―― アルバイトの理由 ――
ごめんお姉ちゃんそろそろ行かなきゃ。
[ え〜やだやだもっと遊ぶと、見事な甘ったれに
育った妹は不満そうな顔をするけれど。 ]
良い子で待ってて。
お土産に柚理の好きなアイス、買ってくるからね。
[ わかったとニッコリする辺り、血の繋がりを感じる。
とても、現金。そっくり。
可愛い。
父と妹にいってきます、と言って家を出る。
向かう先は父のよく知る蕎麦屋さん。
アルバイトを始めるに辺り、父とした約束は三つ。
土日祝日のみ、夜八時までに家に帰れるようにすること。
成績を大きく落とさないこと。
決して無理はしないこと。
母は、欲しいものもあるんだろうし好きにしなさい
とだけ言った。
それから私は約束を守って、アルバイトに行っている。
お昼少し前に蕎麦屋に到着すると仕込みのお手伝いをし、
19時には仕事を終えて帰路へつく。 ]