68 【身内】空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?【R18G】
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
「(サダル)」
「(──サダル!)」
…………キファは、森の中を探している。
そんなところを探しても、彼がいる筈が無いのに。
いつの間にやら辺りは霧めいている。
くるくる踊って。踊って、踊り狂って。
実のところキファは、同じところをぐるぐる探し回っていた。
そして、そのことに気付かない程、
聡明なキファは忘我していた。
恋に盲目だったと言ってもいい。
→
そもそも、だったらまず初めにサダルの部屋を探すべきだ。
……キファは、薄々感づいたいたのかもしれない。
最後に臙脂色の星の腕輪から聞こえてきた音が、
断末魔だったことを。
確認するのが怖かったのかもしれない。
キファは誰より死を恐れていた。
でも、人は人である限り、いつか死ぬ。
キファはそれが、今日だっただけ。
キファはつまずいた。
泥に塗れた赤いチャイナシューズは、走ることに向かない。
気づいた時にはもう遅く。キファは斜面を転がり落ちた。
そうして。死なないために生き続けてきた──
今はサダルと共に居るために生き続けてきたキファの、
永い永い生涯は。実にあっけなく、幕を閉じた。
『本日は「空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?」にご来場いただき、誠にありがとうございます。
関係者のみなさまにご支援、ご協力を賜り、ここに裏方サダルより死の演出を開かせていただく運びとなりましたことを、心より感謝申し上げます。
本日は
[死んでしまった台本]
をお届けいたします。
地上の方々には誠に申し訳ありませんが観劇をしていただくことができません。
限定公演の為チケットを受け取られた際、何卒またお越しくださることを一同願っております。
新たな挑戦に、節目の時の意気込みをお汲みとりいただければ幸いです。
終わりに、いつも厳しく温かく見守ってくださるみなさまに深く御礼申し上げます』
『しかし役者であるサダルは声がでません。
なんと言うことでしょう。
これでは舞台になりません。
仕方がありませんので、
代々案として台本を一部公開いたします。
役者が足りない?
そんなことありませんよ、なぜならば
すべて
彼の一人舞台
なんですから』
これはとある作家の"死んでしまった台本"だ。
作家の意思では誰にもさらされることがないものである
サダルの部屋に人影が現れる。
サダルは目を見開き部屋の奥へと逃げようとする。
たくさんの紙がサダルの足をもつれさせる。
サダル――――だ、誰?
もしかして、【スクリプト】が言っていた・・・・・・?
わからない、どうしてあんたたちは人を殺そうとするんだ!
サダル――――どうして【スクリプト】は
"人を殺したい気分"なんて寄越したんだ?
あんたたちはそんなこと望んでもいないくせに!
サダル――――操られているだけなんだろう、本当の犯人はだって――
サダルはベッドまで這って逃げる。
暗転。
サダルにスポットが当たる。
サダル――――幸せだなんて、死が救いだなんて!
どうしてそんなことが言えるんだ。
サダル――――生きていたい。助けて、誰か。
暗転。
沈黙。
サダルの胸元から星が光りこぼれ落ちる。
舞台中央に薄着を纏い奇妙な暴行をされた痕があるサダル。
人影は近づき、暗転。
ベッドにスポット。サダルは毒を盛られ動くことができない。
サダル――――キファ大好きだった、寂しがらせてごめん。
サダル――――裏切り者として罰せられる世界じゃなくて。
君と幸せになる世界が欲しかった
笑い合える世界が見たくなった。
サダル――――ねえ、ヌンキ。君も笑えないのは嫌だ
サダルは助けを求めるように星に手を伸ばす。
ナレーション――サダルは知っていました。その星が"違う世界"へと導く星だと
サダルは知っていました。この世界が"死に塗れた世界"だと
サダルは願いました。"違う世界"に望んだ"世界-台本-"があると
サダルの星はサダルが死んでも輝き続けます。
誰かの手にある限り、サダルの星は輝き続けるのです
サダル――――ひとりぼっちの世界なんて訪れさせない
サダル――――ひとりの命を救うために犠牲になった人。
餓えて苦しんで普通の愛を求められなかった子。
生きたいと願っていたのに約束を守れなかった裏切り者 。
彼らが退場した台本を幸せだとは言えない、新しい台本を綴るんだ
サダルが瞳を閉じる前に首に刃物が振り下ろされる。
暗転。
サダルの死体と首はサダルの部屋に転がっている。
顔はぐちゃぐちゃでサダルだと判断できない。
暗転。
十字の髪飾りが会議室のペンの横に置かれている。
スポットライトが絞られる。
暗転。
サダルの部屋に落ちている星は耳を澄ませば、
どこかから声がする。
聞きたいと願わなければ聞こえない。
カンカンカーン!! カンカンカーン!!
カイギが オわったでし!!!
まだ、始まったばかりだ。
初めてのひとは勘違いするかもしれないだろう。
落ち着きなさい、キュー
おまえたち……うるさいんだが……??
弟子たちに毎度毎度”今回こそ”はとせびられて、
ようやく吾も腰をあげたというのに、まったく。
えっ!?まだ終わってなくないですか!?
……って、キューさんかぁ……
ボクは アセって いるでし!
カリカリすんのは止めて下さいよォ。仲良くしましょ〜。
僕たち別にぃ、敵同士じゃないんですから〜
お、何だ来て早々解散でいいのかい?
俺ァそれでも全く構わねェんですがねェ
うるさ。何? 耳痛いんだけど
会議はつかれるけど仕方がないだろう?
俺たちはギルドを代表してきているんだからね
失礼します。私はギルド『絹ノ道』のギルドマスター、
『気分屋』のルヴァと申します。どうぞお見知り置きを。
……あっもうだるいわ。
堅苦しい挨拶はここまででいい? ハイ終了〜〜〜〜〜
キューさんは、いつも言ってることが真逆……みたいですね
聞いてはいるんですけど、たまに混乱します……。
…………………君達は……とても騒がしいな………
おやまぁ……いつから此処は託児所になったんだろうね?
さぁヌンキ、早く話をまとめてくれないか?私も暇ではないんだよ
ハマルはハマルだぞ。
まだオトナじゃないが一人前というやつだ。
ハマルはハケンされたから、頑張るつもりでいる
狩猟ギルド『Beagle』のニア。兄さんの代理よ。
わたしはここでの話を持ち帰るだけだから、
さっさと進めて終わらせてちょうだい
お話は好きですか? お話は嫌いですか?
賑やかな声が星の中に入っている
その中に1つだけ、聞き慣れない声があった。
若くも年老いてもない、特に特徴はないがどこか穏やかで落ち着いたような青年の声
彼の声が残っている星はそれだけだ
──ここは星見杯亭、ヘイズのゲストルームだ。
元は与えられただけといった風に生活感も、部屋の主の個性も
ほとんど反映されていない質素な部屋だった。
いつも持ち歩いているポシェット、そして空っぽの謎の箱が放り出され、暖炉には何かを燃やした跡がある。
そして、この部屋は鍵がかかっている。
そして、この部屋の主はもう自分から出てはこない。
室内は、まるで寸前まで争ったかのように荒れている。
カーペットには食器の破片が散らばり
寸前まで飲んでいたであろう紅茶が染みている。
鏡の前で仰向けに横たわっている、小さな子供の姿。
その胸にはナイフが握られている。何故か持っているだけだ。
魂の抜けたからっぽの人形のように真っ白な肌。
開きっぱなしの光を失った眼が、空虚を見つめていた。
胸の前に置かれた手の甲には赤い"Θ"の痕が刻まれている。
これは間違いなく、子役が演じる死体だった。
キファは霧がかる森で、目を覚ました。
”目を覚ますことが出来た”。
「……ふ。尸解仙にでもなった気分だな」
「なんだ。死の先は、……消失ではなかった」
「なんだ。思ったより怖くないじゃないか」
「……なんだ」
キファはその時、”全て”を理解した。
この世界が、サルガスによる思考実験であること。
自分は《観察者》であること。
それでも、キファの心は驚くほど凪いでいた。
キファは道士であった。
仙人とは、真理を得て、悟りを開いたもの。
不老不死の存在。
キファは永きを得て、
悟りへの境地に至りかかっていた。
誰かを護りたいという漠然とした思い。
常人と異なる視点。それがその証左だ。
→
それでも。キファは人間だった。
キファを人間たらしめていたのは、
皮肉にも生への執着であった。
人間の、原始的な本能。
さて、キファはそれを喪った。
即ち、キファの精神は死を以て、
……悟りの境地へと、至ったのだろう。
メサ
「──メサ。
ああ、そうか。アンタも殺されたんでしたねェ」
青年はメサを見た。いつも通りの声で、返事が返る。
そこには何かが無い。
決定的な何かが、欠けている。
「なんですか?」
でも、でもだ。
キファは、自分が人間で無くなっていくことを、
いつか精神が悟りの域に至り、人間性を喪うことを、
心の奥底で恐れていた。
感情豊かに見えていたのなら、それはきっと唯の演技。
だから、楽しかった。
恋する日々を、サダルと共に過ごす日々を楽しんでいた。
ヌンキが神に祈り、そして神がそれに応えた恋心のギフト。
キファは狂愛に堕ちてもなお、それに感謝していた。
キファはヌンキの行動により、感情を取り戻したのだ。
であれば、どうだ。
今のキファは。今のキファ、は、
「
」
飛び起きて立ち上がり、ああ、自分の声にまず驚く
首がつながっている、毒で苦しくない。
なんだあの"人を殺したい気分"を使った奴らの手際の良さは
「
めちゃくちゃ早く死んだんだけど?
・・・・・・安楽死ってレベルじゃない、早すぎて記憶が曖昧」
「え、誰? 誰の声。は、自分?」
サダルの言葉はどんどん出てくる。
心がまだ落ちついて居ないのだろう。
言葉の整理をしなければいつまでもしゃべり続けられそうである
「あ。ヘイズ。
」
トントン
つま先で地面を鳴らす。
ここは一体どこだろう、自分はまだ星を使えるだろうか
そして、あの影は本当に
キファは、まずこう思った。
「皆に謝らなくてはな」
──そうだ。けれど、何か違和感がある。
「約束を守れなかった」
──その通りだ。でも、まだある筈だ。まだ!
「さて、どうするかな。
吾は幽霊にでもなったのか? 身体も無事……。
ふむ。まずは街に戻るか」
──思い出せ!
「……そうだ、サダルは?」
「あれ!?」
ヘイズはどこかで飛び起きた。
「今までここにあったはずの
人を殺したくなる気分は!?」
サダル
あなたのゆらりと影が揺れて震える。
そこから勢いよく飛び出してきたのは、いつもの子役の姿。
何もわからぬままだが、影はあなたが呼ぶのならすぐにでもやってくるのだ。もちろん、どこまでもついてきていた……。
メサ
「遠く。それは、随分と面白い感想ですね。
アンタと僕の距離は、それほどまでに近かったと?
」
ぐったりとした少女を抱き上げた。
青年は、メサを見る。
「で、どうしてニアはこうなってるんですか?
原因を教えなさい。ご存知でしょう」
「台本用意したけど、想像以上にあれはただの
エチュード-即興劇-
だったなあ。
よっぽど役者じゃないか、本当ここの人たちさあ・・・
手に余る
」
脳にだんだんと空気が入ってきて、そして状況が理解できてくる。
ここはどこだ、その気持ちに変わりはないが『死』というプラグラムだけはしっかりと認識した。
「・・・・・・・・・。死? 死ネタは人を選ぶって言ってるじゃないですか、そんなはじめからそんなギリギリを責めた台本で成功すると思ってるんですか? サダル。無理ですよ、一番はじめにそれをしたら毎回死ネタを扱う作家としての札を貼られるんですよ。これ知ってますか?
『あ、・・・・・・っ、○○さんのってこういう作品も書かれるんですね、しりませんでした。わ、わたしこういうのも好きです! でもやっぱり一番最初の作品がとがってて好きだったなあ・・・・』
って過去の作品のインパクトにとらわれてあとのハッピーエンドの作品を書くことが許されない硬派なキャラクターを続けなくてはいけないんです。どうして」
それでも。
それでも。キファの心は驚くほど凪いでいた。
僅かな”危機感”を拾い上げる。
キファは走り出した。
キファは死んでも、サダルを探す。
今のキファなら大丈夫だ。
狂愛のままに、道を迷うこともない。
霧を抜け出し、森を走る。
走る。走る。……走る。
サダルを探して、サダルを抱きしめれば!
……例えそれが亡骸になっていたとしても。
サダルへの慕情をもう一度、思い出せる筈!
森を抜けて、街へ。
どれほど掛かったことだろう。
皆はもう会議を始めているだろうか?
街を彷徨い、星見杯亭へ。
「サダル…………っ」
騒ぎに乗じる。ヘイズの部屋へと向かう。もう怖くはない、直視すべきだ。
うっっっっっっわ
「」
あなた達は見ていただろうか
、サダルは今一人で居た。
影をとんとん、とつま先でたたきヘイズの名を呼んだだけ。
その瞬間あの子役が湧き出たではないか。
どんな魔法だろうか、手品だろうか。
それを知るものはヘイズしかいないし、ヘイズも結構一つのことしか語らない。
彼はサダルの影になっているのだ
自分の死を頑張って密室殺人事件にしようとしたらしい
妙な隣人(ヘイズ)に本気でドン引きした"声"をようやく出せた
星見杯亭に戻ってきたことで、キファは様々なことを知った。
自分の姿は、声は、もう誰にも届かないこと。
──キファは、自分のような《観察者》が
他に居ることをまだ知らない。
死体が二人出たこと。ヘイズと、サダル。
サダルの死体を皆はもう、確認したらしい。
現在、ヘイズの部屋に入ろうとしているらしい。
なんか扉壊そうとしててビビったのでスルーした。
……サダルの部屋に訪れる。
果たして、まだ人は残っているだろうか?
どちらでもいい。どうせ、見えないのだ。
綺麗な黒髪を視認する。
「サダル」
血の付いた唇を拭う。
燃え上がるような恋は、もう無くなってしまった。
狂愛に燃える頃のキファなら、もっと泣いて、泣き叫んで。
……唯、唯。今は。
感慨だけが、胸に響いていた。
苦しくはない。微かな笑みが、浮かんだ。
「やっと」
〆
メサ
「僕は何も変わっていませんよ。
ずっと、僕は僕のままです。
──アンタが、僕の何を知っていると言うんですか?」
いつか、青年が誰かに吐いた言葉と似た言葉を向けて、
青年は抱き上げた少女の額に口付けを落とす。
どこか冷えた視線がメサを射た。
「ニアが自然とこうなるわけがないでしょう。
これは殺人鬼、植えた獣です。
しかも、とびきり警戒心が強い。
それが弱みを見せるのは、
何かをされるような隙を見せるとしたら」
青年の靴が鳴る。
「“負い目のある相手の前”、或いは旧知の仲の人間の前だけ。
つまり、アンタが怪しい。僕の推理は外れていますか?」
「・・・・・・キファ」
深く深呼吸をする、もう声は届かないのだろうか。
あの自分の声を唯一聞いてくれて返してくれた相手は。
ヌンキも聞いていただろうが、傍に居てくれたという点では彼女だけだった。
迫った体を拒否した。
口づけをねだる彼女を制した。
調子が悪いことを理由に随分とほったらかしにした自覚がある。
「恋を完全に自覚する前に恋を代償に取引を持ちかけていたんだから恋人ができなくても許してくれないか」
どうか届くな、と恋人の絆を結んだ同士として
最悪の懺悔
を空に投げた。
サダル
「言ったじゃないですかあ……
どこまでも着いていきますよ
、って〜!
でもぼくたち、死んだんです……よね?ほんとうに……」
自分の手のひらを見つめて、開いたり閉じたりしながら
何か考えるような間があって……違和感に気づいた。
あなたの顔を見上げる。
「あれ、サダル……声が
……」
ぱちぱちと驚きの瞬きを数回。
「・・・・・・へ、ヘイズ以外にはバレてない、そうだ。大丈夫だ
まだ、まだ"風邪で声が出ないサダル"は居る」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「みんな、いるのかな、いたらどうしよう」
「き、聞かせられるわけない。嫌だ。
やだ!!!!!!!恥ずかしい!!!!!
あ、風邪ひこう
」
「声、出てるね。実は・・・・・・多分死ぬ直前も出ていた気がする。
声の原因さ・・・・・・本当に心因性のストレスで、事件のことを忘れられなくて落ち着かなくて仕方が無かったんだよ。
だけど、・・・・・・いざ死ねると思うと、だんだんと具合よくなって・・・・・・
ヘイズ、ヘイズどうしよう。みんなに合わせる顔がない、顔ぶっ潰してって頼んだぐらいだ、消えたい、あああああああああ消してくれ台本をこのテンションで書けない、見たくない・・・・・・」
これは作家がたまによく陥るスランプ。
締め切り直前の漫画家が
すべての原稿を破り捨てたくなるような感情。
そしてとりあえず死にたがる慢性的鬱の症状。
師匠は所謂情緒不安定である。
サダル
「あっはっはっはっは!!」
ヘイズは情緒不安定な師匠に対して
たいへん愉快そうに笑った。スランプを知らない。
笑うところではないのだが、悪気はなかった。
「師匠、死んだ後のほうがイキイキしてますね。
その調子ですよ。一緒に星見杯亭、行ってみましょうか!
自分の死体、あったりするのかなって」
影はあなたの手を引いて駆け出す。
"死の先"ほんとにありましたねっ!
メレフにも会いたいです。ルへナにも会いたい。だけどハマルに会うには心臓が持つかわかりません
そういう訳で一人水場を探しに行ったサダルだったが。
その道中、きっと、出会ってしまう。
キファと。
あなたとの最後の会話は、あなたの断末魔で終わっている。
キファはサダルの死を認識している。
サダルがキファの死を認識しているかは、どうだろう。
サダルがここにいる筈がないのだ。
キファにとっては。
「……、おまえも仙人になったのか?
」
すごい方向性で来た。
ヘイズ
「役者復帰はもう少しであとでいいかい、ヘイズ。
君のその勢いと知識は褒められる者もあるし、
肯定力には頼りっぱなしだよ。
だけど、徹底的に役者に必要な情緒が足りないね?
自分から勉強したらどうかな、いいところだけ」
自分の死体を生き生きとした表情で見に行く
弟子の心が師匠はわからない。
そんな心を弟子もわからない。
「会えない、会えない。嫌だ。
見れない、やめてくれーーー幻滅される
死ぬ死んでしまう!!!!
風邪を引かせてくれ!!!!!」
引きずられながらサダルは弟子と共に宿に向かった。
ああ、川に流れる藻屑になりたい。まるで流しそうめんになりたい。意味がわからないけれど。
「・・・・・・・・・・・・」
深く深呼吸をした。服は何故か破ける前、大丈夫だ見られてないと思っている。
彼女は自分の死体をみたか見ていないかわからないのが不安だが、まだ聞かれていない、だが―――仙人ってなんだ????
「・・・・・・・・・・・・」
『どうかしたの? キファ せんにんってなんのこと?』
得意の演技で笑みを作れば急いでスケッチブックに文字を綴った。
それは誰かと揃いのペンだ。
サダル
「おまえ、死んだのだろう。
……吾はおまえの、死体を見た」
要は、こういうことらしい。
キファは、現在の状況を正しく認識していない。
キファは、自分以外の『幽霊』を一度も見ていない。
仙人の一種に、死することで仙人になるものがある。
だから、あなたを……仙人だと勘違いしている…………。
「仙人になっても声が出ないのか、おまえ」
くすり、笑みに似た呼気を洩らす。ジョークだ。
「だが、その様子だと違うようだな。
何をそんなに慌てているのだ?」
あなたは気付くかもしれない。
キファの声のトーンが、生前と異なっていることを。
恋する少女が、想い人に向ける声色とは、違う。
今はもっと落ち着いていて、どこか穏やかだ。
メサ
「安い挑発です。
メサ、いいことを教えてあげましょう」
青年は薄く笑う。
優しさの欠片も無い、薄氷の笑み。
何かが砕け散る予感を孕んだ空気。
「同じ質問を、僕はニアにしたことがあります。
彼女は僕が欲しいと思った以上の答えをくれた。
メサは今、回答を避けた。
それは、答えに自信がないから。
──違いますか?」
メサの遺体の前、寄り掛かった青年を支えたまま。
嫌いなはずのわざとらしい、うるさい、胡散臭い青年に──少女はいつも通り、澄ました顔のまま答えた。
『わたしはあんたじゃないから、知らないわ。
……馬鹿で、寂しがりだってことくらいしか』
その答えを聞いた時、嬉しいと思った。
それから色々な姿を見た。俯く姿、弱さを隠そうとする姿。
はじめて見る姿はどれも、青年の心を捉えた。
──皮肉にも、青年が少女に惹かれ始めたのはメサの死んだ事件がきっかけだった。
サダル
「うう、情緒ないって言われて今情緒生まれた気がします。
役者は身体大事にしないと……ね?
せっかく声が聞けたのに!風邪は引かないでくださいよ〜」
情緒ないのコンプレックスになりそう。
「ひとまず落ち着いて休んでくださいっ!
というか今の状態じゃ話せるかすらわからないですよ
だって、……なんか変ですもん……」
道の途中の通行人があきらかに自分達が見えていないような気がした。"無視"している風でもない。ヘイズをすりぬけていく人までいる。本当の意味で影になったようだった。
さて、見慣れた星見杯亭にやってくれば
ひっぱるのははすがにそこでやめたのだった。
メサ
メサの足元が砕け落ちて行く。
彼女の周りを、亀裂が囲む。
「──いいえ。それは違いますよ、メサ。
重ねた時間が恋になるのなら、もうとっくに成っていたはずだ。
それが叶っていたなら、僕の隣にはアンタがいたはずでしょう。
僕は、アンタが僕を想ってたのを知っていました。
知っていて、はぐらかした。アンタの口を塞いだ。」
……僕が、殺した。
そうだ、メサは、僕が殺したようなものだ。
いつか零した嘆きを、青年は語らない。
それを知る少女は、腕の中で瞳を閉じたまま。
真相は語られることなく、握り潰される。
「僕は、アンタたちを捨てた。
どうしようもなく貪欲で、餓えたこの獣を満たすには、
僕の持っていたものをすべて手放さなければならない。
僕は元々こう云う人間です。
欲しいものの為なら、他の何を捨ててでも。
蔑ろにして、踏み潰しても手に入れなければ気が済まない」
⇒
「…………」
「そういえば、いろいろなものが
聞こえすぎていて気づいていなかったけど。
どこかで二アとメサがけんか……?
していた幻聴や幻覚がやけにみえていた気がする
これ本当に、死の先…………あった、やつだ。
完全に妄想だと思っていたからみんなに知らせていなかった、
台本持っている人が教えてくれたらいいんだけど、台本捨てちゃったよなあ……
いや、こんな世界のこと信じてくれる人なんて居なかったかな…………」
「はっ、
あ”っ!?!?
」
「もしかして聞かれてる? 聞かれていたらどうしよう!!!
あっ、黙ろう。
死のう、あの人に聞かれた、もうやだ。うええええ……」
これは一人で歩いていた話術師の独り言。
聞こえすぎるのも難がある。
「……
目障りだったよ、物欲しげな顔を、行動を僕の前でされるのは」
返せない想いばかりが上乗せされていった。
手を伸ばしてしまう。期待に僅かだけの希望を与えてしまう。
それを、止められない。
それが、残酷だって、分かっていながら。
だって、アンタが笑うから。
──笑って欲しいと願ってしまう、これが恋じゃなくても。
「期待が重いんですよ、希望が鬱陶しいんです。
下らない感情をばら撒くのは止めて欲しい」
青年の足元の氷は割れることは無い。
ただ、その足を楔のように地面に縫い留めるだけ。
☆★☆★ソロール☆★☆★
卜占には神が宿る。
高度な占いは、魔術であり、神託だ。
それは、永きを経たキファが”奇跡的に導き出した”呪文。
キファは、神様の声が聞こえていた。
占いを通して、”天啓”を得ていたのだ。
だから、キファは神の存在を信じていた。
だから、サルガスの言葉をすんなりと受け入れることができた。
”この世界は神による、被造物である。”
自分はきっと、テストに失格した。
いずれまた、この残酷な数日間を
繰り返させられるのだろう。
→
「(でも、それを憂いたところで。
今更その事実を変えられる?)」
今、キファの精神は凪いでいた。
あの頃の激情は無い。
今できること。
それはX日後──この世界から脱出するであろう人々に、
お別れを言うことだ。
死人に口は無い。
この声は生者に届かない。
変えられるものは、多くない。
だからそれはきっと、自分の為の言葉。
→
今のキファには分かる。
あの頃の自分は少し、ヘンだった。
……いくら愛ゆえだろうが、
人を手に掛けることは、駄目だ。
人を騙し裏切ることは、道徳ではない。
でも。
サダルの躰を求めた時のときめき。
ルヘナと茶を飲みかわした時の高揚。
ゲイザーに仕返しをしてやろうと思ったあの激情。
その激しさのどれもがもう得られないことが。
少し、寂しいなと思った。
──ヘイズは、人ではなかった。
そして、それを最近まで忘れていた。
人の群れに混ざり、人に寄生しひっそりと
"人間を演じる影"
そしてその"師匠"に選ばれたのがサダルというだけだった。
ヘイズはしゃがみこんだ。事件を演出しようとして
おかしな光景になった部屋、そして自分の抜け殻を見つめている。
「あーあ。やっぱりほんとにしんじゃったんですね。
死体って、ほんとうにつまんないです!
殺す瞬間はとっても楽しいものでしたが
死んだ後は虚無のようなものに襲われます」
→
「生きて生み出される感情にこそ価値があります」
「特に、負の感情!」
この影はそういう生き物だった。
花が咲くように、人が人を愛するように。
生み出されるほの暗い、淀んだものを好む。
そこに悪意など存在しなかった。
「サダルからもらった、人を殺したい気分
結構いい感じでしたね! あれなら
"人を憎む殺人犯の演技"をリアルにできます」
けれどあの時、自分に向けられた殺意<ナイフ>は
自らの身体に振りおろされることはなかった。
なぜだろうか。そこに恐怖でもあったのか
──いや、単純に師匠が死んでしまったからに決まっている。
彼がいなくなれば、それに自分もついていく。
それだけのこと。それは自然の理に過ぎない。
→
足元に転がった死体は、もうただの抜け殻
闇に、影に溶けるように徐々に形を失っていく。
そうして、やがて
幽霊に──本当の意味で影になったヘイズは
つまらなそうにこの場を去った。
メサ
「ニアを壊すのは、僕だけの特権です。
ニアを傷つけるのも、僕だけの権利であるべきだ。
愛すのも、壊すのも、救うのも、全て──この僕です」
青年は嗤った。
その顔に滲むのは歪な独占欲と加虐心。
抱えて居た少女を近くに下ろした。
零れた黒髪の隙間から覗いた白い首筋に、
くっきりと刻まれた所有の証が見える。
「いいですよ、アンタの望みは理解しています。
アンタのその感情を肯定してあげましょう。
死にたいんでしょう。
どうしようもなく、終わりたいんでしょう?
」
メサに向かって歩みを進める。
一歩ずつ、終わりの時間が近付く。
共に過ごした、陽だまりの記憶さえひび割れる。
そこに確かにあった信頼、過ごした時間。
預かった槍は、折れたまま──修理されることは無い。
⇒
メサの苦悩が分かる。
走り出してしまった衝動の行き場を失っている。
終りにしてくれ、と。
罰が欲しいと、メサの瞳は語っている。
それを促したのは自分の選択で。
狂気を呼び起こしたのは、己の咎。
「僕は、ニアよりも優しくない。
お仕置きの時間ですよ、メサ」
青年は、メサのすぐ傍で囁いた。
がやがや ざわざわ ひそひそ
──レムノスの街中。やがて噂が流れ始める。
役者ギルド『パルテノス』の子役・ヘイズが行方不明だと。
そしてその関係者である役者──裏方も殺された、と。
「同時にふたりも……?」 「こわ……」
「ひとりは、無残な死体だったらしいぜ」
「……やっぱり"シータの痕"の事件で……?」
「そんな……これから期待してた役者だったのに!」
「あのギルド、ギルド長が不老不死らしいぜ
実はやばいことしてたんじゃないか?」
「それただの噂でしょ?」 「バカバカしい」
街中の人々は、真実を知らない。
崩れ落ちる、流星の騎士。
過労だろうか。
キファは助けを呼ぶことも、支えることもできない。
キファの声は届かない。それを彼女は知っている。
それでも、口にする。
自分の為に、口にする、
それは独りよがりで、贖罪で。
「ヌンキ、ごめんな」
「吾はおまえに何をしてやれただろう」
「吾はおまえに押し付けてばかりだった」
「吾らを守ってくれて、ありがとう」
「吾らは平気だから」
→
「誰か」
──届かない。
「ヌンキに気付いてやってくれ」
──合理的じゃない。
「ヌンキをもう、休ませてやってくれ」
それは、唯の祈りだ。
どこかで響いた"限りなく汚い高音"を思い出してツボに入ってしまった
「ヌンキさん、それでこそ騎士です!
がんばってください!
人はそうやって応援されるとがんばれるんでしょう?
がんばってください! 負けないでください!」
喧騒の中で、影はとどかない声をあげた。
「ふん、誰か阿呆だ。
…………、否定できんな」
くっそ〜!
さて。ヌンキは、安眠できているだろうか?
暫く彼の様子を眺めると、
メレフに続いて部屋を立ち去るのだろう。
「ありがとう
鍵括弧を忘れ、なんか口にした瞬間死んだ人みたいになった。が、既に死亡しているので問題は無い。
――きっとどこかで、少女と同じ痕を持つ青年と、
壊れてしまった一番槍の彼女が話をしているころ。
まったく違ういくつもの場所を、ひとりで歩いている。
少女はあの場所で、変わらず眠っている。
どうしてか、そちらにもこちらにも存在している。
/*
分裂です。話しかけられフリー。
話しかけもフリー。描写をレスしてくださればこちらから話しかけます。
キファ
仙人については全く理解できなかったがとにかく死体を見られたことに顔色を真っ青にした。
あんな"ひどい"惨状を見させてしまったことを気にしたのだ
『自分は別に仙人にはなってないよ?
』
『ようやくわかった キファ 実はここが自分は見えていた 幻覚だと思っていたけど ここは本当に存在していた世界だ』
『そして自分たちがいた世界とは違う"ルール"が存在している ここは死の先じゃなくて "今まで生きていた世界が作られた世界だった"んだ 台本の作者が他にいた
』
だからといって、今の自分たちの存在は何か?という答えは出せなかった。
わからない、ここが本当の世界? それならば、自分はなんだ。
ここが始まりじゃ無かった、ここが終わりでもなかった、体も感情も宙ぶらりんだ。
→
キファ
『それで あの 話し方には あまり突っ込まないで欲しいんだけど』
『キファ 大丈夫? 自分がいなくなったあとのキファを わかっていて置いていってしまったから 怒られると 思っていたんだけど』
確かに恋に狂ったキファをずっとみていたサダルはあなたの異変に気づいたかもしれない。
一番はじめの彼女とも違うとも、どこかで。
だが、そのことに安心してしまった自分がいる。
二人の気持ちを残酷にまで踏みにじったと自覚をしている自分がいた。
そしてどうか自分の本当の気持ちに誰も気づかないで欲しいと思っている。
ヘイズ
「観客がいないんだから
しばらく裏方に集中していても怒られないでしょ。
なんだかここの世界もおかしいし、
自分が一体どこから来たかも」
言葉にしてわかってくる。
サダルの思考の整理はよく言葉によって行われてきた。
口にするにも、文字にするにも性に合っていた。
そしてここが死の先ではないとわかったいま、
本当に自分が何者かわからなくなってきていた。
目の前の存在もまた。
「幽霊はどこかに居てもおかしくないと思っていたけど、
ここまで存在していないように扱われるのは
……くるものがあるなあ。
ヘイズは本当に気分は大丈夫なの?
元気そうに見えるし、その言葉は嘘は無いと思うんだけど。
流石に自分の影とはいえ意思はあるでしょ?
今やりたいこととかあったら手伝うけど」
足を止めてもらって落ち着く。
この先に皆がいる、ちらほらと見えてる姿に、"見える声"。
今も終わっていない舞台にはもう上がれない
「あいつ多分黒魔術の本とか書くの得意だぞ」
内容については、好ましいと思った。
ホワイトボードの前にもいる。気味の悪い絵が増えたわね……と思った。
「やっぱりモンスターですよね……?」
ヤバイひつじの落書きを見てモンスターは思った。
吾もヤバい絵を描こうと思ったが、ペンを掴めなかった。あ〜ん。
二ア
二アが歩いていると、町の外れにある小川の音が耳に入ってくる
壁越しに聞く人の呟きのようにひそやかで、しめやかで、親しげな水のせせらぎ
自然と目が向けば、そこには
荷物を置いてがいる。
服を着たまま腰まで水につかって居るどころか、頭まで水をかぶったのか濡れた羽のような黒い髪からは水滴をしたたらせ、誰がどう見てもこのままでは風邪をひいてしまうと思わせる姿だった
そして目が合った。ぱちくりと瞬きを繰り返す。
その瞬間サダルは滑ってひっくり返り水の中に落ちた
サダル
それは、彼女が神秘主義者であり”天啓者”故だろうか。
既に彼女がその事実を悟っているのもあろうが、
キファは、”台本の作者"の存在に特別驚くことは無かった。
「怒って良いのか」
──す、と目を細める。 →
ラサルハグに手を振った。悪戯。だって、見えるわけがないのだから。
それから、表情を和らげる。
「冗談だ」
キファは、随分落ち着いているように窺えた。
悟ってしまったのだ。
サダルの顔を見てもなお、あの激情は蘇らない、と。
きっと、それで良かった。
「吾は結局、おまえに何が起こったのかよく知らぬ。
おまえがどうして急に、
吾に対して無感情になったのかも分からぬ」
でも、深くは問わない。怒ったりもしない。
キファは全てを許容する。
そうすることが。
「サダルよ」
そうすることがきっと、
良いお嫁さんなのだと信じていたから。
それはきっと、優しいお別れの言葉。
今のキファの在り方の証明。
「──吾は、おまえにとって良い恋人で居られたか?」
「…………?」
キファは、危機感を催した。
キファは、ラサルハグに見える筈がない。
キファは、ラサルハグの正体を知っている。
……だけど、幽霊のキファは、一人じゃ何もできない。
ラサルハグの前に立つ。彼の頬を、思い切り抓り上げようとする。
サダル
ぱちぱちと瞬きをする。
なにしているのかしら、あの人……。
呆れつつ、踵を返そうとする。……が、何かが引っかかって。
水に落ちた人のところへ歩を進める。
「ごきげんよう。
……その恰好、水浴びには向いてないと思うわ」
キファ
サダルは何かに耐えきれず、バサリとスケッチブックを落とした。
数多の恋を見てきた、そして数多の恋に憧れてきた。
隣に居るだけで安心する存在、
何でも話せるような気軽な相手、
一度でいいから欲しかった、
寂しさを埋めてくれると思ったから。
いつか居なくなる相手に恋をするのは無駄だ。
情を持ってしまえば、辛くなるのは自分だ。
こんな感情はいらない、誰かを好きになる感情なんて必要ない。
誰かのことを好きになってしまう誰かを好きになんて、恐ろしくてできるはずがない。
実らない恋をどうやって、認められるだろう。
誰もが怖がっている、その言葉を告げてはいけないと。
サダルはその感情を知っている。横恋慕はみんな嫌なのだ。
それでも愛を伝える者がいるならば、笑顔が訪れる結末にしたい。
見せてやろうじゃないか、自分はこれでも多くの物語を見てきたのだ。
→
キファ
「キファ、聞いてくれる?」
「今から一緒に恋人になろう
」
閉ざしていた口でしっかりと告げ、キファの手を掴み歩き出せば、二人きりになれる場所を探す。
キファが断ろうとも、サダルは無理矢理付き合わせるだろう。
そして囁くのだ。
「 そして話をしよう」
二ア
げほ、げほ、とサダルの喉から有声音が聞こえる。
溺れはしなかったが随分とびしょ濡れになってしまった姿のまま岸に上がれば、邪魔になる上着を脱いでスケッチブックに手を伸ばした
『ごきげんよう二ア 無事でよかった 声が聞こえていたからどこかにはいると思っていたんだ ありがとう あの星はちゃんと届いたよ やっぱり自分は助けてあげられなかったんだね』
ペンで会話を綴ればあなたの傍には誰も居ないのか、それとも一人で行動していたのかと見渡しているだろう。
サダル
「おうッ?」
けっこう呑気してたキファもこれには
オットセイみたいな声が出た。
「待て、落ち着け。
吾はおまえに幾つか説明をせねばならぬ」
キファはグイグイ迫ってくるサダルをとりあえず諫める。
「まずは、ちょっと前の吾はヤバかったと吾も思う。
恋することは、楽しかった。だが盲目的すぎた
。
今の吾は正気だ。
……少し、精神が昇華されて。
心が動じにくくなっただけなのだ」
訊ねられたなら、何度だって説明しよう。
この世界の神様は、意地悪だ。
無垢な気持ちで祈ったヌンキの想いを”彼女”は受け取った。
しかし、”彼女”はこのような形で
『恋心』の恩恵《ギフト》を与えたのだ。
→
サダル
「……そして、おまえ吾が何歳だと思っている?
233歳(享年)だぞ。
すぐ生娘みたいな反応するおまえより、
とうに酸いも甘いも知っている。
……吾は初恋じゃない。
健全な恋の仕方も、知っている。心配するな。
それを言うならば、おまえの方だ」
「おまえ、罪悪感を感じているのだろう?
でも。──人の感情とは、ままならぬものだ」
例えば、横恋慕。
叶わないとわかっているのに、抑えられない気持ち。
諭すように、告げる。
「”じゃあ、しよう”と思って出来るものではないのだ。恋は」
「サダルよ。じゃあ、問おう。
少し意地悪な問いだ。
おまえは今、吾のことが好きか?」
サダル
言葉を読んで、首を傾げる。
ニア、と自分を呼ぶ文字。星という単語。
こんなスケッチブックを、どこかで見たことがある気がした。
「あんたとどこかで会ったこと、あるかしら。
――星って、なんのこと?」
! 読み込みエラーが発生しました。
この問題は、特定のキーワードにより解決します。
――それは『互いの名前』ではありません。
『星』でも、『助け』でもありません。
/*
キーワードが当たらずとも、流れで思い出したりします。
そういう演出だと思ってください。
ラサルハグ
一連の動きは、キファがもはや”幽霊”であることの証左で。
ラサルハグが”視える”人間であることの証明だった。
「おまえ、見えているのだろう」
キファはラサルハグを警戒していた。
だが、一縷の望みを掛けて頼み込む。
あなたが例え”犯人側”であろうと、なかろうと。
今、キファの想いを届けられる人間はあなたしかいない。
「頼みがある。
ヌンキに、こう教えてやって欲しいのだ。
──”吾は見つからない。諦めろ。
だが気に病むことはない。
見えなくったって、吾は此処にいる。
おまえは人形ではないことを忘れるな。"
……頼めるか?」
さて、あなたはどう答えるだろう。
二ア
『そういえば怒って欲しいとか そんな 』
続けて何か文字を綴ろうとしていたが、
目の前の少女の口から出てきた想像していなかった言葉に驚いてスケッチブックを落としそうになる
『自分
のことを覚えていないの? この自分
は役者ギルド"パルテノス"のサダル
のこと だけど』
『もしかして 二ア記憶が無い?』
自分以外の彼らが死んだショックで記憶の混濁を起こす可能性は十分にあった。
何もかも同じような存在でこの世界にいると夢を見ていた自分が甘かったのだろうか。
「……?」
サダルは突然首をかしげ、横に振った
→
二ア
再び文字を綴る。
ぽたぽたと水滴を垂らし続けているが、目の前の少女の異変の方が大事だった。
『何度か光る星で話をしようと会ったじゃないか 二アのお兄さんの話とか 事件のこととか 犯人のこととか』
『忘れてしまったの? 確かに仲がよかったかと言われたら警戒され続けていたけど それでも自分は少しは楽しい時間を過ごせていたんだよ二ア』
サダル
! 『役者ギルド"パルテノス"』ではありません。
! 『サダル』ではありません。
! 『光る星』ではありません。
! 『話をしよう』ではありません。
! 『お兄さん』
該当キーワードと一致しました。
データ読み込み中…
(→)
サダル
「覚えてないも何も、知らないわ」
淡々とした、変わらない調子で。
突き飛ばすように言い放つ。
――しかし、続く文字列にぴたりと動きを止めて。
ひとつ、ゆっくりと瞬きをする。
「…………。………………、
…………………………………………覚えてるわ、失礼ね」
言いがかりをつけて逃れようとしている。
真に失礼なのはどっちなのか、火を見るより明らか。
「あんたも死んだのね。
――――ところで、星が届いたって何のことかしら」
星は少女の意思の埒外で還された。
無意識に、と言い換えてもいい。
だから、少女には何のことだか本当に分かっていない。
ところで、話題を逸らして逃れようとしています。失礼。
/*
の肩書きミス
正:N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ
ニア
サダル
「……自分が一体どこから来たか……?
自分の生まれた場所を忘れちゃったんですか?
一度死んじゃったからでしょうか?」
影はあなたの言っている意味がよくわからなかった。
影はここが死の先だと思っている。今はただの幽霊で
──このレムノスだけが自分の世界だ。
「気分ですか?とっても元気ですよ」
ああ、でも。
「ぼく、サダルが死ぬのを見てないですし
あなたからもらった箱あけて遊んでたら
いつのまにか動けなくなって、死んだだけですし」
──この状態では舞台にあがることができないのでは?
やりたいこと、と言われて。一拍置いて、考える。
「……特訓?」
首を傾げた。それ以外思いつかない。
虚ろの目で辺りを見渡した。声が聞こえている、"覗く"ことができている
キファ
「今のはキファに恋ができるようになって欲しくて言ったんだ。
だって会ったときから」
「罪悪感は、覚えるほどは実はもうなくて。
そんなことより自分はやりたいことがある。
キファに恋ができるようになって欲しいんだ、そうじゃないと自分の台本ができあがらない」
「だから、今聞いた。それで答えが今返ってきたならわかる」
「本当に君のことを好きになるのならば、君と恋ができますか? キファ」
二ア
あ、二アだ……………………。
少しツンツンしていて冷たい顔をしていて、
その上失礼を思わせるような態度をとっているのに
丁寧な口調で胸をときめかすような可憐な少女の声。
『あ 』
もしかしたら聞かれたくないかもしれないが何も言わないのは彼女に悪いと思い、こっそりと赤にも似たピンク色の星
を二アへと渡し耳を澄ませて欲しいと文字で伝えた。
〜♪〜♪〜 ♪〜 ♪〜〜〜♪ 〜♪〜〜♪〜 〜♪♪〜〜 〜〜♪♪〜 〜〜♪〜
そして聞き終わる前にそっと文字を渡した
『それを聞いたとき 怒ることと言えば 人を傷つけると手が痛くなるんだよとか言えるんだけど 二アがストレス発散の為に別の方法をとらなかっただけでかなり救われたとか 人を殺す犯人の協力者だった時点で 多分もう人間失格だから 自分の意見は是非参考にしないで欲しい』
設定だとしても人殺しでよかった、体を売ったり薬に逃げたりしてヤケクソになってしまう二アの姿の方が嫌だったと告げる。
自分では助けられなかったがそれをしてくれた人間が居ることを知っているため内心安心しているらしい。
サダル
「……ぁ、」
星
から響く声を聞いて。
ついでに設定という言葉も手伝って。
――こんな風になりたかったわけじゃないのに。
穴に飛び込んだ兎がほんの一瞬、顔を出したけれど、
ひとつの瞬きの間にどこかへ隠れた。
「…………体を売っていた方が、まだマシだったわ。
薬に逃げていた方が、何倍も良かった」
あとに残ったのは、
この世界で生まれた村人と、罪の意識だけ。
「――わたしが殺さなければ、
あの人たちは、生きていられたもの」
シトゥラ
……きっと、青年と一番槍だった彼女の間に起こった、
何もかもが終わったあとになってから。
睫毛が震え、両の瞼が持ち上がる。
露わになった薄紫の瞳が、たったひとりの姿を探して。
「……シトゥラ?」
ニア
「………ニア、」
青年は、振り返る。
倒れている人物をそこに残して彼女の元へ戻った。
一歩、二歩近付いて、彼女の前に膝をつく。
「ニア。」
彼女が、目を開けている。瞳を、開いている。
以前と変わらない姿で。
青年は手を伸ばして少女の首筋を撫でた。
ナイフで付けられた歪な印は、青年の手によるもの。
少女が命を散らしたその原因も、この青年にある。
彼女の言葉を、思い出した。
ラサルハグ
キファは薄ら寒いものを覚えた。
頼み込むというより、使役するかのような感覚。
彼とはあまり話をしたことがない。
でもキファの知っている彼はもっと、
「……ああ、頼む」
でも、それが彼を留める理由になりはしない。
手繰り寄せた一本の希望。
それを頼りに、キファはあなたを見送るのだった。
……手土産? そんなこと、キファは知る由もない。
サダル
「……では、吾に接吻してみよ」
突然の提案。
それから、キファはさらりと言ってのける。
「くふ、これも冗談だ。
答えは、”わからぬ”。
今や吾の心は、容易には動じぬ。
……だから。身で、心で、
もう一度吾に恋を教授してみよ。
吾に”死の先”がうんと幸福なものであることを、
教授してみせよ。
何よりも熱く愛おしい恋物語を、
おまえ自身の手で紡げ」
シトゥラ
薄紫は、歪に澄んでいる。
少女の目に映るのはひとりだけ。
彼の向こう、倒れ伏す彼女に、身に負う罪に。
現状に、過去に、未来に、
あらゆるものに目を瞑って――
ただ、餓えたままの心だけがその身体を動かす。
「…………、」
腕を持ち上げ、そっと青年の衣服に指をかけて。
首元の痕がそこにあるかを確かめる。
ヘイズ
「ヘイズ……? 何を言っているんだ、まだ気づいて―――」
気づいてない?
ここが本当に死の先だと信じて疑わない存在がいる。
少なくとも自分はおかしなほどに生きていた裏方のサダルと今のサダルは生まれ変わったように違うと思い込んでいる。
「特訓なんて、他にも……できることはあるかもしれないのに。相変わらず真面目だな」
ドクドクと心臓が鼓動する音がどこかから聞こえる。
この気味の悪さと不安は目の前の子役から与えられた恐怖とはまた別のものだ。
ここは一体誰の"台本"なんだ……
♪〜♪〜〜 ♪♪ ♪〜〜♪〜 〜♪ ♪♪〜〜 〜♪〜♪〜 〜〜♪〜♪ ♪♪ 〜〜 ♪♪〜〜♪
→
ヘイズ
「ヘイズはいつも通り、なら特訓の続きをやろうか。
……みんなが来るまで。
基礎はまだまだだったからね。
星の練習をしてもいいけれど……
体力がついてからだ、それは。じゃあいつでもいいからさ
準備運動してから走り込みで宿の周り10周
水分補給したら発声練習。
あ、いやヘイズは発声の前に脱力から。
脱力とリップロールを10分。発声もそのあと10分したら休憩
そして演技をしないで……外郎売りでも読んでいて。
多分小一時間で終わるよ、走り込みで死ななければ」
運動部かな。
サダルは子役には演技をしない時間が必要だと思っている。
だけど子役は子役をしようとしかいつもしていない。
それが少し、ヘイズの時間がもったいないと感じてしまったのだ。
二ア
『人は誰でも死ぬ存在だよ それが早かったか遅かっただけ
台本に狂わされた誰かは 救いの道もあれば救われない道もある
まだ物語は終わっていない 紡がれ続けている
ここは新しい物語の世界だと信じている』
『二ア 自分はね
二アが苦しむ姿を見たい存在じゃないんだよ』
同時に救いを与えられる存在でもないのだろうと思っている。
それでも、サダルは二アに伝えたい言葉がある。
『君たちは優しいと 自分を評価してくれる
でも寂しがりは 優しさをわけあたえるだけが目的じゃない』
『すべて自分の為といいながら好意をもらおうとしながら その殻に閉じこもっているだけ』
『二アは優しい 誰かを愛することができて 求めることができて
助けて欲しいって言うことができていて』
『否定したくてもできなくなってしまった人間よりよっぽど"どの世界"にも求められている』
これはね、二アに対するえこひいきだ。とサダルは笑った
→
二ア
くしゅっ、と、くしゃみをすれば本当に風邪がひけそうだと
流石に服を絞り最低限の動きができるように身なりをととのえる。
♪〜♪〜〜 ♪♪ ♪〜〜♪〜 〜♪ ♪〜〜〜 〜〜 ♪♪〜♪〜 〜〜〜〜 ♪♪〜♪〜 ♪♪〜♪ 〜♪♪〜〜 ♪♪〜〜♪ ♪♪〜
サダルはふと、どこかに意識をとられるようにぼんやりと目をうつろにさせた。
髪から垂れるしずくを眺め続けていたが
首を横に振れば乱雑に頭をタオルで拭いている。
目の前の二アをぬらすわけにいかないからだ
キファ
「できるよ」
今の自分は役者だ
サダルは顔を近づけると、とてもあっさりと唇を触れさせた。
キファが動かなければ離される口付け。
その瞬間に言葉では決して伝わらないものが、
星のように淡く光り落ちていった
「キファが恋を覚えるために」
「……、……
君のとなりに誰かがいても、
自分のとなりに誰かがいても、傍に居させて欲しい。
君と二人の台本をみたい気持ちは変わらない」
本当の恋だってできる
ここは死の先なんかじゃないと重ねたかった。
他のなによりも前なのかもしれないことを、
キファは本当にわかっているのだろうか。
それとも、そんなことを気にすることでもないのか。
それでも、与えられたものを取り戻す必要があった
「……これを言うのにこんなに時間がかかってしまうなんて、
やっぱり恋というのは恥ずかしいね。キファ」
サダル
「なんの話ですか?」と、首を傾げてあなたを見上げるのは
ただただ子どもの無垢な瞳だった。
気付いていないとも、そもそも知らないとも見える様子。
影はここでは生前の様子と何も変わらない。
「……真面目というよりは
今のぼくに他にできることがありません。
あなた以外誰にも認識されず、物にも触れられない。
死の先というのは意外とつまらないんですね
こんなところでも舞台に立つことはできるのか
特訓する意味はあるのか、わかりませんけど
まあ、何もしないよりは、いいです」
ただ、ひとりでなくてよかったと
あなたの心情など知らず、淡々と語る。
→
サダル
「……………」
そして、運動部のような
特訓メニューを聞いて一瞬固まった。
「それを全部やったら……覚醒
、できますか……?」
ギルドでもそこまでやったことない気がする。
そもそも才能があった故か
せずとも済んでいたのかもしれなかった。無情。
「星の練習は、したいですね。
ぼくがやるとなんか、黒い星ができるんですよ……
よし、じゃあ、これからがんばりますっ!
」
いつでもいい?今でしょ!と
言わんばかりに準備運動が始まったのだった。
ニア
少女の白い指先が首の傷を辿る。
自分のした行動をなぞるような仕草に首を傾げた。
ニアは、誰かと同じ行動を選ぶことは少ない。
「──ニア?」
“なにか”に霞む紫を見下ろして、青年は名を呼ぶ。
少女の首から指を離し、頬を辿る。
青年が、いつも──口付けの前にする動作。
少女の瞳が下りたなら、許される合図。
彼女はいつも、言葉で答えを与えてくれないから。
サダル
少女の小さな唇が、塞がれる。
「──馬鹿みたいだ」
→
サダル
「……馬鹿みたいだ。吾を幾つだと思っている?
こんな、年端も行かぬ少女みたいに、キスひとつで」
恨みごとを放つその間際。
少女の頬を、熱い、熱い涙がこぼれ落ちる。
大粒の涙がこぼれ落ちる。
「こんな、甘ったるいラヴストーリーみたいなキスひとつで!」
→
サダル
「……知ってるわ」
そっぽを向いて、つんと澄まして。
いつもの態度を装いながら、慣れないことを口にする。
――今なら、ちょっとだけ。素直になってあげてもいい。
「あんたがわたしの味方だってことくらい、とっくに。
……寂しがりなのは今、知ったけれど」
それに、あんたわたしに特別甘すぎると思うわ。
呆れたようにそう言って、寂しがりは自身の殻を少し破る。
腕を持ち上げ、タオルに手を伸ばした。
自分のとよく似た黒髪を拭いてやろうと思って。
(→)
サダル
逢瀬を交わして、手を繋いで。
そんな長ったらしい時間は必要ない。
少女の熱を呼び覚ますのも、
彼女を人間としての心の形に引き摺り落とすのも。
たった、キスひとつで十分なのだ。
「──あ、あ……!
なんでこんなに、切なくて胸が熱くなる?
吾はまたおかしくなってしまったのか?」
サダルの胸に顔を押し当てる。
「いや、違う──」
だって。だってあなたに恋をしていた。
例え造られたものでも、あの気持ちは嘘じゃない!
→
サダル
避けられなければ髪を拭いてやる。
きっとその動きは、拙い。
「わたし、優しくなんてないわ。
優しいっていうのは、あんたみたいなひとのことを言うのよ」
ひとり、ぽつんと座っている女の子を気にかけて。
会議の内容をまとめた資料を作ってやって。
抱えているものはないかと、話しやすいように呼び出して。
そういう優しさが大嫌いで、疎ましくて、
……けれどたしかに、嬉しかった。嬉しいから、遠ざけた。
「どんな場所でだって、求められるわ。
……だから、嫌いなのよ」
サダル
キファは、確かに一度死んだ。
この世界の真実が、どのように在ろうとも。
……彼女の死生観は、そう定義する。
あなたはもしかすると、
悲しみが連鎖する”あの場所ではないどこか”へ、
辿り着きたかったのかもしれない。
あなたはいつか二人でこうして真に出会うために、
一時恋心を売ってでも、逃避行をしたのかもしれない。
だがこれらは全て仮定であり、
それはあなたが語らぬ限り、キファは知る由も無いのだろう。
→
サダル
──二人は、最早舞台から降りた。
これは誰かを感動させる為の演劇じゃない。
ロミオとジュリエットでも、サロメでもない。
二人が紡ぐ、二人の為の、物語だ。
これにて、ヌンキの”はじめの祈り”は、
真に叶えられたのだろう。
紆余曲折こそありはしたけれど。
でも、序破急のない物語なんて退屈だろう?
神様が、笑った気がした。
唯、残されたヌンキは──
それはまた、別のお話。
→
[1] [2] [3] [4] [メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
トップページに戻る