【人】 死神のジン ナディル不満げに鳴らされた鼻に、目線をあげる。 仔虎ばかり見ているのが気に入らないらしい。 若者らしい自己顕示欲も嫌いではない。 「果てのない願いほど…叶え甲斐があるものよ。」 ふ、ふ、と笑声が零れる。 長く先があるのなら、それほど愉しいことはない。 「その願い、我が手に承る。 ──お前はいまこの時から、闘技場では無敗だ。」 仔虎を抱えた左腕に、ひと回り…重みが増した。 [〆] (45) kintoto 2021/09/18(Sat) 12:06:45 |
【人】 死神のジン ナディル>>39 ■ドラマシーン 1d-A:感情取得>シャフリヤール --- 地上に比べれば濃密なほどの刺激に溢れた この煉獄に於いてさえ退屈を持て余すお大尽 ──シャフリヤールに出くわしたのは、 落ちかけた陽が辺りを橙色に染めあげる街外れだった。 いつも傍に仕えている召使いだけではなく わらわらと取り巻きのお伴を数名連れており、 これから自宅に戻るところだという。 ふーん、という顔で目を逸らしたナディルが そそくさとその場を離れようとしたところ、 むんずと上着の裾を掴まれた。 「死神のジンよ、貴様シーシャはやらないか。 良ければ共にどうだ。」 鷹揚に振り返り、取り巻きどもを睥睨すると 彼らは蜘蛛の子を散らすように離れていく。 「お前……、いま態と呼んだだろう。『死神のジン』と。」 「……いや?そうだったか?記憶が曖昧だな。」 強かというか老獪というか。 こういう手合いには蛇を飼う者が多く、 シャフリヤールも例に漏れずコブラを連れている。 その毒蛇は飢えなど知らぬと言いたげに 艶やかな鱗を纏っていた。 (65) kintoto 2021/09/18(Sat) 17:39:40 |
【人】 死神のジン ナディル連れていかれた先は この地には不似合いなほど豪奢な宮殿で 死して尚、贅を尽くす業に舌を巻かざるを得ない。 上等の蜂蜜酒と桃の香のシーシャ。 とりどりの果物と気の利いたメゼ。 地上よりも遥かに入手が難しい筈の品々まで いったい何処で手に入れてくるのやら、 召使いが何くれとなくシャフリヤールの世話を焼く その傍らでナディルも甘い煙を味わう。 ──貴様なら俺の望みを叶え、 恵みをもたらすことができるのかな…? 本気にするな、と笑いながら、酒を呑むたび シャフリヤールはそう問いかける。 恐らくそれはナディルにではなく、自分自身に。 そのことがわかっているから、 ナディルも笑みだけを返して、ほうと煙を吐く。 (66) kintoto 2021/09/18(Sat) 17:41:23 |
【人】 死神のジン ナディルハレムで死んだと聞いたくらいなので 色事もそれなりに好んだのだろうか。 女も置かず、ゆるりと日々を過ごす シャフリヤールの退屈を晴らすものが何なのか ジンとして怠惰を愛するナディルには 未だわからないままだ。 もしも自分がシャフリヤールだったなら。 そう夢想する者はきっと少なくないだろう。 望みと云うには戯れに近く、 ナディルもそのひとりに加わってみる。 ──それは確かに退屈かも知れなかったが それでも、いつか母が語ってくれたような種類の 『幸福』に似ているように、ナディルには思えた。 [パスor〆] 【感情取得:憧憬(+)>シャフリヤール】 (67) kintoto 2021/09/18(Sat) 17:42:38 |
(a44) kintoto 2021/09/18(Sat) 17:55:50 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新