52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】
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っ……く、くそ……。
[ 扉近くに目を向ければ
全部で四匹いるのが確認できた。
一匹は視界を潰したとて、残り三体は健在。
片脚が自由に動かせない今
どう考えでも分が悪い。
脂汗が全身に湧き出す。
段々片脚の感覚がなくなってきた。
せめて短剣か、
武器になるものさえあればと思うものの、
残念ながら周囲に目を走らせても
見つかりそうにはなく。
最早万事休すか]
( これは罰なのだろうか )
[ 一瞬頭に過るのは、ある少女の姿。
次いで、その顔が絶望に染まる光景。
頭を横に振り、浮かんだものを掻き消す。
何にせよ、他に手はない以上
選ぶ手は一つだけか。
そう悩んでいる間にも
オークたちは此方に距離を詰めてくる。
もう迷ってる暇はない]
[ 一瞬目を閉じ、くそっと毒吐く。
それから実験台の上に腰を下ろした男に
視線を向けて、台に手を突き頭を下げながら]
た……何でも言う事聞くから……
助けて、ください、……ご主人様。
[ そう言って、彼の靴に口を寄せただろう]*
それがさぁ、だめなんだよなぁ、男じゃ。
まぁ、俺様も高みの見物───…
兼、サポートで着いてってやるから。
[未だアシュレイの片脚を
宝石越しに圧し折った感触が残る指先を
ちっちっちと左右に振って。
そりゃ自分で行けるなら行っていると
言外にそのダンジョンの高難易度さを
チラつかせたりしたのだった。
まぁ、あそこはなー。
色々やっべぇからなぁ……]
[そんなこんなの後に
よばれてとびでたオークちゃん達。
目の前に匂い立つような雌が転がってりゃ、
そりゃあ、奴らにとっちゃいただきますってなもんだよなぁ。
そんでアシュレイちゃんといえば
片脚も負傷した状態で、多勢に無勢。
はー……
せっかくの初物が豚の餌食かって、
ちぃとばかし勿体ねぇなぁと見てたんだが]
……うっあ、痛そ……
[伸縮性のある黒のインナーが
オークの指の形に引き千切れ。
肌色の面積を大幅に増やした肢体が
冷たい床になすすべもなく貼り付けにされた────
と、思いきやだ。
大事な部分を蹴り飛ばされ、
オークの濁声が地下研究室に響き渡る]
[それからは見事なもので、
躊躇の無い目潰しは完全に豚の視界を奪い。
もう一匹をも怯ませる事に成功したのだった。
いやそりゃ片割れが上下の玉潰されたの見りゃ
縮み上がるってなもんだよなぁ……
とはいえ、それでビビらんのが
肉欲獣人の怖えところとゆーか。
「この雌犯す」が「犯して殺して食う」に変わった分、
状況は悪化したとも言えて]
さぁて、どうする?
絶体絶命だなぁ……?
[実験台に腰掛けたまま、
口元に張り付いたにやにや笑いと共に問いかければ]
おーけー、奴隷ちゃん。
変なプライドより最善手を取れるトコ、
プロって感じで好感が持てるねぇ。
[あの時何を思い描いたのか。
首を振るアシュレイの一瞬の表情の変化の
所以までは分からなかったものの……
生きる為に、なんだってやってきた男という
当初の見込みは間違っていなかったとみえる。
つーかそういう兄ちゃんを屈服させるのが、
何より愉しいんだよなぁ。
ゾクゾクする顔で見上げやがって]
そんじゃ、ご主人様の偉業をとくとご覧あれっと。
[革靴の爪先を
アシュレイちゃんの口元に押し付けながら。
実験台に下ろした両掌に魔力を込める]
……帰し返し、現せ姿を。
[呟く様に唱えれば、
オーク達の丁度真下の床が、波打ち。
真ん中よりばくりと。
巨大な口となって四匹を飲み込んだ。
一瞬の後に、研究室は再び静寂を取り戻し。
ちなこの生きた罠。
談話室にいた人食い宝箱と同じ種である。
上手い事育て上げるとこんな事もできるってゆーな。
なおオーク達は丸呑みにされただけなんで、
消化される前に後で出してやろうと思う。
使える物は骨まで使い倒さんとなー]
さって、じゃあ、オシゴトの話をしよう。
やる事ぁ簡単。
とあるダンジョンに潜って、
最奥の悪魔をぶん殴って、とあるブツを取り返す。
そんだけだ。
[説明しながら、俺は再び両手から魔力を操作し。
この屋敷を覆う蔦の一部を呼び込んだ。
そいつらはアシュレイちゃんの折れた脚に絡み付き、
ぺろぺろと舐めはじめて。
昨日の胸の傷が無くなっていた事を思い出せば、
蔦の行うそれが回復行為だと判るだろう。
故に、説明もそこそこに俺は話の続きを口にした]
目的を達成できたら、
俺様ができる範囲で"何でも一つ"
願いを叶えてやるよ。
男に戻して欲しけりゃそれでも良いし、
自由の身にして欲しけりゃそれでも良い。
ただし、一つだけだからな?
当然願いを増やしてくれとか、ズルはだめだ。
[そして、揺らめくブーツの先っぽを、
彼女の唇から胸元へと伝い下ろして]
それはそうと……
そういやそっちは
何でも言う事を聞いてくれるんだよなぁ?
[ガシャリ、と。
魔力の鎖を引き上げ、俺様の奴隷を上向かせる]
ならまずは、洗いざらいお前さんの事を話してもらおうか。
ある程度能力を把握しておきたいし、
あとはまぁ、純粋に好奇心だな。
なんでケチな盗人なんざやってんだよ。
俺にとっ捕まらなくても、
何処で野垂れ死ぬか分かんねー様な生き方しやがって。
若人のくせに生き急ぎ過ぎじゃねーの?
[そっちも聞きたい事がありゃ聞いて良いぞー、と、
心の広い所なんぞを見せつけながら。
俺のブーツの爪先が、
アシュレイちゃんの頬を持ち上げる]
そうそう、あと。
……お前さんさぁ、女を抱いた事はあるのかよ?
[そんな、質問を*]
[ 男の言葉に内心舌打ちをしつつも
この場を切り抜けるには致し方ない事。
押し付けられる靴先。
今すぐにでも男の首の骨を圧し折りたい。
そんな事を思いつつも、相手は魔術師だ。
下手に手を出したら
更なる災難に見舞わされるかもしれない。
今は堪えろ、堪えるんだと
胸の裡で何度も繰り返し唱え
溢れ出そうになる激情を押し留めていた]
[ 迫って来ていたオークたちは
男の魔術…なのだろうか。
突然現れた巨大な、何か生き物の口のような
深い暗闇の中に呑み込まれた。
地下室に再び静寂が訪れる。
醜い怪物たちが姿を消した事により
束の間の平穏、肩の力が抜けて
手術台の上に上半身を凭れさせた]
[ そうして身体を休めていれば
仕事の話が男の口から告げられて
顔を持ち上げては視線を向けよう]
魔王なら何でも簡単に
手に入ると思ったのだがな。
……以外にそうでもないのか。
それに取り返す、と言う事は
その悪魔にむざむざと奪われてしまったと?
[ 取り返すだけだと、簡単な話に見えて
色々引っ掛かる事があった。
少し皮肉気に問いを投げ返してみたが
彼はどんな反応をしただろう]
[ 説明された直後に伸びてきた蔦には
思わず昨夜の出来事を思い出し
上半身をびくっと震わせては硬直してしまう。
また何かされてしまうのかと身構えていれば
蔦は怪我した脚に絡みつき、
表面を舐めるように這っていく。
訝し気にその様子を眺めていれば
何度もそれは這っていくにつれて
脚の痛みが次第に薄れていくのを感じた。
( まさか……治癒魔法? )
胸の傷が消えたのが蔦のお陰と知らなかった俺は
思わず目を瞠り、唖然としてしまった。
尚、悪趣味な回復方法だと思った事は
胸の奥に仕舞っておく
]
願いをなんでも、な……。
[ 正直願いを叶えてやると言われても
相手は魔王。そう易々と信じられる筈もなく。
しかしながら例えとして出されたそれに
片眉がぴくりと反応した。
当然出来るなら男に戻して欲しいし
解放されて自由の身になりたいのが
己の心情というもの。
元に戻して貰った後で
奴の息の根を止めるのが一番だろうか。
そんな事を思っていれば、
首を引っ張られ無理矢理上を向かされる]
[ 何でもいう事を聞く。
先程自分自身口にした言葉。
一体どんな命令をしてくるのかと
身構えて睨みつけるような視線を向ければ
意外な内容を告げてくるのであった。
( 俺の事を知ってどうするというのだろう。
元々殺そうとしていた癖に。
奴隷の事を理解しようとする主など
普通はいない……何が狙いだ? )
どんな心変わりがあったのやら。
正直に答えてやる義理などなく。
とはいえ、下手に答えて
散々な目に遭わされるのもごめんだ]
[ 俯き、顎に手を当て思案を巡らす。
暫しの間が空いた後、口を開き]
元々貧しい生まれだからな。
人の物を奪う事でしか生きる事が出来なかった。
出来なければ死ぬだけだ。
他の生き方なんぞ知らん。
貴様みたいに家があって金もあって
力のある者には理解出来ようもない。
[ まるでお説教をするかのような言い方に
きっぱりと些か強い口調で答えた。
声色には少し苛立ちが
滲んでいるのが分かるだろう]
[ 聞きたい事があればの話には
お前に聞きたい事など何もない、と言おうとして
ハッとしてはそれを喉奥に押し留めてから]
……お前みたいに、
どうすれば"力"を持てるか、だな。
魔族じゃないとやはり難しいのか。
[ 魔王と呼ばれるからには魔族だと
こちらは何の疑いもなくそう思っている。
実際そうかそうではないかは知らないが
これから先の事を考えて、より強くなりたい。
そう思っての問い掛けであった。
尤も、素直に答えてくれるとは
全くもって思ってもいないのだが]
[ 無理矢理爪先で頬を持ち上げられ
片目を眇めて不機嫌な顔。
質問の内容に眉根が寄った。
馬鹿にしてるのかと思いつつ
此処は正直に答えよう]
あるに決まってるだろ。
[ ぶっきら棒な言い方で言葉を返す。
金で買う事もあれば、
仲間内(仲間だとは思ってもいないが)
の女を抱く事もあった。
とはいえ、すぐに飽きるし
恋人のような存在がいた事はなかった]*
[ 父親はアル中で殴る蹴るの暴力を振るう。
母親は男の尻を追い掛けて、
子供たちはほったらかし。
食事は僅かな残飯だけ。
そんな家庭に育った男には
異性と恋をして、子供を作り家庭を作る。
そんな考えなど生まれる筈もなく。
愛を知らない心は歪むばかりであった]*
[
長く伸びた赤みがかった黒髪に
均整の取れた細身の躰。
愛想も化粧っ気も無いが、
その分素の睫毛の長さやら
瞳の大きさがよく判る。
黙って笑ってりゃ
落ちねぇ男はいないだろうってなもんなのに
いやー、今にも素っ首掻っ切られそうな
すげぇ眼差しで見てくるんだもんなぁ。
ったく、こえーこえー。
たまんねぇなぁ、おい
]
言うねぇ。
ま、そういうワケだ。
元々俺様が造ったダンジョンで、
俺様が召喚したその迷宮の主だった筈なんだがなー。
[言いながら、片目を隠す前髪をかき上げた]
[瞼の奥。
眼球があるべき部分に広がるのは
光すら飲み込むような暗黒の虚空で。
痛くも痒くもねぇんだが、
当然こっちの方じゃなんも見えやしねぇ]
口達者なやつでさ。
ついうっかり盛り上がって、
あいつが言った
"ダンジョン全部を見渡す事ができると良いんですが"
って、呟きに
"おー?良いぞー?"
って返事しちまったんだよなぁ。
そしたらあの野郎、本性あらわしやがってよ。
水晶玉の一つでもくれてやるつもりだったんだが、
俺様の目玉そのものを持っていきやがった。
[お手製ダンジョン内を観察できる
特別な魔力回路を組み込んだ自分の眼。
アレが無けりゃ、こちとら商売上がったりだ]
つうか無謀な冒険者ちゃん達の
断末魔をじっくり間近で見たいからこそ
ダンジョンマスターやってる所もあるからなー。
あー……
すっげぇ辛いけどしょうがない。
目の前の奴隷ちゃんが苦しむ姿で
我慢するしか無いかー、という現状だな!
[最後はひっひっひと意地悪く。
蔦に絡まれ回復中のアシュレイちゃんに
残った片目でウインクを送るのだった]
[そんな訳で、色んな意味でデバフ中の今。
頼りになる相棒ちゃんを
絶賛生産中だったんだが────
まさか自分からやって来てくれるとはなぁ……
これも俺様の日頃の行いって奴か]
へぇ、貧しい生まれん中、
腕一本でのし上がって来たって訳か。
道理で歳に似合わず
修羅場慣れしてると思えば。
[ひゅぅ、と軽く口笛を吹き。
続く言葉にはぱたぱたと軽く片手を振った]
まー、確かに俺様には
家も金も力もあるけどさ。
その俺様の所有物な奴隷ちゃんも
この家を自分ちだと思ってくれて構わないし。
[オークとか徘徊してるし、
そこら辺中事故物件だが]
おちんぎんだって欲しけりゃあげようか?
[使える所に行けるかは別として]
そんで"力"を手に入れるにゃ、
やっぱ経験とマジックアイテムっしょ。
だからこそ魔術師は開発に心血を注ぐし、
冒険者の皆様方は、奪い取ろうと躍起になるし。
ちな、俺様も人間だぜぇ?
うっかり悪魔に騙されて、
眼玉を取られちまうレベルには善良な。
[俺様が魔族だと思ってたのか、と
カラカラと破顔して。
まぁ、モンスターを使役してっからなぁ。
要はちょいと才能のある召喚師なんだが
魔術系統に詳しくなけりゃ
魔族と思っても仕方がないだろう。
いやしかしこいつ、素直なやつだな……]
だから俺様の言う事を聞いて
がんばって経験を積みゃあ
お前さんだってこの程度にゃなれるってこった。
[首輪から伸びる魔力の鎖を、
チャリチャリと指先で揺らし遊びながら。
少しばかりセクハラな質問を
アシュレイちゃんに一つ。
……いやだってだな。
すげぇ真面目な顔で会話してっけど、
格好、すごいからな!?
服というよりもはやボロ布ってな有り様だし、
そのせいもあって、動くたんびに
手の平で握れるくらいのたわわな何かが
ふるふるしてやがるしさぁ。
これが元男の無防備さってやつか……
アシュレイちゃん、恐るべし……]
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