【人】 綴 千翠― 海の見えるバス停 ― [夜のはじめ、暗くなったバス停を、 時折通り過ぎる車のヘッドライトが照らしていた。 冷気を含んだ潮風に揺られた風鈴の音が どこからか聞こえてきそうな静けさが辺りを包む。] …鹿ちゃん… そう呼んで欲しいって言ってましたね [私は、そこは譲らないといった感じの鹿賀さんに 小さく笑う。 時薬のおかげか、高ぶってた感情は凪いで、 ぼんやりはするものの、気持ちも随分落ち着いていた。] そこまでして頂くわけにはいかないです もう十分、迷惑をかけてしまいましたから [鹿賀さんは荷物のこともオーナーに頼んできて くれたらしい。それだけではなく、 必要だったら取ってくるとまでいう。] (65) 2022/07/31(Sun) 19:24:02 |
【人】 綴 千翠…いいえ このバス停は逆方向の位置にあるので 宿に帰るときはお店の方角に戻ることになります [ただ、病院行のバスが唯一留まる停留所だから 身体が覚えていた。>>63 ここに来ようと思って飛び出した訳ではなく あてもなく走っていたらいつの間にか、おそらく 無意識に知っている場所へと向かっていたのだろう。 空を映して、色を変えていく海。 陽が落ちれば、光る月を水面に映して揺れる。] …ええ、昔、よく来てました [昔、と過去形から、最近は来てなかったと わかるだろうか。 あの頃、ここから歩いて、砂浜へと続く階段を降り 眼前いっぱいに広がる海を眺めていた。] (66) 2022/07/31(Sun) 19:24:06 |
【人】 綴 千翠……貴方のせいじゃ ないのです 貴方は何も悪くなくて… だから、謝る必要もなくて… 私の、心の問題なんです [ごめんなさい、と私は目を伏せる。 最初から鹿賀さんに落ち度は何もない。 だから、責任を感じる必要もない。 私が、ただただ、一方的に迷惑をかけただけ。 それでも、理由を知りたいと思うだろうか。 出会ったばかりの、鹿賀さんには何の関係もない 私の中の事情を。]** (68) 2022/07/31(Sun) 19:24:13 |
【人】 綴 千翠[こんなに真っ直ぐな、 戸惑いのない告白は初めてだった。 ただ相手を尊重し、自分が傷つくことは恐れない。 まだ彼のことは何も知らないけど、 とても強く、深い優しさを持つ人だと思った。 もっと、彼の事を知りたいと思った。] (94) 2022/07/31(Sun) 22:12:28 |
【人】 綴 千翠ごっ ごめんなさ──きゃ [慌てて離れようとし、更にバランスを崩した 私を鹿賀さんは咄嗟に庇おうと動して。 …結果、図らずも抱き合っているような 体勢になってしまい、 私は顔を染めつつ謝罪した。] …い、いえ、大丈夫です… [下心を疑った訳ではなかったけれど おぶろうという鹿賀さんの申し出は 恥ずかしさに消え入りそうな声で断った。] (123) 2022/08/01(Mon) 6:12:05 |
【人】 綴 千翠[離れてからも、寧ろ離れてからのほうが 匂いとか、しっかり支えてくれた腕の強さとかを 思い出してしまって、道中、あまりまともに 鹿賀さんの顔を見れなかった。 身体には凄く気を遣って貰っていたことだけは 記憶しているけれど、お店に寄って鞄を取って、 宿に向かうまでの間、彼とどんな話をしたのか、 覚えていない。 飄々とした鹿賀さんの顔が崩れていたことが わからなかったのは、それくらい私が意識して し過ぎて、緊張してたからかもしれない。] (124) 2022/08/01(Mon) 6:12:09 |
【人】 綴 千翠…あ、あの! [気付いたら呼び止めていた。] その、良かったらもう少し、 一緒に居て貰ってもいいですか…? [一度、お風呂で身体を流し、着替えた後でもいい。 夜のはじめ、明日にはまだ時間はあるから。]** (126) 2022/08/01(Mon) 6:12:15 |
綴 千翠は、メモを貼った。 (a33) 2022/08/01(Mon) 6:25:16 |
【人】 綴 千翠…私もお風呂に入りたいと思っていたので、 ゆっくりして頂いて大丈夫です。 用意が出来たら、私から連絡しますね [鞄を取りに戻った店で、鹿賀さんが何度かスマホに メッセージを送ってくれていたのは確認している。 迎えに来て貰って待たせてしまっては申し訳ないので そのように提案し、今度こそ、彼が自室に戻っていく 後ろ姿を見送った。]* (157) 2022/08/01(Mon) 16:48:49 |
【人】 綴 千翠[身体も髪も、涙に濡れた顔も全部洗って、 肩までお湯に浸かると、私は芯から解れるような 心地よさに目を閉じながら、そっと胸の中心にある 手術痕に触れる。] …ちゃんと話さなきゃ [隠したままではいられない。 ひとめぼれだと鹿賀さんは言ってくれたけど 彼は私にこんな傷があることは知らない。 もう痛みがあるわけではないけれど、私自身、 どれ程時間が経ってもこの痕を見慣れるという事は なかった。] (169) 2022/08/01(Mon) 19:01:15 |
【人】 綴 千翠[お風呂から上がると手早くスキンケアを済ませ着替える。 鏡を見て、少し考えて軽くお化粧を施した。 そうして、シルバーのバレッタで緩く髪を束ねると、 スマホを手に取り、鹿賀さんにメッセージを送る。] 『鹿ちゃんさん、支度出来ました。 待ってます。』 ** (170) 2022/08/01(Mon) 19:01:21 |
綴 千翠は、メモを貼った。 (a40) 2022/08/01(Mon) 19:15:06 |
【人】 綴 千翠― 鹿賀さんと ― [メッセージを送るとすぐに返信があった。>>174 その返信から程なくして、ドアがノックされる。 早いくらいなのに、お待たせしました、という 鹿賀さんに微笑んで、私は部屋を出た。>>175] …ありがとうございます 鹿ちゃんさんのシャツも 綺麗な色で、素敵ですね [誉めてくれる鹿賀さんに恥ずかしそうにしながらも 私は彼を見上げ、そのシャツの主張し過ぎない上品な 黄緑色を眺める。 全体的に素材の良いもので整えられていて、また 鹿賀さんもそれらを着こなしていて本当に素敵だった。] あ、はい… [ご飯に行こうというのには勿論頷いて、] (178) 2022/08/01(Mon) 21:58:56 |
【人】 綴 千翠鹿賀ちゃんさん、よくご存知ですね [彼が事前に周辺情報を調べてくれているとも 知らず、近くにお店があると言う彼に 感心していた。]** (179) 2022/08/01(Mon) 21:59:00 |
綴 千翠は、メモを貼った。 (a44) 2022/08/01(Mon) 22:14:37 |
【人】 綴 千翠───…あ、ありがとう、 ございます… [最初、その所作に戸惑いつつもお礼を言うと 私は彼の手に自分のそれを乗せる。 けれど、心の中でエスコートなのだと何度言い聞かせ ても、慣れないことに緊張して。 恥ずかしさに顔が熱くなることは、止めることが 出来なかった。]** (203) 2022/08/01(Mon) 23:32:13 |
【人】 綴 千翠― イタリアンレストラン ― [鹿賀さんが連れて行ってくれたのは、路地裏 にある一軒家の隠れ家的なイタリアンレストラン。 ネットなどでは、非常にわかりにくい場所にあるため 「隠れ過ぎ」などと言われているが、そのメニューは どれも絶品。 2階の席からは海が見えると知る人ぞ知る評判のお店 だった。 鹿賀さんから名前を聞いた人の良さそうな柔和な女性は 上の予約席へと私達を案内してくれた。>>235] ───雰囲気の良いお店ですね… [手作りのメニューを受け取りつつ、私は鹿賀さんに 感想を告げる。 料理の種類はそれ程多くはなかったが、それはそれだけ 一品一品が丁寧に作られているからだと思った。] (248) 2022/08/02(Tue) 19:33:58 |
【人】 綴 千翠…こちらのお店のメニューはどれも美味し そうなので迷うのですが、普段は今の季節は 大体、冷製パスタを好んで注文します [冷製パスタにトマトは欠かせないことを考えると、 今の季節はトマト系が好みということになるのかも しれない。 だからと言って、クリーム系や和風が嫌いという訳で はなく、チーズもどちらかと言えば好きなほうなので 特別匂いを気にしたことはなかった。]** (249) 2022/08/02(Tue) 19:34:00 |
綴 千翠は、メモを貼った。 (a59) 2022/08/02(Tue) 19:52:39 |
【人】 綴 千翠いつか、カルボナーラも食べてみたいです [注文した冷製パスタを美味しそうという鹿賀さんに 彼が注文したものもそうだと私は微笑む。 そういう要望があるのか、後に料理が運ばれてくると それぞれ取り分けて、食べられるように小皿が 付いており、互いの料理を味見出来るように なっていた。] (258) 2022/08/02(Tue) 22:52:13 |
【人】 綴 千翠― イタリアンレストラン ― …入院、してたんです。近くの病院に [私は鹿賀さんに視線を戻すと、やるせない笑みを浮かべ 鞄からケースに入れた錠剤を取り出し、そっと、テーブル の上に置いて見せた。] 話しておかなければと思っていたんです。 …私の身体のこと、私の、病気の事 [鹿賀さんが私に好意を寄せてくれていると言うなら 尚更、話しておかなければいけないこと。 私の事を何も知らないままにひとめぼれをしたのなら 今、最初に。きちんと伝えておかなければ いけないこと。] (271) 2022/08/03(Wed) 1:34:52 |
【人】 綴 千翠3年前の冬、 私の身体に腫瘍が見つかりました─── [私は、ひとつひとつ、鹿賀さんに話していく。 摘出手術を受けたこと、身体にはその大きな痕があること。 治療は今も続いており、お薬を飲んで生活していること。] …このお薬は病気が再発しないよう抑える薬 10年服用して再発がなければ、その時点で完治と 判断するそうです 逆に言うと、10年の間はいつ再発しても おかしくないということ 私は…普通の身体じゃないんです (272) 2022/08/03(Wed) 1:36:26 |
(a67) 2022/08/03(Wed) 1:43:30 |
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