104 【R18G】異能遣い達の体育祭前!【身内】
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からすの声がかあかあと降り注ぐ。
秋空が暗んでいくのは早くて、練習や外作業の生徒がばたばたと戻るのが聞こえる。
それでもなお、まだ何も変わらないのだ。自分に出来ることはなかったのだ。
暮れていく空が色を失っていくのが、夕焼けが熟れて黒くなっていくのが、
無性に苦しく、寂しい思いを胸に呼び起こした。
最初は腰掛けた机を蹴ったくらいだった。足先は痛みもなかった。
蹴り倒して、跳ねた足が自分の脚を掠めても、傷もなく痛みは感じなかった。
教室のスペースを空けるために組んで積まれている机を蹴ったら、崩れてしまって。
決して軽々ではない重みが顔を掠めても、傷はなかった。シャツが破れたのに。
机を両手で持ち上げて、思い切り叩きつけた。大きな音を立てて、パーツは外れた。
幸いネジ留めの部分が折れたくらいで、修復は可能そうだった。
けれども吹き飛んだ上側のパーツは壁を少し凹ませて、その勢いでジャケットとシャツを薙いだ。
普通だったら少しくらい切り傷のようになってもおかしくないのに、それもなかった。
思い切り叩きつけたにも関わらず手の痺れもなく、関節も柔らかく動いた。
なんにも手ごたえがない。なんにもならない。
何をしたって痛みも疲れも感じないし、何も変わりはしない。
それが無性に苦しいような、空しいような、どうしようもない心地を呼び寄せて。
三年生用の階、空き教室の静けさ。生徒たちの騒々しさのせいで、お互いに何も届かない。
空っぽで、息苦しくて。
だから、空き教室の窓ガラスを、思い切り叩き割ったのだ。
| (a44) 2021/11/06(Sat) 17:33:14 |
| (a45) 2021/11/06(Sat) 17:34:40 |
午後の授業には出られそうだ、目隠しして、ジャージ姿で
自分の道を見つけている。だからこれは少しの誘惑で、而れども少しは辛いのだ。
鑑沼
「同行……、いや、止めときます」
判断は早かった。
歪んだ空間から離れ、息をひとつ吐く。
「ひとりなら兎も角。
先輩まで巻き込んで何かあったら、
ぼくが他の先輩方に殺されますよ。
先輩の異能がどんなもんか知りませんけど、
空間系の異能じゃないなら、下手したら
戻ってこれなくなるかもしれませんし」
そして先輩にこの話をした以上、自分が帰ってこなかったら先輩は何かしらアクションを起こすだろう。
二次被害を増やす訳にもいかない。
となれば必然、選択はこうなる。
「むしろ先輩こそ、意外ですけど。
ここは止める場面じゃないのかなって」
はしゃいだところで、一番にはなれないのだ。結局、状況は変わらない。
鏡沼
「何一つ話は早くないですけど。まあいいや。
鏡沼先輩はニンジャ。理解しました」
理解したのか?
「…………?
ぼくの思考を読み取って反応してる……
ってことです?
それって、テレ……」
問いかけたとき、頭の後ろのほうがずきり痛んだ。
……思考を読み取る、と言う言葉からなにかが繋がりかけたのか。なんにしてもこれは止めておこう、と首を横に振る。
鏡沼
「いや分かるわけなくない?」
敬語がどこかに飛んだ。
「え? 分かるんですか?
分身的存在全部で見たり聞いたり? 考えたり?
なに? チートか?
ぼくだってそもそも誰に見られてるとか
どう見えてるかとか分かるならもう少しこう……
悪いことも考えますけど。
そうじゃないから困ってたわけで」
鏡沼
「……増殖、バグ……?」
あれは小説だったか、漫画だったか。
たぶん最近のやつじゃない、SFものだったと思う。
何人もの自分に分かれた後、『自分たち』の間でいさかいが起こり、殺し合いにまで発展する話。
そうだ、あの話でいさかいが起こった理由は──
「あの、鏡沼先輩。
先輩は、『どれが本物か』って分かるんですか?
記憶とか経験は、どうなって……?」
そもそも。
目の前にいる鏡沼先輩は、本当に鏡沼先輩なのだろうか。
自分は今、誰としゃべっている……?
一歩、後ろに下がる。
人は理解できないものを見ると、思ってしまうのだ。
『気持ち悪い』と。
それは神谷とて例外ではない。
ピンポンパンポーン
『もうすぐ下校時間になります
校内に残っている生徒は作業を中止し、
速やかに下校の準備を始めてください』
『繰り返します』
『もうすぐ下校時間になります
校内に残っている生徒は作業を中止し、
速やかに下校の準備を始めてください』
ピンポンパンポーン
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