145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】
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その夜に琴の音は一度も鳴らず、
頼まれていた世話を果たす先が不在な事も知らず、
誰も居ない室内に鉢と焼き菓子は放置されたまま、
一度も遅れた事のなかった会議は、
連絡の取りようもないまま過ぎ去った。
──結果として、
本来は竪琴の意味から命名された病を患う男は、
学生時代にそう呼ばれたように「嘘つき」になった。
誰のものでもないその部屋に、誰かの気配が残り香のようにある。
湿った、背筋の凍るような、神経に不快感を及ぼす何か。
しっかりと清掃され清潔であるように保つ努力を経てもなお、
言い様のない警鐘の残滓が僅かに空気に染み付いている。
それは朝も午前も超えて、白日が名月へと交代するほんの間際の頃だった。
そこにはもう誰もいない。
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