【人】 爽快ブラスト チアキ ──大切な人がいた。 かつての私は、貴方に護られることを 当たり前の幸せとして享受してきた。 貴方と共にあり、護られながら生きて いつしか姉上様や兄上様達を支えて 共にミュジークの貴族として生きていく。 でも貴方は今、私の元から消え去り その行方を知ることもできない。 残るのはただ、愛しい貴方へ 焦がれ続ける眼差しの色だけ。 (8) 2023/10/12(Thu) 13:58:41 |
【人】 爽快ブラスト チアキ──サアヤが消えた。 彼女が何日か本拠地に帰らないことはままある事だった。 でも、それでも連絡は取れていたし、昼の学校のどこかで落ち合うことはできていたのに。 彼女が連絡なしに消えてしまうなんて、あり得ない。 その意見はリッコとも同じで、私は三人が揃って活動しやすいと言う理由で選んだ軽音部のバンド練習にも参加せず、放課後の校舎内を歩いていた。 「…なにか危ない目にあってないと良いのだけど。」 いるはずの人が消えてしまう事。 もう二度と会えなくなるような気がして、一人呟いて不安で堪らなくなる。 そんな中なら二人で行動した方が良いのだろうけど…。 少し、思うところがあって、リッコーリスとは別行動をとってしまっていた。 微かに頬が赤く染まる。 想いを受け取ることは幾度となくあった。 王女として、臣下の忠誠を受け取ることも。 けれど、先日のリッコーリスのそれはまるで…。 (9) 2023/10/12(Thu) 13:59:08 |
【人】 爽快ブラスト チアキ「…私には、彼の方が…。」 それを知っているはずなのに。 熱い眼差しで抱きしめられ、キスをせがまれた事を思い出す。 恥ずかしくて、申し訳なくて。 私は一年の教室で、サアヤの姿を探しながら窓際で小さくため息をついた。** (10) 2023/10/12(Thu) 13:59:27 |
【人】 爽快ブラスト チアキ「…先生。」 私もまた、ここにきてから日は浅い。 先生よりは先にこちらにきていたけれど、だからと言って私が学校に馴染みきっていたわけではなかった。 こちらの世界には魔法はないし、だけど不思議な力はあるし。 常識が違うものだから、"ふしぎちゃん"と揶揄われることが多いのが私だった。 私からしたら、皆さんの方が不思議なのですけどね。 声をかけ、こちらに近づいてくる男性教師に私は窓際にいたまま動かずにいた。 相手は教師だもの。怖がる必要もないし、恐れる事もないわ。安心な人間よね? (19) 2023/10/12(Thu) 19:58:55 |
【人】 爽快ブラスト チアキ「冬隣…、素敵な言葉があるんですね。 寒くはないですけれど、確かに最近 冬の足音が聞こえてきたような気がします。 暗くなるのが早いですし、 ずいぶん涼しくもなりましたね。」 そんな世間話に興じようとしていたのは、まさか先生がサアヤの行方を知るだなんて思っていなかったから。 だって先生よ? 安心な人間のはず。 私たちのことに関係がないはずだわ。 だからね。 >>18ほんの微かな魔力の余波を感じても、私はそちらに一瞬視線を向けただけ。 魔力を持たない人間なら気づくはずがないものだもの。 ああ、リッコーリスが探してくれているのね…と無防備に考えていたわ。 音の魔力を扱う相手なら分かってしまうものだし、そうでなくとももし相手が優れた魔力の使い手なら或いは。 でも違うものね。 だから窓から屋上の方をチラリと見て。 すぐに、先生の方へと視線を向ける。 (20) 2023/10/12(Thu) 19:59:11 |
【人】 爽快ブラスト チアキ「先生、もしかして見回りだったんですか? 私、もう少し探し物したいんですけど…。」 良いかしら?と首を傾げる。 先生はそこそこ背が高くて…見上げるとちょうど、彼の方と同じくらい。 それを意識すると悲しくなるから、彼を少し見つめてすぐに無理に笑顔を作った。* (21) 2023/10/12(Thu) 19:59:25 |
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