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【見】 不死の詩人 フェリックス「さあて………。」 リュートと外套。 それだけを携えると、それなりに荷が置かれた部屋を眺める。 あるいは、硝子職人の少年が作ってくれた花瓶。 あるいは、花屋の少女から購入した花。 あるいは、厄介な呪いの品を購入し、祓った寝所。 くすりと微笑み、背を向けた。 「行くとするかあ」 (@0) 2021/12/19(Sun) 1:57:38 |
【見】 不死の詩人 フェリックスヨルムガンドは、 予想外だった。 「どちらかといえば、悲劇にて終わると思っていたのだが。 これでは、緩慢に幸せになっていくほかないだろうな」 ひとりごちて、宿の部屋を出る。 それから、魔女に「暫く出るよ」といつものように声をかけて、数百年前に手に入れた古い精霊石を渡す。 魔女はためつ、すがめつ。 ゆっくりと微笑んで、 「せいぜい頑張んな」と声をかけた。 「そちらも。また百年後に来るよ、元気で、”キティ”」 遥か年下の女性に微笑みかけて、 静かに宿を、いつものように出ていく。 (@1) 2021/12/19(Sun) 2:03:05 |
【見】 不死の詩人 フェリックス道端を歩く。 パン屋の少女が頬を赤らめて手を振ってくれば、 笑顔で会釈する。 このパンも食べ納めになると思うと、 少々硬かったり、焦げたパンも惜しく感じる。 「人が勝ちえた、僅かな勝利。 尊いものだが、詩にしてもどうにも映えない。 やれやれ、だ。商売、あがったりだな」 往来を鼻歌交じりに歩く。 太陽が眩しく、雲間から差し込んでいる。 「本当によかったなあ」 悲劇であれ、喜劇であれ。 それを語り継ぐ。 魂の衝動だ。 彼らが悲嘆の海に沈んでも、 きっと自分はどこかで、 それを笑顔で語っていただろうから。 (@2) 2021/12/19(Sun) 2:06:36 |
【見】 不死の詩人 フェリックスあとは、恨みを買った貴族連中に見つかる前に、 早めに立ち去るだけだ。 少々、コネを使って無茶をしてしまった。 まあ、姿を消したものを追うほどでもあるまい。 「配達屋には悪いことをしたが、まあ」 配達屋には、届くように「配達」を頼んである。 「すまん、もう行く」 と書いた手紙。それから、幾何かの金貨を同封。 彼があの封筒を開けた時、 どんな顔をするかだけは見ておきたかった! (@3) 2021/12/19(Sun) 2:08:24 |
フェリックスは、くっくっく、と喉を鳴らして笑った。 (t0) 2021/12/19(Sun) 2:08:28 |
【見】 不死の詩人 フェリックス>>5 オーウェン 「……………」 「おやぁ?」 わざとらしく振り返り、微笑んで首を傾げる。 「オーウェン!いや〜〜〜、奇遇だな。昼食を食べに行こうと思ったところだ。どうかな?ところで、俺からの封筒」 相手が手にしている。 間。 「………話が早いことで」 両手をあげて観念した。 「だがまあ、こうして無事終わってしまってはなあ。お前さんも、遠くまで行くのは大変だろう?俺なりの、気遣いという奴だったんだがなあ」 (@4) 2021/12/19(Sun) 2:25:13 |
【見】 不死の詩人 フェリックス>>7 オーウェン 「報酬を渡されたのに見逃すわけにはいかないとは、これいかに?」 愉快そうに笑いながら、 引き裂かれる手紙に「それ、紙だぞお」と面白そうに、呆れたように言う。 まだまだそれなりに高いものなのに。 「そうかな?お前さんほど、俺は色々はしてないさ。 詩人とは、あくまで外野で見守るだけの存在だ。 観劇をして、後は1人で編纂するのみ。 お前さんは、れっきとした俳優だったぞ」 片目を瞑り、顎を撫でながら、 「劇的な展開にはならなかったようだが。浴場でも」と、 それらしいことを口にする。 「やれやれ……。構わんがな。俺が次に行くのは、 アウズンブラだぞ?」 ――『アウズンブラは、すべてが白に染まる。』。 そんな逸話を持つ、常に白い灰が降り注ぐ場所。 ミスガルド帝国、エムブラ聖王国、ムスヘル共和国。 覇を競う三雄の接するそこは、 戦時級魔法の傷跡により、未だにそんな呪われた場所となっていた。 最近では、随分ときな臭い噂もあるぐらいで――。 => (@5) 2021/12/19(Sun) 2:40:42 |
【見】 不死の詩人 フェリックス>>7 オーウェン 「だからな。気乗りはしなかったのだ。お前も危険な目には合いたくなかろうよ。」 「俺だってな、短い間とはいえ。ともに暮らした者を考えなしに危険に晒す気はない。 俺が行くのは、必ず危険な場所となるだろうよ。 英雄譚か、悲劇か。 それが噂される場所にしか行かんよ」 (@7) 2021/12/19(Sun) 2:43:11 |
【見】 不死の詩人 フェリックス>>8 オーウェン 「世界の何もかもがお伽ではないが、 世界の何もかもを、お伽として語ることはできる。」 ふ、と目を細めて、笑みを少しだけ潜めた。 「それが、どこまで行っても俺達詩人というものさ。 ……流石に、往来で言うのはまずいんじゃあないか?」 ポロロン、と静かにリュートを鳴らす。 あなたが魔法の力を感じ取ることができるなら、 これは「認識阻害」と気取って言うこともできるし、 〈ガヤガヤそわそわにする魔法〉とも言える。 他人から、これは取り留めのない雑談にしか聞こえなくなる。 「…………怖い男に捕まってしまったなあ」 溜息交じりに、少し困ったように言った。 腕を組んで、空を仰ぐ。 大鷲ははるか高く、 空の先へと消えていく。 => (@8) 2021/12/19(Sun) 3:06:57 |
【見】 不死の詩人 フェリックス>>8 オーウェン 「ま、そこまでいうなら、頼もうか。ただまあ、荷物として箱に詰められるのはちょっとな。そこまで送り届けて貰うことにしよう、普通に。 ――ちなみにな、弾圧が盛大に始まった時、実はお前も俺も、入るのは〈棺桶〉の予定だった。葬儀屋に伝手があってなあ。それを運び出すのは、そんなにうるさくは言われないのさ」 笑顔を戻して、肩を竦めた。 「生きたまま堂々と出られるんだから、楽しく行こう」 => (@9) 2021/12/19(Sun) 3:09:21 |
【見】 不死の詩人 フェリックス>>8 「それで? 船かな、海か。それとも、馬車か? 路銀はあるとも、任せたまえよ。 君を信頼して、あえてこう言おう。 厳しい道のりだろうが、 若さゆえの勢いと、 身の程知らずと、 そして。雄々しい魂の輝きを俺は頼ろう――」 => (@10) 2021/12/19(Sun) 3:13:29 |
【見】 不死の詩人 フェリックス>>9 >>10オーウェン 「どうやらお前さん、無用な恨みを買っているようだからなあ。 衛兵連中だって、通報されれば捕まえざるを得んよ」 くたびれた様子の衛兵が遠目にも見える。 それはそうだ。 捕まえたところでいいことがあるわけでもなし。 気苦労の方が多い衛兵もいただろう。 「ご機嫌取りだよ。殴られると、当代の『俺』の顔がきずついて可哀想だ」 ▼ (@12) 2021/12/19(Sun) 16:00:00 |
【見】 不死の詩人 フェリックス (@13) 2021/12/19(Sun) 16:00:08 |
【見】 不死の詩人 フェリックス (@14) 2021/12/19(Sun) 16:05:52 |
【見】 不死の詩人 フェリックス (@15) 2021/12/19(Sun) 16:06:23 |
フェリックスは、ミズチの顔に近づいた。よく、その顔の造詣(つくり)を見ている。 (t1) 2021/12/19(Sun) 22:25:34 |
フェリックスは、目を細めて、何かいいものを見つけたように笑った。 (t2) 2021/12/19(Sun) 22:25:54 |
フェリックスは、ミズチの頬に手を宛がい、瞳を覗き込むようにするだろう。 (t3) 2021/12/19(Sun) 22:26:20 |
フェリックスは、ミズチに、ただ「そうか」と微笑んだ。 (t4) 2021/12/20(Mon) 20:24:57 |
フェリックスは、ミズチの記憶をそっと置き直す。記憶の奥深く。いずれか忘れ去られるところまで。 (t5) 2021/12/20(Mon) 20:31:21 |
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