情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 神社の娘 カグラ一体何処に行ってしまったのかしら…… [杖を握る手に力が籠る。 年始と同様に人の出入りが増える今日は 頼りにしている耳が役立たずとなってしまう。] あのう、其処な人…… もし良かったら 助けて下さらないかしら……? [もう暫くすれば祭りが始まる時刻。 縁日の準備に忙しい人々の手を 借りるのが難しいことは心得ていた。 それでも、何度断られようとも、 目が不自由な娘は 手当たり次第に声を掛けるのだった。*] (1) 2024/04/01(Mon) 17:17:11 |
【人】 神社の娘 カグラ[娘は鳥居の下に捨てられていた。 盲は子に感染るとされ嫁ぎ先が見つかるものではなく 田畑を碌に手伝えもせぬ穀潰しともなれば詮無いこと。 それでも──あの子よりはずっと良い。 娘は村の中で拾って貰えた。 実の子のように育てて貰えた。 食べるものにも着るものにも困らぬ。 手伝いがあれば好きに出歩くことだって叶う。 神主である父すら頭が上がらぬ オオババ様の言いつけで 山奥に捨てられてしまったあの子より、ずっと良い。] (17) 2024/04/02(Tue) 19:20:38 |
【人】 神社の娘 カグラ……お願い、しますね [朝からずっと声を掛けていた人々は、 はぁ、見つけたら教えますよ、などと 答えてはくれるものの、 探しに行ってくれる気配は一つとてなく、 娘もそれ以上は言えなかった。 仕方がない。 今日は大切なけもの祭りの日だもの。 神様と縁を深めることの方が大切だわ。 仕方がない。 神社の娘とはいえ、 元が捨て子だったことはみんな知っている。 蔑ろにしたって罰は当たらないわ。] (18) 2024/04/02(Tue) 19:20:59 |
【人】 神社の娘 カグラ[──そう何度となく自分を納得させていたが。 はじめてきちんと立ち止まって 応じてくれるひとがいた。] あの……っ これ位ちいさな白い犬……コマっていうの 見えない私の目の代わりになってくれる 大切な家族なんですけれども 今朝戸の隙間から飛び出して行ったきり 戻ってきていないんです そう遠くへは行ってないと思うんだけれど とっても臆病な子だから、知らない人が沢山いると 驚いて逃げ隠れようとしてしまう性質で…… いまもきっとどこかで怯えているわ…… [僕、というと男性だろうか。 娘は不要な情報まで話してしまった気がしたが 彼の声がそうさせてくれたように感じていた。 透明で落ち着いた、優しい声。] (19) 2024/04/02(Tue) 19:22:24 |
【人】 神社の娘 カグラ貴方さえよければ探すのを 手伝って欲しいのですけれど…… ああでも待って、その前に……! 貴方、お面は持ってきていますか? もうすぐお祭りがはじまってしまうから 敷地内では忘れずにつけてくださいましね もしなければ屋台でも買えますから 私に声を掛けて下さった優しい貴方が 連れて行かれてしまうことのないように…… [相手が何処に住んでいる者か解らぬ故 慌ててお面の有無を確認する娘であったが、 何度も参加している者なら愚問であったかも知れない。] (20) 2024/04/02(Tue) 19:22:59 |
【人】 神社の娘 カグラ[けもの祭りは動物の面をつけて参加するのが正式だ。 ヒト好きの神様が祭りで気に入った人間を 連れて行ってしまうことがあると言われており その対策として獣に扮するのだ。 ただ別の村や集落からの参加者もいるため 全員が全員面をつけていないのが現実である。 妖に喰われてしまうのとは訳が違うから 神様に会ってみたいと 態と素顔で参加するものもいるくらいだ。] (21) 2024/04/02(Tue) 19:23:57 |
【人】 神社の娘 カグラ[話す相手が最初で最後の日のつもりで 自分らしく過ごそうとしていることを 娘は当然知らない。 面をつけぬ選択がなされたところで 或いは逆が選択されたところで 確認するすべを娘は持たなかった。**] (22) 2024/04/02(Tue) 19:24:29 |
【人】 神社の娘 カグラ[面があると聞き、娘は安堵の表情を浮かべた。] 私は……、では、社務所におります 出歩くとかえって ご迷惑をおかけしてしまうので…… コマをどうかよろしくお願いいたします [この先は益々人が増え、音が溢れ、 耳は頼りにならず、杖は誰かを傷つけかねない。 肩に触れた感触は思いの外小さく柔かったが ここにいてとの言葉に甘え、深く頭を下げた。] (30) 2024/04/03(Wed) 23:26:28 |
【人】 神社の娘 カグラ……ああ、なんてこと。私ったら 御名前を聞き忘れてしまったわ…… [後悔めいて呟いたのは 相手の足音が他の音に混じって 判別がつかなくなった頃合いだった。 仮令コマが見つからなくても必ずお礼を言おう。 その際名前も忘れずに訊ねよう。 それにもし相手さえ良ければ、友達になって貰おう。 そんなことを、考えていたのだけれど────*] (31) 2024/04/03(Wed) 23:26:32 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新