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![]() | 【人】 インタリオ「全部オレが作ったんだ」 [ ゲヘナへと少年を連れ去って以降、 人が変わったように“態とらしいほど”優しく振る舞い始めた悪魔は 使用人など存在しない為に館の主でありながら自ら動き あちこちの品を説明しながら案内し、そう楽しげに語った。 ] 「お前はね、もう美品にはなれなくなってしまったんだよ」 [ 全ては不幸な人間の魂を地上から連れ去り、加工したものであると そう愉しげに嗤い、耳元で囁いた。 天には昇れず、意識無きただの物にもなれない。 それがお前の選んだ道であると、教えるかのように。 ]* (17) 2022/05/22(Sun) 23:01:13 |
![]() | 【人】 落星 クロウリー[かつての少年も、魔術師も 気づけば冷たく黒い石畳の上で光亡しの空を見上げていた。 立ち上がり、辺りを見渡してみる。 暗色の世界を彩るのは、不気味な葡萄の樹の紅と灯る翠のみ 風一つ無い箱庭は、何一つあの頃と変わっていない。 神に呪われ墜とされた楽園の成れの果てのようだ。 館に背を向けて、門構えの方へと向かうことはしない 見通せない闇が広がり、奈落の大口が開いているだけと知っているから。 ──誘われるがままに中へと踏み込んでも、同じことかもしれないが 自ら捕食者の口に飛び込む餌たる弱者である点においては。 しかし、他の選択は赦されていなかった。 他ならぬ過去の私自身が、望んだことなのだから。] (18) 2022/05/22(Sun) 23:12:51 |
![]() | 【人】 落星 クロウリー[故郷の跡地で語った身分不相応で背伸びをした口説き文句は、 失敗したと言うのが正しいのだろうが、私は確かに彼の地へ招かれた。 夜を骨組みに建てたかのような館の異様さに緊張した。 そして、幼子の見せた歪みを一笑し、 視覚と聴覚から立場の差を伝えた悪魔の変化に惑いながら。 一方、農村育ちが見たことがあるわけもない数々の芸術品に目を丸くし その美しさと不可思議さに惹き付けられ、 ありもしない時間を忘れて夢中になっていた。 その心を我に返らせたのは、忘れかけた現実を再び認識させたのは 黒い館を飾る眩い数々の品に纏る、思いも寄らない真実と。] (19) 2022/05/22(Sun) 23:13:08 |
![]() | 【人】 落星 クロウリー「なれなくていいです。だって、僕は生きますから」 「その為に貴方は、僕をゾラですらなくしたのでしょう?」 [驚きに見開いていた目をふっと細め、嗤った。 そんな様子には僅かに顔色を窺うような様子が見て取れるが、 本質的にはあの時見せた笑みと変わりない。 貴方が厭い、奪った名前。名無しであれと定義されたことを受け入れた。 黄金の夜明けは、地獄には訪れないのだから。] 「でも、貴方のことはなんと呼べばいいの?」 [ろくな教育も受けていない子供、拙い敬語は崩れて これからの生活を思い、必要であろう問いをする。 首を傾げる仕草にばかり、健全な幼さの名残が乗った。 御主人様、悪魔様? 執事になるわけではないし、後者は少し滑稽な気もする。] (20) 2022/05/22(Sun) 23:14:48 |
![]() | 【人】 落星 クロウリー[かつて信仰した神の子供達の真実の姿に失望し、 そんな者達の為に、彼らの同胞として死ぬことを止め 道理の外の存在に傅いて、地獄に落ちても生きることを選んだ子供。 強欲で傲慢で、暴食的に生存本能を満たそうとしていた。 全てを失った後残った欲求こそが、全てだった。 だからこそ悪魔は、美しさを宿さない魂を拾い上げた。 しかし、永きに渡り歴史を渡り続けた今かつての自分を思うと その選択はあまりにも── 永久の踊りを強いられる貴婦人を見上げ、少しの間思考が巡った。*] (21) 2022/05/22(Sun) 23:15:34 |
落星 クロウリーは、メモを貼った。 ![]() (a2) 2022/05/22(Sun) 23:19:30 |
![]() | 【人】 インタリオ[ かつて貴婦人の下で仔を出迎えた悪魔は、 その時の様子と、案内の途中の対話から>>20 彼の変化に目敏く気づき、それを快いものと認識した。 思ったよりは賢かったらしい。そうでなくては、と。 何度教えても立場も理解出来ない莫迦な仔共は要らない、 しかし、萎縮し自我も欲も失った唯の奴隷はつまらない。 無論、人間の倫理に基づき芸術品について語るなどは論外だ。 ] 「いいよ、君が過ごしやすいように教えてあげる」 [ 一先ず、何も教えられず切り捨てられる可能性は無くなった。 そして少しばかり、悪魔の機嫌は良くもなっていた。 召喚儀式を行ったわけでもない、今も何の力も無い仔 気に入られるように振る舞うことは大切だ。 弱者は強者を愉しませることでしか生き長らえられない。>>1:32 望むものを与えられることもまた、同じく。 ] (22) 2022/05/22(Sun) 23:41:46 |
![]() | 【人】 インタリオ[ かの装身具の原型を此世に生んだのは人間。 悪魔信仰に傾倒した貴族に召喚された悪魔は、 思うがまま国を動かす手伝いを陰から行っていた結果 どうにも契約関係を越えて傾倒されることとなり。 貴族は抱えの芸術家に悪魔の姿を写し取らせようとしたが、 見えぬ者、見えても狂う者が多く。 最後に残り上手く働いたのは若き彫刻師であった。 ゲヘナと悪魔自身を取り巻く事情により 正しく召喚を行った上でも行動制限が多く、 人間に智慧を与えることを主軸とせねばならなかった。 しかし、 装身具と自己を定義で繋ぎ、魔術を志す信仰者らに与えることで 体現は容易に変わっていく。 そうして、より多く材料調達が可能となり 代わりに増えた期待に応えない魂は、 悪魔の姿を沈み彫られた幾つもの装身具へと化すようになった。 それはさながら神僕が十字架に縛られる様を揶揄するように。 ] (24) 2022/05/22(Sun) 23:43:50 |
![]() | 【人】 芸術の悪魔 インタリオ[ さて、それから生活は始まった。 永久に闇に閉ざされ季節も時間も近づけない館の中、 誰が作ったかも分からないパンと温められたワインを与えられ、 少年は様々な学びを館の主から授かることとなる。 神の手の外にある術の取り扱い方、同胞との接触方法 人の世で生きる為の様々な教養に、教会を否定する新たな教え 他者に好ましく受け取られる振る舞いと、己を偽る演技 自分に火の粉が掛からぬよう潜むやり方も、駒を動かす方法すらも。 いかに人外が世界の歴史に干渉していたのかも。 全て悪魔が授けたものであった。 そうして過ごす日々の中、 少年の肌は滑らかに健やかさを取り戻す代わり、白く変わっていき 短い髪に宿していた万緑の色は 冬を目指すように枯れ色に近づいて、瞳に残るのみとなった。 ] (26) 2022/05/22(Sun) 23:45:06 |
![]() | 【人】 芸術の悪魔 インタリオ[ 立ち竦む彼を迎える姿は無く、館は静けさを保っている。>>21 どれ程思い出に浸っても、美術品を眺めても変わらない。 もしあの頃の生活を覚えているのならば、 こんな時どうすればいいのか魔術師には分かるだろう。 灯る翠を辿った先にある食堂から、食料庫へ。 幾つも保管されたラベルの無い赤ワインの瓶の一番奥の品。 グラスと共に抱え左側の階段を上がり、 首と左手薬指が欠けた花嫁の彫刻の前で曲がり 最奥のその部屋――――彼の書斎で悪魔は待っている。 さて、その道筋で魔術師は気づくだろうか? 美しい品になる魂を求め、幾度も人の世へ体現する悪魔の館。 かつて無かった美術品が増えている一方、 存在していた筈のものが消えてもいるということを。 ]** (27) 2022/05/22(Sun) 23:45:28 |
芸術の悪魔 インタリオは、メモを貼った。 ![]() (a3) 2022/05/22(Sun) 23:46:27 |
![]() | 【人】 甲矢 潮音── 現実 ── (もう、良いところで……ッ) [マンションの前を通り過ぎていく音に 僕は慌てて夢の中から出た。 流歌の目が覚めちゃうじゃないか! 幾ら互いの部屋を出入りする仲でも 深夜の入眠中の不法侵入は、流石に。] (28) 2022/05/23(Mon) 0:15:40 |
![]() | 【人】 甲矢 潮音[ベッドの上の流歌がもぞりと動いた気がして、 開けたままにしてた窓から飛び出す。 窓を閉める余裕も振り返る余裕もなく 漆黒で羽搏いて自分の部屋のベランダへ。] (29) 2022/05/23(Mon) 0:15:49 |
![]() | 【人】 甲矢 潮音はーー…… [自分の部屋の中で深く息を吐いた。 ……見られた? どうだろう。 寝返りを打っただけかも知れない。 もう一度吐いた。 ちょっと、熱くなりすぎた。 幾ら夢の中でも、余りやりすぎたら 嫌われてしまうかもしれない。 それは困る。死んじゃう。死ねないけど。] (30) 2022/05/23(Mon) 0:19:05 |
![]() | 【人】 甲矢 潮音[────反省。 夢の中に入るのは、暫く控えよう。 顔を合わせた時は何事もなかったように振る舞おう。 ……そう決めたけど。 流歌の方は、どうだったかな……。*] (31) 2022/05/23(Mon) 0:21:40 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラ―― 数日後/学園内にて ―― [ それから数日後。 体調のほうはすっかり良くなった。 彼にも言われたけれど、 自分でも気づかないうちに無理をしていたみたい。 彼が部屋から消えた後、寮母さんが呼んでくれた お医者様からは結構なお叱りを受けた。 それから二日ほど休養を取ってから 授業に出てみれば、早々に積み上がっていた 課題の山を頂くことになった。 それをなんとか ――だけど無理のないペースでこなして―― たった今、最後の課題を提出し終わった。 ] (32) 2022/05/23(Mon) 5:17:05 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラ[ 失礼します、と 教授室の扉の前で一礼してから 足早にその場を離れていく。 ] アルカード、いますか? [ 人気のない廊下まで出たところで 小さな声で、彼の名前を呼ぶ。 姿は見えなくても、彼はいつだって傍にいる。 とはいえ彼がどこから姿を現すかは いつだって全く予測がつかないのだけど。 時に部屋の隅に横たわる影から、 ある時は至極普通に部屋の扉の向こうから 或いはわたしの影そのものから。 最後のは以前実演されたときに 流石に心臓に悪かったから、 正直、多用はしないでほしいのだけど。 ]* (33) 2022/05/23(Mon) 5:21:22 |
![]() | 【人】 闇の精霊 アルカード呼んだか、曙の子。 [ 呼ぶ声に応じて姿を現す。 直近、娘の影から直に姿を現したときに 頬を打たれこそしなかったが涙目で抗議された故、 今回は普通に背後の中空からすぅと姿を現した。 ]* (34) 2022/05/23(Mon) 5:29:06 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラ[ 人の背後へふわふわ浮かびながら現れるのは どう考えても普通じゃないです。 ] …もう! その呼び方はやめてくださいって 言ってるじゃないですか。 [ わたしの名前は、 どうやら女神様の名前から取られたみたい。 「夜明け」を意味するその名前は あのゲームのタイトルにも通じていて、 我ながら可愛らしいと思う。 でも日本人としてはやっぱりその呼び方は お相撲さんみたいであまり好きじゃない。 (その人に非があるわけではもちろんないけど) ] (35) 2022/05/23(Mon) 5:35:24 |
![]() | 【人】 闇の精霊 アルカード[無論、覚えている。>>36] お前こそ、あのとき我がなんといったか 覚えていないのではないか? 我は確かに、約束したぞ? [中空に浮かんでいた身体を、音もなく床へと降り立つ。 ついでに軽く、娘の額を指先で軽く小突いてみせてから、 此方を見上げる娘の瞳を、頭一つ上から見下ろして笑った] そもそも、娘よ。 我はお前の望みを叶えるためにここにいるのだ。 [無論、忘れたわけではあるまい?] (37) 2022/05/23(Mon) 5:39:12 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラつめた…っ。 [ 堪らず額に手を添えて。 面白いものを見た、と言わんばかりの すっと細められた眼差しに ほんの少しだけ、恨みがましい視線を送る。 あと、曙じゃなくて名前で呼んでほしいって言ったら ちゃんということ聞いてくれるのかしら、この精霊さんは] (38) 2022/05/23(Mon) 5:40:50 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラもう…。 でも、よかったです。 じゃあ、一度部屋に戻って着替えてきますから。 あとであの図書館で落ちあいましょう。 [ 頬の温かさと緩んだ表情はきっと隠し切れないまま 彼の返事を待つより先に寮のほうへと歩を進めた。 誰かと一緒にどこかに出かけるなんて まるで夢みたい。 この学園に入学して以来、今までずっと、 誰かと仲良くなることなんてできなかったから。 ] (39) 2022/05/23(Mon) 5:42:20 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラ[ この学園に入学してから、 攻略対象ではない、他の人たちとも、 自分なりに仲良くなろうと努めてきた。 でも、いつも上手くいかなかった。 どうしてかはわからないけど、 誰かと少し仲良くなるたび、 どこからか噂が聞こえてきては 周りの人たちから距離を取られる。 攻略対象ではない人たちですら そういう状態だったから。 ―――…だから、気がつくといつもひとりだった。 わたしは、不器用な人間だから。 気がつかないあいだに、他の人たちが嫌がることを してしまってたのかな、って。 そう思うと、とても怖くて、 同時に今その場にいることが申し訳なくて、 とても悲しかった。 ] (40) 2022/05/23(Mon) 5:44:52 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラ[ でも、今は違う。 わたしは今、ひとりじゃない。 たとえ、彼が人間じゃないとしても。 いつか世界を滅ぼす存在だったとしても。 わたしは、彼の友達でいたい。 それは、ただ、わたしの傍に居てほしいとか そういうことだけではなくて。 …彼にも、知ってほしいと思った。 この世界が、嘗ての「私」が愛した世界が、 とても美しいものだということを。 学園の背景も、イベント毎に変わる街並みも。 この世界でわたしが見て、聞いて、触れてきた、 いろいろなものを、彼に見せたい。 彼と一緒に、思い出を共有したい。 今のわたしには、そんな夢がある。 ] (41) 2022/05/23(Mon) 5:46:20 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラ[ そうして、部屋に戻って私服に着替えて 準備を終えたところで そのひとの姿が遠くに見えた。 ] ……あ。 [ ちょうど午後の授業に出るところだったのか。 友人(取り巻きなのかもしれない)に囲まれながら 廊下を歩いてくるマティルダ。 その友人たちのなかには、 以前わたしから距離を置いた人たちもちらほら。 ] …………。 (42) 2022/05/23(Mon) 5:47:09 |
![]() | 【人】 転生者 アウローラ[ その親しげな様子に、少し、胸が痛んだけれど。 それでも、彼らと廊下をすれ違ったときは 廊下の端へ寄せて、彼らにカーテシーをする。 わたしと彼女たちの身分を考えればそれが正しい。 ] ……。 [ 頭を下げようとした一瞬、 此方に気づいたらしいマティルダが 目を見開くのが見えた。 まるで、なにかに驚いたように。 わたしの傍を通り過ぎるそのとき、 「どうしました?」なんて、彼女の友人たちが 声をかけているのが聞こえたから …たぶん、気のせいではないのではないかしら。 「なんでもない」とマティルダが友人たちに応える、 そんな遣り取りが少しずつ 遠ざかっていくのを確認してから顔をあげる。 さっきのマティルダの反応も 気になるところではあったけど。 今はそれより彼の待っているであろう、 図書館へ向かうことを優先しよう。 ]* (43) 2022/05/23(Mon) 5:49:47 |
![]() | 【人】 乙守 流歌[ 何かを思い出したように起き上がって 机にむかった。 寝てるあいだに壊しちゃやだから 普段は外してるお揃いのブレスレットを身につけて。 窓はあけたまま、 再びベッドに横たわる。 外から見えてるものは、きっとない。 ……よ、ね? ] (46) 2022/05/23(Mon) 7:49:24 |
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