いつもの朝か

　　怠惰じゃないよ


　　to be continued。　］
　

　─　Last day 　─


［　携帯の明かりを落として
　　このままここで寝てしまおうかと思ったけれど
　　喧騒に起こされるのが嫌で

　　校舎裏の隅、探しにでも来なければ
　　人なんて滅多に通らない場所で
　　壁にもたれて 蹲った


　

　





　　　………今、なんじ、…

…起きて、壮真


［　次に目を覚ましたのはいつだったか
　　もう日が傾いてたかもしれない
　　寝すぎだって？

　　一人で寝ていたはずが起きたら
　　君が隣にいて 驚いて身体が震えた

　　おそるおそる声をかける。

　　少しもたれかかられていなければ
　　青汁の…お礼でも
　　しようかと思ったけど 起きるまで待ったかな　］
　

［　起きてくれたらまた、昨日みたいに
　　待たせてごめんねって
　　俺はいつもの顔で微笑った。

　　それで、君の額にコツンと
　　自分の額を合わせて。　］
　

　

［　何か言ってくれるなら待ってから
　　何も無ければ行こっか、って
　　立ち上がって顔を背けた。

　　数日を経て、
　　俺は 君と旧校舎に向かう。　］