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![]() | 【人】 2年生 松本志信[深い霧の中、うろうろ彷徨って崖に出た。 黒い海が見えて、柔らかな色彩の青の中に岩山がひとつ浮かんでいる。 頂上には城みたいな建物が見えて。 ああ、あれは多分俺が入るべき墓なんだろうなって思った。 地上から切り離されて浮遊した山頂、あんな所に誰も来ない。 化け物のための、青空に浮かぶ揺籃。 行こうかって、踏み出して崖から落下する直前。 ぐっと引っ張られた。 誰かが手を握ってくれているのがわかる。 血を流しすぎて冷えた手が、片方だけあたたかい。] …、……… [振り向いたら、急に霧が晴れて。 “見たいと思ったもの” を見た───] (89) 2022/09/12(Mon) 14:29:13 |
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![]() | 【人】 3年生 黒崎 柚樹[自分の声のような。 でも違うような。 自覚よりいくらか高く、甘く舌っ足らずな風な声が絵の中の自分から聞こえ、気付けば己の絵の様相は一変していた。 それは確かに自分……なのだろうけど。 いかにも華奢で女性的な、首から肩の線。 シンプル極まりない黒いシャツは黒いブラウスに。 白パーカーはふわふわとしたカーディガンに。 肩にまで落ちている黒髪は、艶やかに緩くふわりと柔らかな弧を描いていた。 砕けた林檎に隠れた唇は、きっと私のものより数段赤く艶やかなのに違いないと、見えてもいないのに確信する。] (91) 2022/09/12(Mon) 14:30:11 |
![]() | 【人】 3年生 黒崎 柚樹────そんなの、いらない。 いらなくないでしょう? 欲しいでしょう? "これ"だったら、どこに出ても 少しも恥ずかしくない、 恋人同士になれるんだよ? さぁ──手を、伸ばして。 (92) 2022/09/12(Mon) 14:30:48 |
![]() | 【人】 3年生 黒崎 柚樹[────などということは、なく。 ふ、と笑う私の手は、絵の中の、崩れた林檎頭に伸びていく。 うん、頑張って引きずりこもうとしているね。 掴まれた手首に長く伸びた爪が食い込む感覚が走る。 けど、そんな貧弱な力で引っ張られて、私が動くわけ、ないじゃない。] 要らないって言ったでしょう。 余計なお世話。 武藤が好きになってくれたのは、私であって、 あんたじゃない。 [掴んだ、崩れた林檎頭。 ぐ、と力を込めたら、更に崩れてぐずぐずになっていく。 ぎいいいい、と、悲鳴とも不協和音ともつかない音が絵から溢れてきて。] (94) 2022/09/12(Mon) 14:32:34 |
![]() | 【人】 3年生 黒崎 柚樹…………ね、どんな顔してるの。 見せてよ。 [凶暴な衝動に駆られるまま、更に握り潰して芯まで全部砕いてやろうとしたのだけど────直後、弾き飛ばされるように私の腕は絵の外側に抜け出ていた。 眼前には、最初に見たままの、パーカーにTシャツ姿の、砕けた林檎の私の肖像。] …………なんだ、根性無し。 [そう告げ背を向け歩き出したら、砕けた林檎へはもう振り返らない。**] (95) 2022/09/12(Mon) 14:34:53 |
![]() | 【人】 2年生 松本志信[真っ直ぐと見つめてくる瞳はさっき見た青空の色で。 その唇がとてもとても辛いことを言うのを、聞いた。 多分泣きそうになってしまったのはこっちの方で。 人前で泣いたことないのにな、なんて。 熱くなっていく目頭そのままに、息を吐いた。] …そ、…だね。 [何でなんだろう。 小泉くんが、津崎くんが、どんな悪い事をしたっていうのか。ガラガラの喉で続ける我儘。]* 嫌だ。 (98) 2022/09/12(Mon) 15:38:36 |
![]() | 【人】 3年生 津崎 徹太聞きました。 自分で刺したって、 すごく痛かった、怖かったですよね。 [そのまま顔を引き寄せて、自身の肩口に埋めて抱き寄せようとした]** (100) 2022/09/12(Mon) 15:57:54 |
![]() | 【人】 2年生 松本志信[紡がれていくのは望んでない未来。 でも、理解はしている。 もしもこれが津崎くんの夢なんだったら。 生きることを決められてしまった俺に出来るのは、向き合うこと。 突き放さず、逃げずに、受け止めること。] 話…、そだ、ね。おはなし、しよ。 [とりとめのない言葉遊び。 哲学の話、どうでもいい蘊蓄、今日の天気。 ただの“普通”なその時間が、大切だった。 目を瞑り続けたけど、君が好きだって話。 指先が髪に触れる。 繊細じゃない、手入れも行き届いてるわけじゃない。 ちょっとごわごわして触り心地なんて良くもないだろう、髪に。] ばかだなぁ。 今日も、明日も、いつでも、…一緒だよ。 [生きてたって、死んでたって]* (101) 2022/09/12(Mon) 16:14:49 |
![]() | 【人】 2年生 松本志信 …、…っ めちゃくちゃ、痛かった 怖かっ、… [抱き寄せられるままに肩口に頭を押し付けて。 腕を回して、弱く弱く抱き締めた。 怖かったよ。 こんなに怖いなんて。] 津崎く、… を、喪う…かも …って [ナイフなんかよりも、ずっとずっと]** (102) 2022/09/12(Mon) 16:24:29 |
![]() | 【人】 3年生 津崎 徹太チカさん、 俺、一つ、先に伝えておきたいことがあるんです。 [俺は、チカさんと長く話していて、 そして、屋上できいた話も十分理解して、 今できることをしながらも、 尚且つ、みんなから批判されることを言うんだ。] もし、俺が死んで、 そして、チカさんがやっぱり死にたいって思う毎日があるのなら……。 (104) 2022/09/12(Mon) 16:33:09 |
3年生 津崎 徹太は、メモを貼った。 ![]() (a31) 2022/09/12(Mon) 16:35:10 |
2年生 松本志信は、メモを貼った。 ![]() (a32) 2022/09/12(Mon) 16:48:28 |
![]() | 【人】 2年生 松本志信[そっと優しく落とされる言葉は、ずっとずっと欲しかったもの。 誰かに許される事をずっと待っていた。 みんな優しいから、その言葉をまさか聞けると思っていなくて。 水の中でもがき苦しんでた。 息苦しくて、生き苦しくて。 いま、初めて息が出来た気がした。 返される腕の力に、ぎゅっとまた抱き締め返す。 眉を寄せていた泣き顔は、少しずつ緩んで。] (105) 2022/09/12(Mon) 18:04:12 |
![]() | 【人】 2年生 松本志信 じゃぁ、やっぱ、「明日も」一緒だな。 [声はもう枯れていたけど何とか絞り出す。 どうしようか。 船の浮かぶ色鮮やかな海でも見に行こうか。 憎たらしい林檎を切り刻んでアップルパイでも作ろうか。 寒くなったら湖の上をスケートでもして。 教えてもらった歌を聞かせてもらって。 晴れた日の屋上で。満点の星空の下で。 ああ、でもやっぱり 最初はあの喫煙所で]** (106) 2022/09/12(Mon) 18:12:25 |
![]() | 【人】 4年生 小泉義哉……俺が生きているなら、どうしようか。 きっと、みんなが津崎が亡くなったことを悲しむ中で、 独りだけ罪悪感に蝕まれながら生きるんだろうな。 [ きっとみんなはそんなこと言わないだろうけど、 それでも、義哉はきっとその気持ちを抱えることになる。 所詮、“普通”もどきの人間に、 誰かの代わりになることなど不可能なのだから。 今まではこれは災害だって割り切るつもりだったし、>>4:242 それは他の誰かが亡くなっていても同じだと思っていた。 けれど、みんなからかなり遅れて やっとのことで義哉には“現実”が見えてきたようだ。 正直、逃げ出したいと思った。 死にたがりにとっても、この世界に“慈悲”はない] (108) 2022/09/12(Mon) 18:21:33 |
![]() | 【人】 4年生 小泉義哉―― 小泉義哉の父親の話 ―― [ 義哉は高校生の頃、母親に尋ねたことがある。 どうして父親と結婚したのか、と。 母親曰く、「同族だったから、同情したのかしら」 とのことだった。 “同族”の意味を知ったのは、 大学に入学してすぐの頃のこと] (111) 2022/09/12(Mon) 18:22:35 |
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