「 」


　ごめんね、かなちゃん
　あたしの口から出てきたのは、恐ろしく冷たい声
　きっとかなちゃんが好きなあたしの声じゃない


　「 かなちゃんは誤解してる。
　　 誰かのためにお願いしてるんじゃないよ 」


　かなちゃんのためにお願いするんじゃない。
　あたしが、あたしのためにお願いするんだよ。

　

　




　

　


　「 後悔しないわけないじゃん。
　　 でも消えるって、メッセージくれたから、
　　 じゃあ、一緒に消えたいと思ったの。

　　 どんな選択肢を選んでも後悔しないっていうのは
　　 そういうことだよ。分かってよ。

　　 誰かのために願ってるんじゃないの。
　　 あたしが、あたしのために願ってるの。

　　 一人は嫌だよ。
　　 かなちゃんと一緒に生きたいし、
　　 居なくなるならあたしも居なくなりたいよ
　　 ライブ一緒に行ってください、だったら
　　 布教されるよ、それでもいいよ

　　 あたしが生きて、
　　 かなちゃんが居なくなるなんて、
　　 後悔しかないから、こういう願い事にしたの。
　　 分かってよ。 」

　

　


　あたしの言葉が堰を切ったように流れ出す。
　あたしの想いが、願いが、本当の声が、




　

　


　「 だからあたしの願いが変わることはない
　　 かなちゃんと同じ願い事を叶えてください。

　　 かなちゃんがやっぱりそれでも消えたいっていうなら
　　 あたしも一緒に消えるの。それがあたしの願いなの。

　　 かなちゃんがいっぱいしたいことがあるのなら
　　 あたしも一緒に、いろんなことをしたいの。 」

　

　


　「 かなちゃんの願いが ──────────
　　 本当のこえを聞かせてください、なら、 」


　

　


　「 あたしも、お願いします。
　　 かなちゃんの、本当のこえを聞かせてください。 」 **


　

　

　

　

　

　　─　回想：2day 放課後(壮真)　─





　　　　…………………………ッ、


［　……何も、言えなかった。>>210




　

　　　……わかるよ……わかってる

　　　俺だって 兄だ
　　　君が大切に思っているから
　　　君の弟だって助けたい
　　　けどその為に君が犠牲になるのは嫌だ


　　　
　　　


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だから　］
　

　　　…俺は消えるつもりは無いよ


　　　恨まないで
　　　壮真と生きる方法を 探したい








　

　　　　……わかってんじゃん
　　　　

［　運のなさならきっと随一だ
　　痛いけど傷つかないよ 　］


　　　　先に、か


　　　　
　　　　わかったよ 俺が賭けに勝てばいいんでしょ
　　　　…俺は信じて、俺の願いを叶えるよ


［　───…俺の願いは

　

　

　　　だから 居てくれて 安心しておきれた、


［　永遠に眠っていられたとしても
　　今は君を選びたい
　　うとうとと目を擦って 船を漕いで
　　座ってみれば何とか目は覚めてきたような、気もする。

　　……いつもの朝か

　　怠惰じゃないよ


　　to be continued。　］
　

　─　Last day 　─


［　携帯の明かりを落として
　　このままここで寝てしまおうかと思ったけれど
　　喧騒に起こされるのが嫌で

　　校舎裏の隅、探しにでも来なければ
　　人なんて滅多に通らない場所で
　　壁にもたれて 蹲った


　

　





　　　………今、なんじ、…

…起きて、壮真


［　次に目を覚ましたのはいつだったか
　　もう日が傾いてたかもしれない
　　寝すぎだって？

　　一人で寝ていたはずが起きたら
　　君が隣にいて 驚いて身体が震えた

　　おそるおそる声をかける。

　　少しもたれかかられていなければ
　　青汁の…お礼でも
　　しようかと思ったけど 起きるまで待ったかな　］
　

［　起きてくれたらまた、昨日みたいに
　　待たせてごめんねって
　　俺はいつもの顔で微笑った。

　　それで、君の額にコツンと
　　自分の額を合わせて。　］
　

　

［　何か言ってくれるなら待ってから
　　何も無ければ行こっか、って
　　立ち上がって顔を背けた。

　　数日を経て、
　　俺は 君と旧校舎に向かう。　］
　

［　───…願い事

　　沢山ある 沢山あった中で
　　俺は家族を救いたいと望んだ。

　　その為に消えるか 犠牲になるか


　　君と、願いを分かち合うまでは。　］
　

［　壮真と生きてみたいと思った。
　　壮真が同じ思いだと知って高揚した。



　　幸せな願いでもいいと言いながら、
　　俺がだめだったら自分の願いを使うなんて言い出す。






　

　　　旧校舎の幽霊さん
　　　あなたに願いを叶えて欲しい



　

　

　

　

[ 少しだけ時を前後して、昼。
　裏庭のすみっこで購買のこしあんぱん]]をかじる。
　聖奈に送るメッセージのこと考えてずっと>>3:=72
　画面を睨んでいたから、いつにもまして周りは見えない。

　何を食べるかもどこで食べるかも適当、
　決まった相手なんているわけないし。
　けど、静かなところにいたい時はいつもここ。

　お昼の放送がよく聞こえる。
　委員の子が花壇の世話をするのをたまに見かける。>>1:605
　
　そういえばあの子、あの時聖奈と一緒にいた？　とか
　ふっと気付きを得たりもする。 ]
　

[ 陽気な声の放送は昨日一昨日とは違う声。>>42
　工藤さんの放送も聞き慣れてるけれど
　昨日の特別ゲストはだいぶ新鮮で面白かった>>13>>3:534
　こう、放送部外から呼んだことによって生まれた
　いつもとはだいぶ違う新味というかね。



　そういえば、お昼の放送は何故かユメリンの曲が多い。
　大槻みたいな熱心なファンが放送部にもいるんだろうか？
　

　……　今日の曲は、どこか気分が落ち着く。いい曲だ。 ]
　

[ 通知を見る。溜息を吐く。

　ふっと、耳に声が届いたのは
　前からだったか後ろからだったか>>44>>112
　けれど意識が向いたのはきっと、前のほう。

　落ちる声までが聞こえる距離ではない。>>45
　その内心なんてわかるわけもない。

　けど、

　……　音楽には、技術だけじゃない何かがある。
　歌となればなおのことそうだと個人的には思う。
　合唱なら調和が取れるって大事だけど、ソロだとね。

　つまり何が言いたいのかって？
　拙くても人を惹き付ける歌ってあるよね、ってこと ]