113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】
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むかしむかし、鳥と獣の戦争があった際に。
コウモリは、獣の味方をしていました。
しかし、鳥に襲われて捕まってしまったコウモリは
「私は翼が有るので、獣ではなく鳥なのです」
と弁明しました。コウモリは鳥の軍勢に寝返りました。
やがて戦争が終わり、鳥と獣は和解しました。
しかし、双方にいい顔をしたコウモリは
鳥からも獣からも嫌われて追われることとなり、
鳥が活動する昼間も、獣が活動する夜中も活動することが出来ず、
その中間の夕暮れ時しか外を活動できなくなったということです。
これは寓話的な末路であり、そして。
どっち付かず、何処にも属さないという事は。
何処にも味方が居ないという事。
自由である事の、そのツケを払う時が、今来ただけだ。
──御布令に名が載った翌日の事。
役者騙りは、そこかしこに乱暴狼藉の名残を残したまま。
つまりは随分と草臥れた様子で酒場に現れて。
「『人生は歩き回る影法師、哀れな役者だ──』」
いつものように、台本を諳んじようとして。
けほ、と空咳を一つ。
「……役者は廃業だ。
今日び、わざわざ演じなくたって悲劇か喜劇がやってくる。
ずけずけと、独りでに街は笑顔を取り戻す。
予定外ではあれど、"怪盗役"も演じ終えた事だしな…」
今日もこの役者騙りは丸腰も丸腰だ。
ふらりと適当な席に着き、テーブルに両肘を預けて。
喉が痛い、だとかぼやいたのち。
「ノアベルト。
張り紙と共に連れ浚われ消える事になったのは、
俺ではなく、あんたの方だったな」
未だ姿の見えない誰かに、一言だけ。
この陰は、未だ変わらずここに在る。
「──ペトルーシャ。
"打ち捨てられた灯台の裏、鼠どもの通り道"。
お望みのものが二つ、そこにあるだろうさ…」
その後に死霊術師の姿を認めれば、もう一つだけ。
気怠げに、簡潔に、確かな"取引"の履行を告げた。
「契約は満了だ。
また何処ぞへ失せない内に回収する事だな…」
「……アンゼリカ嬢、元気ですか?
先生は幻聴として生きていますよ」
「すみませんね、授業もできなくて。このクソッタレな首輪がついていると首をカッ切りたくなるほどイライラしてしまっていつもの顔でいられないんですよ。今なら反乱軍だろうが政府だろうが全部ぶち壊せる気持ちです、こんなふうになってはいけませんよ」
比較的近くから聞こえてきた。
忙しそうだがここに出てこれる体調にはなったのだろう。
ローブで目立ちませんが、他の者と同じように首輪をつけています。
差し出されたレモネード。そしてスプーン。
グローブをつけた指で器用にスプーンを回し、
一瞬その匙はあなた達の視界から消える。
すると男は、エアハートの顔面にスプーン投げつけ、
コップ倒し、中身を全てぶちまけてテーブルを汚した。
「手が滑りました。すみませんね、エアハート」
布巾を汚れるのがわかっていたかのように取り出せば
テーブルには勝手に動く布と吸い込まれていく液体。
ついでに先程よりもはっきりした男の声が響いていただろう。
エアハート
「…………」
差し出されたレモネード。
それを持つ相手を見て物凄く複雑そうな表情をしたのは、
なんか不意に今日見た夢の事を思い出したからだ。
もはや高熱を出した時に見る悪夢みたいな光景だった。
「……お前、…いや、やらかしたんだろうな。
まあいい、話しておきたい事がある。
今じゃなくていい、後で少し顔を貸せ」
目の前の男目掛けて飛んできたスプーンと、
大惨事になるテーブルと、聞き覚えのある声。
それはまあ、やはり何とも言えない顔にもなるわけで。
流石にレモネードに罪は無い、ので、受け取っておいた。
基本的に、他人の作った飲食物は受け取らない。
ただ、金銭を支払った上で提供されるものは別。
そして、相棒とも呼ぶべき者の作ったものもまた例外。
それだけのことだ。
フランドル
「あたくしじゃなくてエアハートとお話したいんですか、フランドルはいけずですね。
一緒に悪夢を見た仲だというのに
」
一緒に話したいとも告げていないのに突然の悪態。見えないが。
スルーもできるがあなたは多少
思い当たることはあっておかしくはないだろう。
「痛そうですねえ、御愁傷様。
いいええ、あたくしの嫌いな食べ物は食べられないものです。
味がなくても何でも食べられます。
好き嫌いはしないようにと教えられてきましたから。
手が滑っただけだと言いましたよね、勘違いなさらないでください」
目の前の出来事に、唖然としていました。
怒鳴り合いにならない限りは、許容できるものですけれど。
なんだか、御布令が出る前の日を思い出してしまったのでした。
ノアベルト
「は?
いやいけずも何も無いだろう
俺からあんたに話す事は特に無いし…」
あの時また会いに来ると言ったのはそっちだし、
そもそもあの悪夢にはこいつも居たが…みたいな顔をしている。
心当たりは、あるため。
「そもそもあの悪夢にはこいつも居たが……
」
言った。
エアハート
「非があるんだろう実際に。
レモネードに罪は無い、お前に罪がある」
当然の如く抗議はにべもなく、ばっさりと。
普通のレモネード以外の何だと思ってると思ったんだ。
そんな気持ちはまあ置いておいた。
「……いや、ちゃんと清算しろよ。
飲み終わるまでは待ってやるから…」
言外に雑に片付けるなと言っている。
助け舟は期待できそうにないですね。
「謝ったでしょうが、頭おかしくなりましたか?
お話したくないのがわかりませんか、き」
「き、……嫌いになるほど
あなたのことは好いていませんよ!
私が好きなのは、」
しばし沈黙、立ち上がる音。周りの視線。
「姿を消してるのにこんなに目立たせることありますか?
戯言はやめてください、この話は以上です」
フランドル
「ああブレませんねぇ……。
あなたの心には鉛が何かが入っているんですか?
よくわかりました、
……趣味が悪い……
」
スカリオーネに挨拶をし損ねるところだった、ご機嫌よう。
きっと視界の外からの、『怪盗』への感謝の言葉。
灯屋の声に一度そちらへ視線を遣って。
役を終えた元役者は、何も言う事はなかった。
が、自分個人に勧められたなら…
チキン……まだいっぱい……これ、チキン?
鳥なら……チキン?そうかな…そうかも…
レイ
「……そう」
あなたの言葉を聞けば、ただ、その一言だけ。
彼の墓所には、彼女の縁者の墓もあった。
墓があった、とは言えど骨も肉も納められていない形だけのもの。
「……なら、いいわ。墓所に行きたいわけでもない。
どうせ、あの墓の中には何もなかったのだから……
まあ、他の死者にとっては堪ったものじゃないでしょうけど。
生者には、そんな声なんて聞こえてないのでしょう……
間違っても、それと同じにはなりたくないのだから……」
ノアベルト
「生憎と俺は不器用な生き方しかできないらしい。
或いは、ブレるほどに
他に目を向けるような余裕も無いだけか」
曲がらないのか、曲げられないのかは定かではなく。
趣味が悪い、という言葉にはほんの少し眉を顰めて。
けれど特にそれ以上突っ掛かるような事はしなかった。
この世は趣味の良い人間の方がずっと少ない。
フランドル
「……ええ、助かったわ。『怪盗』さん」
あなたからの、確かな履行の言葉を聞けば、踵を返す。
「……それじゃ、こちらから掲示したものは、いつでも」
そのまま酒場を後にすれば、死霊術師は相棒を迎えに行くのだろう。
撫で……な、撫でられるのは嫌いではないですが、その分エドゥアルトを撫でてあげてください
修羅場ってたいへんだなあとおもいました。せんせ元気そうでよかった。
レイ
「そうか……
」
力強い肯定を受けたので、これはチキンらしい。
とにもかくにも、チキンはチキンらしい。
路地裏育ちには細かい品種による肉の違いがわからぬ。
つまり結局これは鳥だからチキンなのだ。
「……まあ、何人かは尋問を受けたわけだからな。
口答えしてやったら随分手厚く饗されたよ」
何気ない疑問には、誰に言うでもない呟きだけを零して。
まだ温かいレモネードの嵩をちびちびと減らしながら、
のろのろとチキンだのシチューだのつつく。
ご機嫌な夕食だ…喉さえ痛めていなければ。
踵を返す死霊術師の背を見送った。有意義な取引である事を願う。
「消毒ついでに酒でも飲んでろだとか
そういう事を言われなくて正直ほっとした。
自分で自分を痛め付ける趣味は無いんだ俺は」
役者は廃業で正解だ。
きっとこのご時世では三文芝居は流行りもしない。
生きていれば、喜劇も悲劇も勝手に舞い込んで来るのだから。
「一度尋問を受けてしまえばもう尋問に怯える必要は無い。
気楽なもんだな…下手な事さえしなければ。」
かつん、首元の枷を爪の先で叩く音。
元役者は、それが何であるかをよく知っている。
レイ様
「出てきたからには、ちゃんとしてないといけないのです。…こうやって、心配をかけてしまうのも、よくないのですよ……
ラベンダー…なら、持ち合わせがあるのです。1本だけで、ちょっと申し訳ないのですよ」
香りが、と繰り返して 少し何やら考えた後。
綺麗な形が保たれたままのお花を手渡しすることでしょう。
代金を受け取り、それを報酬袋にゆっくりしまいました。
「エデュアルト様、お手柄なのです?大きい鳥さんなんて、きっと大変だったに違いないのです……感謝して、頂くのですよ。
実は、ちょっとお腹空いてたのです。レイ様、お声掛けしてくれてありがとうなのですよ」
妖精は、ほろほろと煮込まれた鳥の肉を口に運びます。
普段食べているチキンとは何だか違う味。でも、その温かさが身体にしみて。
ほっとしたような気持ちになるのでした。
段々、普段の様子を取り戻しているようです。それは、傍目で見ていてもわかる事でしょう。
レイ
「嫌がるからか、単に煩かったのか。
あの手合いのことだ、両方かもしれないな。
…どうせ大人しくしていても温情なんか掛けられないんだ
なら、暴れてやった方が気分が良い」
それで負う痛手と見合うかは諸説あるものの。
結局は大人しく痛め付けられるという事が
どうにも我慢ならない人種なのだ、これは。
大人しくしていれば、と期待ができないだけかもしれないが。
「…………」
それから、ころり。
目の前に転がった飴を見て、少し考える。
他人は、信用できない。
けれど、ある程度腹の底を見せ合った相手なら?
未だ距離感は一定を保ち、けれど他人とも言い難い。
これは、互いの目的や意図に対する信用とそう変わらないのではないか。
…ほんの少し考えたのち、飴は受け取る事にした。
| 「――さてさて?リーゼロッテ嬢。チェルシー……あの勇敢なる女性陣達は、カニを得られたのかな、さて。」
海辺まで行ったら、興が乗って魚釣りに執心でもしていたのだろう。共に参加はできなかった男は、のんびりと降りて来たのだ、が。
「今度は骸狩り殿か。……まさか、見つからなければ全員捕まえてみる、とか言わないだろうなあ。当て推量で捕らわれるのは釈然としない。子爵殿にラブレターでも送るかな」
脅迫状にそんなルビ振りをするのはこの男だけかもしれない。 メニューをのんびりと眺め、無事、蟹が追加されていることを確認する。 (@0) 2021/12/16(Thu) 3:40:03 |
| (t0) 2021/12/16(Thu) 3:46:26 |
いたいにゃん…(
#'-') 不満が空気に滲んでいる……。
己の周囲の人々に必要なものは、黄金の欠片ではない、と思っている。
一皿のシチューと、なんでもない今日の話を、そこにいる彼らに望んだだけ。
ただ貸し借りを帳消しにしただけだ。そしてこれからも同じこと。
それを知ったのなら、己の状態の如何にかかわらず、することは決まっていた。それに、
為そうと決意したことがあった。その為の行動を、起こすのは遠くない。
夜のこと。
首を傾げる姿に頭をかいてため息をつく。
本当に何を言い出すんだ。脈絡もない。
旦那とはスカリオーネのことだろうか、目立つ年上の取引相手は彼になる。はて、突然好意の比較対象にされる覚えがない。
「スカリオーネの旦那のことなら、
好きだの嫌いだの言える人ではありません。
どっち言っても妙じゃないですか……強いて言えば、…………
?
」
何も浮かばなかったとは言わないが何も正しい言葉がでない。
本人がいない場だから助かったが、この心に思い浮かんだサウダージをなんとも説明ができないのだ。
顔が見えないのをいいことに、眉をしばらく顰めながら。
くるりと指で帽子を回してから席を立つ。
「ああ言えばこう言う……わかりましたよ。
飲みたくなくて手が滑ったんです。
やかましくしてすみませんでした」
「あたくし、嫌いな人間は相応に気にかけているんです。
好きでないのに嫌えますか。無関心ですよ、嫌な奴は。
気遣いは受け取りましたので、大丈夫です。それでは」
言葉を流れるように吐き出し鈴の音を鳴らし。
銅貨1枚をエアハートの手元へと投げて。
そのまま、軽く挨拶をしながら男は階段を登っていっただろう。
| 風がそよぐ墓場の最中、その小高い丘。 昼ですら、ここはあまり人が来ない。 休むにしても、場所が悪いからだ。
昔のことを思い出しながら、弦を爪弾く。
幽かな音色のことを、『あの老人』は『懐かしい』と言った。 このあたりにこんな楽器はないだろうに、と尋ねると、 『美しいが、寂しく、求めても手に入らぬもの』
皴だらけの顔で微笑んでいたように思う。
『そのように言う』、と。
大層その表現が気に入って、『私』はその一節を取り留めておくこととした。多分、あいつも気に入るに違いない。
「はたして、あれはもう孫か」
首を傾げる。
「それとも、息子なのか。」
「いやいや。無粋か。やれやれ………」 (@1) 2021/12/16(Thu) 19:01:21 |
| >>27「おやぁ……?」 声をかけられれば、静かに振り返る。 芝居じみた様子だが、何ならいつものことだ。 微笑みながら、片手をあげた。 「なあに、この程度で。第一、昔は船に魔女を載せて謡わせていたぐらいだ。海を鎮めるのに、な。潮風が喉に悪いなんていうのは迷信さ。 楽器はそうだが」 ぺち、とリュートを小さく叩く。 「こいつは特別性、だ。変わったところに来るなあ。ここは、他にはなんにもないようなところだが……」 (@2) 2021/12/16(Thu) 19:33:32 |
| >>28 スカリオーネ 「どちらもだ。とはいえ、……難しいがあー、ううん」 首を捻る。難しそうに眉を顰めて、 「情報屋が生業。詩人は生き方、といったところかな。なんとなく、お前さんには伝わるだろう。」 骸狩り。 仕事ではあるだろうが、生き方そのものではない。 とはいえ、仕事だからと割り切れるほど自分から遠くもないのではないか、と。 歩くあなたを見遣る。 水平線の光が眩しく、少し目を細めて、笑ったまま問いかける。 「そう言うな。祭りの最中だ、仕方あるまいよ。 ……それで?次のご指名はあったようだが。生活には本当に変わりはないかね」 (@3) 2021/12/16(Thu) 20:02:41 |
ミズチに、自分たちが掃除をするのだからそれ以上ゴミを増やさないようにといい含めた。
レイ
そちら
「……あなたには"灯屋"のほうが天職だったのかもね」
少なくとも、先代と比べてしまえば苛烈さはないのだから。
生者のために働いているほうが、よっぽど向いているのではと。
穏やかに死者を眠らせるには、この都市は絢爛が過ぎる。
それから死者を守るには、あなたはいささか人が良すぎる。
……いつからなんて憶えてはいない。
あなたに感じていたものは、ずっとそんなものから変わらなかった。
……決して、それが嫌いなわけではないのだけれど。
死霊術師は、小さく何かを想うように目を瞑り、開いて。
「……それじゃあ、迎えに行ってくるわ。私の、大切な相棒を」
あなたにもそう伝え、踵を返して酒場を後にするのだった。
| >>29 スカリオーネ 骸狩りの男の言葉に目を伏せて、 口許の笑みはそのままに、少し悲し気な顔をした。 「だろうなあ」 変わらぬだろう。 この程度の事で在り方が変わる男なら、 割に合わぬアンデッド狩りを生業にすることもないだろうから。 「元凶?ほう。元凶が届くのか……?それは、しらなかった」 人を食ったような口調ながら、聊か驚いたように返した。 遠い船を、自分も見送る。 万年、暑すぎるほどのこの地も。 すこし、涼しさを帯びた風邪が吹いている。 (@4) 2021/12/16(Thu) 23:37:17 |
彼の発言を聞いて、後回しにする要素が見当たらなかった。そこで止められたらそれはそうなる。
悪い可能性をほとんど口にしない。可能性を断ち切るように、目指すものを言う。
ミズチもあの時、同じくしてローダンセの花を手にしたのだ。
なんとなくカウンターの花瓶に、スミレの花を挿しました。
そういえば、羽のない今なら 気兼ねなくお風呂に入れるのでは?
でも傷が痛むかもしれないのです。
アイシャはちょっと悩んでいます。
煙の魔女と取引をした。ついでに、己が探されていたことも聞いた。
| >>34 スカリオーネ 「かわらぬものなどないとは思うがな」 目を細めて、あなたの言葉に表情を無くす。 「歴史と同じ。同じように繰り返すことはあれど、 斯様に等しいものはない。 骸狩り、お前もわかっているのだろう?」 「船はもう帰っているだろうよ。 安い蟹が出回っていたからな。貴族どもは喜んで食べるものもあるが、 おぞましい巨大な怪物蟹のものでもあるまいな。ハッハッハ……。」 手にしていた楽器をなぜるようにかき鳴らすと、 旋律と共に、潮風がなだらかになり、 無風になった。 「聞いておきたいのだがな、骸狩りよ。」 「お主は、なぜ死者を討つのか?」 「そして――死者とは、人の域を超えて生きる、死んだはずのものが動けば、死者か?」 (@5) 2021/12/18(Sat) 16:31:44 |
「……このままいなくなるのなら、私も仕事がしやすくなるかしら」
大人しくその時を待っている姿を見て、何気なしに呟く。
「……いえ、やることは変わらないか。私も、誰も、彼も」
フェリックスに舌打ちをしてその背を見送る。「そんなことわかっているんですよ、だから信じられないんです」
それでも、貴方は私のひかりです。そう信じています。
| (t1) 2021/12/18(Sat) 20:58:57 |
「…………」
役者騙りの騎士は、誰かと二人連れ立って。
暫くの間、何処かへ姿を消した後。
夜には酒場へ戻って来て、適当な席で茫としていた。
何処かへ消えていた武器は二つ、再び在るべき場所へ。
がり、ごり。
甘いものは、好きな方であるはずなのに。
乳白色の飴に歯を立てても、今は何も満たされない。
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