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【人】 狐娘 レイ……前向き、ではないわ。 私も逃げ出せるなら逃げ出したいぐらい。 好きな人は、ずっとロンだけだもの。 [ジャヤートに伝えたことがあるその名前をもう一度口にする。言葉にすることで、ロンが居たことが現実であったと自分に言い聞かせるために。*] (124) 2021/12/03(Fri) 0:51:53 |
【人】 狐娘 レイ[ロンに石を投げつけた兄弟たちは、今や立派な大人になり、リル族で世帯を持っている。 過去に強くヴィス族を疎んでいたことは、レイのひたすら懇切的な説得でいくらか軟化したが、今でも少し蟠りはあるようだった。 だから、今回の付き人には彼らは居ない。 世帯を持っている身分で、付き人をさせるわけにはいかないし、ヴィス族を敬遠するような人を、付き人にさせたくないレイの一存からだ。 レイの付き人には子供の頃から世話をしてくれた中年の女性がついており、身の回りの世話や、荷物を運び入れる作業は彼女が担ってくれていた。 もう、同じようなことを彼らにはしたくはない。 泉に訪れなくなってしまった程、ロンを傷つけるようなことを。 彼らには――。**] (125) 2021/12/03(Fri) 0:53:05 |
【人】 狐娘 レイ[こちらの動作一つで、ジャヤートのぱっと輝いた顔はしおしおと萎れてしまう。 そのことを少し申し訳なくも思いながらも、きっちりした性格の娘は首は縦には振らなかった。 彼曰く、まぶいは褒め言葉であるということは分かるから。 笑い混じりに言う言葉には、はいはい、と聞き流すようにして受け取っておく。 胡乱げな視線を向けられて、少し自信を無くしながらも、先程見たものが確かならばと頷いた。] 見たことあるわ。 ……多分、だけれど。 ほら、あそこの女の子たち、 きっとそうじゃないかしら? [そうして指先で指し示して彼の視線を誘導する。 彼女たちが先程から場所を移動していなければ、まだそこに居るはずだ。多分、だけれど。] (128) 2021/12/03(Fri) 8:18:46 |
【人】 狐娘 レイ[乗り気じゃないジャヤートは頭を横にしたままだったか。>>126 ジャヤートの萎れた頭が元気を取り戻せばいいなと思う。 彼に曇った表情はあまり似合わないから。 ロンの話も、見たわけでもないのに鵜呑みにして信じてくれた。>>127 だから、ついつい彼には本音を零してしまうのだ。 見たと力強く言ってくれる彼に、表情を苦く綻ばせた。] だめよ。 そんなことをしたら、おとうさまたちが悲しむもの。 [ロンも大事だが、同じように両親たちもまた大事なのだ。 結び目を目の前にかざされて、少し思案した後に根負けしてしまって、結び目に手を伸ばす。 自由を求める彼に縄は可哀想だと思ってのこと。 結び目は少しばかり固かったが、注意深く手をつければ、緩やかに解けていく。] いい?ジャヤート。 縄は解いてあげるけれど、 親父様達に迷惑かけちゃだめよ? [縄を解いた時と同じように根気よく彼に言い聞かせて見せたものの、伝わったかどうか。 せめてヴィス族の女の子達が、彼のお眼鏡に叶えばいいと願うばかりだ。**] (129) 2021/12/03(Fri) 8:19:37 |
狐娘 レイは、メモを貼った。 (a20) 2021/12/03(Fri) 18:49:04 |
【人】 狐娘 レイ―― 泉のほとり ―― [先客に遠慮をして足を止めれば、彼が気づいた。>>158 彼の言葉に、昔似たようなことを言った子が居たと目を細める。>>33] ……懐かしい。 昔、同じようなことを言われたことがあります。 [小さく微笑みを返して、今度は足を止めずに泉へと向かう。 リル族の民はあまり物怖じしない。 例え相手がヴィス族の者であったとしても、好奇心が勝つからだ。 ヴィス族であることを名乗る彼に、緩く首を振り揺らす。] あなた、つよい? [問い掛けに応える代わりに、問いを投げ返して泉を見つめた。 泉には今も、あのときロンが送ってくれた指輪が沈んでいるだろうか。 思い出せば思い出すほど、切なくなる胸を抑えた。*] (162) 2021/12/03(Fri) 21:19:11 |
【人】 狐娘 レイええ。 私にとっては大事な場所だから。 [彼の言い分に苦笑を零しながらも頷く。>>163 警告されてもなお、この場所に訪れたのは理由があってのことだが、反省の色がないと言われればそれまでだ。 強いと自負するその姿がまた昔と重なった。 でも思い出の彼とは髪色が違う。 過去の記憶は少し薄れ始めていて、今思い出せるのは強く印象に残った赤い瞳と赤い髪と教えてもらった名前だけ。 交わした会話は、いくつか覚えているけれど、形には残らない。] えっ、いいえ。 私は強くは……ないです。 でも、あなたが強いのなら、 少しの間、ここに居てもいいでしょう? [暗に危機が訪れるならば助けて欲しいということを言い換えて、笑って彼に向けた。] (166) 2021/12/03(Fri) 21:51:40 |
【人】 狐娘 レイ……ち、違うの。 そうじゃなくて……、 ……泉に物を落としたから、 それを探そうとしただけで……、 死ぬ、つもり、じゃないのよ……? [あまりの身近な距離にドキドキと逸る胸を抑えながら。 必死に止める彼に少し申し訳なさそうに後ろを振り返れば、 二人の間で尻尾がふわりと揺れた。] (181) 2021/12/03(Fri) 22:46:03 |
【人】 狐娘 レイ[彼が名乗った名前には聞き覚えがあって。 確かにその名が、言い聞かされた名前と一致する。] ……あなた「が」シャオロン? [初対面の異種族の娘の自殺を慮って、 こうして慌てて引き止めてくれる人だ。 悪い人ではないのはそれだけで分かる。 聞き返した言葉は、暗に自身が婚儀の相手だと応えるように。 改めてまじまじと彼の表情を見つめた。*] (182) 2021/12/03(Fri) 22:46:34 |
【人】 狐娘 レイ[獣耳をぴこぴこと動かして反応を返す。 彼の目の前で生えた耳はゆらゆら揺れて、しゅんと再び萎れた。] お、驚くと飛び出ちゃうの。 狐には、なれなくて。 耳と、尻尾だけなんだけど……、 先祖還りっていうもので、 家族の中でも、私だけ…… [説明をするつもりがなんだか言い訳がましくなってしまった。 ぱたぱたと尻尾が忙しなく揺れる。 それは腕の中という至近距離であることも十分に理由の一つ。 一度も男に抱かれたことのないレイとっては、離して欲しいなんていう言葉すらも思い浮かばずに、かぁぁ、と熱を持ち始める顔を俯かせることだけに必死だった。] (199) 2021/12/03(Fri) 23:55:14 |
【人】 狐娘 レイ[旦那様にどんな顔をしていいのか分からなくて、戸惑う。 これから一緒になる人の前で、ロンの話をしていいのかも躊躇った。 だって、自分が同じような状況ならきっと悲しくなってしまう。] うう……、それはそう、なんだけど。 [泉の中を覗き込むことなら何度だってした。 だが、飛び込むまでに至ったのは今日が初めてだ。 それくらい思い悩んでいたのだといえば、そうなのだろう。 泉の深さも知らずに飛び込もうとしたことを、少し恥じながら両手で顔を覆う。] ……笑わないで、恥ずかしい……。 [軽率な行動に今更居た堪れなくなりながら、ぽつりと呟いた。*] (202) 2021/12/03(Fri) 23:57:22 |
狐娘 レイは、メモを貼った。 (a24) 2021/12/04(Sat) 0:11:17 |
【人】 狐娘 レイ[耳も尻尾も感情の揺れ動きで飛び出すもので。 驚いたり、酷く感情を乱されれば意図せず現れる。 飛び出してしまえば、一定の時間が経たなければ消えることはなかった。 だから耳を抑えても、なかなか消えることはないのだけれど。 感情を表すように揺れる耳は、少し恥ずかしく隠したくなってしまう。 笑われたことに素直に謝罪を返されれば、あまつさえ代わりに探してくれるという。 けじめ、というのならそうなのだろう。 ロンとの最後の繋がりを望んだのかもしれない。 一族のためを思う婚儀と、自身の強い願いである思いに揺れ動きながら、結局は一族のためを取った。 これはロンとの別れの儀式なのかもしれない。] ……指輪、なの。 透明な石に白い花が嵌め込まれた、子供の指輪。 [それを付けたのは一度きり。 でも鮮明に覚えている、彼が作ってくれた大切なものだから。] (216) 2021/12/04(Sat) 1:20:07 |
【人】 狐娘 レイまっ……、 [思わず手を伸ばした。 赤が消えない内にと。 その一瞬の光はすぐに掻き消えて、今は黒髪が揺れる。 まるでロンを望んだわたしが見せた幻かと思う程の間。] ひゃんッ……!! [言葉にならずに戸惑っていれば、尻尾に違和感を覚えてピンと背筋が伸びた。 びっくりして変な声が上がる。 振り返って、揺れた尻尾を見ればそこには花冠が掛けられていて、――ロンと花冠を作った記憶が鮮明に蘇る。] (218) 2021/12/04(Sat) 1:21:32 |
【人】 狐娘 レイ[伸ばした手は今度こそ、彼の腕を掴んだ。] ……待って! この花冠、シャオロンが作ったのっ? 髪、髪は……っ、赤い髪…… 名前……っ、そう、名前っ……ロンって…… シャオロンって…… [掴んだ手の力がぎゅうと強くなる。 確かに捕まえかけた記憶の端。 消えかけてしまいそうで離したくなかった。 自分でも説明がつかず、戸惑いに脈絡のない言葉が紡がれる。 ヴィス族にいるはずのロンの代わりにいたのはシャオロンで。 でも、だったら、どうして。 私のことを覚えていないの? という考えまでには至らずに―――。**] (219) 2021/12/04(Sat) 1:22:40 |
【人】 狐娘 レイ……見たことあるのっ、その赤い髪。 わたしに、「ロン」って名乗ってくれた ヴィス族の男の子っ。 ずっと髪が赤いのだと思ってたけど、 そうじゃないのならっ……、 花冠だって、作り方を教えたわ。 この泉で会って、 魔物に襲われたところを助けてくれて……っ、 [握り込む腕が縋るようなものに変わる。 まるで、そうであって欲しいと願うように。 ずっと探し続けていた彼が、もし見つかったのなら。] (251) 2021/12/04(Sat) 18:41:21 |
【人】 狐娘 レイ[手を重ねられて、自身の手に力が籠もっていたことをようやく知った。>>245 じわりと感極まって瞳が潤む。 違うかもしれない。 ううん、でも多分きっとそうだ。 だって名前を呼ばれた時に、懐かしいと感じた。>>189 だから、重ねられた手を振り解いて、彼の胸に向かって身体ごと飛び込んだ。] ロン……ッ! ずっと探したわ……! [勢いよく飛び込んだから、彼を押し倒す勢いで地面に倒れ込んだ。 花の上に二人の身体が重なって、風圧で花が揺らめいた。 思い込みの強い女は考えに至るのも早い。 確信めいたものに近いとはいえ、話半ばに胸に飛び込む程には、舞い上がっていた。**] (252) 2021/12/04(Sat) 18:44:29 |
【人】 狐娘 レイ…………え、 [シャオロンを押し倒したまま、ぽつりと音が落ちる。 赤い髪も、瞳も、名前も似ていた。 なのに彼は違うという。 確信めいたものはガラガラと意図も簡単に崩れ去っていく。] 違う、の……? うそ、だって……、確かに、 赤い、髪で……、 [ぶんぶんと喜色に揺れていた尾がへたりと下がっていく。 本当にシャオロンは何も知らなさそうで。 ぽとり、と堪えきれない雫が彼の胸元へ落ちた。 シャオロンの気遣うような声は聞こえるのに、 それが尚更別の人物であることを如実に伝える。 一度落ちた涙は、壊れたようにぽろぽろと転がり落ちた。] (262) 2021/12/04(Sat) 21:48:33 |
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